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番外編
とある夫婦の馴れ初め話2.
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麗母、美夜子視点です。
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高校の卒業を同時に結婚が決まっていた。
中学までは家庭教師に勉強を教わり、高校からようやく学校という物に通えることが出来た。それまで美夜子を取り巻くのは、家族と屋敷で働く者以外だと自分に相談しに来る壮齢な年代の男ばかり。"先読みの巫女"。それが美夜子に与えられたもう一つの名だった。
艶やかに輝く漆黒の髪と白磁のような白い肌。切れ長な二重の双眸は神秘的で、日本人形のような美しさが備わっていた。過保護な兄2人に囲まれて育った美夜子だが、それなりに友人も出来て楽しい高校生活を謳歌した。なぜか女子生徒から慕われる事が多く、密かにファンクラブがあったことを本人だけは知らなかったが。
本来なら卒業した後許婚と結婚し、当主となって相談しに来る依頼人を助ける人生が待っているのだろう。けれど美夜子はもっと外へ出てみたいと思った。修学旅行以外で外を見たことがなかったのだ。
そして無理を押し通して上京し念願の一人暮らしを叶えることが出来た。過保護な兄達が突きつけた条件を守ると約束して。
『住む所はこちらで決める。門限は9時だ。不純異性交遊は勿論禁止。それと、大学には男を装って通え』
それが守れるなら、4年間は好きにしていい。
そう告げられたのは高校3年生の時。そして高校を卒業して着なれた制服を脱いだ後。美夜子は腰まであった漆黒の髪をばっさりと切った。
◆ ◆ ◆
初めて家から解放された美夜子は男装してキャンパスライフを送っていた。一人称を「私」から「僕」に変え口調も気をつけた。髪は短くショートカット。元々中性的な顔立ちをしていた美夜子は美しく着飾らなくても人目を惹く容姿をしていたが、男物の衣服を身につければあまり違和感を感じることもなく周囲に溶け込むことが出来た。
専攻は民俗学。大抵の知識は幼い頃から培っていたし、実家に戻れば相当な資料が揃っている為大学で学ぶより資料は豊富だろう。だが外でしか得られない情報もたくさんある。実際に生の声で受ける授業は興味深く、美夜子は熱心で優秀な生徒の一人に早くも数えられるようになっていた。
2年生の時、親しくなった教授の薦めで入ったのがミステリー研究会、略してミス研だった。不思議全般を調べて追求するサークルらしいが、入った瞬間成るほどと思った。やる気があるのかないのかわからないゆるい活動内容だったが、集まるメンバーはそこそこ個性的と言えた。霊感の強い者、占いを好む者、UFO好きな者。確かに笹川と言う名の男は強い霊感を持っているし、UFO好きな男からは地球人以外の血が混ざっている気配を感じた。かなり薄く本人は気付いていないだろうが。そして占い好きな女生徒の後ろには同じく占い師のような格好をした守護霊が見えた。
当代随一と謳われた美夜子は先読みの力以外にも目には見えない不思議を感じ取る力が備わっていた。通常の眼では見えない何か。初対面の人物でも相手の過去から未来を視る事が出来、その力を頼って幼い頃から相談を持ちかけられてきた。主に大企業の会長や政財界の者が大半だったが。
視ようとしなければ視える事はない。だがふいに意識せずとも視せられる光景は彼等の未来と言える物で。力を制御していれば生活に支障はないが、それでも気は抜けない。常に気を張った状態で大勢人間がいる場所で学業をする難しさを高校で学んだ。人と深く関わる事を避けていたが、このサークルメンバーは、どこか一般の人間と一歩ずれた場所にいる者が大半だった。少しだけ自分寄りの人間。一族以外でそんな人間に囲まれるのも悪くはない。大学で少し気が抜ける自分の居場所を作るのもいいかもしれない。美夜子は紹介してくれた教授に内心で感謝した。
メンバーからムラサキと呼ばれるようになった。女生徒からはサキ。本名に興味がないのか、古紫と名乗っただけで『じゃー長いからムラサキな。それかサキ』とあっさりとあだ名が決まってしまった。もしかしたらコムラサキがフルネームだと思われたのかもしれない。古村サキ、こんな具合に。
男装はしているが性別を隠し通せと無茶は言われていない。だが面倒事を避ける為にはフルネームを伝えないのはある意味好都合だった。美夜子はその提案に頷いた。
そして大学4年に進級した5月。部室に見かけない青年が入ってきた。
黒髪に黒いフレームの眼鏡をかけた冴えない男子。身長はそこそこ高く175cmは超えているだろう。見るからに文系といえるような男子生徒は見た目は地味だが、よく見ればそこそこ整った容姿をしていた。
「あの人は?」
「え?ああ、一ノ瀬先輩だよ。って会うの初めて?サキ」
黒魔術の本を愛読する1学年後輩の女の子が説明をしてくれた。一ノ瀬"先輩"。見たところ院生ではなさそうだし、自分と同学年で恐らく同い年か。
しかし何か気になる。
美夜子はじっと紹介された昴を凝視していた。地味で冴えない眼鏡の男子生徒。どこにでもいそうなのに、どこかが違う。
(・・・あれ?この人、視えない・・・?)
微かに違いを感じた直後。リーダーの笹川が昴に話しかけた。
「おー昴。お前ムラサキと会うの初めてだっけか?ムラサキ、こいつ昴な。お前と同じ4年だから」
「・・・初めまして」
いつもより低めの声を意識して一言挨拶すれば、同じように挨拶を返してくれた。高校から付き合っていた彼女に振られたばっかりだとちょっと残念な紹介をされた後も、美夜子はなぜか昴から視線を外すことができずにいた。
◆ ◆ ◆
学食で、図書館で、部室で。美夜子はキャンパスを歩いて昴を見つけると、離れた場所からじっと観察を続けた。
(やっぱり、視えない)
何も視えない、感じない。こんなことは身内以外では初めてだった。
一族の者でも特に血が濃く身近な存在の兄や両親の先を読むことは出来なかった。だが他人で血の繋がりのない人物の過去はおろか未来も読めない人間に出会ったのは初めてだ。
(何で?何もわからない、視えない。あの男は一体何者?)
時折自分の視線に気付くのか、きょろきょろと視線の先を探している。鈍そうで鋭い。たまに目線があったが、すぐに逸らしてしまった。何となく正面から顔をあわせるのは落ち着かない。こんなことは今までなかったのに。
もっと調べてみなくては。
わからないのならもっと親しい関係にまでもっていき、一ノ瀬昴が何者かこの目で確かめればいい。ただの人間か、自分が知らない何か特殊能力を持った人間か。平凡で地味な男子生徒に見えるが本質は違うのかもしれない。
そんな時、思いがけず昴の方から接近された。
「サキは夏の合宿に参加しないのか?」
初めて名前を呼ばれ美夜子は小さく驚いた後、考え込んだ。
合宿や旅行などに参加した事はない。呑み会も遅くなるからNGだった。合宿では男女別の部屋に泊まるだろうし、性別を今更暴露するのも面倒な話だ。呑み会になると9時の門限を守れなくなる。離れて暮らしてるのだし条件を守れなくてもバレル事はないなんて思えるほど楽天的ではない。何せ定期的に一族の者が"眼"を送ってくるし、兄達の監視も厳しい。一つでも約束を破ってそれがバレたら、強制的に実家戻りになるだろう。
姿は見えなくてもごくたまに視られている気配を感じる。だから滅多な事はできないのだ。
だが、合宿に参加するなとは言われていない。旅行に行くのもいけないとも。大勢で行く旅行なのだから不純異性交遊にもならないだろう。
美夜子は数秒考えた後、すぐに参加すると答えた。その答えが予想外だったのか、昴は再び確認してきたが、今度こそ即答で行くと告げた。
もっと接点を持って近くにいれば、何故昴が気になるのかわかるかもしれない。どうして彼の先が読めないのかも。
そして初めて参加した合宿先は海もあり森もあり、自然がいっぱいでキレイな場所なのに。泊まった旅館はすごかった。
入った瞬間から空気が違う。ちらりと笹川を見れば、自分と同じく顔を引きつらせていた。おぞましい怨念が案内された部屋の隣から感じた。女の恨みで部屋の空気が澱んで重い。これはあまり嬉しくない状況だ。
霊的な物は感じるし視えるけど、払える力があるわけではない。自分の身くらい自分で守ることは出来ても、他人を守ることまではできないのだ。なるべく旅館にはいないように心がけて、外の自然を満喫する事にした。
就寝時。ミス研メンバーとして、不調を感じながら根性と気合で旅館に泊まる笹川を含めたメンバーを心配しつつも、自分は辞退することにした。あのままあの部屋に泊まると100%嬉しくないことが起きる。もし明日大変なことになったら、その時はちゃんとした知り合いの霊能者を呼んでお払いをしてもらえばいい。
美夜子は外の丘で星を眺めて夜を越すつもりだった。満点の星空は神秘的な輝きを放ち、心が落ち着いてくるのを感じていた。美しい夜。そして自分の美しい夜の子と言う名の通り、昼間より夜が似合うとよく言われていたのを思い出した。
ふいに人が近付く気配を感じた。ぴくりと緊張をすると、昴が捜しに来たらしい。
「ここにいたのか」
隣に腰を下ろした昴は美夜子に、「あいつらもう寝ちゃったが、お前は行かないのか?」と訊ねた。
何故隣に座ると思いながらも、美夜子はどこか落ち着かない心のまま答えた。
「あそこで寝れば十中八九金縛りに遭ってうなされる。それならここで星空でも眺めて横になる方がまだいい」
何故そんなことがわかる?と言いたげな瞳で見つめてくるのを視線に端から感じ取り、そのまま美夜子は知り合いの霊能者にお払いを頼むと伝えた。
そして納得した昴がずっと思っていた疑問を投げつけた。
「お前俺のこと良く見てるよな。何でなんだ?」
ぎくり、とした。今ここで訊いて来るのか!
もし不快な思いをしていたら潔く謝ろう。そう思っていたが、昴から返って来た言葉はそっけない「別に」の一言で。嫌われているわけではないとわかった美夜子はなぜか安堵した。そして思いがけず2人きりの時間を共有できた居心地の良さに、美夜子は小さく微笑んだ。
◆ ◆ ◆
季節が変わり昴との接点も増える中で、彼が自分に惹かれ始めているとわかるようになった。それはまだ自覚していない気持ち程度のものだろうが、不思議と嫌な気持ちにはならない。貴重な視えない相手。昴の隣でいる自分はただの人間になれた気分になり、緊張が解れて心が落ち着く。
昴は知らない。自分が女で、先読みの巫女と呼ばれて、許婚がいることを。この特殊な家庭環境と複雑な事情を何も知らない。例え力を知られても、視えない自分を利用するつもりはないだろう。
次第に昴と過ごす時間が増えて、美夜子も笑うことが増えていった。狭い交友関係で築かれた数少ない大切な友人の一人だったのが、いつの間にか特別に変わっていった。その特別がどういう意味の特別かを知るのは、あまり時間がかからなかった。
『美夜子様』
ふいに聞こえてくる男の声は自分にしか届かない。外のベンチに腰掛けた自分の周りには人の気配はおろか、近くに他の生徒すら見当たらなかった。美夜子はテキストに視線を落としたまま、男の声に耳を傾けた。
『あまりお戯れが過ぎるようですと報告させていただきますよ』
忠告のような静かな声音が頭に響いた。誰にとは言わずともわかっている。兄達と当主である母、そして許婚として自分を待っている男に。美夜子は表情を変えずに小さく独り言のように呟いた。
「戯れとは何がだ。僕はただ友人と親しくしているだけだが?」
交友関係にまで口を出されるのはさすがに鬱陶しい。不機嫌なオーラを醸し出しても、男の声は変わらず平坦だった。
『貴方様が立場をお忘れでないと確認をしたまでです。一人の青年と仲睦まじい様子を報告する義務も私にはありますので』
「影はお前一人か?」
『今は、私が務めていますが』
定期的に眼を飛ばすだけでなく、陰から様子を見に来る一族の男。決して自分に接近することはなかったのに、珍しいこともあるものだ。もしくは良心が疼いたのかもしれない。上に報告する前に確認をとるなど、今回の影はどうやら甘い。
だがその甘さはきっと男の中にも疑問が芽吹いているからだろう。このまま外を見せず意のままに閉じ込めて一族を率いる長になるのか。見聞を広め学生らしく友好を深めて狭い選択肢から最良な道を選べるのか。決められた道を箱入り娘同然のまま渡り、意思のない当主が一族を守れるとは思えない。きっと男の中で迷いが生まれている、そう美夜子は感じ、小さく口角を上げた。
「なら黙りなさい。お前が口を閉じていればいいだけの話。私は私のしたいようにさせてもらう」
久しぶりに昔の口調に戻った。男はそれでも躊躇いがちに話しかける。
『美夜子様はあの青年に惹かれている様子ですが、要様とのご縁談を控えているのをお忘れなきよう』
許婚の名前を出され、美夜子は小さく眉を顰めた。
古紫 要。一番上の兄より1歳上の男は自分の従兄にあたる。強い読心術の力を持つ要は嫌いではないが、お互い異性として想うことは出来ないと既に気付いていた。自分達は似ているのだ。先を読める自分と、心を読める要。似ている者同士支えあう事も出来るだろうが、夫婦にはなりえない。そしてずっと昔に要の未来を読んだ美夜子は知っていた。彼に心から想い合う相手が出来ることを。それが自分ではない事も。
「縁談、か。お前はそれでいいと思うのか?力が強く血が濃い者同士が結婚などをしたら、遺伝子疾患のある子供が生まれる可能性だって高くなるのだぞ。既に生まれつき体に問題がある者だって少なくはない。近親婚を繰り返せばそうなるのは避けられないこと。力を子孫に残すために外からの血を取り入れず、同じことを繰り返せば古紫がどうなるか・・・・・・懸念に思ったことはあるようだな」
男が黙ったのを肯定と受け取った。美夜子は更に念を押す。
「少しでも一族の未来を思うのなら、兄様達に私の事は普段どおりとだけ伝えなさい」
数秒沈黙した後、影の男は気配を消した。
◆ ◆ ◆
自分に惹かれているのに一歩を踏み出そうとしない昴に、次第に苛立ちが募ってきた。
そして卒業式の3日前。初めて呑み会に参加した美夜子は、覚悟を決めた。
昴がもし自分の手をとってくれるなら。その度胸と覚悟を示してくれるのなら。どこまでだってついて行くと。
地元に帰る自分と違い、昴は海外に留学すると言う。将来的には外交官になりたいらしい。世界を知らない美夜子はその言葉に眩しさを感じた。いろんな国に赴き交流を深め、日本を代表する人物になる。自分には叶えることが許されない夢だ。
羨ましい。
外の世界を知った美夜子は昴の言葉を聞いて、自分のこれからを話すのが苦しくなった。
「大学を卒業したら許婚と結婚することが決まっている」
そう告げた後、昴の顔を直視できず思わず俯いた。
「嫌なのか?その相手のことが」
昴の戸惑いを見せた表情に、美夜子の胸がずきんと痛んだ。
「相手は従兄のようなものだ。幼い頃から知っている。別に嫌いなわけじゃないが、異性として好きかと問われれば疑問が浮かぶな。相手は別に僕のことが好きなわけじゃないし」
「は?お前好きじゃない従兄と結婚・・・って、待て。従兄?」
数秒考え込んだ昴は、まさかと言う顔で美夜子の顔を覗いた。
(ようやく気付いたか、ボケが)
ずっと騙していたのは事実だが、いくらなんでも気付かなすぎだ。昴の鈍さに思わず美夜子は舌打ちをした。
唖然として固まる昴に最終手段を使う。これで気持ちが得られなかったらそこまでだ。後悔なんてしたくはない。だから少々強引で手荒でも、美夜子は想いを伝える事を選んだ。
「お前がずっと僕のことを男だと思っていたのは知っている。ムラサキと言うのが僕のあだ名じゃなくて名前だと思っていたのも。だけどな、よーく聞け。僕の名前は美しい夜の子で、美夜子だ!本名は古紫美夜子。体も心も僕は女だ!」
困惑した顔で、昴は小さく「美夜子?」と呟いた。不覚にも名前を呼ばれて頬が赤くなる。もうどうにでもなれ、だ。
乱暴にぐいっと昴の胸元のシャツを自分に寄せた美夜子は、正面から視線を合わせたまま言い放った。
「僕が欲しいんだろ?望み通りくれてやる。だから、男らしくさっさと僕を攫え!」
そして生まれて初めて自分から男に口付けた。
◆ ◆ ◆
何年経っても、あの時の行動力と昴の驚愕した表情は未だに忘れられないと美夜子は艶然と微笑んだ。
「―――な~かなか煮え切らなくってね。信じられる?卒業式の3日前よ、3日!私が好きなら性別なんて気にせず告白してくればいいのに、私もよくあそこまで我慢したわ」
くすくすと笑いながら話す美夜子に、麗は内心で「いや、性別はやっぱり気にするんじゃ・・・」と呟いた。父の苦悩が目に浮かぶ。それは傍から見たら少々面白いかもしれないが。
「でもその後の行動力は素早かったわね。まさか勢いで婚姻届まで出しちゃうとは思わなかったし。私もその後一緒に海外留学しちゃったしね」
「ねえ、おばあちゃん達に怒られなかったの?」
麗は疑問に思っていたことを尋ねた。そこまで過保護な伯父達なら、海外にまで追いかけてきそうだ。
「まあ、行っちゃったもん勝ち?散々怒られたけどね、留学するって手紙は送ったし。でも日本に戻ってきて麗を出産するまで会わなかったけど。孫が生まれてからようやく母様も仲を認めてくれたのよ」
「そっかー。でも要おじさんは結局どうなったの?」
許婚だったはずだが、逃げられた後はどうなったのか。
「要は要で、付き合っている女性がいたのよ。今の奥さんだけど。それを知ってたから私も存分に裏切ることが出来たんだけどね」
それはお互いにとってよかったと麗は安堵の息を吐いた。もし要おじさんがずっと母を想っていたら、それはそれで悲劇だ。
「ねえ、今でもパパのこと何も視えない?」
麗の問いに美夜子は微笑んだ。
「先のことが分かったらつまらないものよ?」
好きな人との未来は見えなくていい。そう告げた母の言葉に麗は納得して握っていたペンを走らせたのだ。
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麗の鈍さは恐らく昴からでしょうか。
美夜子は箱入りのお嬢様だけど行動的で、怒ると昴も頭が上がらない、そんな逞しいお母さんになっています。ちなみにあれが美夜子のファーストキスではないと思います(笑)
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高校の卒業を同時に結婚が決まっていた。
中学までは家庭教師に勉強を教わり、高校からようやく学校という物に通えることが出来た。それまで美夜子を取り巻くのは、家族と屋敷で働く者以外だと自分に相談しに来る壮齢な年代の男ばかり。"先読みの巫女"。それが美夜子に与えられたもう一つの名だった。
艶やかに輝く漆黒の髪と白磁のような白い肌。切れ長な二重の双眸は神秘的で、日本人形のような美しさが備わっていた。過保護な兄2人に囲まれて育った美夜子だが、それなりに友人も出来て楽しい高校生活を謳歌した。なぜか女子生徒から慕われる事が多く、密かにファンクラブがあったことを本人だけは知らなかったが。
本来なら卒業した後許婚と結婚し、当主となって相談しに来る依頼人を助ける人生が待っているのだろう。けれど美夜子はもっと外へ出てみたいと思った。修学旅行以外で外を見たことがなかったのだ。
そして無理を押し通して上京し念願の一人暮らしを叶えることが出来た。過保護な兄達が突きつけた条件を守ると約束して。
『住む所はこちらで決める。門限は9時だ。不純異性交遊は勿論禁止。それと、大学には男を装って通え』
それが守れるなら、4年間は好きにしていい。
そう告げられたのは高校3年生の時。そして高校を卒業して着なれた制服を脱いだ後。美夜子は腰まであった漆黒の髪をばっさりと切った。
◆ ◆ ◆
初めて家から解放された美夜子は男装してキャンパスライフを送っていた。一人称を「私」から「僕」に変え口調も気をつけた。髪は短くショートカット。元々中性的な顔立ちをしていた美夜子は美しく着飾らなくても人目を惹く容姿をしていたが、男物の衣服を身につければあまり違和感を感じることもなく周囲に溶け込むことが出来た。
専攻は民俗学。大抵の知識は幼い頃から培っていたし、実家に戻れば相当な資料が揃っている為大学で学ぶより資料は豊富だろう。だが外でしか得られない情報もたくさんある。実際に生の声で受ける授業は興味深く、美夜子は熱心で優秀な生徒の一人に早くも数えられるようになっていた。
2年生の時、親しくなった教授の薦めで入ったのがミステリー研究会、略してミス研だった。不思議全般を調べて追求するサークルらしいが、入った瞬間成るほどと思った。やる気があるのかないのかわからないゆるい活動内容だったが、集まるメンバーはそこそこ個性的と言えた。霊感の強い者、占いを好む者、UFO好きな者。確かに笹川と言う名の男は強い霊感を持っているし、UFO好きな男からは地球人以外の血が混ざっている気配を感じた。かなり薄く本人は気付いていないだろうが。そして占い好きな女生徒の後ろには同じく占い師のような格好をした守護霊が見えた。
当代随一と謳われた美夜子は先読みの力以外にも目には見えない不思議を感じ取る力が備わっていた。通常の眼では見えない何か。初対面の人物でも相手の過去から未来を視る事が出来、その力を頼って幼い頃から相談を持ちかけられてきた。主に大企業の会長や政財界の者が大半だったが。
視ようとしなければ視える事はない。だがふいに意識せずとも視せられる光景は彼等の未来と言える物で。力を制御していれば生活に支障はないが、それでも気は抜けない。常に気を張った状態で大勢人間がいる場所で学業をする難しさを高校で学んだ。人と深く関わる事を避けていたが、このサークルメンバーは、どこか一般の人間と一歩ずれた場所にいる者が大半だった。少しだけ自分寄りの人間。一族以外でそんな人間に囲まれるのも悪くはない。大学で少し気が抜ける自分の居場所を作るのもいいかもしれない。美夜子は紹介してくれた教授に内心で感謝した。
メンバーからムラサキと呼ばれるようになった。女生徒からはサキ。本名に興味がないのか、古紫と名乗っただけで『じゃー長いからムラサキな。それかサキ』とあっさりとあだ名が決まってしまった。もしかしたらコムラサキがフルネームだと思われたのかもしれない。古村サキ、こんな具合に。
男装はしているが性別を隠し通せと無茶は言われていない。だが面倒事を避ける為にはフルネームを伝えないのはある意味好都合だった。美夜子はその提案に頷いた。
そして大学4年に進級した5月。部室に見かけない青年が入ってきた。
黒髪に黒いフレームの眼鏡をかけた冴えない男子。身長はそこそこ高く175cmは超えているだろう。見るからに文系といえるような男子生徒は見た目は地味だが、よく見ればそこそこ整った容姿をしていた。
「あの人は?」
「え?ああ、一ノ瀬先輩だよ。って会うの初めて?サキ」
黒魔術の本を愛読する1学年後輩の女の子が説明をしてくれた。一ノ瀬"先輩"。見たところ院生ではなさそうだし、自分と同学年で恐らく同い年か。
しかし何か気になる。
美夜子はじっと紹介された昴を凝視していた。地味で冴えない眼鏡の男子生徒。どこにでもいそうなのに、どこかが違う。
(・・・あれ?この人、視えない・・・?)
微かに違いを感じた直後。リーダーの笹川が昴に話しかけた。
「おー昴。お前ムラサキと会うの初めてだっけか?ムラサキ、こいつ昴な。お前と同じ4年だから」
「・・・初めまして」
いつもより低めの声を意識して一言挨拶すれば、同じように挨拶を返してくれた。高校から付き合っていた彼女に振られたばっかりだとちょっと残念な紹介をされた後も、美夜子はなぜか昴から視線を外すことができずにいた。
◆ ◆ ◆
学食で、図書館で、部室で。美夜子はキャンパスを歩いて昴を見つけると、離れた場所からじっと観察を続けた。
(やっぱり、視えない)
何も視えない、感じない。こんなことは身内以外では初めてだった。
一族の者でも特に血が濃く身近な存在の兄や両親の先を読むことは出来なかった。だが他人で血の繋がりのない人物の過去はおろか未来も読めない人間に出会ったのは初めてだ。
(何で?何もわからない、視えない。あの男は一体何者?)
時折自分の視線に気付くのか、きょろきょろと視線の先を探している。鈍そうで鋭い。たまに目線があったが、すぐに逸らしてしまった。何となく正面から顔をあわせるのは落ち着かない。こんなことは今までなかったのに。
もっと調べてみなくては。
わからないのならもっと親しい関係にまでもっていき、一ノ瀬昴が何者かこの目で確かめればいい。ただの人間か、自分が知らない何か特殊能力を持った人間か。平凡で地味な男子生徒に見えるが本質は違うのかもしれない。
そんな時、思いがけず昴の方から接近された。
「サキは夏の合宿に参加しないのか?」
初めて名前を呼ばれ美夜子は小さく驚いた後、考え込んだ。
合宿や旅行などに参加した事はない。呑み会も遅くなるからNGだった。合宿では男女別の部屋に泊まるだろうし、性別を今更暴露するのも面倒な話だ。呑み会になると9時の門限を守れなくなる。離れて暮らしてるのだし条件を守れなくてもバレル事はないなんて思えるほど楽天的ではない。何せ定期的に一族の者が"眼"を送ってくるし、兄達の監視も厳しい。一つでも約束を破ってそれがバレたら、強制的に実家戻りになるだろう。
姿は見えなくてもごくたまに視られている気配を感じる。だから滅多な事はできないのだ。
だが、合宿に参加するなとは言われていない。旅行に行くのもいけないとも。大勢で行く旅行なのだから不純異性交遊にもならないだろう。
美夜子は数秒考えた後、すぐに参加すると答えた。その答えが予想外だったのか、昴は再び確認してきたが、今度こそ即答で行くと告げた。
もっと接点を持って近くにいれば、何故昴が気になるのかわかるかもしれない。どうして彼の先が読めないのかも。
そして初めて参加した合宿先は海もあり森もあり、自然がいっぱいでキレイな場所なのに。泊まった旅館はすごかった。
入った瞬間から空気が違う。ちらりと笹川を見れば、自分と同じく顔を引きつらせていた。おぞましい怨念が案内された部屋の隣から感じた。女の恨みで部屋の空気が澱んで重い。これはあまり嬉しくない状況だ。
霊的な物は感じるし視えるけど、払える力があるわけではない。自分の身くらい自分で守ることは出来ても、他人を守ることまではできないのだ。なるべく旅館にはいないように心がけて、外の自然を満喫する事にした。
就寝時。ミス研メンバーとして、不調を感じながら根性と気合で旅館に泊まる笹川を含めたメンバーを心配しつつも、自分は辞退することにした。あのままあの部屋に泊まると100%嬉しくないことが起きる。もし明日大変なことになったら、その時はちゃんとした知り合いの霊能者を呼んでお払いをしてもらえばいい。
美夜子は外の丘で星を眺めて夜を越すつもりだった。満点の星空は神秘的な輝きを放ち、心が落ち着いてくるのを感じていた。美しい夜。そして自分の美しい夜の子と言う名の通り、昼間より夜が似合うとよく言われていたのを思い出した。
ふいに人が近付く気配を感じた。ぴくりと緊張をすると、昴が捜しに来たらしい。
「ここにいたのか」
隣に腰を下ろした昴は美夜子に、「あいつらもう寝ちゃったが、お前は行かないのか?」と訊ねた。
何故隣に座ると思いながらも、美夜子はどこか落ち着かない心のまま答えた。
「あそこで寝れば十中八九金縛りに遭ってうなされる。それならここで星空でも眺めて横になる方がまだいい」
何故そんなことがわかる?と言いたげな瞳で見つめてくるのを視線に端から感じ取り、そのまま美夜子は知り合いの霊能者にお払いを頼むと伝えた。
そして納得した昴がずっと思っていた疑問を投げつけた。
「お前俺のこと良く見てるよな。何でなんだ?」
ぎくり、とした。今ここで訊いて来るのか!
もし不快な思いをしていたら潔く謝ろう。そう思っていたが、昴から返って来た言葉はそっけない「別に」の一言で。嫌われているわけではないとわかった美夜子はなぜか安堵した。そして思いがけず2人きりの時間を共有できた居心地の良さに、美夜子は小さく微笑んだ。
◆ ◆ ◆
季節が変わり昴との接点も増える中で、彼が自分に惹かれ始めているとわかるようになった。それはまだ自覚していない気持ち程度のものだろうが、不思議と嫌な気持ちにはならない。貴重な視えない相手。昴の隣でいる自分はただの人間になれた気分になり、緊張が解れて心が落ち着く。
昴は知らない。自分が女で、先読みの巫女と呼ばれて、許婚がいることを。この特殊な家庭環境と複雑な事情を何も知らない。例え力を知られても、視えない自分を利用するつもりはないだろう。
次第に昴と過ごす時間が増えて、美夜子も笑うことが増えていった。狭い交友関係で築かれた数少ない大切な友人の一人だったのが、いつの間にか特別に変わっていった。その特別がどういう意味の特別かを知るのは、あまり時間がかからなかった。
『美夜子様』
ふいに聞こえてくる男の声は自分にしか届かない。外のベンチに腰掛けた自分の周りには人の気配はおろか、近くに他の生徒すら見当たらなかった。美夜子はテキストに視線を落としたまま、男の声に耳を傾けた。
『あまりお戯れが過ぎるようですと報告させていただきますよ』
忠告のような静かな声音が頭に響いた。誰にとは言わずともわかっている。兄達と当主である母、そして許婚として自分を待っている男に。美夜子は表情を変えずに小さく独り言のように呟いた。
「戯れとは何がだ。僕はただ友人と親しくしているだけだが?」
交友関係にまで口を出されるのはさすがに鬱陶しい。不機嫌なオーラを醸し出しても、男の声は変わらず平坦だった。
『貴方様が立場をお忘れでないと確認をしたまでです。一人の青年と仲睦まじい様子を報告する義務も私にはありますので』
「影はお前一人か?」
『今は、私が務めていますが』
定期的に眼を飛ばすだけでなく、陰から様子を見に来る一族の男。決して自分に接近することはなかったのに、珍しいこともあるものだ。もしくは良心が疼いたのかもしれない。上に報告する前に確認をとるなど、今回の影はどうやら甘い。
だがその甘さはきっと男の中にも疑問が芽吹いているからだろう。このまま外を見せず意のままに閉じ込めて一族を率いる長になるのか。見聞を広め学生らしく友好を深めて狭い選択肢から最良な道を選べるのか。決められた道を箱入り娘同然のまま渡り、意思のない当主が一族を守れるとは思えない。きっと男の中で迷いが生まれている、そう美夜子は感じ、小さく口角を上げた。
「なら黙りなさい。お前が口を閉じていればいいだけの話。私は私のしたいようにさせてもらう」
久しぶりに昔の口調に戻った。男はそれでも躊躇いがちに話しかける。
『美夜子様はあの青年に惹かれている様子ですが、要様とのご縁談を控えているのをお忘れなきよう』
許婚の名前を出され、美夜子は小さく眉を顰めた。
古紫 要。一番上の兄より1歳上の男は自分の従兄にあたる。強い読心術の力を持つ要は嫌いではないが、お互い異性として想うことは出来ないと既に気付いていた。自分達は似ているのだ。先を読める自分と、心を読める要。似ている者同士支えあう事も出来るだろうが、夫婦にはなりえない。そしてずっと昔に要の未来を読んだ美夜子は知っていた。彼に心から想い合う相手が出来ることを。それが自分ではない事も。
「縁談、か。お前はそれでいいと思うのか?力が強く血が濃い者同士が結婚などをしたら、遺伝子疾患のある子供が生まれる可能性だって高くなるのだぞ。既に生まれつき体に問題がある者だって少なくはない。近親婚を繰り返せばそうなるのは避けられないこと。力を子孫に残すために外からの血を取り入れず、同じことを繰り返せば古紫がどうなるか・・・・・・懸念に思ったことはあるようだな」
男が黙ったのを肯定と受け取った。美夜子は更に念を押す。
「少しでも一族の未来を思うのなら、兄様達に私の事は普段どおりとだけ伝えなさい」
数秒沈黙した後、影の男は気配を消した。
◆ ◆ ◆
自分に惹かれているのに一歩を踏み出そうとしない昴に、次第に苛立ちが募ってきた。
そして卒業式の3日前。初めて呑み会に参加した美夜子は、覚悟を決めた。
昴がもし自分の手をとってくれるなら。その度胸と覚悟を示してくれるのなら。どこまでだってついて行くと。
地元に帰る自分と違い、昴は海外に留学すると言う。将来的には外交官になりたいらしい。世界を知らない美夜子はその言葉に眩しさを感じた。いろんな国に赴き交流を深め、日本を代表する人物になる。自分には叶えることが許されない夢だ。
羨ましい。
外の世界を知った美夜子は昴の言葉を聞いて、自分のこれからを話すのが苦しくなった。
「大学を卒業したら許婚と結婚することが決まっている」
そう告げた後、昴の顔を直視できず思わず俯いた。
「嫌なのか?その相手のことが」
昴の戸惑いを見せた表情に、美夜子の胸がずきんと痛んだ。
「相手は従兄のようなものだ。幼い頃から知っている。別に嫌いなわけじゃないが、異性として好きかと問われれば疑問が浮かぶな。相手は別に僕のことが好きなわけじゃないし」
「は?お前好きじゃない従兄と結婚・・・って、待て。従兄?」
数秒考え込んだ昴は、まさかと言う顔で美夜子の顔を覗いた。
(ようやく気付いたか、ボケが)
ずっと騙していたのは事実だが、いくらなんでも気付かなすぎだ。昴の鈍さに思わず美夜子は舌打ちをした。
唖然として固まる昴に最終手段を使う。これで気持ちが得られなかったらそこまでだ。後悔なんてしたくはない。だから少々強引で手荒でも、美夜子は想いを伝える事を選んだ。
「お前がずっと僕のことを男だと思っていたのは知っている。ムラサキと言うのが僕のあだ名じゃなくて名前だと思っていたのも。だけどな、よーく聞け。僕の名前は美しい夜の子で、美夜子だ!本名は古紫美夜子。体も心も僕は女だ!」
困惑した顔で、昴は小さく「美夜子?」と呟いた。不覚にも名前を呼ばれて頬が赤くなる。もうどうにでもなれ、だ。
乱暴にぐいっと昴の胸元のシャツを自分に寄せた美夜子は、正面から視線を合わせたまま言い放った。
「僕が欲しいんだろ?望み通りくれてやる。だから、男らしくさっさと僕を攫え!」
そして生まれて初めて自分から男に口付けた。
◆ ◆ ◆
何年経っても、あの時の行動力と昴の驚愕した表情は未だに忘れられないと美夜子は艶然と微笑んだ。
「―――な~かなか煮え切らなくってね。信じられる?卒業式の3日前よ、3日!私が好きなら性別なんて気にせず告白してくればいいのに、私もよくあそこまで我慢したわ」
くすくすと笑いながら話す美夜子に、麗は内心で「いや、性別はやっぱり気にするんじゃ・・・」と呟いた。父の苦悩が目に浮かぶ。それは傍から見たら少々面白いかもしれないが。
「でもその後の行動力は素早かったわね。まさか勢いで婚姻届まで出しちゃうとは思わなかったし。私もその後一緒に海外留学しちゃったしね」
「ねえ、おばあちゃん達に怒られなかったの?」
麗は疑問に思っていたことを尋ねた。そこまで過保護な伯父達なら、海外にまで追いかけてきそうだ。
「まあ、行っちゃったもん勝ち?散々怒られたけどね、留学するって手紙は送ったし。でも日本に戻ってきて麗を出産するまで会わなかったけど。孫が生まれてからようやく母様も仲を認めてくれたのよ」
「そっかー。でも要おじさんは結局どうなったの?」
許婚だったはずだが、逃げられた後はどうなったのか。
「要は要で、付き合っている女性がいたのよ。今の奥さんだけど。それを知ってたから私も存分に裏切ることが出来たんだけどね」
それはお互いにとってよかったと麗は安堵の息を吐いた。もし要おじさんがずっと母を想っていたら、それはそれで悲劇だ。
「ねえ、今でもパパのこと何も視えない?」
麗の問いに美夜子は微笑んだ。
「先のことが分かったらつまらないものよ?」
好きな人との未来は見えなくていい。そう告げた母の言葉に麗は納得して握っていたペンを走らせたのだ。
************************************************
麗の鈍さは恐らく昴からでしょうか。
美夜子は箱入りのお嬢様だけど行動的で、怒ると昴も頭が上がらない、そんな逞しいお母さんになっています。ちなみにあれが美夜子のファーストキスではないと思います(笑)
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