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びちゅ、ぢゅる……

粘質性のある唾液を含んだ舌で柔肌を舐め上げ、貪るように何度も吸い付く。

「……」

少し前の夏までは、優しく接してくれていたチームの仲間達が……
化けの皮を剥いだかの如く、恐ろしい形相で僕を犯していく。

ハイジが居なくなった途端、何もかもが変わってしまうなんて……

薄く開いた瞼の隙間から、涙が溢れて視界を滲ませる。


ハ、ハァ、ハァ……

一体、何時になったら終わるんだろう……
小さい頃、扁桃腺が腫れて高熱で寝込んでいた時……ある筈の床が突然消えて、暗闇に落ちる感覚に何度も襲われた事がある。

……あの時の感覚に、似てる。
もう、上も下も、何が本当の感覚なのかも……解らない。


……もう、どうでもいい……

どうせ僕の人生なんて、こんなもんなんだから……

何もかも、壊れちゃえばいいんだ……

そしたらきっと……楽になれるから──


そう諦めようとしているのに。
……何で。

閉じた瞼の裏に、優しい笑顔を向けるハイジが映るんだろう。


「……ぅう″、イくッ!!」

パンッ、パンッ、パンッ、パンッ……
何度も突かれ、上下に揺さぶられる身体。
腹の奥に果てられた後、首筋や鎖骨に舌が這い粘液物に塗れ──刻まれる、儀式の刻印。

「……」

眼の際から、溢れた涙が伝う。






「……太一」

何人目になるんだろう。
次の男が、突っ立ったまま汚れた僕を見下ろす。

「少し、切ってもいいか?」
「……!」

男の台詞に、少し離れた場所で片膝を立てて座っていた太一が男を睨み上げる。

「ちっ。テメェの性癖、糞だな」
「……」
「深くは切るなよ。それから、顔は絶対傷付けんじゃねぇ」
「わかった」

そう答えると、男が僕の上に跨ぐ。

「……」

片手を付き、僕の顔をじっと眺めた後、持っていたハンドタオルで粘液に濡れた僕の胸元を拭く。
そしてそれをポケットに仕舞い、代わりに取り出したものは──


チ、チ、チ、チ、
不穏な音を立てて金属の刃先を伸ばす、工具用カッター。


「……ッ!」


瞬間、硬直する身体。
小刻みに震え、歯がカチカチと鳴る。

それまで麻痺していた感覚が一気に蘇り、桁違いの恐怖が襲う。





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