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スパダリ・・・?

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相良さがら 大和やまとは、脳外科の先輩医師だ。

黒髪短髪で硬派なワイルド系だが、爽やかな笑顔と誠実で落ち着いた雰囲気から、患者だけでなく同僚の医師や看護師からも人気が高い。


仕事熱心で、体力もある。

どんな仕事も断らず、他の医師たちなら看護師に投げてしまうような面倒な雑事も自ら率先して行う。
医師にありがちな、偉そうな態度やイラついた態度をとるようなこともなく、どんなに忙しくてもいつも余裕の微笑みを無くさない。
長時間の大手術の後でも、いつも彼は爽やかだった。



「スパダリって、相良先生みたいな人のことを言うんすね、きっと。」

「スパダリ・・・?」

俺の外来を担当してくれている看護師の一人、久我原くがはら 太智たいちは情報通で人懐っこいムードメーカー。
医師に対しても臆することなく、グイグイ話しかけてくる。


「脳外科医って気難しい人、多いじゃないですか。」

「・・・それは俺のことを言っているのかな?」

「違いますよ。王寺先生は分かりやすくて、接しやすいお医者さんです。」


あはは、と笑い飛ばす彼は、肝が据わっていて遠慮がない。
そこが彼の魅力の一つだった。

ついつい彼の雑談にノッてしまう。


「相良先生はいつも笑顔で、普通の先生なら看護師にやっとけ~って投げる仕事も、俺がやっておくよ、って優しく言ってくれるし、包容力が半端ないんすよ。」

「包容力・・・?」

「この前、亡くなった患者さんのことで俺が泣いてたら、ぎゅって抱きしめてくれて・・・」


そっちの抱擁ほうようかよ!と思わずツッコミを入れそうになった。
久我原はうっとりとした目で、宙を見つめる。


「困ったことがある時は、必ず手を差し伸べてくれるし、どんなに迷惑かけても気にするなって、超絶爽やかな笑顔で言ってくれるんすよ!!」


「へぇ。確かに、優しくていつもニコニコしてるよな。相良先生は。」



先輩医師として、彼はとても付き合いやすい人物だった。
押し付けがましくない自然体で後輩に接する先輩。アドバイスはくれるけれど、自分で考えて答えを出すように自然と導いてくれる。

脳外科に入りたての頃は、よく彼に指導してもらったものだ。





「王寺、今帰りか?」

噂をすれば。
裏の通用口を抜けて外に出るところで、相良先生とバッタリ遭遇した。

「お疲れ様です。ここで一緒になるなんて、珍しいですね。」


外は雨が降っている。

「予報では、晴れでしたよね。今日。」


深くため息を吐くと、相良先生が爽やかな笑顔を俺に向けた。


「車、乗っていくか?送るよ。」


これが大人の余裕の笑顔ってやつか。
彼の自然な誘い方に、俺はなるほどと納得しながら頷いた。



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