吸血鬼公爵に嫁いだ私は血を吸われることもなく、もふもふ堪能しながら溺愛されまくってます

リオール

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第一部

2、吸血鬼と婚約破棄された令嬢(2)

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「お父様とお母様はご存知だったのですか!?」

 あまりに平然とラブシーンを見ていたので、何となく返事は予想出来るけど!
 それでも聞いておきたい。
 親としてこの状況をどう思ってるのか聞きたい!

「え、勿論知ってたよ」
「軽いな!」

 サラッと言うな!軽いな!

「ウェンティちゃんったら、毎日のようにレイオンの話をするんですもの。本当に好きで好きで仕方ないみたいなのよねえ」

 頬に手を当てて話す母は頬をなぜか染めていた。照れてんじゃねーよ。

「ごめんね、フィーリアラ」

 そこで初めてレイオンが口を開いた。
 あまりに喋らないから、口が死んでるのかと思ったわ。

「君のことが嫌いになったわけじゃないんだ。ただ……僕は真実の愛を見つけてしまったんだ」

 さぶっ。
 なんか頬を染めてさっぶいこと言ってる人がいますよー。

 何が真実の愛じゃあ!
 そんなもん見つける暇があったら、もっと家のこと考えんかい!

 私は知っている。
 レイオンの実家も結構ヤバイってことを。

 ヤバイ家同士がくっついたら……そりゃあ悲惨なヤバさになるよねえ。

 つまり私は──

 い・け・に・え

 生贄、ですねー!

「で、どなたのところに嫁げと?」

 問題はそこだ。
 こんな傾いた伯爵家。それでも伯爵家。

 名前だけが欲しいのだとしたら、子爵家か男爵家か、ともかくも成り上がりのとこだろう。

 どこだ?と最近の貴族勢力図を頭に広げていたら、
「えっとね、ランディ公爵家」
「はへ!?」

 サラッと言われたけど、ビックリしすぎて変な声出てもうたわ!

「こここ、公爵家!?」
「お姉さま、鶏になってますわよ」

 そこうるさい。
 ちょっと黙れ、ビッチ娘。

 落ち着け私。

 公爵家、公爵家……なんで公爵家なんだ?

 うちに魅力など無いはずなのに、何か裏があるかもしれない。

 いや、裏しかないだろう。

 普通貴族の結婚ってのはメリットがあって成される事が大半だ。たまに愛ゆえの結婚もあるけれど──うちの両親がそうだけども!

 少なくとも、うちより位の高い公爵家がうちなんかと縁を結んでも何のメリットもないことだけは分かる。

 仮に傾いてる公爵家だとしても、同じく傾き倒れかけ寸前の我が家に縋る者など居ないはずだ。

 なぜランディ公爵家とやらはウチなんかに……

 そこで、ふと思い出した。

 ん?ちょっと待てよ、ランディ公爵家……ランディ公爵家!?

 そう言えば聞いたことがあるその名前。
 いや、有名すぎるその名前!

「お父様……」
「ん?なんだい、フィーリアラ」

 ゴクリと喉が鳴る。

「あの、ランディ公爵家ってたしか……」
「あ、知ってた?そうそう、あの有名な」

 相変わらずの軽さで、あっけらかんと。

「吸血鬼公爵だよ♪」

 父は言ってのけたのだ。

 ……「予備軍」の文字を削除してやると決意した瞬間だった。



 
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