吸血鬼公爵に嫁いだ私は血を吸われることもなく、もふもふ堪能しながら溺愛されまくってます

リオール

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第一部

26、吸血鬼と独白(2)

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※ムカつき注意
 
 







 はぁ~い、あたしウェンティ、華の17才!
 ちょっと頭が薄くなってきた父と、いつもお花畑脳の母から生まれた、とってもキュートな女神の化身な奇跡の天使♪な女の子♪

(女神の化身で天使てなんですの)

 あら、なにか声が聞こえた気がするけど、気のせいね♪ちょっとお姉さまの声に似てる気がするけど。

 お姉さまと言えば、私には姉が一人いるんだけどぉ。

 キュートで天使なあたしと姉妹なのに、どうしてあんな酷い姉が存在するのかって思うような、かなり強烈な人なの!

 とにもかくにもケチ!お金にせこい!
 知ってる?あの人の好きなご飯って卵かけごはんなのよ?趣味はお金を数えることだし、財布はがま口だし。
 服は貧相で、同じものをリフォームして着続けてるとか!

 伯爵令嬢なのにもう有り得ないことばっかり!

 そんなんだから胸も貧相なのよ!

 その点私は流行に敏感で、服はいつも最先端、アクセ一つも気を抜かない徹底ぶり!
 美容と健康のために、栄養満点の食事はいつも欠かさないし。
 伯爵令嬢として、ケチな事はしません!がモットーよ!

 ね、私とお姉さま、どちらが魅力あるかなんて、誰でも分かることよね?

 だからレイオンも、ちょっと色仕掛けしただけであっさり釣れちゃったし。
 でも伯爵家なのに、レイオンの家もあんまりお金持ってないのよねえ。

 そんな時に降って湧いたのが、吸血鬼公爵との縁談話!これを逃す手はないわ!とは私とお父さまの一致する意見。

 でも可愛いあたしが吸血鬼の餌食になるなんて有り得ない!我が家の多大なる痛手となるそんなこと、神への冒涜、許されないわ!

 なもんで。

 レイオンと私が出来ちゃってるので~とお父様に進言して、あっさりお姉さまが行くことになったってわけ。

 んもー、私ったら天才!

 案の定、支度金として公爵家から送られてきたお金は、目がクラクラするほどの金額で!
 今まで買えなかった宝石たっくさん買っちゃった♪

 もうケチなお姉さまも居ない事だし、これからは贅沢三昧よー!

 って思ってたのに!なのに!

「え、もうお金がないんですか?」

 父の言葉に驚いて問い返したら。

「そうなんだよねえ。そんな大した物は買ってないはずなのに」

 ため息つきながら父がフキフキしてるのは、昨日買ったばかりという、高級そうな壺。
 そんな悪趣味な物を買ってるからお金が無くなるんじゃないかしら?私のように有意義に使わないと駄目じゃない!

「二人とも、新しいお茶が届いたのよ。飲んでみる?」

 ウキウキと、紅茶の箱を持ってやって来たのは母だ。紅茶は……まあ宝石や壺より安いし、美味しいからいいけど。

 でも二人とも、もっと愛する娘である私のためにお金使ってよね!

 とプンプンしてたら。

 なんか王家からの使いが来たとかでお父様がお城へ行っちゃった。
 こんな弱小伯爵家に何の用なのかしら?
 あーもう、そんなことよりお金よお金!

 あ、そうだ。

 私はいいことを思いついたと、ポンと手を打った。

 お姉さま……まだ生きてるかしら?まあ死んでるだろうけど。
 とにかく公爵家にお金ちょーだいって手紙送ってみようかな?
 お姉さまが生きてたらめっけもんだし、死んでても慰謝料とか何とか言って請求出来るんじゃないかしら。

 我ながらいい事思いついたわあ!
 早速手紙書こうっと♪

 自分の名案に感動すら覚えながら、私は手紙のセットを用意すべくメイドを呼びつけるのだった。








「公爵家にですか?」

 夜。
 城から帰宅した父に呼ばれて部屋に行ってみれば。

「そうなんだ、吸血鬼公爵との婚姻はどうなってるのかと聞かれてね。様子を見てこいと言われたんだ」

 なんでも王家にとって、強大な力をもった吸血鬼公爵は鳥獣用──変な変換されたわね──超重要なんだとか。
 頼まれて嫁候補を差し出したはいいけれど、それから何の音沙汰もないらしい。気に入ってくれたのか気に入らなくて怒ってるのか。

 ビクビクおっかないので、ちょっと様子見てきてや~とか言ってるんだとか。

 音沙汰がないって事は、やっぱりお姉さまはもう天に召されてるのね、チ~ン……

「そうですか、じゃあ頑張って行ってきてくださいね、お父様」
「え、なんで私が行くの?」
「王の命令なんでしょ」
「いや、ウェンティが行ってよ」
「なんでですのん」
「怖いから!」
「私も怖いですわよ!」

 なに言ってんのこのハゲ親父!
 あの姉を殺す程に恐ろしい吸血鬼がいるとこに、可愛い私を送り出すとか、頭おかしいんじゃない!?

「あのね、もしフィーリアラが死んでたら、今度はウェンティがお嫁さんになれるよう頑張って欲しいんだ」
「はあ?」
「とにかく王家としては、確実に次の吸血鬼公爵となる後継者を、つまり子をなして欲しいわけ。姉が駄目なら妹で頑張れって言われちゃったのよ」
「なんですの、それ!」

 ふざけんじゃないわよ!
 なんでこの可愛いあたしが!可愛い天使なあたしが!?

「大丈夫だよ、ウェンティちゃん。きみほど可愛い子を父さまは知らないよ。吸血鬼公爵でもいちころさ」

 その言葉に。
 父の髪をむしり取ろうとした手が止まる。

 ふむ……確かに。

 お姉さまと違って、可愛くてお色気たっぷり胸たっぷりの私なら、どんな男でも落とせる自信ありますわ。
 レイオンだって、ちょっと色仕掛けしたらその日のうちにベッドイン!でしたもの。

 相手は吸血鬼とは言え、所詮は男──しかもお金もたっぷり持っている。

 悪い話じゃあないわね。

 しばし考えた後。

「分かりましたわ、お父さま」

 頷く私に、父はホッとしたように頭を撫でた。もう壺よりそうやって頭を撫でてた方がいいんじゃありません?

 そんな父を見やりながら。
 私は頭の中で、どんなセクシーコーデがいいかしら?と急速に脳内カタログのページをめくるのだった。









===作者の呟き=================

独白その2はまさかのウェンティでした。
こんな女の独白をサラサラっと書いてしまった自分の闇が怖い(苦笑
朝っぱらからムカつく話でごめんなさい(汗


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