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眠りの巫女の運命は?
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遥かなる時を越え、ようやく出会えた、忌まわしい記憶を受け継がない少女。
今度こそはと、大切に守ってきたはずなのに。
『あなたのような人が、遣い人であればよかったのに』
今でも耳に響くような、あの巫女の声。
いつになれば、約束を果たせるのだろうか。
業華は影雪を眺めた。
その先にある未来を、信じる方法を模索していた。
「眠りの巫女は皆、短命でした……そんなこと、どんな顔をして話せと言うのです」
そう告げられた、影雪の時が止まった。
「現実は……あなたが思っているよりずっと残酷なのですよ」
何が待っていたとしても、答えを知りたいか?
聞くのは、期待があるからだ。
暗闇に呑まれると熟知していて、飛び込む者はいない。
静寂の寺社を、ひぐらしの奏でる詠だけが包んでいた。
今度こそはと、大切に守ってきたはずなのに。
『あなたのような人が、遣い人であればよかったのに』
今でも耳に響くような、あの巫女の声。
いつになれば、約束を果たせるのだろうか。
業華は影雪を眺めた。
その先にある未来を、信じる方法を模索していた。
「眠りの巫女は皆、短命でした……そんなこと、どんな顔をして話せと言うのです」
そう告げられた、影雪の時が止まった。
「現実は……あなたが思っているよりずっと残酷なのですよ」
何が待っていたとしても、答えを知りたいか?
聞くのは、期待があるからだ。
暗闇に呑まれると熟知していて、飛び込む者はいない。
静寂の寺社を、ひぐらしの奏でる詠だけが包んでいた。
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