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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
317【予定は未定編17】三班・副班長隊ルート
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【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
二班長・十班長
『オートで攻撃してるのに、どうして当たらないんだ……!』
フィリップス
「……うん。当たらないものはしょうがない。二班と十班は副班長隊を追いかけて背面攻撃!」
二班長・十班長
『りょ、了解です!』
ハワード
「……二班と十班じゃ無理そうな気がするな」
フィリップス
「うちでも無理そうな気はするけど、まずは三班の班長隊を〝全艦殲滅〟しないと! あっちはちゃんと『連合』してるし!」
ハワード
「確かに、副班長隊のほうは『連合』じゃないな。まるっきりうちだ」
フィリップス
「……うちの隊から『連合』に亡命者が出た設定かな」
ハワード
「やめろぉ! その設定は不穏すぎるぅ!」
***
【パラディン大佐隊・第三班第六号ブリッジ】
副長・ヒルベルト
「本当に、二班と十班だけが反転して攻撃してきましたね。……なぜでしょう?」
エリゴール
「たぶん、フィリップス副長にそう言われたんだろ」
ヒルベルト
「一班長ではないんですね」
エリゴール
「違うな。一班長はもうフィリップス副長にほとんど丸投げしている」
ヒルベルト
「では、フィリップス副長はなぜ二班と十班を?」
エリゴール
「そうだな。頭を使わなくて済むし、失敗しても誰からも咎められない」
ヒルベルト
「頭を使わなくて済む……?」
エリゴール
「わざわざ自分たちの前を通ってくる敵をオートで砲撃するだけだ。その点、うちの班長隊のほうが攻略は難しい。下手に撃ったら〝十一班組〟に当たっちまうかもしれないからな」
ヒルベルト
「なるほど。しかし、うちに一発も当てられないのはおかしくありませんか?」
エリゴール
「……以前、AチームとBチームに分かれて、対抗戦やったのは覚えてるか?」
ヒルベルト
「はい、覚えています。あのときは、うちはBチームで……」
ヒルベルト、何かに気づいた顔をする。
ヒルベルト
「まさか……Aチームが最後にやったあれをまたやったんですか?」
エリゴール
「そう、あれだ。〝一班組〟は一班と大きさをそろえてるからな。二班と十班は頭使わないで真正面だけ撃つと仮定して飛べば、あのときみたいに当てられずに済む」
ヒルベルト
「だから、操縦士に厳密な指定を。確か、二班も十班も、うちと同じBチームでしたね」
エリゴール
「よく覚えてるな」
ヒルベルト
「……いろいろあったので。でも、二班と十班は覚えていなかったんですね」
エリゴール
「覚えていなかったというか、機転がきかないんだろ」
ヒルベルト
「そんなはっきり」
エリゴール
「たぶん、五班と八班なら、真正面以外にも撃ってたな」
ヒルベルト
「……八班もBチームでしたが……?」
エリゴール
「あのときは本気出してなかった。今日はたぶん、あそこがいちばん張り切ってる」
ヒルベルト
「そうですか。うちもかなり張り切ってると思いますが」
エリゴール
「そうだな。張り切ってるな。……どうしてこんなに張り切ってるんだ?」
ヒルベルト
「おそらく、副班長からお褒めの言葉をいただきたいからかと」
エリゴール
「そんなもんでいいのか」
ヒルベルト
「そんなもんでって……」
オペレータ
「副班長! 二班と十班が〝一班組〟から離脱! 〝縦走り〟でうちを追いかけてきています!」
エリゴール
「〝縦走り〟……うちを挟撃するつもりか」
ヒルベルト
「どうします?」
エリゴール
「それは逃げるしかないな。うちの標的はあくまで〈フラガラック〉だ。とはいえ、実際には〈フラガラック〉はいないわけだしな。……そういえば、四班をボコボコにした十一班は今なにしてる?」
オペレータ
「ええと……十一班の副班長隊のほうですね! ……うわっ! 〝十一班組〟には戻らず、こちらに向かってきています!」
エリゴール
「そうか。副班長隊をそう使うか」
ヒルベルト
「副班長は不満そうですね」
エリゴール
「そうだな。俺だったら四班ボコるのに、十一班の副班長隊は使わないな。せっかく隣に六班がいるんだ、あいつら行かせりゃもっと早く片をつけられただろ」
ヒルベルト
「六班……! 確かに……!」
エリゴール
「六班だけじゃない。今日は七班も九班も手隙だ」
ヒルベルト
「手隙……まあ、そうですね」
エリゴール
「十一班の第一の仕事は大佐の護衛。護衛が護衛対象から離れてどうする? ……よし。うちの最終目標は十一班の副班長隊殲滅! こちらが停止する前に、あいつらだけは全艦停止させる!」
クルーたち
「了解!」
ヒルベルト
(副班長はこんな指示もできないといけないのか。……俺には無理だ)
***
【パラディン大佐隊・旗艦〈オートクレール〉ブリッジ】
パラディン
「うーん。最終的には三班も四班も全艦停止させられたけど、十一班の副班長隊も全艦停止させられたね」
モルトヴァン
「三班の副班長隊が十一班の副班長隊を攻撃するとは。まさかの展開でしたね」
パラディン
「そうだな。元四班長なら背後から〈オートクレール〉を撃つくらいのことはすると思ったが」
モルトヴァン
「いや、さすがにそれは」
パラディン
「何はともあれ、次の出撃はこの体制で行くことになりそうだ。……六班・十二班だけでなく、七班・九班も三班の副班長隊に冷静に対処していたしね」
モルトヴァン
「……三班の副班長隊は、アルスター大佐隊の代役もしていたんですか?」
パラディン
「と、私は勝手に思っているがね。正直、今は『連合』よりもアルスター大佐隊のほうが怖い。……私たちの背後で何をしでかすかわからない」
二班長・十班長
『オートで攻撃してるのに、どうして当たらないんだ……!』
フィリップス
「……うん。当たらないものはしょうがない。二班と十班は副班長隊を追いかけて背面攻撃!」
二班長・十班長
『りょ、了解です!』
ハワード
「……二班と十班じゃ無理そうな気がするな」
フィリップス
「うちでも無理そうな気はするけど、まずは三班の班長隊を〝全艦殲滅〟しないと! あっちはちゃんと『連合』してるし!」
ハワード
「確かに、副班長隊のほうは『連合』じゃないな。まるっきりうちだ」
フィリップス
「……うちの隊から『連合』に亡命者が出た設定かな」
ハワード
「やめろぉ! その設定は不穏すぎるぅ!」
***
【パラディン大佐隊・第三班第六号ブリッジ】
副長・ヒルベルト
「本当に、二班と十班だけが反転して攻撃してきましたね。……なぜでしょう?」
エリゴール
「たぶん、フィリップス副長にそう言われたんだろ」
ヒルベルト
「一班長ではないんですね」
エリゴール
「違うな。一班長はもうフィリップス副長にほとんど丸投げしている」
ヒルベルト
「では、フィリップス副長はなぜ二班と十班を?」
エリゴール
「そうだな。頭を使わなくて済むし、失敗しても誰からも咎められない」
ヒルベルト
「頭を使わなくて済む……?」
エリゴール
「わざわざ自分たちの前を通ってくる敵をオートで砲撃するだけだ。その点、うちの班長隊のほうが攻略は難しい。下手に撃ったら〝十一班組〟に当たっちまうかもしれないからな」
ヒルベルト
「なるほど。しかし、うちに一発も当てられないのはおかしくありませんか?」
エリゴール
「……以前、AチームとBチームに分かれて、対抗戦やったのは覚えてるか?」
ヒルベルト
「はい、覚えています。あのときは、うちはBチームで……」
ヒルベルト、何かに気づいた顔をする。
ヒルベルト
「まさか……Aチームが最後にやったあれをまたやったんですか?」
エリゴール
「そう、あれだ。〝一班組〟は一班と大きさをそろえてるからな。二班と十班は頭使わないで真正面だけ撃つと仮定して飛べば、あのときみたいに当てられずに済む」
ヒルベルト
「だから、操縦士に厳密な指定を。確か、二班も十班も、うちと同じBチームでしたね」
エリゴール
「よく覚えてるな」
ヒルベルト
「……いろいろあったので。でも、二班と十班は覚えていなかったんですね」
エリゴール
「覚えていなかったというか、機転がきかないんだろ」
ヒルベルト
「そんなはっきり」
エリゴール
「たぶん、五班と八班なら、真正面以外にも撃ってたな」
ヒルベルト
「……八班もBチームでしたが……?」
エリゴール
「あのときは本気出してなかった。今日はたぶん、あそこがいちばん張り切ってる」
ヒルベルト
「そうですか。うちもかなり張り切ってると思いますが」
エリゴール
「そうだな。張り切ってるな。……どうしてこんなに張り切ってるんだ?」
ヒルベルト
「おそらく、副班長からお褒めの言葉をいただきたいからかと」
エリゴール
「そんなもんでいいのか」
ヒルベルト
「そんなもんでって……」
オペレータ
「副班長! 二班と十班が〝一班組〟から離脱! 〝縦走り〟でうちを追いかけてきています!」
エリゴール
「〝縦走り〟……うちを挟撃するつもりか」
ヒルベルト
「どうします?」
エリゴール
「それは逃げるしかないな。うちの標的はあくまで〈フラガラック〉だ。とはいえ、実際には〈フラガラック〉はいないわけだしな。……そういえば、四班をボコボコにした十一班は今なにしてる?」
オペレータ
「ええと……十一班の副班長隊のほうですね! ……うわっ! 〝十一班組〟には戻らず、こちらに向かってきています!」
エリゴール
「そうか。副班長隊をそう使うか」
ヒルベルト
「副班長は不満そうですね」
エリゴール
「そうだな。俺だったら四班ボコるのに、十一班の副班長隊は使わないな。せっかく隣に六班がいるんだ、あいつら行かせりゃもっと早く片をつけられただろ」
ヒルベルト
「六班……! 確かに……!」
エリゴール
「六班だけじゃない。今日は七班も九班も手隙だ」
ヒルベルト
「手隙……まあ、そうですね」
エリゴール
「十一班の第一の仕事は大佐の護衛。護衛が護衛対象から離れてどうする? ……よし。うちの最終目標は十一班の副班長隊殲滅! こちらが停止する前に、あいつらだけは全艦停止させる!」
クルーたち
「了解!」
ヒルベルト
(副班長はこんな指示もできないといけないのか。……俺には無理だ)
***
【パラディン大佐隊・旗艦〈オートクレール〉ブリッジ】
パラディン
「うーん。最終的には三班も四班も全艦停止させられたけど、十一班の副班長隊も全艦停止させられたね」
モルトヴァン
「三班の副班長隊が十一班の副班長隊を攻撃するとは。まさかの展開でしたね」
パラディン
「そうだな。元四班長なら背後から〈オートクレール〉を撃つくらいのことはすると思ったが」
モルトヴァン
「いや、さすがにそれは」
パラディン
「何はともあれ、次の出撃はこの体制で行くことになりそうだ。……六班・十二班だけでなく、七班・九班も三班の副班長隊に冷静に対処していたしね」
モルトヴァン
「……三班の副班長隊は、アルスター大佐隊の代役もしていたんですか?」
パラディン
「と、私は勝手に思っているがね。正直、今は『連合』よりもアルスター大佐隊のほうが怖い。……私たちの背後で何をしでかすかわからない」
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