眠りの巫女と野良狐

碧野葉菜

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なんだかんだ、仲良くなります。

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 よこしまな目的で寺社を利用しようとする人間は、業華の法力ほうりきによりたどり着けないようになっている。
 賽銭泥棒や落書き、視聴率稼ぎのメディア取材など。今の彼は有名になりたいという欲があり、本来の寺院や神社の用途から逸脱していたせいで弾かれたのだろう。
 どれだけ回っても同じ道で、あきらめて帰るしかなくなるのだ。
 神聖な空間を守るため、業華も日々責務に励んでいる。
 夢穂はそれを知っているため納得していた。

「でもお寺と神社が一緒になってるなんて珍しいもんね、空気もやけに澄んでてパワースポットって呼ばれるのも頷けるなぁ」
「仏様と神様は一つだって、昔起こった神仏習合しんぶつしゅうごうって宗教現象がそのままあるみたいな場所だよな」
「そんなの習ったっけ? 沙子は勉強できるもんね、あたし全然わかんなーい」

 ふざけて舌を出してみせる美菜に、あきれた様子の沙子。

「でも日本人って生まれたらお宮参りに神社行って、結婚式は教会でして、亡くなったら仏壇に入って……だからみんな一緒になってても全然違和感ないよねっ」
「そう言ってくれたらお兄ちゃんも喜ぶと思うわ、宗教にこだわらず生き物はみんな仲良くっていうのがお兄ちゃんの考えだから」
「……そうだな、さすが業華さん」

 突然伏せ目がちになり頬を染める沙子を見て、美菜は愉快そうににやりと笑った。

「いやあ、恋する乙女ですねぇ沙子さん」
「ちょ、ちょっとやめろよ!」

 小柄な美菜は背の高い沙子に肘で首を絞められそうになるが、それでもやめない。

「かっこいいもんねぇ業華さん、つるつるのお坊さんで変わった目の色と模様ついてるけど」
「あ、あれがまたいいんだよ、知的で、ミステリアスで……」
「ほうほう、大人の魅力ってやつですかなぐえぇ」
「沙子、美菜がやばい」

 夢穂の指摘で美菜が本気で伸びそうになっているのに気づいた沙子は、急いで腕をほどいた。
 恥ずかしさのあまり、つい力が入ってしまったようだ。
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