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第五章、真実と情熱
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ある日突然、終わりは訪れた。
しばらく入院していた優介が家に帰れる日が来た。
予定より早い時間に病院から出られた優介は、志鬼に会いに行こうと急いだ。
その帰りに拳銃の弾が脳天に直撃した。
即死だった。
野間口組と、他の組との抗争で銃撃戦になり、その流れ弾が当たったのである。
一般人に被害が出てもかまわないと指示をしたのは、組長だった。
志鬼は自身の父に、親友の命を奪われたも同然だった。
霊安室で優介の遺体を見た志鬼は、身体が動かなかった。
今まで多くの死人を見てきたが、親友のそれはまったく別物だった。
やって来た志鬼を見た優介の母親は、半狂乱で泣き叫んだ。
「あなたが! あなたの家なんかと関わったから優介は死んだのよ! あなたが無理矢理優介を連れ出したから寿命が縮まったのよ! アァアア!!」
「落ち着きなさい! 志鬼くんのせいじゃない!」
志鬼が一緒にいたことで優介の病が進行することなどもちろんなかったが、この時の志鬼には相当応えた。
母親に罵声を浴びせられても、志鬼はただ茫然と立ち尽くすしかなかった。
「妻はあまりのショックでどうかしているんだ。すまない、志鬼くん……私はきみに感謝しているよ、きみと仲良くなってからの優介は本当に毎日が楽しそうだった……ありがとう」
優介の父の言葉に、志鬼は拳を握りしめた。
涙を流すことすら忘れていた。
しばらく入院していた優介が家に帰れる日が来た。
予定より早い時間に病院から出られた優介は、志鬼に会いに行こうと急いだ。
その帰りに拳銃の弾が脳天に直撃した。
即死だった。
野間口組と、他の組との抗争で銃撃戦になり、その流れ弾が当たったのである。
一般人に被害が出てもかまわないと指示をしたのは、組長だった。
志鬼は自身の父に、親友の命を奪われたも同然だった。
霊安室で優介の遺体を見た志鬼は、身体が動かなかった。
今まで多くの死人を見てきたが、親友のそれはまったく別物だった。
やって来た志鬼を見た優介の母親は、半狂乱で泣き叫んだ。
「あなたが! あなたの家なんかと関わったから優介は死んだのよ! あなたが無理矢理優介を連れ出したから寿命が縮まったのよ! アァアア!!」
「落ち着きなさい! 志鬼くんのせいじゃない!」
志鬼が一緒にいたことで優介の病が進行することなどもちろんなかったが、この時の志鬼には相当応えた。
母親に罵声を浴びせられても、志鬼はただ茫然と立ち尽くすしかなかった。
「妻はあまりのショックでどうかしているんだ。すまない、志鬼くん……私はきみに感謝しているよ、きみと仲良くなってからの優介は本当に毎日が楽しそうだった……ありがとう」
優介の父の言葉に、志鬼は拳を握りしめた。
涙を流すことすら忘れていた。
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