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湯原は、自分と同じく人型のデルには同じ様に床を柔らかくして内包魔力10を消費した。
ビーとスラビに関しては、デルが通訳してくれた所どのような環境でも変わらないとの事だが、本心から言っているようなので何かをする事は無かった。
水野の方も同じ結果となり、互いに内包魔力を10のみ消費して、人型の眷属分だけの寝床……本来は必要ないらしいのだが、その分を作るだけで作業を終了した。
既に眠りについている猫獣人の二人と眷属達の主である湯原と水野。
一応人型の眷属二人もせっかく作ってくれた床に横になっているのだが、意識は覚醒しており、他の眷属と同じく主の安全を守るべくダンジョン、そしてダンジョン入り口方向に意識を向けてはいる上、眷属同士、互いの感情は直ぐ理解できる。
これほどまでに素晴らしい主に仕える事が出来て嬉しいと言う気持ち以外には何も流れてこないので、必要以上に無駄に気合が入り、風によって少々木の葉が舞う程度でも詳細情報を得ようと動いてしまう程だった。
翌朝……
全員で外に出て朝食をとるのだが、スラエとビーが無駄な動きをしており、レインが通訳してくれた。
「カーリ様、セーギ様。偵察に向かっていたスラエとビーが戻って来るようです」
どれ程の移動速度かは分からないので、どこまでの情報、近隣の村なのか、さらにその先の町なのかは不明だが、異種族の扱いについての情報を得て戻ってきてくれたようだ。
「レインちゃん。スラエちゃん、ビーちゃんもありがとうございます」
水野がお礼を伝えた直後、羽音がかすかに聞こえたと思ったら既に二体が到着していた。
「ではカーリ様、セーギ様。情報を聞きつつお食事に致しましょう」
イーシャとプリマの二人が持ってきた食料が入っている袋から一部の食糧を取り出し、いつの間にか狩っていた魔物と共に属性魔法で軽く炙ったり水に浸したりしつつ調理しながら、レインが通訳をしてくれる。
結果、湯原と水野が危惧していた通り、種族としては同じ見た目の種族が存在しているのだが、人族が住んでいる領域にいる者達はほぼ全てが奴隷、または劣悪な環境で生活していると言う事だった。
逆に人族ではない種族の集落や村では、人族が奴隷として生活しているらしい。
「残念だけど、どっちもどっち……か」
湯原の言葉が全てを表しているのだが、こうなるとデルやレインをそのままの姿で人族のいる場所に向かわせる事は出来ない。
当然イーシャとプリマの二人も含まれる。
そこに、イーシャとプリマの二人からとんでもない提案が有った。
「セーギ様、カーリ様、私達と奴隷契約をしてほしいなの」
「そうなの。それで強制的に他の人の奴隷にならずに済むなの。そうすれば、人の住む場所である程度は自由に活動できるのなの」
現代日本人として忌諱感のある奴隷契約をしろと言ってくる二人の言葉に、思わず眉をしかめて互いを見てしまう湯原と水野。
「我が主。イーシャ様とプリマ様の発言は尤もです。奴隷契約がなされている人物に上書きの奴隷契約をする事は、契約魔法の使い手のレベル差が余程でなければできません。つまり、お二人の安全が確保できるのです。今の私であれば、レベル12の力を100%使った契約魔法が可能ですが……今すぐは不可能です」
イーシャとプリマの二人は、余りにも重傷で体力が無かったために奴隷契約に耐えられないと判断されて、何の契約にも縛られていない状態で引き渡されていた。
しかし、その原因となっている傷の進行や痛みは止められているものの、レベル12の力で行使する契約魔法には耐えられないと判断したデルは、今すぐには出来ないと告げていた。
日本の常識を振りかざしてはこの世界で生存する事が出来ないと嫌でも理解している湯原は、イーシャとプリマの二人に確認する。
「二人は、本当にそれで良いの?奴隷だよ?」
「是非なりたいなの!」
「名前は奴隷かもしれないけど、本当の仲間になれるなの。それで自由に動いて、皆の助けになりたいなの!」
この覚悟を聞いて湯原は水野を見るが、水野も何時のもおっとりとした表情とは一変して、覚悟の視線を湯原に向けて頷いている。
「わかった。二人の気持ち、ありがたく受け取らせてもらうけど……契約を解除したいとき……って、出来るよね?デル」
「もちろんでございます。契約が破棄されるときは、主人として契約した方がその権利を放棄すると宣言して奴隷に血液を垂らすか、我らがお守りしているので有りえない事ではございますが、我が主が死亡した際に契約が解除されます」
「そ、そうか。死ぬつもりはないけど、契約が嫌になったらいつでも言ってくれよ?それが条件だ」
「「はいっ!!なの。でも、絶対にそうはならないなの」」
こうしてこの日の朝食は済んで、各自がダンジョンの周辺の警戒、コアルームの掃除、ビーは湯原に言われた回復薬を作るために必要な自らの巣をコアルームの中に作り始めていた。
二週間後、ビーから液体の入ったコップを二つ渡された湯原は、イーシャとプリマの二人に飲ませると、化膿が徐々に消え去り、奇麗な肌に変化した。
ビーとスラビに関しては、デルが通訳してくれた所どのような環境でも変わらないとの事だが、本心から言っているようなので何かをする事は無かった。
水野の方も同じ結果となり、互いに内包魔力を10のみ消費して、人型の眷属分だけの寝床……本来は必要ないらしいのだが、その分を作るだけで作業を終了した。
既に眠りについている猫獣人の二人と眷属達の主である湯原と水野。
一応人型の眷属二人もせっかく作ってくれた床に横になっているのだが、意識は覚醒しており、他の眷属と同じく主の安全を守るべくダンジョン、そしてダンジョン入り口方向に意識を向けてはいる上、眷属同士、互いの感情は直ぐ理解できる。
これほどまでに素晴らしい主に仕える事が出来て嬉しいと言う気持ち以外には何も流れてこないので、必要以上に無駄に気合が入り、風によって少々木の葉が舞う程度でも詳細情報を得ようと動いてしまう程だった。
翌朝……
全員で外に出て朝食をとるのだが、スラエとビーが無駄な動きをしており、レインが通訳してくれた。
「カーリ様、セーギ様。偵察に向かっていたスラエとビーが戻って来るようです」
どれ程の移動速度かは分からないので、どこまでの情報、近隣の村なのか、さらにその先の町なのかは不明だが、異種族の扱いについての情報を得て戻ってきてくれたようだ。
「レインちゃん。スラエちゃん、ビーちゃんもありがとうございます」
水野がお礼を伝えた直後、羽音がかすかに聞こえたと思ったら既に二体が到着していた。
「ではカーリ様、セーギ様。情報を聞きつつお食事に致しましょう」
イーシャとプリマの二人が持ってきた食料が入っている袋から一部の食糧を取り出し、いつの間にか狩っていた魔物と共に属性魔法で軽く炙ったり水に浸したりしつつ調理しながら、レインが通訳をしてくれる。
結果、湯原と水野が危惧していた通り、種族としては同じ見た目の種族が存在しているのだが、人族が住んでいる領域にいる者達はほぼ全てが奴隷、または劣悪な環境で生活していると言う事だった。
逆に人族ではない種族の集落や村では、人族が奴隷として生活しているらしい。
「残念だけど、どっちもどっち……か」
湯原の言葉が全てを表しているのだが、こうなるとデルやレインをそのままの姿で人族のいる場所に向かわせる事は出来ない。
当然イーシャとプリマの二人も含まれる。
そこに、イーシャとプリマの二人からとんでもない提案が有った。
「セーギ様、カーリ様、私達と奴隷契約をしてほしいなの」
「そうなの。それで強制的に他の人の奴隷にならずに済むなの。そうすれば、人の住む場所である程度は自由に活動できるのなの」
現代日本人として忌諱感のある奴隷契約をしろと言ってくる二人の言葉に、思わず眉をしかめて互いを見てしまう湯原と水野。
「我が主。イーシャ様とプリマ様の発言は尤もです。奴隷契約がなされている人物に上書きの奴隷契約をする事は、契約魔法の使い手のレベル差が余程でなければできません。つまり、お二人の安全が確保できるのです。今の私であれば、レベル12の力を100%使った契約魔法が可能ですが……今すぐは不可能です」
イーシャとプリマの二人は、余りにも重傷で体力が無かったために奴隷契約に耐えられないと判断されて、何の契約にも縛られていない状態で引き渡されていた。
しかし、その原因となっている傷の進行や痛みは止められているものの、レベル12の力で行使する契約魔法には耐えられないと判断したデルは、今すぐには出来ないと告げていた。
日本の常識を振りかざしてはこの世界で生存する事が出来ないと嫌でも理解している湯原は、イーシャとプリマの二人に確認する。
「二人は、本当にそれで良いの?奴隷だよ?」
「是非なりたいなの!」
「名前は奴隷かもしれないけど、本当の仲間になれるなの。それで自由に動いて、皆の助けになりたいなの!」
この覚悟を聞いて湯原は水野を見るが、水野も何時のもおっとりとした表情とは一変して、覚悟の視線を湯原に向けて頷いている。
「わかった。二人の気持ち、ありがたく受け取らせてもらうけど……契約を解除したいとき……って、出来るよね?デル」
「もちろんでございます。契約が破棄されるときは、主人として契約した方がその権利を放棄すると宣言して奴隷に血液を垂らすか、我らがお守りしているので有りえない事ではございますが、我が主が死亡した際に契約が解除されます」
「そ、そうか。死ぬつもりはないけど、契約が嫌になったらいつでも言ってくれよ?それが条件だ」
「「はいっ!!なの。でも、絶対にそうはならないなの」」
こうしてこの日の朝食は済んで、各自がダンジョンの周辺の警戒、コアルームの掃除、ビーは湯原に言われた回復薬を作るために必要な自らの巣をコアルームの中に作り始めていた。
二週間後、ビーから液体の入ったコップを二つ渡された湯原は、イーシャとプリマの二人に飲ませると、化膿が徐々に消え去り、奇麗な肌に変化した。
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