上 下
335 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

316【予定は未定編16】三班・班長隊ルート

しおりを挟む
【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ヴァッサゴ
「三班の班長隊だけは、まともに『連合』してるな」

十二班長・ロノウェ
「まあ、そうするように臨時副班長に命令されたんだろうがな。〈オートクレール〉と十一班は四班に集中してるから、こっちは俺らでどうにかしねえと。副班長隊が〝半身〟で迂回しようとしてるせいで〝一班組〟の戦力がほぼ二分されてる。この前みてえに〝全艦殲滅〟は無理だ」

ヴァッサゴ
「あの四班の迂回も、臨時副班長の命令か?」

ロノウェ
「そいつはどうかねえ。臨時班長だったときならともかく、臨時副班長だったら他の班にまで命令はしねえと思うが」

ヴァッサゴ
「まさか……副班長隊のあれは陽動!?」

ザボエス
「さあてな。突破できる確率は、班長隊より副班長隊のほうがたけぇんじゃねえのか?」

ヴァッサゴ
「確かに、あのルートをとられたら、こっちからは撃てない……」

ザボエス
「というわけで、俺らのターゲットは班長隊だ。まともに『連合』してくれるつもりなら、うちと〝無旋回〟の間を突破しようとするはずだが……」

オペレータ
「班長! 三班の班長隊が横列隊形から移動隊形に移行しました!」

ヴァッサゴ
「ちょっとだけ『連合』じゃなくなったな」

ザボエス
「でもまあ、〝半身〟に比べりゃ許容範囲だ。……全艦、〝一班組〟に当たらねえように位置調整! 射程圏入ったらオートで撃ちまくれ!」

十二班員たち
『了解!』

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「うわ! 三班が十二班並みに速い!」

一班長・ハワード
「おまけに、五隻しかいないから余計に当てにくい!」

フィリップス
「うちは砲撃隊形に移行して、背面から三班狙ったほうがいいな! 通信士、通達!」

通信士
「了解!」

ハワード
「……俺、ここにいる必要あるか?」

フィリップス
「必要だよ! ここにいなかったら今日の会議で総括できないだろ!」

ハワード
「そういう必要か!」

 ***

【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】

八班長・ブロック
「今日の『連合』は、みんなでよってたかって背面攻撃するのが最適解じゃないかな」

副長・ウィルスン
「身も蓋もねえな」

ブロック
「でも、三班の班長隊なら、うちでも数を減らせるかもしれない」

ウィルスン
「数を減らす……?」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】

班長代行・クライン
「できるものならこっちも〝半身〟になりたいが、それでは本当に『連合』ではなくなってしまう……くそう! ハミルトン! 前に出るんじゃない!」

副長・ホフマン
「このより速度が出せるなら、いっそ第二号を先頭にしたほうがいいのでは?」

クライン
「くっ! 操縦士……!」

操縦士
「了解! 艦長!」

クルーたち
(うちの副長が意地の悪い姑みたいになってる! 元四班長! 助けて!)

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第二号ブリッジ】

第二号艦長・ハミルトン
「やっぱ、元四班長はすげえよなあ。置くべき場所に置くべき班を置く」

副長
「艦長?」

ハミルトン
「八班だ。八班が護衛隊形横倒しにして、俺らの通過予定ルートの下にいる」

副長
「横倒し? 下?」

ハミルトン
「あの円錐陣形んとき、元マクスウェル大佐隊が使った手だ。……下から俺らの腹を撃つ」

副長
「そ、それなら右舷にルート変更を……!」

ハミルトン
「だから、うちが班長艦より先に出ようとしてるんだろうが。クラインならムキになって抜き返そうとする。でもまあ、これも焼け石に水だ。左舷からは十二班。下からは八班。そして、全班から背面攻撃」

副長
「本当に、割の悪すぎる演習ですね」

ハミルトン
「でも、この前のより全然楽しい。……できたら、副班長隊と合流して〈フラガラック〉を撃ちに行きたかったな」

副長
「できたら、ですか。艦長にしては気弱なことを言いますね」

ハミルトン
「『連合』がそこまで生き延びちゃ駄目だろ。うちの隊的に」

副長
「それは確かに」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「おとっつぁん……〝無旋回〟が〝縦走り〟じゃなくて〝横走り〟したよ……」

一班長・ハワード
「〝横走り〟……それでいいのか?」

フィリップス
「俺もちょっと自信ないから、班長会議のときに〝無旋回〟に訊いてみるわ」

ハワード
「そうしろ。また大佐に名前訊かれたら困るからな」

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

十二班長・ザボエス
「三班・班長隊、全艦停止。……〝無旋回〟、見かけによらずエグいことするな」

ヴァッサゴ
「そうか? どこから撃とうが、攻撃は攻撃だろ」

ザボエス
「……元三班長。身にはつまされねえのか?」

ヴァッサゴ
「もし俺があんな目に遭わされてたら、とっくの昔に退役してる」

ザボエス
「そだな」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】

班長代行・クライン
「元四班長が、俺たちには出撃は早いと言った理由が痛いほどよくわかった……!」

副長・ホフマン
「そうですね。うちにあれは無理ですね」

クライン
「副長……」

ホフマン
「しかし、二班と十班には勝てると思います」

クライン
「副長……! 俺もそう思う……!」

クルーたち
(よかった……他サゲで何とかうまく行きそうだ……)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無冠の皇帝

有喜多亜里
BL
「連邦」、「連合」に次ぐ銀河系内の第三勢力「帝国」。その宗主であった「連合」五星系の一つザイン星系は「帝国」の再植民地化をもくろみ侵攻しようとするも「帝国」宇宙軍と皇帝軍護衛艦隊に阻まれる。「帝国」の元皇太子アーウィンが司令官を務める皇帝軍護衛艦隊の鉄則はただ一つ。〝全艦殲滅〟。――なーんて感じの「なんちゃってSF」。コメディ寄りのボーイズラブ(自称)。大佐(変態だけどまとも)×元皇太子(ツンデレストーカー)。 ◆BOOTH様で同人誌を通販しています。既刊4冊(https://aarikita.booth.pm/)。 ◆表紙はかんたん表紙メーカー様で作成いたしました。ありがとうございました(2023/03/16)。 ◆「第11回BL小説大賞」で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

生意気な弟がいきなりキャラを変えてきて困っています!

あああ
BL
おれはには双子の弟がいる。 かわいいかわいい弟…だが、中学になると不良になってしまった。まぁ、それはいい。(泣き) けれど… 高校になると───もっとキャラが変わってしまった。それは─── 「もう、お兄ちゃん何してるの?死んじゃえ☆」 ブリッコキャラだった!!どういうこと!? 弟「──────ほんと、兄貴は可愛いよな。 ───────誰にも渡さねぇ。」 弟×兄、弟がヤンデレの物語です。 この作品はpixivにも記載されています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

チャラ男会計目指しました

岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように………… ――――――それを目指して1年3ヶ月 英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた 意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。 ※この小説はBL小説です。 苦手な方は見ないようにお願いします。 ※コメントでの誹謗中傷はお控えください。 初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。 他サイトにも掲載しています。

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

処理中です...