5 / 32
2-1
しおりを挟む
「姉ちゃん、いる?」
朝になって目が覚めた僕は姉の部屋にやってきた。
声をかけて少しするとシャーペンが宙に浮いて紙にペン先を擦りつける。
一日置いて冷静になってみても、やはりとんでもない絵面だ。
『なに?』
「今日から犯人探しを始めようと思うんだけど、外に出たら書き物が使えないから会話ができなくなるよね」
この町はとても狭い。
宙に浮く筆記用具と一緒に散歩してるとなればその話は地球の自転より素早く広まり、僕はあっという間に変人認定されてしまうだろう。
平穏な生活を送りたい僕としてはそんな未来は避けたい。
「だからこれを用意したんだけど」
手を伸ばして見せてみたのはカラビナに取り付けられた小ぶりの鈴。
自転車のストラップとかによく使われるサイズのものだ。
いったい姉がどこから見ているのかは知らないが、こうやって手の上に置いておけば覗きにくるだろう。
手のひらに乗せた鈴は案の定ふわりと浮き上がり、空中で前後左右に揺れ始めた。
揺れた鈴が暫くの間シャラシャラと音色を出し続けていたが、ピタリと止まり意思が途切れたみたいにポトリと手のひらに落ちてきた。
交代とばかりにシャーペンがむくりと起き上がる。
『で、それが何なの?』
「見ての通り鈴だよ。何も特別なものはない。今日からこれを腰にひっかけておくから、何か伝えたい時はこれを揺らしてくれたらいい」
ぶら下げている鈴が動いたところで周りはせいぜい風か身体を揺らした程度に思うはずだ。
だからそこまで不信感を持たれることはないと思う。
まぁ、それとは別になんで急に鈴なんかををぶら下げているのかは気にされるかもしれないが、文房具が飛び回っているより幾分マシだろう。
「もちろん鈴だから複雑な問答はできない。だから外での会話は『はい』か『いいえ』だけにする。肯定なら二回。否定なら一回鳴らして欲しい」
シャーペンがパタリと倒れて部屋がしんとする。すると突然鈴が揺れて音色をだした。
チリン。
チリン。
チリン。
三回目の音が鳴ると鈴は動きを止める。
素直に言う事を聞かない姉に懐かしさを感じる苛立ちを覚えたが、今に始まったことではないので気にしないことにする。
「理解してくれたみたいでよかったよ」
そう言って僕は姉の部屋を出た。
起きてから何も食べていなかったので朝食を用意しようと冷蔵庫を開けると、ビニール袋が目に入った。色々あって忘れていたけど、爺ちゃんが甘煮を持ってきてくれたんだった。
甘煮を温めようと袋に手を伸ばすと、身を躱すようにビニール袋は宙に浮く。
「ちょっと。いたずらはやめろって」
袋に向かってそう言ったが聞いてる様子はなく、ずるずると脱皮するように袋を脱ぎ捨てた甘煮のタッパーがパカリと開く。小ぶりな芋が浮き上がると、驚いた事に突然その場から消えた。
「姉ちゃん……もしかしてご飯食べれるの?」
姉は僕の質問に答える気はないようでタッパーの中の甘煮は浮き上がるたびに消えていく。
手品のような光景に呆然としていると、僕はあることに気付いた。
「もしかして、この間捨てたケーキ……あれも食べたの?」
甘煮が中空でピタリと静止する。
姉が今どんな格好で固まっているのか想像できるようだ。
それにしても、死んでいるのだから古くなっても腹を下すとかはないのだろうが、捨てたものを食べるだなんて。
「別にいいんだけど……どれだけ食い意地はってるんだよ」
思ったことを呟くと甘煮はタッパーの中に戻りタッパー自体もシンクに置かれた。
それから吊り下げた鈴がジャカジャカと音を鳴らして滅茶苦茶に揺れる。
「うるさっ! 気を悪くしたならごめんって! 別に悪気があって言ったわけじゃないんだよ!」
耳を塞ぎながら謝ると一層鈴の音が激しくなった。
謝ったというのに訳がわからない。
音が鳴り止んだのは数分経ってからだった。
徐々に勢いのなくなった鈴の音は断末魔のようにチリン……チリン……と力なく鳴ってから動きを止める。鳴らし続けるのに疲れたのだろうか。だとしたら幽霊にも体力の概念があるのか……?
なんにしても、食べ物の話題は気を付けることにしようと誓った。外でこれをやられたら堪ったものではない。
残った甘煮をおかずに朝食を取ってから身支度を整える。
着替えている時、時折鈴が鳴って姉が同じところにいるのだと知ったのがとても嫌だった。
「んじゃ、まずはどの辺りから探そうか」
靴を履きながら言うと、玄関に置いてあるメモ帳が千切られて一緒においてあったボールペンが動く。
『ケーキ屋さん』
「ケーキ屋? そこで何かあったの?」
鈴がチリンと二回鳴った。肯定の返事だ。
僕は頷くと外に出てケーキ屋に向かった。
ケーキ屋は街の山側と海側の境目ぐらいにあって、家から歩いてもそこまで時間はかからない場所にあった。
生前の姉はこのケーキ屋が大のお気に入りで、良い事や悪い事。情緒に何かしらの変化があればメンタルリセットを兼ねてケーキを買っていた。(主に僕が)
こう言えば特別の日に食べるご褒美みたいに聞こえるが、実際のところ姉は情緒不安定で、大体毎日つまらない理由で泣いたり笑ったりして平静を取り乱していた。
つまりほぼ毎日のようにケーキを買いに出かけていたのだ。
人付き合いが苦手で外に出たがらない姉だったが、そんな彼女が唯一常連になったお店だ。確かに何かしらの手がかりが紛れているかもしれない。
車を嫌って裏路地に入る。
大通りから一本横に外れると車の音は殆ど聞こえなくなり、乱雑に建てられた住居のせいで迷路みたいになった細道が続いていた。
住民のほとんどは老人で畑に出ているから家に帰ってくる夕方以外は人の気配が全く無くて、寂れた街並みはまるでゴーストタウンを歩いているみたいな気分にさせる。
だがそれも平穏を好む僕や人見知りな姉にとってはとても居心地が良く、ケーキ屋に向かう時は大体このルートを使っていた。
見知った道を歩いていると鈴がチリンと音を出した。腰に吊り下げているから歩いた拍子に音が出たのかと思ったが、歩くリズムと音が一致しない。
鈴に目を通すとぶら下がった鈴は不自然な軌道で動いてリズムよく音を鳴らしていた。
「姉ちゃん、何してんの」
チリン。
呟くと鈴が一回鳴った。
「いや、明らかに姉ちゃんが鳴らしてるだろ。ほら、僕の身体は動いてるのに鈴が微動だにしてないし。手に握りこんでるだろ」
チリン。
あまりに不自然な鈴の挙動に関与していないと否定を続ける。
何を意固地になっているのか。面倒なのでこれ以上追及しない事にすると、再び鈴がリズムよく鳴り始めた。
アップテンポの楽しそうなリズム。もしかしてケーキ屋に向かうのが楽しみなのだろうか?
「……言っとくけど、ケーキは買わないよ」
一応念押ししておこうと言うと『ヂリンッ』と調子の乱れた音を鳴らして鈴が止まる。
やっぱり、ケーキを買ってもらうつもりだったのか。
「犯人探しに出かけたんだから我慢しなよ」
落ち込んでいるだろう姉をなだめるように言う。理解したのか思った通りに落ち込んでいるのか、鈴は鳴らなかった。
住宅地と商業地の境界線にさしかかり道路が大きくなっていく。車の通りも多くなり環境音が賑やかになってくるとケーキ屋が見えてくる。
漆黒の塗装で外観を包んだ建物にオレンジの日よけがアクセントになっていて遠くからでもよくわかる。
入口の横には展示用のショーケースが配置されていて今日お店に出しているケーキがライトアップされて並んでいた。
ライトを反射して光るケーキは装飾品のようでどれもこれも綺麗だ。
前になぜ艶があるのか疑問に思って聞いたことがある。ナパージュという技法らしく、ゼラチンなどの透明感があるものを表面に塗りつけてツヤを出しているらしい。それだけでこんなに綺麗になるのだから凄いものだ。
朝になって目が覚めた僕は姉の部屋にやってきた。
声をかけて少しするとシャーペンが宙に浮いて紙にペン先を擦りつける。
一日置いて冷静になってみても、やはりとんでもない絵面だ。
『なに?』
「今日から犯人探しを始めようと思うんだけど、外に出たら書き物が使えないから会話ができなくなるよね」
この町はとても狭い。
宙に浮く筆記用具と一緒に散歩してるとなればその話は地球の自転より素早く広まり、僕はあっという間に変人認定されてしまうだろう。
平穏な生活を送りたい僕としてはそんな未来は避けたい。
「だからこれを用意したんだけど」
手を伸ばして見せてみたのはカラビナに取り付けられた小ぶりの鈴。
自転車のストラップとかによく使われるサイズのものだ。
いったい姉がどこから見ているのかは知らないが、こうやって手の上に置いておけば覗きにくるだろう。
手のひらに乗せた鈴は案の定ふわりと浮き上がり、空中で前後左右に揺れ始めた。
揺れた鈴が暫くの間シャラシャラと音色を出し続けていたが、ピタリと止まり意思が途切れたみたいにポトリと手のひらに落ちてきた。
交代とばかりにシャーペンがむくりと起き上がる。
『で、それが何なの?』
「見ての通り鈴だよ。何も特別なものはない。今日からこれを腰にひっかけておくから、何か伝えたい時はこれを揺らしてくれたらいい」
ぶら下げている鈴が動いたところで周りはせいぜい風か身体を揺らした程度に思うはずだ。
だからそこまで不信感を持たれることはないと思う。
まぁ、それとは別になんで急に鈴なんかををぶら下げているのかは気にされるかもしれないが、文房具が飛び回っているより幾分マシだろう。
「もちろん鈴だから複雑な問答はできない。だから外での会話は『はい』か『いいえ』だけにする。肯定なら二回。否定なら一回鳴らして欲しい」
シャーペンがパタリと倒れて部屋がしんとする。すると突然鈴が揺れて音色をだした。
チリン。
チリン。
チリン。
三回目の音が鳴ると鈴は動きを止める。
素直に言う事を聞かない姉に懐かしさを感じる苛立ちを覚えたが、今に始まったことではないので気にしないことにする。
「理解してくれたみたいでよかったよ」
そう言って僕は姉の部屋を出た。
起きてから何も食べていなかったので朝食を用意しようと冷蔵庫を開けると、ビニール袋が目に入った。色々あって忘れていたけど、爺ちゃんが甘煮を持ってきてくれたんだった。
甘煮を温めようと袋に手を伸ばすと、身を躱すようにビニール袋は宙に浮く。
「ちょっと。いたずらはやめろって」
袋に向かってそう言ったが聞いてる様子はなく、ずるずると脱皮するように袋を脱ぎ捨てた甘煮のタッパーがパカリと開く。小ぶりな芋が浮き上がると、驚いた事に突然その場から消えた。
「姉ちゃん……もしかしてご飯食べれるの?」
姉は僕の質問に答える気はないようでタッパーの中の甘煮は浮き上がるたびに消えていく。
手品のような光景に呆然としていると、僕はあることに気付いた。
「もしかして、この間捨てたケーキ……あれも食べたの?」
甘煮が中空でピタリと静止する。
姉が今どんな格好で固まっているのか想像できるようだ。
それにしても、死んでいるのだから古くなっても腹を下すとかはないのだろうが、捨てたものを食べるだなんて。
「別にいいんだけど……どれだけ食い意地はってるんだよ」
思ったことを呟くと甘煮はタッパーの中に戻りタッパー自体もシンクに置かれた。
それから吊り下げた鈴がジャカジャカと音を鳴らして滅茶苦茶に揺れる。
「うるさっ! 気を悪くしたならごめんって! 別に悪気があって言ったわけじゃないんだよ!」
耳を塞ぎながら謝ると一層鈴の音が激しくなった。
謝ったというのに訳がわからない。
音が鳴り止んだのは数分経ってからだった。
徐々に勢いのなくなった鈴の音は断末魔のようにチリン……チリン……と力なく鳴ってから動きを止める。鳴らし続けるのに疲れたのだろうか。だとしたら幽霊にも体力の概念があるのか……?
なんにしても、食べ物の話題は気を付けることにしようと誓った。外でこれをやられたら堪ったものではない。
残った甘煮をおかずに朝食を取ってから身支度を整える。
着替えている時、時折鈴が鳴って姉が同じところにいるのだと知ったのがとても嫌だった。
「んじゃ、まずはどの辺りから探そうか」
靴を履きながら言うと、玄関に置いてあるメモ帳が千切られて一緒においてあったボールペンが動く。
『ケーキ屋さん』
「ケーキ屋? そこで何かあったの?」
鈴がチリンと二回鳴った。肯定の返事だ。
僕は頷くと外に出てケーキ屋に向かった。
ケーキ屋は街の山側と海側の境目ぐらいにあって、家から歩いてもそこまで時間はかからない場所にあった。
生前の姉はこのケーキ屋が大のお気に入りで、良い事や悪い事。情緒に何かしらの変化があればメンタルリセットを兼ねてケーキを買っていた。(主に僕が)
こう言えば特別の日に食べるご褒美みたいに聞こえるが、実際のところ姉は情緒不安定で、大体毎日つまらない理由で泣いたり笑ったりして平静を取り乱していた。
つまりほぼ毎日のようにケーキを買いに出かけていたのだ。
人付き合いが苦手で外に出たがらない姉だったが、そんな彼女が唯一常連になったお店だ。確かに何かしらの手がかりが紛れているかもしれない。
車を嫌って裏路地に入る。
大通りから一本横に外れると車の音は殆ど聞こえなくなり、乱雑に建てられた住居のせいで迷路みたいになった細道が続いていた。
住民のほとんどは老人で畑に出ているから家に帰ってくる夕方以外は人の気配が全く無くて、寂れた街並みはまるでゴーストタウンを歩いているみたいな気分にさせる。
だがそれも平穏を好む僕や人見知りな姉にとってはとても居心地が良く、ケーキ屋に向かう時は大体このルートを使っていた。
見知った道を歩いていると鈴がチリンと音を出した。腰に吊り下げているから歩いた拍子に音が出たのかと思ったが、歩くリズムと音が一致しない。
鈴に目を通すとぶら下がった鈴は不自然な軌道で動いてリズムよく音を鳴らしていた。
「姉ちゃん、何してんの」
チリン。
呟くと鈴が一回鳴った。
「いや、明らかに姉ちゃんが鳴らしてるだろ。ほら、僕の身体は動いてるのに鈴が微動だにしてないし。手に握りこんでるだろ」
チリン。
あまりに不自然な鈴の挙動に関与していないと否定を続ける。
何を意固地になっているのか。面倒なのでこれ以上追及しない事にすると、再び鈴がリズムよく鳴り始めた。
アップテンポの楽しそうなリズム。もしかしてケーキ屋に向かうのが楽しみなのだろうか?
「……言っとくけど、ケーキは買わないよ」
一応念押ししておこうと言うと『ヂリンッ』と調子の乱れた音を鳴らして鈴が止まる。
やっぱり、ケーキを買ってもらうつもりだったのか。
「犯人探しに出かけたんだから我慢しなよ」
落ち込んでいるだろう姉をなだめるように言う。理解したのか思った通りに落ち込んでいるのか、鈴は鳴らなかった。
住宅地と商業地の境界線にさしかかり道路が大きくなっていく。車の通りも多くなり環境音が賑やかになってくるとケーキ屋が見えてくる。
漆黒の塗装で外観を包んだ建物にオレンジの日よけがアクセントになっていて遠くからでもよくわかる。
入口の横には展示用のショーケースが配置されていて今日お店に出しているケーキがライトアップされて並んでいた。
ライトを反射して光るケーキは装飾品のようでどれもこれも綺麗だ。
前になぜ艶があるのか疑問に思って聞いたことがある。ナパージュという技法らしく、ゼラチンなどの透明感があるものを表面に塗りつけてツヤを出しているらしい。それだけでこんなに綺麗になるのだから凄いものだ。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる