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魂の還る惑星 第七章 Takuru-冬-
第七章 第六話
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ここだ。
『彼はムーシカが「見える」などと言っている……』
共感覚か。
共感覚とは刺激を受けたとき本来の感覚とは別の感覚も生じる現象で、匂いに形を感じたり音に味を感じたりするものである。
おそらく沢口の知り合いは共感覚でムーシカが〝見えた〟のだ。
共感覚は神経経路が分化していく過程で未分化の部分が残ることで生じる現象といわれていて、どの感覚とどの感覚が結びつくかは人によって異なる。
だから沢口の知り合いがムーシカの何(言葉か声か音か)と、視角の何(色か形かそれ以外か)が結びついて、どう見えていたのかは分からない。
それに霧生兄弟の祖母のノートには夫が音楽好きだとは書いてなかった。
つまり妻の前で歌ったり演奏したりしたことはなかったのだ。
でなければ歌が聴こえると打ち明けられたことを何年も忘れていたはずがない。
ムーシカを奏でたことがなかった霧生兄弟の祖父のことを突き止めたということはムーシカと言うよりはムーシコスの声と視角が結びついていたのかもしれない。
ムーシカは音が届かない場所にいても聴こえる。
つまりムーシコスは離れた場所にいる者に届く〝何か〟を発しているのではないだろうか。
キタリステースの演奏が専用の楽器でなければ聴こえないのも他のムーシコスにキタリステースが発している〝何か〟を届かせる増幅器の役割を果たせるのが特定の楽器だけだからかもしれない。
普通の音や地球人の声には他の感覚が結びついてなかったから地球人の中では普通に暮らせたのだろう。
問題は沢口朝子もムーシカが〝見えた〟らしいということだ。
共感覚は遺伝ではないはずだ。
遺伝性のものではないのに親子揃って共感覚になるのかとも思うが、二十三人に一人は共感覚の持ち主とも言われているから、それほど珍しくないのかもしれない。
ただ共感覚は人によって結びつく感覚が違う。
親子で共感覚だったとしても、成長の段階で神経が未分化で残ることで起こる現象だとしたら、どこが分化しないままになるかは違うはずだ。
遺伝とは関係がないのに同じ感覚に結びつくのはかなり稀な気がするが音に色が結びつくのは〝色聴〟といって共感覚の中では一番発生率が高いらしいからムーシコスが共感覚になった場合、ムーシコスが発する〝何か〟が音の一種ならその〝何か〟と視覚が結びつくというのは有り得るのかもしれない。
ムーシカが〝見える〟か……。
グラフェーは絵画や彫刻の惑星だからグラフェーの人間なら、ムーシコスが地球人には聴こえない音楽が聴こえるように、地球人やムーシコスには見えないものが見えるかもしれない。
もし、あのときグラフェーもグラフェーの者達を地球に送っていたとしたら……。
いや、グラフェーのことはとりあえずおいておこう。
ムーシカが〝見えた〟と言うよりムーシコスの声に含まれている〝何か〟が見えたのだとしたら、あれだけ多数のムーシコスを捜し出せたのも納得がいく。
それにムーシコスが見つけられたのにムーソポイオスが分からなかった理由も。
ムーソポイオスもキタリステースも声に含まれてるもの自体は同じで、他のムーシコスに届かせるための方法が違うだけだとしたら見えても区別は付かなかっただろう。
声でムーシコスだということは分かってもムーソポイオスなのかキタリステースなのかまでは判別出来なかったから沢口にムーソポイオスを教えてほしいと頼んだのではないだろうか。
リストにあった椿矢の知り合いは小夜同様、他人の呪詛が聴こえるほどの能力の持ち主だった。
沢口の知り合いは能力が強い者の声ほどよく見えたのかもしれない。
あのリストに雨宮家と霍田家の者の名前は無かった。
仮に沢口の知り合いに見えたのが能力の強いムーシコスの声だったという椿矢の仮説が正しかった場合、その事を雨宮家や霍田家の人間が知ったらどんな反応を示すだろう。
特に雨宮家の者はクレーイス・エコーに選ばれていたのは能力が強いからと自負していたのだからリストに一人も名前が載ってなかったと知ったら相当な衝撃を受けるに違いない。
愕然とする雨宮家や霍田家の連中の顔はさぞ見物だろう。
それにムーシコスとしての自信を粉々に砕かれて打ちひしがれてる姿を見るのは愉快だろうが、両家の連中には関わりたくはないし反応を見るためだけにわざわざ会いに行くなんて御免だから残念ながらダメージを受けているところを見物する機会はないだろう。
まぁ、榎矢は用もないのに会いに来ては突っかかってくるから、そのときスマホに撮ったリストを見せて教えてやれば相当な痛手を受けるに違いない。
榎矢が落ち込んでいるところを見て嘲笑ってやろう。
そうすれば榎矢は両親に報告するはずだし、次に来たときにそれを聞いたときの親のリアクションを話すだろう。
一番反応を知りたかったのは祖父だが生憎他界してしまっている。
まぁ、祖父は自分がクレーイス・エコーから外されたと気付いた時点でエベレストより高かったプライドは粉々になって太平洋プレートの下まで沈み込んだはずだからそれで良しとするしかない。
出来れば面と向かって大笑いしてやりたかったが、それが出来ないのは残念だ。
墓の前で笑ってやってもいいのだが墓参りになど行く気はないから仏壇の前でせせら嗤うことで手を打とう。どうせ家に戻ってきてるのだし。
『彼はムーシカが「見える」などと言っている……』
共感覚か。
共感覚とは刺激を受けたとき本来の感覚とは別の感覚も生じる現象で、匂いに形を感じたり音に味を感じたりするものである。
おそらく沢口の知り合いは共感覚でムーシカが〝見えた〟のだ。
共感覚は神経経路が分化していく過程で未分化の部分が残ることで生じる現象といわれていて、どの感覚とどの感覚が結びつくかは人によって異なる。
だから沢口の知り合いがムーシカの何(言葉か声か音か)と、視角の何(色か形かそれ以外か)が結びついて、どう見えていたのかは分からない。
それに霧生兄弟の祖母のノートには夫が音楽好きだとは書いてなかった。
つまり妻の前で歌ったり演奏したりしたことはなかったのだ。
でなければ歌が聴こえると打ち明けられたことを何年も忘れていたはずがない。
ムーシカを奏でたことがなかった霧生兄弟の祖父のことを突き止めたということはムーシカと言うよりはムーシコスの声と視角が結びついていたのかもしれない。
ムーシカは音が届かない場所にいても聴こえる。
つまりムーシコスは離れた場所にいる者に届く〝何か〟を発しているのではないだろうか。
キタリステースの演奏が専用の楽器でなければ聴こえないのも他のムーシコスにキタリステースが発している〝何か〟を届かせる増幅器の役割を果たせるのが特定の楽器だけだからかもしれない。
普通の音や地球人の声には他の感覚が結びついてなかったから地球人の中では普通に暮らせたのだろう。
問題は沢口朝子もムーシカが〝見えた〟らしいということだ。
共感覚は遺伝ではないはずだ。
遺伝性のものではないのに親子揃って共感覚になるのかとも思うが、二十三人に一人は共感覚の持ち主とも言われているから、それほど珍しくないのかもしれない。
ただ共感覚は人によって結びつく感覚が違う。
親子で共感覚だったとしても、成長の段階で神経が未分化で残ることで起こる現象だとしたら、どこが分化しないままになるかは違うはずだ。
遺伝とは関係がないのに同じ感覚に結びつくのはかなり稀な気がするが音に色が結びつくのは〝色聴〟といって共感覚の中では一番発生率が高いらしいからムーシコスが共感覚になった場合、ムーシコスが発する〝何か〟が音の一種ならその〝何か〟と視覚が結びつくというのは有り得るのかもしれない。
ムーシカが〝見える〟か……。
グラフェーは絵画や彫刻の惑星だからグラフェーの人間なら、ムーシコスが地球人には聴こえない音楽が聴こえるように、地球人やムーシコスには見えないものが見えるかもしれない。
もし、あのときグラフェーもグラフェーの者達を地球に送っていたとしたら……。
いや、グラフェーのことはとりあえずおいておこう。
ムーシカが〝見えた〟と言うよりムーシコスの声に含まれている〝何か〟が見えたのだとしたら、あれだけ多数のムーシコスを捜し出せたのも納得がいく。
それにムーシコスが見つけられたのにムーソポイオスが分からなかった理由も。
ムーソポイオスもキタリステースも声に含まれてるもの自体は同じで、他のムーシコスに届かせるための方法が違うだけだとしたら見えても区別は付かなかっただろう。
声でムーシコスだということは分かってもムーソポイオスなのかキタリステースなのかまでは判別出来なかったから沢口にムーソポイオスを教えてほしいと頼んだのではないだろうか。
リストにあった椿矢の知り合いは小夜同様、他人の呪詛が聴こえるほどの能力の持ち主だった。
沢口の知り合いは能力が強い者の声ほどよく見えたのかもしれない。
あのリストに雨宮家と霍田家の者の名前は無かった。
仮に沢口の知り合いに見えたのが能力の強いムーシコスの声だったという椿矢の仮説が正しかった場合、その事を雨宮家や霍田家の人間が知ったらどんな反応を示すだろう。
特に雨宮家の者はクレーイス・エコーに選ばれていたのは能力が強いからと自負していたのだからリストに一人も名前が載ってなかったと知ったら相当な衝撃を受けるに違いない。
愕然とする雨宮家や霍田家の連中の顔はさぞ見物だろう。
それにムーシコスとしての自信を粉々に砕かれて打ちひしがれてる姿を見るのは愉快だろうが、両家の連中には関わりたくはないし反応を見るためだけにわざわざ会いに行くなんて御免だから残念ながらダメージを受けているところを見物する機会はないだろう。
まぁ、榎矢は用もないのに会いに来ては突っかかってくるから、そのときスマホに撮ったリストを見せて教えてやれば相当な痛手を受けるに違いない。
榎矢が落ち込んでいるところを見て嘲笑ってやろう。
そうすれば榎矢は両親に報告するはずだし、次に来たときにそれを聞いたときの親のリアクションを話すだろう。
一番反応を知りたかったのは祖父だが生憎他界してしまっている。
まぁ、祖父は自分がクレーイス・エコーから外されたと気付いた時点でエベレストより高かったプライドは粉々になって太平洋プレートの下まで沈み込んだはずだからそれで良しとするしかない。
出来れば面と向かって大笑いしてやりたかったが、それが出来ないのは残念だ。
墓の前で笑ってやってもいいのだが墓参りになど行く気はないから仏壇の前でせせら嗤うことで手を打とう。どうせ家に戻ってきてるのだし。
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