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デルの回答を聞いて、本当に一瞬だけ<淫魔族>がいれば……と思ってしまった湯原だが、こうして必死に自らの知識を伝えてきてくれている眷属達に申し訳ないと思い直す。
実はこの時点で眷属達とマスターとしての二人の信頼関係は成り立っており、<淫魔族>程ではないが、持ち得る知識を積極的に伝えているのだ。
「そうなると……立場がどうかを確認する必要がある訳だな……」
<猫獣人>も眷属召喚画面に有った事を思い出した湯原は、口元に手を置いて考え込むようなしぐさを見せる。
だが、今自分が唯一知っている人族以外の人型種族である<猫獣人>の二人は奴隷と言う環境にいて、年齢も有るのだろうが、完全に捨て駒にされていた。
仮に<属性族>や<魔人族>も同様の扱いが標準だとすると、おいそれと人里に連れて行けない事になる。
ブーン……
そこに、スラエとビーが躍り出る。と言うよりも、スラエがビーに咥えられて前に出た。
咥えられている個体はスラエが分裂した個体であり、ビーもいつの間にか数が増えている…‥のだが、本体は大きな黒目で、子供なのだろうか?新たに出現した個体は目が小さいので、直ぐに見分けはつく。
今回前に躍り出たのは、分裂個体だ。
「成程。二人が調査してきてくれるのか?」
ビーの本体がコクコクと頷き、スラエ本体もピョンピョン跳ねている。
「フフ、二人共無理しちゃダメですよ?」
水野の優しい声を聞くと、あっという間に飛び上がって二体は見えなくなった。
「ところでビー。早速巣を作って回復薬を作ってもらいたいのだが、出来るか?」
「そうですね。チェーちゃんは、イーシャちゃんとプリマちゃんの二人の傷を捕まえて、破壊できますか?」
ビーはコクコク頷くが、チェーは鎖の端部を持ち上げて、申し訳なさそうに横に振っている。
恐らくイーシャとプリマの怪我は、今のチェーのレベルで対応できない程の怪我なのだろう。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます、チェーちゃん。レベルが上がれば、出来る様になるのでしょう?」
鎖を激しく上下に動かすチェーを見て、どこが頭だか分からないが、鎖の先端部分を優しく撫でる水野だ。
「じゃあ、これからダンジョンをより安全に、快適にしていくわけだけど、俺とカーリが全く同じ変化だと、攻略する側も容易になりかねない。基本的な構想だけは共有するにしても、夫々別の育て方をした方が良いと思うんだ」
「某も、それが宜しいかと思います」
「私も賛成です。セーギ様」
二人の人型眷属の明確な肯定の意思を聞いて、水野も決断した。
「わかりました。時々相談に乗ってもらいますけど、頑張ります。レインちゃんも、サポートをお願いしますね?でも、暫くは大きな変化はさせないのですよね?」
またもや奇麗に一礼しているレインを見ながら、湯原は水野の意見に同意する。
「コアルームを変更するのはありだけど、階層を追加するとどうしてもダンジョンの変化に気が付かれる。もう少しレベルを上げて、ダンジョン防衛に必要な内包魔力も溜めないと危なくなるだろうな」
こうして新たな仲間を迎えて、夜になる。
再びダンジョン前に全員が集まっているのだが、どう見ても人と同じ食事ができない<鎖族>や<蜂族>、かろうじてスライムは消化できそうだが、どうするかを悩んでいる湯原と水野。
「我が主。我ら眷属はダンジョンから、ひいてはダンジョンマスターである我が主から養分を頂いておりますので、人族と同じような食事は不要でございます」
「デルの言う通りです。私達は食事や睡眠を必要としませんので、今晩からはイーシャ様とプリマ様もゆっくりとお休みになってください」
嬉しい誤算ではあるのだが、食べられる食事はみんなで楽しくしたいと言う気持ちがあるので、どうしようか悩む。
「そこは分かった。でも、仲間として共に活動したいと思っているから……そうだな、食べる事が出来れば食べて欲しいし、どうしても無理な場合は無理強いするのも違うから強制はしないけど、団らんって言うの?こうして集まる場には参加してほしいな。な?カーリ?」
「はい。皆で仲良くしたいです!」
この二人の言葉を聞いて、イーシャとプリマの二人はもとより、デルやレイン、そして人型ではない眷属のチェー、スラエ、スラビ、ビーでさえも嬉しさで涙が出そうだった。
こうしてこの日の夜は楽しく食事をして、各自がダンジョンに戻る前に内包魔力の使い方を話す。
「俺としては、いくら睡眠が必要ないと言っても、ゆっくりできる環境が大切だと思うんだ。人族のエゴかもしれないけど……もちろんビーとかスラビにとっても住みやすい環境に変えたいと思っている」
「そうですよね。私もそう思います!」
本当に恐縮している態度の眷属をよそに、さっさとコアルームの内装を修正する二人だ。
実はこの時点で眷属達とマスターとしての二人の信頼関係は成り立っており、<淫魔族>程ではないが、持ち得る知識を積極的に伝えているのだ。
「そうなると……立場がどうかを確認する必要がある訳だな……」
<猫獣人>も眷属召喚画面に有った事を思い出した湯原は、口元に手を置いて考え込むようなしぐさを見せる。
だが、今自分が唯一知っている人族以外の人型種族である<猫獣人>の二人は奴隷と言う環境にいて、年齢も有るのだろうが、完全に捨て駒にされていた。
仮に<属性族>や<魔人族>も同様の扱いが標準だとすると、おいそれと人里に連れて行けない事になる。
ブーン……
そこに、スラエとビーが躍り出る。と言うよりも、スラエがビーに咥えられて前に出た。
咥えられている個体はスラエが分裂した個体であり、ビーもいつの間にか数が増えている…‥のだが、本体は大きな黒目で、子供なのだろうか?新たに出現した個体は目が小さいので、直ぐに見分けはつく。
今回前に躍り出たのは、分裂個体だ。
「成程。二人が調査してきてくれるのか?」
ビーの本体がコクコクと頷き、スラエ本体もピョンピョン跳ねている。
「フフ、二人共無理しちゃダメですよ?」
水野の優しい声を聞くと、あっという間に飛び上がって二体は見えなくなった。
「ところでビー。早速巣を作って回復薬を作ってもらいたいのだが、出来るか?」
「そうですね。チェーちゃんは、イーシャちゃんとプリマちゃんの二人の傷を捕まえて、破壊できますか?」
ビーはコクコク頷くが、チェーは鎖の端部を持ち上げて、申し訳なさそうに横に振っている。
恐らくイーシャとプリマの怪我は、今のチェーのレベルで対応できない程の怪我なのだろう。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます、チェーちゃん。レベルが上がれば、出来る様になるのでしょう?」
鎖を激しく上下に動かすチェーを見て、どこが頭だか分からないが、鎖の先端部分を優しく撫でる水野だ。
「じゃあ、これからダンジョンをより安全に、快適にしていくわけだけど、俺とカーリが全く同じ変化だと、攻略する側も容易になりかねない。基本的な構想だけは共有するにしても、夫々別の育て方をした方が良いと思うんだ」
「某も、それが宜しいかと思います」
「私も賛成です。セーギ様」
二人の人型眷属の明確な肯定の意思を聞いて、水野も決断した。
「わかりました。時々相談に乗ってもらいますけど、頑張ります。レインちゃんも、サポートをお願いしますね?でも、暫くは大きな変化はさせないのですよね?」
またもや奇麗に一礼しているレインを見ながら、湯原は水野の意見に同意する。
「コアルームを変更するのはありだけど、階層を追加するとどうしてもダンジョンの変化に気が付かれる。もう少しレベルを上げて、ダンジョン防衛に必要な内包魔力も溜めないと危なくなるだろうな」
こうして新たな仲間を迎えて、夜になる。
再びダンジョン前に全員が集まっているのだが、どう見ても人と同じ食事ができない<鎖族>や<蜂族>、かろうじてスライムは消化できそうだが、どうするかを悩んでいる湯原と水野。
「我が主。我ら眷属はダンジョンから、ひいてはダンジョンマスターである我が主から養分を頂いておりますので、人族と同じような食事は不要でございます」
「デルの言う通りです。私達は食事や睡眠を必要としませんので、今晩からはイーシャ様とプリマ様もゆっくりとお休みになってください」
嬉しい誤算ではあるのだが、食べられる食事はみんなで楽しくしたいと言う気持ちがあるので、どうしようか悩む。
「そこは分かった。でも、仲間として共に活動したいと思っているから……そうだな、食べる事が出来れば食べて欲しいし、どうしても無理な場合は無理強いするのも違うから強制はしないけど、団らんって言うの?こうして集まる場には参加してほしいな。な?カーリ?」
「はい。皆で仲良くしたいです!」
この二人の言葉を聞いて、イーシャとプリマの二人はもとより、デルやレイン、そして人型ではない眷属のチェー、スラエ、スラビ、ビーでさえも嬉しさで涙が出そうだった。
こうしてこの日の夜は楽しく食事をして、各自がダンジョンに戻る前に内包魔力の使い方を話す。
「俺としては、いくら睡眠が必要ないと言っても、ゆっくりできる環境が大切だと思うんだ。人族のエゴかもしれないけど……もちろんビーとかスラビにとっても住みやすい環境に変えたいと思っている」
「そうですよね。私もそう思います!」
本当に恐縮している態度の眷属をよそに、さっさとコアルームの内装を修正する二人だ。
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