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番外編
とある夫婦の馴れ初め話1.
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ずっと書きたかった麗の両親の話です。今回は麗父、昴視点です。
*誤字訂正しました*
********************************************
それは麗がまだハイスクールの2年生だった頃の話。
外交官として多忙な生活を送っているため、麗の両親はめったに週末も家にはいない。だがたまたま父が珍しく家でくつろいでいるのを見かけた麗は、ノートとペンを片手に唐突に訊ねた。
「ねえパパ。パパ達の馴れ初め話を聞きたいんだけど」
新聞から顔を上げた麗と響の父、一ノ瀬 昴は、眼鏡の奥の瞳を丸く見開いてから嬉しそうにデレっと微笑むと、愛娘の会話を快く歓迎した。
「突然どうしたんだい?」
一見神経質そうにも見える昴だが、よく喋り気さくな性格をしている。そして子煩悩で愛妻家だが、忙しすぎて子供達とのコミュニケーションに飢えていた。
「フィルムの課題で先生から、身近にいる人からラブストーリーを聞いてまとめろってゆーのを出されて。全く、ロマンス映画観すぎで影響されやすすぎ」
麗は溜息交じりに肩を落とした。
選択科目で映画の授業を取っていた麗に出された課題。それは身近な人物の出会い(馴れ初め)を聞いてシーンを選び、その光景を映画にするならどう撮るかと、自分で簡単にレポートにしてまとめるものだった。必要な人数から背景、カメラの効果的な撮り方など細かく描写する必要がある。楽しそうではあるが面倒だと麗は内心でげんなりした。しかも内容は馴れ初め。親しい友人はついこの間彼氏と別れたばかりだし、他の友達は片想いだし。仕方がないので、一番身近にいる両親の話を参考にさせてもらおうと思ったのだった。
その話を聞いた昴は新聞を閉じて、嬉しそうに頷きながら麗を隣に座らせた。
「うんうん。そうか、もちろんいいよ。パパが美夜と出会ったのは、そうあれは・・・」
「ごめん。簡潔にお願い」
長くなりそうだと判断した麗はばっさりと話の腰を折った。微妙に残念そうな顔をした昴は寂しそうに微笑むと、出会いからではなくて付き合う切欠から話すことにした。
「仕方がないね。だいぶ端折るけど、男装していたママがパパの胸倉をつかんで、「男らしくさっさと僕を攫え!」と言ってパパの唇を奪ったのが結婚するきっかけかな」
昔を懐かしむような眼差しでうっとりと呟いた昴の言葉に、麗は仰天した。
その予想外の衝撃的な内容に、「もっと詳しく!」と昴に詰め寄ったのだった。
◆ ◆ ◆
昴が美夜子に出会ったのは、所属していた大学のサークルだった。大学1年の時に友人に誘われて入ったはいいが、ほとんど顔を出すことのなかったミステリー研究会にようやく参加し始めたのは、4年になってからだった。
『この世の不思議関係全般を研究する会』とえらくざっくりした活動説明を聞いて、正直やる気があるのかないのかわからなかった。メンバーは13名。なぜか一人やめても翌日には一人増え、毎年13名が定員になるようになったらしい。占いや怪しいおまじない好きな女子に、UFOオタク、そしてなぜか撮る写真が必ず心霊写真になるやつなど、個性豊かなメンバーの中で昴は明らかに浮いていた。無理やり参加させられていただけで別にこの世の不思議とやらに興味があるわけではない。やめようにも高校からの悪友がなぜかこのサークルのリーダーになっていた為、定期的に呑み会には参加していた。そして4年の時には大学最後の思い出を作るぞ!とはりきられて、半ば強制的に部室へと連行されるようになっていたのだ。
就職活動で忙しい3、4年の時には昴は海外の大学院に行く事を決意していた。必要な単位は順調に取れており、課題と空いた時間でのアルバイト、そしてたまに参加するサークル活動でこの大学生活も終わるんだろうな、と考えていた5月のある日。部室で初めて目にする生徒がいた。
(1年生、か?)
肩より短い黒髪のショートヘアに中性的な顔立ち。漆黒の瞳と静謐な雰囲気が魅力的な男子生徒だ。凛とした空気を放っており、近寄るとまるで神社の境内にいるような気持ちになる。
昴に気付いた青年は、性別を感じさせない中性的な声で近くにいた生徒に訊ねた。
「あの人は?」
「え?ああ、一ノ瀬先輩だよ。って会うの初めて?サキ」
黒魔術と書かれた怪しげな本に集中していた女子生徒が紹介した。サキと言うのか。漢字によっては男性とも女性とも取れる名前で、一般的には女性に多いが、彼の服装からして男だろう。シンプルなパーカーにジーンズはどちらも男物だった。
なぜかじっと凝視されているのに居心地が悪くなった時、悪友でこのサークルに誘った張本人である笹川が現れた。
「おー昴。お前ムラサキと会うの初めてだっけか?ムラサキ、こいつ昴な。お前と同じ4年だから」
「・・・初めまして」
どこか気品がある仕草がなぜか目についた。さり気ない動きに品がある。同じ4年生と聞いて驚いた昴だが、高校生にも見えそうな位童顔で整った容姿のサキに同じように挨拶を返した。
「こいつ高校から付き合っていた彼女に振られたばっかだから、お前ら優しくしてやってよ」
余計な事を・・・。
忌々しく舌打ちをしたいのをぐっと堪えて、笹川を睨んだ。へらっと笑う彼からは悪気が見えない。微妙にざわめき出した室内をぐるりと見渡して、昴は溜息を吐いた。
高校から付き合っていた彼女につい最近振られたのも、このサークル活動に参加するきっかけだった。彼女がいれば、時間が出来れば彼女を優先する。学業も優秀、就職活動はする必要なし。アルバイトの家庭教師もこなしてまだ時間があまった時、時間つぶしにはなるだろうとやる気のないサークルである意味よかったと思ったのだ。
意味深に見つめてくるサキの視線に鈍い昴は気付くことなく、昴はこれから合宿に強制参加させられることにげんなりと溜息をついて呻いていた。
◆ ◆ ◆
実家は京都で地元では有名な地主。一人で上京し学生の身分では到底住めないようなオートロックのマンションに一人暮らし。そして民俗学を専攻し、卒業後は地元に帰る。サキにまつわる話を昴は人伝から聞かされた。別にたずねてもいないのに、だ。
「しかも噂では許婚がいるんだってよ。すげーよなー、旧家ってのは」
学食できつねうどんを食べる笹川が在籍するメンバーを詳しく説明してくれた。どうやら2年からミス研に入っているらしい。そして呑み会はおろか合宿のイベントすら参加しない彼と接点がないのは仕方がないと思えた。飲みにはたまに参加していた自分がどうやって参加していないメンバーの顔を知りえるのだろうか。サークル以外で接点は他にないのに。
サキも地元で就職が決まっているらしい。笹川も既に就職先が決まっている。4年生はたったの4名で、最後の一人は大学院に進むらしく、就活で時間が取られる事はない。つまり、「今年の合宿は全員参加な」と笹川がニヤリと笑った。
◆ ◆ ◆
今日も視線を感じる。
自意識過剰じゃなければ、そう感じることが増えてきた。視線の主は5月に知り合ったばかりのサキで。視線を感じ振り向けばふい、と逸らされる。一体何か気に障ることでもしたのだろうか。
自分でいうのも何だが、この個性的なメンバーの中で圧倒的に地味な部類に入るだろう。笹川はあれで霊感が強いらしくいろいろ視える人間だし、他のメンバーにも所謂オタクに入る人種が多数在籍している。目立つことが好きじゃない自分が何か気付かないうちに癇に障ることをしたのだろうか。日に日に疑問だけが増えていき、次第に彼が気になり始めた。
一人で行動することが多いようだが、当然だが親しい友人もいるようで安心した。中性的な美貌は男女問わず視線を集め、地味な装いが多いが放つ空気が異彩だ。民俗学で有名な教授の一番弟子と言われる位優秀な生徒らしい。京都出身のようだが喋る言葉は標準語で訛りもみえない。身長は175cmの自分より10cmほど低くよく見ればまだ成長途中なのだろうか、筋力もあまりないように見えた。
じっ、と観察されることが増えてきて、さすがに対応に困った頃。笹川からお願いをされた。
「昴。ムラサキを次の合宿に連れて来てくれないか?」
誰が誘ってもNOと突っぱねてきたらしいが、最後の年くらい思い出を作りたいと思う笹川の気持ちもわかる。正直何故ムラサキがこのサークルに参加しているのかわからないが、行きたくないのに無理やり行かせるのもどうかと思った。
(まあ、訊くくらいなら別にいっか・・・)
ダメ元で訊いてもなお行きたがらないなら、仕方がない。笹川のためを思い、部室で静かに読書をしていたサキに近付いて訊ねてみた。
そして意外にも、返事は即答でYesだった。
(・・・いいのか?お前散々嫌がってたんじゃねーのか)
念の為訊きなおしてみたが、やはり即答だった。これなら自分が訊かなくても、笹川が直接言えばよかったんじゃないか。きっと直接行くと返事をもらえたほうが嬉しいだろう。
そして夏休みに入った合宿先は、メンバーの一人の遠縁が経営しているという旅館に泊まった。近くには海があり、自然が多く夜空がキレイな絶好のデートスポットでもあったが、同時にやはりミス研の定番というか。この旅館は出ると噂で地元では有名で、森の奥に迷い込めば同じ所をぐるぐると永遠に彷徨う羽目になるそうで。そんな情報を入手したメンバーは、出るという噂をなくしてくれれば無料で泊まっていいと言われ、不思議大好きな暇な大学生13名は遠慮なくお邪魔することにした。正直言って、出ると言われて来たいと思う方がおかしいのではないか。
夏でも露出の少ない服装のサキをちらりと盗み見た。旅館に入った瞬間、笹川の顔とサキの顔色に若干の変化が起こるが、昴が気付くことはなかった。
何事もなく1日目が終了し、部屋で寝るときになってからサキの姿が見えないことに気付く。男女13名だが既に家族化しているミス研メンバーは、大部屋で男女混ざって雑魚寝でも構わないそうだ。女子がいいと言うなら男子が異議を唱える必要もないので、即刻受け入れた。
旅館の裏手には丘があり、丘の下には砂浜が見える。夜の海風が潮の匂いを運んできた。波の音を聞きながら人影を捜して歩くと、仰向けに寝て夜空を眺めるサキを見つけた。
「ここにいたのか」
がばりと起き上がったサキは心底驚いた顔をして昴を見つめた。一瞬驚かせたか?と怪訝になるが、昴は気にせず隣に腰を下ろして仰向けに寝そべる。成るほど、確かに星がきれいだと感想を抱いた。
「あいつらもう寝ちゃったが、お前は行かないのか?」
渋い顔をしたサキは少しハスキーがかった声で一言「断る」と告げた。
「あそこで寝れば十中八九金縛りに遭ってうなされる。それならここで星空でも眺めて横になる方がまだいい」
自分は何も感じないが、サキは何かわかるのだろうか。笹川もそういえばどことなく顔色が悪かった気がする。昴はサキの顔を覗きこんだ。
「お前は具合悪くないのか?」
「僕は平気だ。自分の身くらい自分で守れる。明日原因を探って、無理そうだったら知り合いの霊能者に頼むから問題ないだろう。今日一日なんとかなればいいし、森の奥は磁場が狂ってるから近寄らなければいいだけだ」
淡々と語るサキの声に恐れは見えない。思えばこうやって普通に長く会話しているのは初めてかもしれないと昴は思った。
「なあ、訊いてもいいか?」
「何だ」
「お前俺のこと良く見てるよな。何でなんだ?」
気付かれていないと思っていたのか、サキが驚いた。そして眉を顰めて苦々しげに訊ねた。
「嫌か?僕に見られるのは」
起き上がった彼が真っ直ぐに昴の瞳と焦点を合わせてきて、昴の鼓動が僅かに早まった。見つめられていると何故だか心の奥底まで覗かれている気分になる。だが不思議と不快感はなかった。全てを知っているかのような鋭く強い眼差し。その瞳にまるで吸い込まれそうになる。
たっぷり時間をかけて、昴は「別に」とそっけなく答えた。
翌日案の定、11名中9名が金縛りに遭うというある意味予想通りの結果に終わった。笹川は人一倍疲れきった顔をしていたが、どうやらそこそこ大変な目に遭ったらしい。1日でげっそりとこけていた。霊感もないし何も感じない昴にはにわかに信じがたい現象だが、世の中には不思議なこともあるのだろう。心の中では被害に遭ったメンバーに労わりの言葉をかけた。
予定を大幅に縮めて2泊3日で帰った後。
サキの言う知り合いの霊能者が颯爽と現れ全てを祓ってくれたと感謝を綴った手紙が後に届いた。
◆ ◆ ◆
夏が終わってからサキと喋る機会が増えた。
そして冬に近付く頃には、昴は己の不調に気付き始める。
(何でこいつが傍にいると妙にそわそわするんだ、俺は・・・)
鼓動が早いし心臓が高鳴る。ふいに見せるサキの物憂げな顔や、時折女性と見紛うほどの色気を感じ、内心で動揺を隠せないでいた。
ありえない、そんな馬鹿な。
確実に惹かれ始めていることに、昴は狼狽した。いくら長年付き合っていた彼女と別れたからって、同性に惹かれるはずがない。自分は男が好きなはずではないのだから。
(元カノに振られたショックで同性に惹かれるなんて事、あるはずがない・・・!)
きっと恐らく、ただ気になるだけだ。周りと微妙に壁を作る彼が気になり、それは友人としての感情で、恋だの愛だのとはかけ離れた感情。それ以外で説明がつかない。
(少し距離を置くか・・・?)
自分の体調の変化に戸惑いながら、昴は暫くサキに近付くのをやめた。
◆ ◆ ◆
卒業式の3日前。
サキが初めてサークルの呑み会に参加した。そのことに他のメンバーは大いに盛り上がった。ムードメーカーの笹川は特にサキが初めて呑み会に姿を現したことに喜んだ。
卒業間近で皆気が緩んでいるのだろう。早速潰れてしまったメンバーを横目で見やりながらあまっているビールを飲んでいると、少し顔を赤らめたサキが隣に腰を下ろした。久しぶりに見る彼は酒の所為か頬が赤らんで、滲み出るような色香が漂っていた。昴は目線を合わせないように顔を俯けた。
「君は留学すると聞いた」
唐突に話しかけたサキに昴は驚く。いつそんな話を聞いたのだ。
「ああ、向こうで大学院に進むつもりだ。まあ、帰ってきたら国家公務員の試験を受けるつもりだけど」
大学に入る前から漠然と外交官という職業に興味を持っていた。今でもその気持ちはかわらず、必要な授業はちゃんと出て単位をとり、海外で留学を経験してから試験を受ける。留学中にもしかしたら方向性が変わるかもしれない。先のことなどまだわからないのだから。
「お前は確か地元に戻るんだっけ?」
昴の言葉にサキはぴくりと反応した。いつも大人びた表情だったのが、今では素直に感情を顔に出している。これもお酒の力か。
「ああ、僕は京都に戻る」
その声はどこか硬く、あまり嬉しそうに感じなかった。
「ふーん、実家に戻ってどうするんだ?確か就職先が決まっているんだったか」
「ある意味永久就職だな」
は?と昴は訝しむ顔で反応した。何だその永久就職とは。
「大学を卒業したら許婚と結婚することが決まっている」
そう告げたサキの顔は結婚が決まって喜ぶ幸せな表情とはかけ離れた、苦しそうな顔だった。
「嫌なのか?その相手のことが」
結婚したら、地元に帰ったら、自分が海外に行ったら。もうこんな風に酒を飲みながら話すことも出来ないのかと思ったら、ついいつもなら踏み入れない領域にまで足を突っ込んでしまった。自分が彼に惹かれているのは確かだと自覚はあった。だが彼は男で、許婚がいて、結婚するのだ。それなのにそんな嫌そうな顔で迷いを見せられたら。抑えていた物が飛び出そうになる。
昴は気付かれないように深く息を吐いた。友達として、同じサークルの仲間として、最後は祝ってあげるべき立場なのだ。
「相手は従兄のようなものだ。幼い頃から知っている。別に嫌いなわけじゃないが、異性として好きかと問われれば疑問が浮かぶな。相手は別に僕のことが好きなわけじゃないし」
「は?お前好きじゃない従兄と結婚・・・って、待て。従兄?」
何かが頭に引っかかった。
微妙に気付き始めていたが気付かぬフリをしていたのかもしれない。たまに感じた違和感。それがつかめそうな気配を感じた。
苛立った様子のサキが手に持っていた缶ビールを潰した。
「お前は、僕が好きでもない男と結婚してもいいのか?」
ゆらりと立ち上がったサキが隣に座る昴の胸倉を掴むと、間近で目線を合わせた。その距離は鼻が触れそうなほど近い。
「え、は?ちょっと待て!お前が結婚する相手って・・・」
男といわなかったか!?
困惑気味な昴は動かない頭で必死に考える。目の前に立って胸倉を掴んでいるのはサキだ。だが、間近で視線を合わせる人物の顔はどう見ても・・・
霞が晴れた瞬間、昴は目を見開いた。
何故今まで気付かなかった。
ようやく誤解が解けてもまだ動こうとしない昴に業を煮やしたサキは、盛大に舌打ちをした。
「お前がずっと僕のことを男だと思っていたのは知っている。ムラサキと言うのが僕のあだ名じゃなくて名前だと思っていたのも。だけどな、よーく聞け。僕の名前は美しい夜の子で、美夜子だ!本名は古紫美夜子。体も心も僕は女だ!」
唖然としてサキもとい美夜子の名前を呼ぶと、若干彼女は頬を染めた。そして昴のシャツをぐいっと自分の方へと引っ張る。
「僕が欲しいんだろ?望み通りくれてやる。だから、男らしくさっさと僕を攫え!」
他のメンバーが全員酔いつぶれた部室で、美夜子は昴の唇を奪った。
◆ ◆ ◆
「―――そして次の日にさっさと市役所に行ってね、婚姻届出してきたんだ。卒業式が終わると同時に僕は美夜を連れて留学先に行っちゃって。いや~あの時は若かったから出来たんだよね。今考えてもすごい行動力だと思うよ。結局親の同意を得ずに駆け落ちした事になったから」
若かりし頃の父の写真を後で母から見せてもらおう。麗は思わずそう思った。
簡潔にと言ったのに、既に1時間が経過している。思い出話は長い。
実質交際期間がないまま結婚したような物だ。そのことに気付いた麗は、この父が実は男らしい決断力の持ち主だと言う事に初めて気付いたという顔をした。こう見えてやる時はやるのだ。
(いや、やったのはママの方か・・・)
是非母にも理由を聞かなければ。
男装していた理由や許婚の話、そして何故選んだのが父だったのか。
未だに喋り続ける父から意識を逸らして、麗は母の帰りを待った。
************************************************
長くなりそうだったので端折ったんですが・・・伝わりにくいかも><
すみません!
でも次回は美夜子視点です。彼女の方が事情は深いので、もっと掘り下げられるといいなと思います。
そろそろ第二部も始まりますが、あとちょっとだけ番外編にもお付き合い下さい♪
*誤字訂正しました*
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それは麗がまだハイスクールの2年生だった頃の話。
外交官として多忙な生活を送っているため、麗の両親はめったに週末も家にはいない。だがたまたま父が珍しく家でくつろいでいるのを見かけた麗は、ノートとペンを片手に唐突に訊ねた。
「ねえパパ。パパ達の馴れ初め話を聞きたいんだけど」
新聞から顔を上げた麗と響の父、一ノ瀬 昴は、眼鏡の奥の瞳を丸く見開いてから嬉しそうにデレっと微笑むと、愛娘の会話を快く歓迎した。
「突然どうしたんだい?」
一見神経質そうにも見える昴だが、よく喋り気さくな性格をしている。そして子煩悩で愛妻家だが、忙しすぎて子供達とのコミュニケーションに飢えていた。
「フィルムの課題で先生から、身近にいる人からラブストーリーを聞いてまとめろってゆーのを出されて。全く、ロマンス映画観すぎで影響されやすすぎ」
麗は溜息交じりに肩を落とした。
選択科目で映画の授業を取っていた麗に出された課題。それは身近な人物の出会い(馴れ初め)を聞いてシーンを選び、その光景を映画にするならどう撮るかと、自分で簡単にレポートにしてまとめるものだった。必要な人数から背景、カメラの効果的な撮り方など細かく描写する必要がある。楽しそうではあるが面倒だと麗は内心でげんなりした。しかも内容は馴れ初め。親しい友人はついこの間彼氏と別れたばかりだし、他の友達は片想いだし。仕方がないので、一番身近にいる両親の話を参考にさせてもらおうと思ったのだった。
その話を聞いた昴は新聞を閉じて、嬉しそうに頷きながら麗を隣に座らせた。
「うんうん。そうか、もちろんいいよ。パパが美夜と出会ったのは、そうあれは・・・」
「ごめん。簡潔にお願い」
長くなりそうだと判断した麗はばっさりと話の腰を折った。微妙に残念そうな顔をした昴は寂しそうに微笑むと、出会いからではなくて付き合う切欠から話すことにした。
「仕方がないね。だいぶ端折るけど、男装していたママがパパの胸倉をつかんで、「男らしくさっさと僕を攫え!」と言ってパパの唇を奪ったのが結婚するきっかけかな」
昔を懐かしむような眼差しでうっとりと呟いた昴の言葉に、麗は仰天した。
その予想外の衝撃的な内容に、「もっと詳しく!」と昴に詰め寄ったのだった。
◆ ◆ ◆
昴が美夜子に出会ったのは、所属していた大学のサークルだった。大学1年の時に友人に誘われて入ったはいいが、ほとんど顔を出すことのなかったミステリー研究会にようやく参加し始めたのは、4年になってからだった。
『この世の不思議関係全般を研究する会』とえらくざっくりした活動説明を聞いて、正直やる気があるのかないのかわからなかった。メンバーは13名。なぜか一人やめても翌日には一人増え、毎年13名が定員になるようになったらしい。占いや怪しいおまじない好きな女子に、UFOオタク、そしてなぜか撮る写真が必ず心霊写真になるやつなど、個性豊かなメンバーの中で昴は明らかに浮いていた。無理やり参加させられていただけで別にこの世の不思議とやらに興味があるわけではない。やめようにも高校からの悪友がなぜかこのサークルのリーダーになっていた為、定期的に呑み会には参加していた。そして4年の時には大学最後の思い出を作るぞ!とはりきられて、半ば強制的に部室へと連行されるようになっていたのだ。
就職活動で忙しい3、4年の時には昴は海外の大学院に行く事を決意していた。必要な単位は順調に取れており、課題と空いた時間でのアルバイト、そしてたまに参加するサークル活動でこの大学生活も終わるんだろうな、と考えていた5月のある日。部室で初めて目にする生徒がいた。
(1年生、か?)
肩より短い黒髪のショートヘアに中性的な顔立ち。漆黒の瞳と静謐な雰囲気が魅力的な男子生徒だ。凛とした空気を放っており、近寄るとまるで神社の境内にいるような気持ちになる。
昴に気付いた青年は、性別を感じさせない中性的な声で近くにいた生徒に訊ねた。
「あの人は?」
「え?ああ、一ノ瀬先輩だよ。って会うの初めて?サキ」
黒魔術と書かれた怪しげな本に集中していた女子生徒が紹介した。サキと言うのか。漢字によっては男性とも女性とも取れる名前で、一般的には女性に多いが、彼の服装からして男だろう。シンプルなパーカーにジーンズはどちらも男物だった。
なぜかじっと凝視されているのに居心地が悪くなった時、悪友でこのサークルに誘った張本人である笹川が現れた。
「おー昴。お前ムラサキと会うの初めてだっけか?ムラサキ、こいつ昴な。お前と同じ4年だから」
「・・・初めまして」
どこか気品がある仕草がなぜか目についた。さり気ない動きに品がある。同じ4年生と聞いて驚いた昴だが、高校生にも見えそうな位童顔で整った容姿のサキに同じように挨拶を返した。
「こいつ高校から付き合っていた彼女に振られたばっかだから、お前ら優しくしてやってよ」
余計な事を・・・。
忌々しく舌打ちをしたいのをぐっと堪えて、笹川を睨んだ。へらっと笑う彼からは悪気が見えない。微妙にざわめき出した室内をぐるりと見渡して、昴は溜息を吐いた。
高校から付き合っていた彼女につい最近振られたのも、このサークル活動に参加するきっかけだった。彼女がいれば、時間が出来れば彼女を優先する。学業も優秀、就職活動はする必要なし。アルバイトの家庭教師もこなしてまだ時間があまった時、時間つぶしにはなるだろうとやる気のないサークルである意味よかったと思ったのだ。
意味深に見つめてくるサキの視線に鈍い昴は気付くことなく、昴はこれから合宿に強制参加させられることにげんなりと溜息をついて呻いていた。
◆ ◆ ◆
実家は京都で地元では有名な地主。一人で上京し学生の身分では到底住めないようなオートロックのマンションに一人暮らし。そして民俗学を専攻し、卒業後は地元に帰る。サキにまつわる話を昴は人伝から聞かされた。別にたずねてもいないのに、だ。
「しかも噂では許婚がいるんだってよ。すげーよなー、旧家ってのは」
学食できつねうどんを食べる笹川が在籍するメンバーを詳しく説明してくれた。どうやら2年からミス研に入っているらしい。そして呑み会はおろか合宿のイベントすら参加しない彼と接点がないのは仕方がないと思えた。飲みにはたまに参加していた自分がどうやって参加していないメンバーの顔を知りえるのだろうか。サークル以外で接点は他にないのに。
サキも地元で就職が決まっているらしい。笹川も既に就職先が決まっている。4年生はたったの4名で、最後の一人は大学院に進むらしく、就活で時間が取られる事はない。つまり、「今年の合宿は全員参加な」と笹川がニヤリと笑った。
◆ ◆ ◆
今日も視線を感じる。
自意識過剰じゃなければ、そう感じることが増えてきた。視線の主は5月に知り合ったばかりのサキで。視線を感じ振り向けばふい、と逸らされる。一体何か気に障ることでもしたのだろうか。
自分でいうのも何だが、この個性的なメンバーの中で圧倒的に地味な部類に入るだろう。笹川はあれで霊感が強いらしくいろいろ視える人間だし、他のメンバーにも所謂オタクに入る人種が多数在籍している。目立つことが好きじゃない自分が何か気付かないうちに癇に障ることをしたのだろうか。日に日に疑問だけが増えていき、次第に彼が気になり始めた。
一人で行動することが多いようだが、当然だが親しい友人もいるようで安心した。中性的な美貌は男女問わず視線を集め、地味な装いが多いが放つ空気が異彩だ。民俗学で有名な教授の一番弟子と言われる位優秀な生徒らしい。京都出身のようだが喋る言葉は標準語で訛りもみえない。身長は175cmの自分より10cmほど低くよく見ればまだ成長途中なのだろうか、筋力もあまりないように見えた。
じっ、と観察されることが増えてきて、さすがに対応に困った頃。笹川からお願いをされた。
「昴。ムラサキを次の合宿に連れて来てくれないか?」
誰が誘ってもNOと突っぱねてきたらしいが、最後の年くらい思い出を作りたいと思う笹川の気持ちもわかる。正直何故ムラサキがこのサークルに参加しているのかわからないが、行きたくないのに無理やり行かせるのもどうかと思った。
(まあ、訊くくらいなら別にいっか・・・)
ダメ元で訊いてもなお行きたがらないなら、仕方がない。笹川のためを思い、部室で静かに読書をしていたサキに近付いて訊ねてみた。
そして意外にも、返事は即答でYesだった。
(・・・いいのか?お前散々嫌がってたんじゃねーのか)
念の為訊きなおしてみたが、やはり即答だった。これなら自分が訊かなくても、笹川が直接言えばよかったんじゃないか。きっと直接行くと返事をもらえたほうが嬉しいだろう。
そして夏休みに入った合宿先は、メンバーの一人の遠縁が経営しているという旅館に泊まった。近くには海があり、自然が多く夜空がキレイな絶好のデートスポットでもあったが、同時にやはりミス研の定番というか。この旅館は出ると噂で地元では有名で、森の奥に迷い込めば同じ所をぐるぐると永遠に彷徨う羽目になるそうで。そんな情報を入手したメンバーは、出るという噂をなくしてくれれば無料で泊まっていいと言われ、不思議大好きな暇な大学生13名は遠慮なくお邪魔することにした。正直言って、出ると言われて来たいと思う方がおかしいのではないか。
夏でも露出の少ない服装のサキをちらりと盗み見た。旅館に入った瞬間、笹川の顔とサキの顔色に若干の変化が起こるが、昴が気付くことはなかった。
何事もなく1日目が終了し、部屋で寝るときになってからサキの姿が見えないことに気付く。男女13名だが既に家族化しているミス研メンバーは、大部屋で男女混ざって雑魚寝でも構わないそうだ。女子がいいと言うなら男子が異議を唱える必要もないので、即刻受け入れた。
旅館の裏手には丘があり、丘の下には砂浜が見える。夜の海風が潮の匂いを運んできた。波の音を聞きながら人影を捜して歩くと、仰向けに寝て夜空を眺めるサキを見つけた。
「ここにいたのか」
がばりと起き上がったサキは心底驚いた顔をして昴を見つめた。一瞬驚かせたか?と怪訝になるが、昴は気にせず隣に腰を下ろして仰向けに寝そべる。成るほど、確かに星がきれいだと感想を抱いた。
「あいつらもう寝ちゃったが、お前は行かないのか?」
渋い顔をしたサキは少しハスキーがかった声で一言「断る」と告げた。
「あそこで寝れば十中八九金縛りに遭ってうなされる。それならここで星空でも眺めて横になる方がまだいい」
自分は何も感じないが、サキは何かわかるのだろうか。笹川もそういえばどことなく顔色が悪かった気がする。昴はサキの顔を覗きこんだ。
「お前は具合悪くないのか?」
「僕は平気だ。自分の身くらい自分で守れる。明日原因を探って、無理そうだったら知り合いの霊能者に頼むから問題ないだろう。今日一日なんとかなればいいし、森の奥は磁場が狂ってるから近寄らなければいいだけだ」
淡々と語るサキの声に恐れは見えない。思えばこうやって普通に長く会話しているのは初めてかもしれないと昴は思った。
「なあ、訊いてもいいか?」
「何だ」
「お前俺のこと良く見てるよな。何でなんだ?」
気付かれていないと思っていたのか、サキが驚いた。そして眉を顰めて苦々しげに訊ねた。
「嫌か?僕に見られるのは」
起き上がった彼が真っ直ぐに昴の瞳と焦点を合わせてきて、昴の鼓動が僅かに早まった。見つめられていると何故だか心の奥底まで覗かれている気分になる。だが不思議と不快感はなかった。全てを知っているかのような鋭く強い眼差し。その瞳にまるで吸い込まれそうになる。
たっぷり時間をかけて、昴は「別に」とそっけなく答えた。
翌日案の定、11名中9名が金縛りに遭うというある意味予想通りの結果に終わった。笹川は人一倍疲れきった顔をしていたが、どうやらそこそこ大変な目に遭ったらしい。1日でげっそりとこけていた。霊感もないし何も感じない昴にはにわかに信じがたい現象だが、世の中には不思議なこともあるのだろう。心の中では被害に遭ったメンバーに労わりの言葉をかけた。
予定を大幅に縮めて2泊3日で帰った後。
サキの言う知り合いの霊能者が颯爽と現れ全てを祓ってくれたと感謝を綴った手紙が後に届いた。
◆ ◆ ◆
夏が終わってからサキと喋る機会が増えた。
そして冬に近付く頃には、昴は己の不調に気付き始める。
(何でこいつが傍にいると妙にそわそわするんだ、俺は・・・)
鼓動が早いし心臓が高鳴る。ふいに見せるサキの物憂げな顔や、時折女性と見紛うほどの色気を感じ、内心で動揺を隠せないでいた。
ありえない、そんな馬鹿な。
確実に惹かれ始めていることに、昴は狼狽した。いくら長年付き合っていた彼女と別れたからって、同性に惹かれるはずがない。自分は男が好きなはずではないのだから。
(元カノに振られたショックで同性に惹かれるなんて事、あるはずがない・・・!)
きっと恐らく、ただ気になるだけだ。周りと微妙に壁を作る彼が気になり、それは友人としての感情で、恋だの愛だのとはかけ離れた感情。それ以外で説明がつかない。
(少し距離を置くか・・・?)
自分の体調の変化に戸惑いながら、昴は暫くサキに近付くのをやめた。
◆ ◆ ◆
卒業式の3日前。
サキが初めてサークルの呑み会に参加した。そのことに他のメンバーは大いに盛り上がった。ムードメーカーの笹川は特にサキが初めて呑み会に姿を現したことに喜んだ。
卒業間近で皆気が緩んでいるのだろう。早速潰れてしまったメンバーを横目で見やりながらあまっているビールを飲んでいると、少し顔を赤らめたサキが隣に腰を下ろした。久しぶりに見る彼は酒の所為か頬が赤らんで、滲み出るような色香が漂っていた。昴は目線を合わせないように顔を俯けた。
「君は留学すると聞いた」
唐突に話しかけたサキに昴は驚く。いつそんな話を聞いたのだ。
「ああ、向こうで大学院に進むつもりだ。まあ、帰ってきたら国家公務員の試験を受けるつもりだけど」
大学に入る前から漠然と外交官という職業に興味を持っていた。今でもその気持ちはかわらず、必要な授業はちゃんと出て単位をとり、海外で留学を経験してから試験を受ける。留学中にもしかしたら方向性が変わるかもしれない。先のことなどまだわからないのだから。
「お前は確か地元に戻るんだっけ?」
昴の言葉にサキはぴくりと反応した。いつも大人びた表情だったのが、今では素直に感情を顔に出している。これもお酒の力か。
「ああ、僕は京都に戻る」
その声はどこか硬く、あまり嬉しそうに感じなかった。
「ふーん、実家に戻ってどうするんだ?確か就職先が決まっているんだったか」
「ある意味永久就職だな」
は?と昴は訝しむ顔で反応した。何だその永久就職とは。
「大学を卒業したら許婚と結婚することが決まっている」
そう告げたサキの顔は結婚が決まって喜ぶ幸せな表情とはかけ離れた、苦しそうな顔だった。
「嫌なのか?その相手のことが」
結婚したら、地元に帰ったら、自分が海外に行ったら。もうこんな風に酒を飲みながら話すことも出来ないのかと思ったら、ついいつもなら踏み入れない領域にまで足を突っ込んでしまった。自分が彼に惹かれているのは確かだと自覚はあった。だが彼は男で、許婚がいて、結婚するのだ。それなのにそんな嫌そうな顔で迷いを見せられたら。抑えていた物が飛び出そうになる。
昴は気付かれないように深く息を吐いた。友達として、同じサークルの仲間として、最後は祝ってあげるべき立場なのだ。
「相手は従兄のようなものだ。幼い頃から知っている。別に嫌いなわけじゃないが、異性として好きかと問われれば疑問が浮かぶな。相手は別に僕のことが好きなわけじゃないし」
「は?お前好きじゃない従兄と結婚・・・って、待て。従兄?」
何かが頭に引っかかった。
微妙に気付き始めていたが気付かぬフリをしていたのかもしれない。たまに感じた違和感。それがつかめそうな気配を感じた。
苛立った様子のサキが手に持っていた缶ビールを潰した。
「お前は、僕が好きでもない男と結婚してもいいのか?」
ゆらりと立ち上がったサキが隣に座る昴の胸倉を掴むと、間近で目線を合わせた。その距離は鼻が触れそうなほど近い。
「え、は?ちょっと待て!お前が結婚する相手って・・・」
男といわなかったか!?
困惑気味な昴は動かない頭で必死に考える。目の前に立って胸倉を掴んでいるのはサキだ。だが、間近で視線を合わせる人物の顔はどう見ても・・・
霞が晴れた瞬間、昴は目を見開いた。
何故今まで気付かなかった。
ようやく誤解が解けてもまだ動こうとしない昴に業を煮やしたサキは、盛大に舌打ちをした。
「お前がずっと僕のことを男だと思っていたのは知っている。ムラサキと言うのが僕のあだ名じゃなくて名前だと思っていたのも。だけどな、よーく聞け。僕の名前は美しい夜の子で、美夜子だ!本名は古紫美夜子。体も心も僕は女だ!」
唖然としてサキもとい美夜子の名前を呼ぶと、若干彼女は頬を染めた。そして昴のシャツをぐいっと自分の方へと引っ張る。
「僕が欲しいんだろ?望み通りくれてやる。だから、男らしくさっさと僕を攫え!」
他のメンバーが全員酔いつぶれた部室で、美夜子は昴の唇を奪った。
◆ ◆ ◆
「―――そして次の日にさっさと市役所に行ってね、婚姻届出してきたんだ。卒業式が終わると同時に僕は美夜を連れて留学先に行っちゃって。いや~あの時は若かったから出来たんだよね。今考えてもすごい行動力だと思うよ。結局親の同意を得ずに駆け落ちした事になったから」
若かりし頃の父の写真を後で母から見せてもらおう。麗は思わずそう思った。
簡潔にと言ったのに、既に1時間が経過している。思い出話は長い。
実質交際期間がないまま結婚したような物だ。そのことに気付いた麗は、この父が実は男らしい決断力の持ち主だと言う事に初めて気付いたという顔をした。こう見えてやる時はやるのだ。
(いや、やったのはママの方か・・・)
是非母にも理由を聞かなければ。
男装していた理由や許婚の話、そして何故選んだのが父だったのか。
未だに喋り続ける父から意識を逸らして、麗は母の帰りを待った。
************************************************
長くなりそうだったので端折ったんですが・・・伝わりにくいかも><
すみません!
でも次回は美夜子視点です。彼女の方が事情は深いので、もっと掘り下げられるといいなと思います。
そろそろ第二部も始まりますが、あとちょっとだけ番外編にもお付き合い下さい♪
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