上 下
219 / 295
イシス王国&ドルイド王国編

それぞれの夜

しおりを挟む
【ドルイド城 謁見の間】
玉座に座り複雑な表情を浮かべる王と、彼の横に連れ添う小町は誰が見ても狼狽(ろうばい)していた

「なるほどな…何が起こったかは分かった…分かったが、非常に理解に苦しむ内容だな…」

「魔獣マルバァスの復活は、コチラでも察知出来ていました。ですが…同郷のよしみで【消去の魔女】を召喚。彼女を召喚する男をひと目見ようと付いてきた【渇望の魔女】に【不死の魔女】
それで、不死の魔女抜きの2人の魔女が弄ぶようにマルバァスを討伐。加えて開いたGATEから溢れた魔界の魔獣を掃討。そして封印を施してくれましたか…」

小町は聞かされた事を口に出す事で、自分の理解を追いつかせようとしていた

「よりにもよって我が国の責任下にあるGATEの封印の事で魔族側に…それもNo1とNo2の魔女に借りを作られてしまうとは…それにしても、歴代最強と言われるドレイクとミンクだけでは、到底太刀打ち出来なかったマルバァスか…
同行してくれた者達よ、ドルイド国王として礼を言う。特にハイエルフのカルーアよ、其方には何か恩賞を与えたい。少し考えるので、しばらく時間を欲しい」

カルーアはその功績を国王に讃えられた

「流石はカルーアお姉様ですの!妹として鼻が高いですの♪」

「わたしは、やれるだけの事をやったまでだよ…そんなに褒められると照れ臭いから(汗)」

「アタシもカルーアを担いで、必死に走って頑張ったもん!褒めてよぉ…」

次女を讃える末っ子と照れる次女、妹の活躍は嬉しいが姉として少し悔しい長女だった



【馬舎】
「お留守番させてゴメンねぇ」
 

「WAON!」 

ご主人様であるアリスと数日ぶりの再会にシッポを振って、大喜びしている狼のハイラに食堂から貰ってきたエサを与えるアリス

「今回は、本当に危険だったから連れて行けなかったけど…家に帰ったらいっぱい遊ぼうねぇ」

「WAON♪」 

しばらくハイラの頭を撫でてあげたアリスは、自分も食事を摂る為に食堂へと向かった



【食堂】
国王と小町は彼等の功績を労い大食堂で豪華な食事を振る舞おうとしたが…参加した者達。特にフレメイル兄妹とカルーアは魔女達から回復してもらったとは言え、精神的にもかなり疲れているので、兵士達の食堂を貸し切って食事をさせてもらう事にした

「なぁアドルよ、明日には出ていくのか?」

「えぇ、イシスにはリリアを待たせていますから」

ドレイクは結局、復活してしまったマルバァス討伐の為にみんなに迷惑をかけてしまったので、全員にゆっくり休んでいって欲しいようだ

「俺も療養させる為に置いてきた、ミントスが待ってるから早めにイシス王国に行かないと……ん?あれ?」

「どうした優輝、お腹痛いのか?」

「だから、ちげーよ!」

優輝は何か違和感を感じていたのだが、ミクイは相変わらず彼をからかって楽しんでいる

「そうだよ!アドルさん、貴方の記憶がまだじゃないですか!」

「あっ!」

言われて全員が思い出した
本人も含めて全員がスッカリ忘れていたようだ。それ程に古の獣神マルバァスの呆れる程の強さと、ソレを手玉にとった魔女達の異次元な強さによる戦闘に、ケイベイス洞窟を訪れた当初の目的をスッカリ忘れていた

「どうしよぉ、アドル?」

馬舎から戻り合流していたアリスは、アドルの望む記憶回復の手立てが無くなった事を純粋に気遣っている。そんな彼女を見たアドルは…

「いや、もう良いんだ…回復しようと努力はしたんだ。その上での結果だから仕方ないよ。それに、カルーアちゃんを担いで必死に駆け回るアリスの姿を、遠くから眺めている事しか出来なかった自分が許せないんだ
アリスを守れる、もっと強い男になりたいから…失った過去の記憶なんて些細な事なんだよ」

「アドルぅ…」

アリスは嬉しさのあまりアドルに抱きついた

「そうだよっ!」

突然にカルーアが立ち上がった

「わたしは早く国に帰りたかったんだ!予想以上の長旅になっちゃったからね…兄さん成分が不足しちゃってるんだよっ!」

今回の激闘がカルーアを精神的に少し成長させていた。以前の彼女はそういう類いの内容を人前では言えなかったのだが、ヒイロとあまりにも長く会っていない事もあって口に出す事が出来た。彼女も早い出発を望んだ



【その夜】
アリスはアドルと同じ部屋で寝る事になった。ハイラもベッドの脇で毛布にくるまっている

「獣神の復活なんて事は次は滅多に無いだろうけど…次こそはボクも同じ場所で戦えるように磨きをかけるからね」

「うん、信じてるぅ」

大きなベッドの中で、アドルとアリスは2人とも全裸で抱きしめあっている

「ねぇ…しちゃう?」

アリスは色気のある誘い方が出来るほど、経験も積んでないし純粋な性格なので出来そうにないが…逆にアリスのそんな飾らない誘い方が、今日は早く寝ようとしていたアドルに火を付けた!

「明日は出発だから、今夜は軽めにしておこうか?」

「うん、大好きだよぉ♪」

2人の寝ているベッドはギシギシ音を立てた。それに紛れてアリスの「アンアン」な声も混じっていた



【隣の部屋】
「(*´艸`*)♡あはっ!アリスお姉様ったら、始めてしまいましたですの♪」

「まさか…サーシャもやりたい!とか言わないよね?わたし達は…特にわたしは肉体派じゃないしマルバァスと戦って疲れてるから…」

カルーアは、あんな事があった後でも手を出して来かねないサーシャに釘を刺そうとしたのだが…

「もちろん!手を出したいのは山々なのですけど……ちょっとミクイさん!どうしてサーシャ達の部屋に…しかも布団の中に潜り込んでますのっ!?」
 

「ん!ミクイは…サーシャちゃん成分が不足すると、動けないから…ね?」

サーシャが入ってる布団をめくると…アサシンのミクイがそう言いながら出てきたのだが…彼女は布団の中でサーシャの下半身を脱がせていた

「ちょっとっ!止めてくださいですの!お姉さま、助けて欲しいですの!」

「…あのね。わたしも何度もやめて欲しい!ってサーシャに言ったよね?そん時、サーシャはどうしたっけ?」

サーシャの顔を覗き込むカルーア。返答に困り苦笑いするサーシャ。彼女が目を逸らした隙に笑顔を浮かべ頬に口付けするカルーア

「うひょー!お、お姉様の方からKissをぉ!」

興奮するサーシャ。カルーアにKissされた事を喜ぶ彼女に嫉妬したミクイは、サーシャの上着の中に手を突っ込んだ

「あぁん!もう、サーシャはカルーアお姉様と2人っきりの甘い夜を過ごしたいんですの!」



【別の部屋】
「………良いなぁ、みんな賑やかで楽しそうだなぁ…なのにさぁ…どうして俺だけ1人で寝るんだよ…チクショォ…」

異世界勇者の優輝だけが、1人で寂しい夜を過ごしていた……頑張れw



続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

【R18】突然召喚されて、たくさん吸われました。

茉莉
恋愛
【R18】突然召喚されて巫女姫と呼ばれ、たっぷりと体を弄られてしまうお話。

憧れの童顔巨乳家庭教師といちゃいちゃラブラブにセックスするのは最高に気持ちいい

suna
恋愛
僕の家庭教師は完璧なひとだ。 かわいいと美しいだったらかわいい寄り。 美女か美少女だったら美少女寄り。 明るく元気と知的で真面目だったら後者。 お嬢様という言葉が彼女以上に似合う人間を僕はこれまて見たことがないような女性。 そのうえ、服の上からでもわかる圧倒的な巨乳。 そんな憧れの家庭教師・・・遠野栞といちゃいちゃラブラブにセックスをするだけの話。 ヒロインは丁寧語・敬語、年上家庭教師、お嬢様、ドMなどの属性・要素があります。

処理中です...