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しおりを挟むテスト返却も終わり、学園のムードは解放感に包まれていた。
答案用紙片手に答えを確認しあう生徒たち。
自習ということもあり、授業中なのに賑やかな教室で「ヨッシ!!」と大袈裟なガッツポーズを決めるカイル。
「おっ、カイル結果良かったのか?」
声を掛けてきたクラスメイトにおうよ!とばかりに誇らしげに答案が掲げられた。
32点……。
真っ赤な文字で描かれたその点数は確かに赤点の30点はクリアしている。
……自信満々に掲げる点数でもないと思うが。
ちらほらとテストの答えを聞きに来るクラスメイトたちと話をしつつ、こっそりと欠伸を噛み殺す。
夏休み前のこの次期、授業はほぼテスト返却と自習だけ。
その為だけに登校するのは正直ちょっと面倒くさい。
どうせなら短縮すればいいのに……。
昼休み、2限の担当がチャイムの前に授業を終わらせてくれたこともあって早めに学食に到着した。
折角なのでといつもは混んでいてあまり並ばない系に手を出してみた。
肉料理中心のそこで選んだのは牛すね肉のオムビーフシチューランチ。柔らかい大ぶりのすね肉がゴロゴロと入っている。
同じ列でボリューム満点のステーキセットにピラフまで注文したカイルと座ったのは広めの席。
レイヴァンらとよく座る席だ。
今日は特に約束をしていたわけじゃなかったが食堂へと顔を出したレイヴァンたちに立ち上がったカイルが「おーい!」と手を振る。
こういう時は目立つの便利だよな。
「お蔭様でいい結果が出せました」とお礼をいってくれる彼らと昼食を食べていると、レイヴァンがスプーンを動かす手を止めて俺とカイルへと顔を向けた。
「夏休みにラインハルトたちと僕の家の別荘へ行く予定なんです。お二人もご一緒にどうですか?」
「俺らも行っていいんですか?行きます、行きます!いつっすか?」
すぐさま食いついたカイルが早速詳細を聞き出す。
う~ん、その日はたしか……。
「誘ってくれてありがとう。けどごめん。ちょうど予定が入ってるんで私は遠慮するよ」
「ご予定が……」
「日程を変えるか?」
断わりの声を掛ければ、予定を調整しようとしはじめる王子らに慌てて胸の前で手を振った。
俺の都合でみんなの予定をズラすわけにはいかない。
必死に断るが招待してくれたレイヴァンは不満顔だ。
「ごめんね?楽しんでおいで」
宥めるようにサラサラの髪を撫でる。
不満顔のまま頷いたレイヴァンの「では他の機会にでも出掛けましょう」という言葉には笑顔で頷く。約束してたお出かけもしてないし、あのカフェにもまた行きたいっていってたしね。
「うん、楽しみにしてるよ」
それが夏休み二日前のやりとり。
そうして長い夏休みへと突入した。
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