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淡雪と都筑の大公家ビフォーアフター3
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大公家の居間では呼び出された者達が、それぞれ輪になっていた。
僕達は壁に仕掛けられた覗き窓からその様子を伺っていた。
覗き窓はよくできていて、部屋の中が見渡せるようになっている。
「全く、気まぐれに呼び出されてはたまりませんな」
とボヤくのは出入り商人の三国屋の主。
狸にそっくりだな。
「本当に。今日はどういった用件なんでしょうね」
こちらは狐の様な顔立ちをしている大戸屋の主。
「早く終わらせて貰えないものですかな。私、この後、用事がありましてね」
「おや、三国屋さん、その用事とはコレの事ですかな」
と狐が小指を立てた。
「いやはや、何処でお知りになったのやら。お耳の早い。いえね、会ってくれないと死ぬとかいうもんですからね。若い子はわがままで困りますよ」
狸オヤジ、ちっとも困ってないだろう。
鼻の下どころか太古腹の皮まで伸び放題に伸びてるぞ。
「若い子にそうまで言わせるなんて、罪作りですな」
狐、本気でそう思ってるか?
特殊な感性を持っていないなら十中八九、狸オヤジに対して絶対にそうは言わないぞ。あえて言うとすれば、近寄るな、このド変態だよ。
「それに、若い子の肌や締りはいいですからなぁ」
「うほほほっ、毎回搾り取らるますから大変で大変で。私の体力が持ちませんよ」
毎回搾り取られる?
何をだろう?
ああ、解った。
お金だな。
デートして、ガッツリ欲しい物を買わせると。
タダでは付き合わないとは、若い子もビジネスライクだな。
「あやかりたいですねぇ」
貢ぐ君志望か、狐?
「何をおっしゃいますか。そういう大戸屋さんこそ、新しい妾を迎えたそうじゃないですか。何人めです?」
「ホンの5人目です。三国屋さんに比べると、私などまだまだで」
「ホホホ、古来より、浮気は男の甲斐性といいますからね」
「甲斐性のためにも稼ぎませんと」
「本当にそうですな、ホホホ」
そんな甲斐性は要らんわ!
狸と狐の会話を聞いていたら、怒りのあまり頭に血が上り、目がチカチカし、頭はクラクラして、今にも貧血で倒れそうだ。
ろくでも無いな、この色ボケコンビ。
こいつらは容赦なく差額取立てて、取引を打ち切ることに決定だな。
鼻の先に皺をよせ、目尻の筋肉の垂れたいやらしい笑いを浮かべる商人組の横では、各管理者が顔をつき合わせていた。
こちらは役人独特の嘲笑を浮かべている。
「学のない農民は、私達管理者に生かさず殺さず使役されるべきです」
「どれだけ搾り取れるかが、腕の見せ所というわけだな」
「甘い顔をするとつけあがるし、質が悪い」
「鉱夫の代わりなどいくらでもいますし、罪人を使ってやるだけ、ありがたいと思って欲しいくらいですよ」
「まったくです」
「報告書も適当に書いていればいいんですからね」
「差額は私達への功労金ということで」
うん、そうだね。
直江の信頼に後ろ足で砂をかけるどころか、両手両足で泥水をかけまくったよね、君たちは。
虚偽報告に横領決定だな。
都築もさぞや呆れているんだろうなと横を見れば、怒れる大魔神様がいた。
「ふふふっ・・・」
地獄からの声、再び・・・
我が家で財政面を取仕切っていた都築だけに虚偽報告、横領、中抜きが許せないのだろう。
はぁっ、都築ってば、沸点低過ぎじゃないか。
「しかし、ここにこのメンバーを集めたということは・・・あれか、嫁いできた来栖家の令息が家政を仕切るという挨拶か」
糸目の管理者の台詞に三国屋の主が反応した。
「おや、そういうことでございますか、高畑様」
「財政を扱う我等を集めたんだ。それしかないだろう、三国屋」
獅子太りした管理者が肯定する。
「宇高様、挨拶を寄越すのは良い心がけですが、何も解ってない子供が我がままでこちらの都合も考えず、思いつきで集められて困りますな。皆、忙しい身ですのに」
「まぁ、そういうな、大戸屋。世間知らずの無知な子供に道理を教え、導いてやるのが、我ら大人が仕事よ」
頭髪の乏しい管理者が諭すように言った。
「流石は上川内様ですな。仰ることが違います」
「相手は容姿だけが取り柄の無知な子供だ。一々目くじらを立てては、己の度量が知れるというものよ」
「そうだぞ。忙しい我らの一時の休息、目の保養をしにきたと思えばよいのよ」
「仰るとおりですな」
「目の保養になるかならないかは現物を見ないことにはわからんがな」
と、皆、どっと笑い、嘲笑を浮かべた。
我がままの思いつき、気位だけの無知な子供、容姿だけが取り柄・・・その罵詈雑言にいまにも怒鳴りつけるそうになった僕は、おのが手を握りしめ、ぶるぶると怒りを堪えた。
額に青筋が浮かび上がるのを必死で堪えたが、ヒクヒクと顔が引き攣っているのがわかる。
なら、拝ませてやろうじゃないか
隣で都合がボソリと「淡雪、沸点低過ぎです」という。
都合には言われたくないと反論したいが、そんなことは、後でいい。
彼奴等をギャフンといわせるのが先だ。
「都合、行くよ!」
僕は怒りのまま扉を開けたのだった。
侯爵家令息と育ってきたのは伊達じゃない。
気合いを入れれば、高貴なる威圧感を出すことなど簡単なことだ。
気合いを入れて、いざ!
僕はドアをおもむろに開けた。
背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見て足の指に力を入れて歩く。
正面に立つと堂々とひとりひとりに目を合わせ、常に威厳を保ち、こちらの方が上であることを知らしめた。
「これから西蓮寺家の財政を預かることになります。それにあたり、皆さんにお伝えしたいことがあります」
管理者達がざわりとするのを都合が嗜めた。
「お静かに」
「先ずは、高畑、宇高、上川内の3名、お疲れ様でした。本日を以て解任とさせていただきます。三国屋と大戸屋との取引きも本日にて中止です」
「「なっ、何ですと!」」
驚愕の声があがり、続いて、場は非難轟々となる。
高畑が声高に不満を洩らす。
「馬鹿な、それで大公家が回るとでもお思いか!」
「これだからなんの苦労も知らない令息は困る」
上川内に賛同するように宇高が相槌を打つ。
「子供のお遊び感覚で家政をされてはたまりませんな」
「失礼ながら、帳簿ひとつ、現場ひとつ知らない貴方様に何がわかるというので?」
と三国屋がいうと大戸屋も
「まさに、まさに。相場をなんとお心得か。子供のお遊びとは違うのですよ」
「お静かに!主家の決定です」
「何が主家ですか。大公閣下の決定ではありますまい」
宇高の反論に高畑が追従する
「理由もなく解任とは、納得いきませんな」
「理由?心当たりがないと?」
都合の問いに上川内がしたり顔で
「ありませんな」
「私共とて同じですよ、ねぇ、大戸屋さん」
「ええ、そうですとも」
僕は持っていた書類を投げた。
「よくもまあ、厚かましい。作物は天候により収穫量が変化する。毎年毎年同じなんてあり得ない。現にこちらの調べでは、昨年は小麦の出来がよく68tはあったはず 。茘枝にいたっては3027tは収穫されているよね。けど、書類では6年前から何一つ変わってない。適当に書くなら子供でもできるし。さて、僕や都合が納得できる理由を聞こうか」
「蛇足ですが、5年前からの正確な収穫量は把握済です。無論、閣下もご承知ですので」
「ぐっ」
宇高達は歯軋りをしながら押し黙った。
「次に鉱石だけど、1年間の産出量、石炭7513t、鉄鉱石376t、金412t、瑠璃金剛石13t、金剛石17t、合わせて売却価格839億リナールと計算報告を受けたよ」
「お待ちください。どこの誰が試算されたのですかな?来栖家には鉱石を適正にの計算ができる人物でもいるのですかな。信の置けない人物の計算報告書をみせられてもねぇ」
「ええ、そうですとも。それに鉱石は流通量等で刻々と価格が変わりますし。失礼ながら、私共以外にこの周辺で、直ぐにでも取引きができる商会がありますかね」
確かにこの地域に於いて三国屋と大戸屋規模の商会はなく、この二商会以外に捌けるところはない。進出しようにも主要な物は押さえているので、後発の商会がこの地で成功するのは難しいだろう。
それをわかっているからか、にやりと三国屋が哄笑を浮かべた。
僕はため息を吐くと
「と、いってるけど、どうする?」
「この私の計算が間違ってると」
カツカツとヒールの音をさせ、商人二人を睥睨するようにスレンダーな美女が入ってきた。
僕と都築以外はアップにした赤い髪に涼やかな目元、艶やかな紅をひいた美女に目を奪われていた
。
「今後の取引きについてのご心配は御無用。我が中和泉商会が、責任を持ってお引受けすることを会長としてお約束しますので」
「な、中和泉だと?」
三国屋が目を見張る。
「まさか、あの・・・」
大戸屋は二の句が告げないようだ。
驚くのも無理はない。
中和泉商会といえばこの帝国の経済活動を牛耳っている商会だ。金融から物流、不動産まで手を広げている一大商会で、敵に回すとその領地の経済が停まるとまで言われている。
「バカな。中和泉の会長は喜寿にはなっているはずだ」
「いつの情報ですか、それ。そんな古い情報しか持っていないから地方の商会止まりなんですよ」
「中和泉商会会長直々の約束も取り付けたし、今日までご苦労さま」
大戸屋と三国屋ががっくりと膝をつく。
僕はにこりと微笑み、
「これまでの着服分はきちんと精算してもらうから、そのつもりで」
僕達は壁に仕掛けられた覗き窓からその様子を伺っていた。
覗き窓はよくできていて、部屋の中が見渡せるようになっている。
「全く、気まぐれに呼び出されてはたまりませんな」
とボヤくのは出入り商人の三国屋の主。
狸にそっくりだな。
「本当に。今日はどういった用件なんでしょうね」
こちらは狐の様な顔立ちをしている大戸屋の主。
「早く終わらせて貰えないものですかな。私、この後、用事がありましてね」
「おや、三国屋さん、その用事とはコレの事ですかな」
と狐が小指を立てた。
「いやはや、何処でお知りになったのやら。お耳の早い。いえね、会ってくれないと死ぬとかいうもんですからね。若い子はわがままで困りますよ」
狸オヤジ、ちっとも困ってないだろう。
鼻の下どころか太古腹の皮まで伸び放題に伸びてるぞ。
「若い子にそうまで言わせるなんて、罪作りですな」
狐、本気でそう思ってるか?
特殊な感性を持っていないなら十中八九、狸オヤジに対して絶対にそうは言わないぞ。あえて言うとすれば、近寄るな、このド変態だよ。
「それに、若い子の肌や締りはいいですからなぁ」
「うほほほっ、毎回搾り取らるますから大変で大変で。私の体力が持ちませんよ」
毎回搾り取られる?
何をだろう?
ああ、解った。
お金だな。
デートして、ガッツリ欲しい物を買わせると。
タダでは付き合わないとは、若い子もビジネスライクだな。
「あやかりたいですねぇ」
貢ぐ君志望か、狐?
「何をおっしゃいますか。そういう大戸屋さんこそ、新しい妾を迎えたそうじゃないですか。何人めです?」
「ホンの5人目です。三国屋さんに比べると、私などまだまだで」
「ホホホ、古来より、浮気は男の甲斐性といいますからね」
「甲斐性のためにも稼ぎませんと」
「本当にそうですな、ホホホ」
そんな甲斐性は要らんわ!
狸と狐の会話を聞いていたら、怒りのあまり頭に血が上り、目がチカチカし、頭はクラクラして、今にも貧血で倒れそうだ。
ろくでも無いな、この色ボケコンビ。
こいつらは容赦なく差額取立てて、取引を打ち切ることに決定だな。
鼻の先に皺をよせ、目尻の筋肉の垂れたいやらしい笑いを浮かべる商人組の横では、各管理者が顔をつき合わせていた。
こちらは役人独特の嘲笑を浮かべている。
「学のない農民は、私達管理者に生かさず殺さず使役されるべきです」
「どれだけ搾り取れるかが、腕の見せ所というわけだな」
「甘い顔をするとつけあがるし、質が悪い」
「鉱夫の代わりなどいくらでもいますし、罪人を使ってやるだけ、ありがたいと思って欲しいくらいですよ」
「まったくです」
「報告書も適当に書いていればいいんですからね」
「差額は私達への功労金ということで」
うん、そうだね。
直江の信頼に後ろ足で砂をかけるどころか、両手両足で泥水をかけまくったよね、君たちは。
虚偽報告に横領決定だな。
都築もさぞや呆れているんだろうなと横を見れば、怒れる大魔神様がいた。
「ふふふっ・・・」
地獄からの声、再び・・・
我が家で財政面を取仕切っていた都築だけに虚偽報告、横領、中抜きが許せないのだろう。
はぁっ、都築ってば、沸点低過ぎじゃないか。
「しかし、ここにこのメンバーを集めたということは・・・あれか、嫁いできた来栖家の令息が家政を仕切るという挨拶か」
糸目の管理者の台詞に三国屋の主が反応した。
「おや、そういうことでございますか、高畑様」
「財政を扱う我等を集めたんだ。それしかないだろう、三国屋」
獅子太りした管理者が肯定する。
「宇高様、挨拶を寄越すのは良い心がけですが、何も解ってない子供が我がままでこちらの都合も考えず、思いつきで集められて困りますな。皆、忙しい身ですのに」
「まぁ、そういうな、大戸屋。世間知らずの無知な子供に道理を教え、導いてやるのが、我ら大人が仕事よ」
頭髪の乏しい管理者が諭すように言った。
「流石は上川内様ですな。仰ることが違います」
「相手は容姿だけが取り柄の無知な子供だ。一々目くじらを立てては、己の度量が知れるというものよ」
「そうだぞ。忙しい我らの一時の休息、目の保養をしにきたと思えばよいのよ」
「仰るとおりですな」
「目の保養になるかならないかは現物を見ないことにはわからんがな」
と、皆、どっと笑い、嘲笑を浮かべた。
我がままの思いつき、気位だけの無知な子供、容姿だけが取り柄・・・その罵詈雑言にいまにも怒鳴りつけるそうになった僕は、おのが手を握りしめ、ぶるぶると怒りを堪えた。
額に青筋が浮かび上がるのを必死で堪えたが、ヒクヒクと顔が引き攣っているのがわかる。
なら、拝ませてやろうじゃないか
隣で都合がボソリと「淡雪、沸点低過ぎです」という。
都合には言われたくないと反論したいが、そんなことは、後でいい。
彼奴等をギャフンといわせるのが先だ。
「都合、行くよ!」
僕は怒りのまま扉を開けたのだった。
侯爵家令息と育ってきたのは伊達じゃない。
気合いを入れれば、高貴なる威圧感を出すことなど簡単なことだ。
気合いを入れて、いざ!
僕はドアをおもむろに開けた。
背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見て足の指に力を入れて歩く。
正面に立つと堂々とひとりひとりに目を合わせ、常に威厳を保ち、こちらの方が上であることを知らしめた。
「これから西蓮寺家の財政を預かることになります。それにあたり、皆さんにお伝えしたいことがあります」
管理者達がざわりとするのを都合が嗜めた。
「お静かに」
「先ずは、高畑、宇高、上川内の3名、お疲れ様でした。本日を以て解任とさせていただきます。三国屋と大戸屋との取引きも本日にて中止です」
「「なっ、何ですと!」」
驚愕の声があがり、続いて、場は非難轟々となる。
高畑が声高に不満を洩らす。
「馬鹿な、それで大公家が回るとでもお思いか!」
「これだからなんの苦労も知らない令息は困る」
上川内に賛同するように宇高が相槌を打つ。
「子供のお遊び感覚で家政をされてはたまりませんな」
「失礼ながら、帳簿ひとつ、現場ひとつ知らない貴方様に何がわかるというので?」
と三国屋がいうと大戸屋も
「まさに、まさに。相場をなんとお心得か。子供のお遊びとは違うのですよ」
「お静かに!主家の決定です」
「何が主家ですか。大公閣下の決定ではありますまい」
宇高の反論に高畑が追従する
「理由もなく解任とは、納得いきませんな」
「理由?心当たりがないと?」
都合の問いに上川内がしたり顔で
「ありませんな」
「私共とて同じですよ、ねぇ、大戸屋さん」
「ええ、そうですとも」
僕は持っていた書類を投げた。
「よくもまあ、厚かましい。作物は天候により収穫量が変化する。毎年毎年同じなんてあり得ない。現にこちらの調べでは、昨年は小麦の出来がよく68tはあったはず 。茘枝にいたっては3027tは収穫されているよね。けど、書類では6年前から何一つ変わってない。適当に書くなら子供でもできるし。さて、僕や都合が納得できる理由を聞こうか」
「蛇足ですが、5年前からの正確な収穫量は把握済です。無論、閣下もご承知ですので」
「ぐっ」
宇高達は歯軋りをしながら押し黙った。
「次に鉱石だけど、1年間の産出量、石炭7513t、鉄鉱石376t、金412t、瑠璃金剛石13t、金剛石17t、合わせて売却価格839億リナールと計算報告を受けたよ」
「お待ちください。どこの誰が試算されたのですかな?来栖家には鉱石を適正にの計算ができる人物でもいるのですかな。信の置けない人物の計算報告書をみせられてもねぇ」
「ええ、そうですとも。それに鉱石は流通量等で刻々と価格が変わりますし。失礼ながら、私共以外にこの周辺で、直ぐにでも取引きができる商会がありますかね」
確かにこの地域に於いて三国屋と大戸屋規模の商会はなく、この二商会以外に捌けるところはない。進出しようにも主要な物は押さえているので、後発の商会がこの地で成功するのは難しいだろう。
それをわかっているからか、にやりと三国屋が哄笑を浮かべた。
僕はため息を吐くと
「と、いってるけど、どうする?」
「この私の計算が間違ってると」
カツカツとヒールの音をさせ、商人二人を睥睨するようにスレンダーな美女が入ってきた。
僕と都築以外はアップにした赤い髪に涼やかな目元、艶やかな紅をひいた美女に目を奪われていた
。
「今後の取引きについてのご心配は御無用。我が中和泉商会が、責任を持ってお引受けすることを会長としてお約束しますので」
「な、中和泉だと?」
三国屋が目を見張る。
「まさか、あの・・・」
大戸屋は二の句が告げないようだ。
驚くのも無理はない。
中和泉商会といえばこの帝国の経済活動を牛耳っている商会だ。金融から物流、不動産まで手を広げている一大商会で、敵に回すとその領地の経済が停まるとまで言われている。
「バカな。中和泉の会長は喜寿にはなっているはずだ」
「いつの情報ですか、それ。そんな古い情報しか持っていないから地方の商会止まりなんですよ」
「中和泉商会会長直々の約束も取り付けたし、今日までご苦労さま」
大戸屋と三国屋ががっくりと膝をつく。
僕はにこりと微笑み、
「これまでの着服分はきちんと精算してもらうから、そのつもりで」
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