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第4章 魔術学園奮闘編
第357話 何だね、その護身具というのは?
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「やっぱり護身具の製作を早めにやっておいた方が良さそうですね」
ステファノは会話の流れを見て、そう感想を述べた。
「ん? 何だね、その護身具というのは?」
聞きなれない言葉にドイルが関心を示す。
「はい。魔術具の一種です。身につけているだけで持ち主を危害から守る術を籠めたものです」
ステファノは護身具の機能について説明した。物理攻撃、魔術攻撃や魔核混入から対象者を守れること。イドによる攻撃には対抗できないこと。毒殺など間接的な攻撃は防げないこと。
「ふうむ。聞いた限りではアーティファクト級の特殊機能だね。国宝級といっても良い」
ドイルが学者としての見解を述べた。
「これの長所は術をかけっぱなしにしておける所です。使用者は所持しているだけで良く、何もしなくても効果が持続します」
「元々はおめェの防御魔術なんだナ?」
「はい。『蛇の巣』と名づけました」
「何とも可愛げのねェ名前だノ」
話を聞きながらネルソンは指先で眉間をとんとんと叩いて思案していた。
「ステファノ、ここにいる人間分の護身具を用意できるかね? それに加えて、そうだな……20個もあれば良いか? 種類の違う装身具を25個用意させる。それに『蛇の巣』を付与してくれ」
「旦那様、ヨシズミとわたしは自分の身を守れます」
「わかっている。しかし、意識のないところを襲われれば対抗できまい? ステファノの話では護身具はいつ何時でも所持者を守ってくれるのだ。私は用心に手を抜くつもりはない」
ドイルは腕を組みながらネルソンを見やった。
「追加の20個とは誰の分だね? ギルモアの血筋は良いとして、王族やら宮廷の重鎮も含まれそうだな」
「察しの良いことだ。『味方』を失うと厄介なのでね。内務卿などこちらについてくれるお偉方に配るつもりだ」
「ふん。下らぬ話だが、目的のためには仕方ないか。軍務卿は数に入っていないんだな?」
ドイルはすべてに軍事を優先させ、学問を下に見る軍務卿を嫌っていた。
「アレは替えが利くのでね。何、護衛がたくさんいるだろうから心配なかろう?」
軍隊という組織はリーダーが倒れても動き続けるように設計されていた。軍務卿個人にとって良いことかどうかはわからないが。
「20や30の護身具なら一度に作れます。あの……俺の身内もつけ加えて良いでしょうか?」
ステファノはおずおずと尋ねた。
「当然のことだな。そもそもお前の能力なのだから、自由に使って構わんさ。但し、護身具の秘密だけは守ってくれ」
存在を知られないからこそ守りとしての効果がある。「いざ」という時の備えなのだった。
「わかりました。人に渡す時は悟られないようにします」
魔道具だということを知らせなければ秘密が漏れることもない。ただのプレゼントとして渡すか、それとも持ち物に忍び込ませるか……。
「そうしてくれ。護身具の素材に使えそうな装飾品、指輪やブローチなどを明日用意させよう。そうだな、取り合えず100個もあれば問題なかろう」
「100個って……」
その中には王族や貴族に配る分が含まれている。いったいどれほどの値打ちになるのか?
ステファノは改めてネルソンの財力に驚かされた。
「ふん。そのくらいの物は貴族なら備えがあるものさ。なあ、ネルソン?」
「まあな。私は貴族ではないが……」
戦いや危機に備えて金銀財宝を備蓄しておくのは貴族の常識である。貴族籍を離れたネルソンであったが、その慣習には従っていたのだ。
「貴族とは臆病な生き物なのだ。攻め滅ぼされ、焼き落とされても家を再考できるようにと資金は身ひとつで運べるものに変えて置くものさ」
下級貴族の落としだねとはいえ、ドイルも貴族の出身であった。家の存続を何よりも優先する貴族の考え方を、よく知っていた。
「わかりました。俺は護身具メーカーを作りましょう」
「何だね、それは?」
聞きなれない言葉に反応したのは、またもやドイルであった。
「護身具を作る魔術具です。俺に何かあっても護身具が作れるように」
「ううむ。話を聞いても想像ができん。本当にそんなものが作れるのか?」
「着火魔具よりは術理付与が面倒ですが、虹の王に覚えさせれば簡単ですよ」
「ナーガとはそんなことにも使えるのか?」
ドイルは興奮を抑えられぬ様子であった。
「ナーガは俺の分身ですからね。俺にできることは何でもやらせることができると思います」
ステファノは平然と答えた。
「この『化身』という奴は、誰でも使えるものなのか?」
「いんや。あっちの世界でも聞いたことがねェノ」
ドイルの疑問にヨシズミが答えた。
「だったらステファノの独創と考えて良いのだな?」
「そだナ」
2人のやり取りにステファノが口を挟む。
「でも、俺の感覚ではアバターはイドの自然な使い方なんです。たまたま気づかないだけで、訓練すれば誰でも使えるんじゃないでしょうか」
「それにしてもダ。初めにギフトの覚醒が必要だッペナ」
ギフトの人格化がアバターではないかというのが、ヨシズミの仮説であった。
であれば、アバター発現の可能性に近いのはヨシズミよりもネルソン、マルチェル、ドイルの3人であった。
「ヨシズミ師匠にも、おそらくギフトは眠っていると思います」
根拠はない。だが、ステファノはそう信じていた。
「『千変万化』はギフトの働きでしょう」
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第358話 こりゃあオレもギフトの使い方サ勉強すッペかナ?」
「あっちじゃ『ギフト』ッてのは魔視脳の不完全な覚醒と言われてたからノ」
ギフトは呪文も術理も必要としないので使いやすいが、たいてい1つのことしかできない。
応用性に乏しいのであちらの世界では低く見られていたのだ。
「ふん。言ってみれば全員が上級魔術師という世界だろう? それならギフトなど必要ないわけだ」
「そうだナ。魔視鏡で魔力を覚醒してもらってから、ギフトに目覚める人間がたまにいたヨ。精々おまけくらいに考えてたノ。本人も、それから周りの人間も」
……
◆お楽しみに。
ステファノは会話の流れを見て、そう感想を述べた。
「ん? 何だね、その護身具というのは?」
聞きなれない言葉にドイルが関心を示す。
「はい。魔術具の一種です。身につけているだけで持ち主を危害から守る術を籠めたものです」
ステファノは護身具の機能について説明した。物理攻撃、魔術攻撃や魔核混入から対象者を守れること。イドによる攻撃には対抗できないこと。毒殺など間接的な攻撃は防げないこと。
「ふうむ。聞いた限りではアーティファクト級の特殊機能だね。国宝級といっても良い」
ドイルが学者としての見解を述べた。
「これの長所は術をかけっぱなしにしておける所です。使用者は所持しているだけで良く、何もしなくても効果が持続します」
「元々はおめェの防御魔術なんだナ?」
「はい。『蛇の巣』と名づけました」
「何とも可愛げのねェ名前だノ」
話を聞きながらネルソンは指先で眉間をとんとんと叩いて思案していた。
「ステファノ、ここにいる人間分の護身具を用意できるかね? それに加えて、そうだな……20個もあれば良いか? 種類の違う装身具を25個用意させる。それに『蛇の巣』を付与してくれ」
「旦那様、ヨシズミとわたしは自分の身を守れます」
「わかっている。しかし、意識のないところを襲われれば対抗できまい? ステファノの話では護身具はいつ何時でも所持者を守ってくれるのだ。私は用心に手を抜くつもりはない」
ドイルは腕を組みながらネルソンを見やった。
「追加の20個とは誰の分だね? ギルモアの血筋は良いとして、王族やら宮廷の重鎮も含まれそうだな」
「察しの良いことだ。『味方』を失うと厄介なのでね。内務卿などこちらについてくれるお偉方に配るつもりだ」
「ふん。下らぬ話だが、目的のためには仕方ないか。軍務卿は数に入っていないんだな?」
ドイルはすべてに軍事を優先させ、学問を下に見る軍務卿を嫌っていた。
「アレは替えが利くのでね。何、護衛がたくさんいるだろうから心配なかろう?」
軍隊という組織はリーダーが倒れても動き続けるように設計されていた。軍務卿個人にとって良いことかどうかはわからないが。
「20や30の護身具なら一度に作れます。あの……俺の身内もつけ加えて良いでしょうか?」
ステファノはおずおずと尋ねた。
「当然のことだな。そもそもお前の能力なのだから、自由に使って構わんさ。但し、護身具の秘密だけは守ってくれ」
存在を知られないからこそ守りとしての効果がある。「いざ」という時の備えなのだった。
「わかりました。人に渡す時は悟られないようにします」
魔道具だということを知らせなければ秘密が漏れることもない。ただのプレゼントとして渡すか、それとも持ち物に忍び込ませるか……。
「そうしてくれ。護身具の素材に使えそうな装飾品、指輪やブローチなどを明日用意させよう。そうだな、取り合えず100個もあれば問題なかろう」
「100個って……」
その中には王族や貴族に配る分が含まれている。いったいどれほどの値打ちになるのか?
ステファノは改めてネルソンの財力に驚かされた。
「ふん。そのくらいの物は貴族なら備えがあるものさ。なあ、ネルソン?」
「まあな。私は貴族ではないが……」
戦いや危機に備えて金銀財宝を備蓄しておくのは貴族の常識である。貴族籍を離れたネルソンであったが、その慣習には従っていたのだ。
「貴族とは臆病な生き物なのだ。攻め滅ぼされ、焼き落とされても家を再考できるようにと資金は身ひとつで運べるものに変えて置くものさ」
下級貴族の落としだねとはいえ、ドイルも貴族の出身であった。家の存続を何よりも優先する貴族の考え方を、よく知っていた。
「わかりました。俺は護身具メーカーを作りましょう」
「何だね、それは?」
聞きなれない言葉に反応したのは、またもやドイルであった。
「護身具を作る魔術具です。俺に何かあっても護身具が作れるように」
「ううむ。話を聞いても想像ができん。本当にそんなものが作れるのか?」
「着火魔具よりは術理付与が面倒ですが、虹の王に覚えさせれば簡単ですよ」
「ナーガとはそんなことにも使えるのか?」
ドイルは興奮を抑えられぬ様子であった。
「ナーガは俺の分身ですからね。俺にできることは何でもやらせることができると思います」
ステファノは平然と答えた。
「この『化身』という奴は、誰でも使えるものなのか?」
「いんや。あっちの世界でも聞いたことがねェノ」
ドイルの疑問にヨシズミが答えた。
「だったらステファノの独創と考えて良いのだな?」
「そだナ」
2人のやり取りにステファノが口を挟む。
「でも、俺の感覚ではアバターはイドの自然な使い方なんです。たまたま気づかないだけで、訓練すれば誰でも使えるんじゃないでしょうか」
「それにしてもダ。初めにギフトの覚醒が必要だッペナ」
ギフトの人格化がアバターではないかというのが、ヨシズミの仮説であった。
であれば、アバター発現の可能性に近いのはヨシズミよりもネルソン、マルチェル、ドイルの3人であった。
「ヨシズミ師匠にも、おそらくギフトは眠っていると思います」
根拠はない。だが、ステファノはそう信じていた。
「『千変万化』はギフトの働きでしょう」
――――――――――
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
◆次回「第358話 こりゃあオレもギフトの使い方サ勉強すッペかナ?」
「あっちじゃ『ギフト』ッてのは魔視脳の不完全な覚醒と言われてたからノ」
ギフトは呪文も術理も必要としないので使いやすいが、たいてい1つのことしかできない。
応用性に乏しいのであちらの世界では低く見られていたのだ。
「ふん。言ってみれば全員が上級魔術師という世界だろう? それならギフトなど必要ないわけだ」
「そうだナ。魔視鏡で魔力を覚醒してもらってから、ギフトに目覚める人間がたまにいたヨ。精々おまけくらいに考えてたノ。本人も、それから周りの人間も」
……
◆お楽しみに。
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