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第1章 【始まりはいつも突然!】
第010話 【クエストを受ける前の話し合い】
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4月5日 (日)
今日はサイレンに情けないところを見られてしまったな……
いや、サイクロプスは倒す事が出来たし、生きてるから良いけど普通に恥ずかしい……
幸い武器も防具も壊れていないから良かった。
もし、壊れていたら装備買い直す必要があるけど同じ装備になってしまうから目新しさ無いんだよな。
それに書いている原稿を見ると文字数が多くて紙の量も多くなってきてる。
今更、書き直す訳にもいかないしな……
よし! 今までのは今までのでしゃーないし、これからは文字数にも気を付けて書いていこう!
レベルも上がったし色々気を取り直して頑張っていこう、俺!
貯金額はサイレンと合わせて180000ゴメル!
この前はカッコ悪く情けないところをサイレンに見せてしまったな。
まあ、サイレンは俺を信じてくれるみたいだし、なんだかんだでサイクロプスは倒せたからいいけどさ……
「なあ、本当にこの分配でいいの?」
「ああ……サイクロプスはキミ一人の力で倒したから、キミが多めを貰うのは当たり前だろ……私は宿代を貰えればそれでいい」
「……サイレンが言うのならいいけど」
クエスト報酬で36000を手に入れドロップ品を売った金を合計すれば36480ゴメルになった。その内の20000ゴメルは貯金に回し。4000ゴメルをサイレンが受け取り残りの12480ゴメルは俺の手持ちに入った。
「……取り敢えず、この600ゴメルも貯めておくか」
「……600ゴメルを? 何故?」
「紙とペンとインク代……それでちょうど600ゴメルになるんだ」
「ああ……なるほど……」
こうして、路銀以外でちょくちょく貯めないといざという時に書く物が無いという展開になってしまうのは嫌だからな。
「しばらくは宿代の心配しなくてもいいけど、今日もクエストをやるか」
サイクロプスとの戦いが大変だったとは言え今日は休日じゃない。怪我もポーションを飲んだ事で治ったし、それくらい頑張らないとな。ちなみに新しいクエストが4つ増えてた。
・『白銀の狼』→『シルバー・ファング』1体に16000ゴメル。1体討伐。成功報酬8000ゴメル。
・『厄介な植物の駆除を!』→『テンタクルス・フラワー』1体に3000ゴメル。1体討伐。成功報酬5000ゴメル。
・『あの名前のモンスターを倒して!』→『ツイン・テール』1体に付き4000ゴメル。成功報酬4000ゴメル。
・『あの恐竜を何とか!!』→『ベビー・レックス』1体に付き14000ゴメル。成功報酬10000ゴメル。
「……サイレンはどのクエストがいい?」
「そうだな……そろそろ私も戦いたいからな……レックスの方にするぞ」
「ベビー・レックスか」
レックスって事は小さい頃、兄が図鑑で見たティラノサウルスみたいな感じなのかな。そうなると攻撃方法は突進か噛みつき攻撃だな。下手に噛まれたらそのまま食われかねない。従姉の子供が見たら興奮しそうだな……
「よし、それで行こう」
俺はベビー・レックスのクエストを取った。
サイレンは戦いたがっているし、そろそろ一緒に戦う方法を体験した方がいい。
「あ、すまないがクエストはサイレンが受領してくれない?」
「……わかった」
そして、サイレンがクエストを受領している間に俺は冒険者カードを取り出した。サイクロプスと戦ってレベルが上がったからスキルポイントも入ったんだよな。そのスキルポイントを使う。
「まずは回避スキルだな」
敵の攻撃を避けなければ同じように怯えるかも知れないし攻撃は出来るだけ受けない方がいいに決まっている。そして、剣スキルがレベルアップするにはまだスキルポイントが少ない。代わりにずっと考えていたスキルにポイントを入れる。これでこのスキルはレベルアップして回避スキルのように効力を発揮出来る。
「よし!」
「練人、終わったぞ」
「おう! まあ、今回のクエストは期待してるよ」
「ああ……サイクロプスの時に練人を色々知れたからな……きちんとフォローするさ」
「……お願いします」
くすくすと笑うサイレンを見て頬が赤くなり恥ずかしくなる。やっぱり、女性にあの時の俺を見られるのは恥ずかしいな。
「一応、情けないところをまた見せたら申し訳ないから先に謝っておくよ」
「……それをフォローするのが仲間では無いのか?」
「サイレンを育ててくれた人もそんな感じなのかな?」
「……ん?」
「いや……サイレンは怒らずに誉めて伸ばすタイプに見えたからそうじゃないかなと思ってさ」
「……そうだな……生きていく上で基本的な事は義母は厳しかったと思う」
「基本的な事? もしかして書けなかったら恥ずかしい文字の練習や簡単な計算とか?」
「……練人もそうなのか?」
「まあね……小さい頃は九九出来なかったらリビングに入らせてもらえなかったよ」
「そうそう……漢字が出来なかったら怒ったり基本的な事は徹底的に叩き込まれた」
「ははっ、そのお陰で簡単な計算や文字をミスらなくなって恥ずかしい思いをしなくて済んだから良いけどさ」
「なんだ……練人も私と同じように苦労したのか」
「ただトップを取れとか言われなかったな」
書道も厳しかったけど、基本的に自由だった。母さん曰く別に上の大学とか行かなくても良いからせめて名前の知っている大学くらいは行っておけと言われてた。
「そうなのか?」
「サイレンは違う?」
「……いや、好奇心は強い方だ……基本的な事が出来るようになってからは勉強等は自分から進んでやるようになった」
「それは凄い」
俺も色々読んでいるけど、興味の無い事はとことんだったからな。
「……サイレン」
「ん?」
「もしかして虫とか苦手だったり?」
「……確かに、虫を嫌がる女冒険者はいるが……生憎、そう可愛い女では無いな」
「それは頼もしい」
「……逆に練人は大丈夫なのか?」
「割と平気……いや、まあ……同じ小さい頃に先生に目の前でゴ……黒いGを踏み潰す瞬間を見て中身が飛び出たところを見たから潰すのは嫌だけどね……虫は割と平気……カマキリの捕食シーンは中々にグロいけど」
実は親友にカマキリを飼ってみろよと言われて飼った事がある。カマキリの餌が他の虫だと言うのを知ってたから適当に捕まえて食べさせていたが、その際に虫の体液が緑色であると知ってもう飼いたくないと思ってる。
普通の羊とかいるから小さな昆虫くらいいるでしょ、多分。
「……まあ、実際に出会った時に判断するか」
「あっ、カブトムシは大好きだよ」
「……男はみんな好きだな、そういう虫は」
だって、カブトムシはカッコイイじゃん。ヘラクレスオオカブトとかコーカサスオオカブトがいるけど、俺は日本のカブトムシ派だ。
「鳴く虫も好きだよ。コオロギとか」
夏休みの自由研究のためにコオロギの世話をしたから詳しいのだ。コオロギは共食いをする事を知らなかったからたくさん入れて結構食われたが従姉の助言のお陰でかつお節とか専用の餌を入れるようにした。
「サイレンはどう?」
「……そうだな……カブトムシなら私も嫌いではない」
「それはよかった」
どうやら、この世界でも普通の大きさのカブトムシがいるようだ。いや、まあ、大きいカブトムシもそれはそれで見てみたい。敵意とか無ければ会ってみたい気持ちもある。
それにしても少し意外だ。出会った当初はサイレンは無口であまりしゃべらない人だと思っていたが、こっちからしゃべると案外返事してくれる。
「人間って、そう簡単にわかるものじゃない……か」
「……ん? 何か言ったのか?」
「いや、何も~……ただ、俺の事を知ってくれて嬉しいし、サイレンの事を知れたなと」
「そうか……」
「さて、ベビー・レックスは草原で狩りする場合が多いからな……気を引き締めるか」
「おう……下手したら俺がベビー・レックスの餌になりかねないからな」
「人間の場合はおやつにすらなれないだろうがな」
「ですよね!」
この世界にビックコッコがいる時点でそんな気がしてた。あのモンスターは餌としては優秀過ぎるんだ。
今日はサイレンに情けないところを見られてしまったな……
いや、サイクロプスは倒す事が出来たし、生きてるから良いけど普通に恥ずかしい……
幸い武器も防具も壊れていないから良かった。
もし、壊れていたら装備買い直す必要があるけど同じ装備になってしまうから目新しさ無いんだよな。
それに書いている原稿を見ると文字数が多くて紙の量も多くなってきてる。
今更、書き直す訳にもいかないしな……
よし! 今までのは今までのでしゃーないし、これからは文字数にも気を付けて書いていこう!
レベルも上がったし色々気を取り直して頑張っていこう、俺!
貯金額はサイレンと合わせて180000ゴメル!
この前はカッコ悪く情けないところをサイレンに見せてしまったな。
まあ、サイレンは俺を信じてくれるみたいだし、なんだかんだでサイクロプスは倒せたからいいけどさ……
「なあ、本当にこの分配でいいの?」
「ああ……サイクロプスはキミ一人の力で倒したから、キミが多めを貰うのは当たり前だろ……私は宿代を貰えればそれでいい」
「……サイレンが言うのならいいけど」
クエスト報酬で36000を手に入れドロップ品を売った金を合計すれば36480ゴメルになった。その内の20000ゴメルは貯金に回し。4000ゴメルをサイレンが受け取り残りの12480ゴメルは俺の手持ちに入った。
「……取り敢えず、この600ゴメルも貯めておくか」
「……600ゴメルを? 何故?」
「紙とペンとインク代……それでちょうど600ゴメルになるんだ」
「ああ……なるほど……」
こうして、路銀以外でちょくちょく貯めないといざという時に書く物が無いという展開になってしまうのは嫌だからな。
「しばらくは宿代の心配しなくてもいいけど、今日もクエストをやるか」
サイクロプスとの戦いが大変だったとは言え今日は休日じゃない。怪我もポーションを飲んだ事で治ったし、それくらい頑張らないとな。ちなみに新しいクエストが4つ増えてた。
・『白銀の狼』→『シルバー・ファング』1体に16000ゴメル。1体討伐。成功報酬8000ゴメル。
・『厄介な植物の駆除を!』→『テンタクルス・フラワー』1体に3000ゴメル。1体討伐。成功報酬5000ゴメル。
・『あの名前のモンスターを倒して!』→『ツイン・テール』1体に付き4000ゴメル。成功報酬4000ゴメル。
・『あの恐竜を何とか!!』→『ベビー・レックス』1体に付き14000ゴメル。成功報酬10000ゴメル。
「……サイレンはどのクエストがいい?」
「そうだな……そろそろ私も戦いたいからな……レックスの方にするぞ」
「ベビー・レックスか」
レックスって事は小さい頃、兄が図鑑で見たティラノサウルスみたいな感じなのかな。そうなると攻撃方法は突進か噛みつき攻撃だな。下手に噛まれたらそのまま食われかねない。従姉の子供が見たら興奮しそうだな……
「よし、それで行こう」
俺はベビー・レックスのクエストを取った。
サイレンは戦いたがっているし、そろそろ一緒に戦う方法を体験した方がいい。
「あ、すまないがクエストはサイレンが受領してくれない?」
「……わかった」
そして、サイレンがクエストを受領している間に俺は冒険者カードを取り出した。サイクロプスと戦ってレベルが上がったからスキルポイントも入ったんだよな。そのスキルポイントを使う。
「まずは回避スキルだな」
敵の攻撃を避けなければ同じように怯えるかも知れないし攻撃は出来るだけ受けない方がいいに決まっている。そして、剣スキルがレベルアップするにはまだスキルポイントが少ない。代わりにずっと考えていたスキルにポイントを入れる。これでこのスキルはレベルアップして回避スキルのように効力を発揮出来る。
「よし!」
「練人、終わったぞ」
「おう! まあ、今回のクエストは期待してるよ」
「ああ……サイクロプスの時に練人を色々知れたからな……きちんとフォローするさ」
「……お願いします」
くすくすと笑うサイレンを見て頬が赤くなり恥ずかしくなる。やっぱり、女性にあの時の俺を見られるのは恥ずかしいな。
「一応、情けないところをまた見せたら申し訳ないから先に謝っておくよ」
「……それをフォローするのが仲間では無いのか?」
「サイレンを育ててくれた人もそんな感じなのかな?」
「……ん?」
「いや……サイレンは怒らずに誉めて伸ばすタイプに見えたからそうじゃないかなと思ってさ」
「……そうだな……生きていく上で基本的な事は義母は厳しかったと思う」
「基本的な事? もしかして書けなかったら恥ずかしい文字の練習や簡単な計算とか?」
「……練人もそうなのか?」
「まあね……小さい頃は九九出来なかったらリビングに入らせてもらえなかったよ」
「そうそう……漢字が出来なかったら怒ったり基本的な事は徹底的に叩き込まれた」
「ははっ、そのお陰で簡単な計算や文字をミスらなくなって恥ずかしい思いをしなくて済んだから良いけどさ」
「なんだ……練人も私と同じように苦労したのか」
「ただトップを取れとか言われなかったな」
書道も厳しかったけど、基本的に自由だった。母さん曰く別に上の大学とか行かなくても良いからせめて名前の知っている大学くらいは行っておけと言われてた。
「そうなのか?」
「サイレンは違う?」
「……いや、好奇心は強い方だ……基本的な事が出来るようになってからは勉強等は自分から進んでやるようになった」
「それは凄い」
俺も色々読んでいるけど、興味の無い事はとことんだったからな。
「……サイレン」
「ん?」
「もしかして虫とか苦手だったり?」
「……確かに、虫を嫌がる女冒険者はいるが……生憎、そう可愛い女では無いな」
「それは頼もしい」
「……逆に練人は大丈夫なのか?」
「割と平気……いや、まあ……同じ小さい頃に先生に目の前でゴ……黒いGを踏み潰す瞬間を見て中身が飛び出たところを見たから潰すのは嫌だけどね……虫は割と平気……カマキリの捕食シーンは中々にグロいけど」
実は親友にカマキリを飼ってみろよと言われて飼った事がある。カマキリの餌が他の虫だと言うのを知ってたから適当に捕まえて食べさせていたが、その際に虫の体液が緑色であると知ってもう飼いたくないと思ってる。
普通の羊とかいるから小さな昆虫くらいいるでしょ、多分。
「……まあ、実際に出会った時に判断するか」
「あっ、カブトムシは大好きだよ」
「……男はみんな好きだな、そういう虫は」
だって、カブトムシはカッコイイじゃん。ヘラクレスオオカブトとかコーカサスオオカブトがいるけど、俺は日本のカブトムシ派だ。
「鳴く虫も好きだよ。コオロギとか」
夏休みの自由研究のためにコオロギの世話をしたから詳しいのだ。コオロギは共食いをする事を知らなかったからたくさん入れて結構食われたが従姉の助言のお陰でかつお節とか専用の餌を入れるようにした。
「サイレンはどう?」
「……そうだな……カブトムシなら私も嫌いではない」
「それはよかった」
どうやら、この世界でも普通の大きさのカブトムシがいるようだ。いや、まあ、大きいカブトムシもそれはそれで見てみたい。敵意とか無ければ会ってみたい気持ちもある。
それにしても少し意外だ。出会った当初はサイレンは無口であまりしゃべらない人だと思っていたが、こっちからしゃべると案外返事してくれる。
「人間って、そう簡単にわかるものじゃない……か」
「……ん? 何か言ったのか?」
「いや、何も~……ただ、俺の事を知ってくれて嬉しいし、サイレンの事を知れたなと」
「そうか……」
「さて、ベビー・レックスは草原で狩りする場合が多いからな……気を引き締めるか」
「おう……下手したら俺がベビー・レックスの餌になりかねないからな」
「人間の場合はおやつにすらなれないだろうがな」
「ですよね!」
この世界にビックコッコがいる時点でそんな気がしてた。あのモンスターは餌としては優秀過ぎるんだ。
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