上 下
17 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

04【引っ越しついでに演習編01】どちらもいい性格

しおりを挟む
【前パラディン大佐隊・執務室】

パラディン
「人なら簡単に移動できるが、軍艦はそうも行かないな……」

モルトヴァン
「人でも移動できないときはできません。でも、確かに軍艦は難しいですね」

パラディン
「〈オートクレール〉一隻だけならともかく、エリゴール中佐が十一班と十二班は護衛艦のままでいいって言うから……」

モルトヴァン
「どうしてでしょうね。ダーナ大佐の例があるから、砲撃艦二十隻ならすぐに調達できると思うんですが」

パラディン
「その前に、十一班と十二班の転属が完了しないと……」

モルトヴァン
「……あ。転属願のデータ、総務から送信されてきました!」

パラディン
「まさかとは思うが……十一班と十二班の?」

モルトヴァン
「私もまさかとは思いましたが……十一班と十二班です」

パラディン
「総務に出したの、今日の朝一ってエリゴール中佐は言ってなかったか?」

モルトヴァン
「言っていましたね。具体的に何時なのかはわかりませんけれども」

パラディン
「とりあえず、午前中なのは確かだな。……早すぎないか?」

モルトヴァン
「早いですし、全員分、受理していますよ。あの脱字一つで弾く無慈悲な総務が!」

パラディン
「本気で転属を希望しているなら脱字一つしないはずだと総務は考えているんだろう。とにかく、あとは私が承認すれば、彼らはまた私の部下に戻るということだな?」

モルトヴァン
「そういうことになりますね」

パラディン
「よし、モルトヴァン! 今すぐフィリップス副長に電話して、元マクスウェル大佐隊員たちの転属願を明日の朝一に総務に提出させるんだ!」

モルトヴァン
「ええ? 明後日、回収するんじゃなかったんですか?」

パラディン
「そのつもりだったが、十一班と十二班の転属願で確信した! 殿下はドレイク大佐の希望は迅速に叶えようとする! あちらの転属願もどんな不備があろうが受理されて、ダーナ大佐のもとに送られるはずだ!」

モルトヴァン
「大佐の公私混同もひどいけど、殿下のほうがもっとひどい!」

パラディン
「しかし、私にとっては好都合! ドレイク大佐! 殿下に見られる前提のメール、改めてありがとうございました!」

モルトヴァン
「エリゴール中佐には連絡しなくていいんですか?」

パラディン
「もちろんする! 承認し終えたらすぐに!」

モルトヴァン
「ところで、私たちはいつまでこの執務室を使えるんでしょう? 書類上はもうコールタン大佐のものになっていますよね?」

パラディン
「書類上はな。だが、この軍港にはまだ私たちの軍艦ふねがいる! 引っ越しが完全に終了するまではここは私の執務室! コールタン大佐には一歩たりとも足を踏み入れさせない!」

モルトヴァン
「前から思ってましたけど、コールタン大佐相手だと強気ですよね。最近は特に」

パラディン
「モルトヴァン! 電話!」

モルトヴァン
「了解しました! ……とはいうものの、いったいどう言い訳したら……よし! ダーナ大佐に急かされたことにしよう!」

パラディン
「モルトヴァン! 天才か!」

モルトヴァン
「素直に喜べませんが、とりあえず、大佐は早く承認してください……」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています

ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた 魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。 そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。 だがその騎士にも秘密があった―――。 その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

龍神様の住む村

世万江生紬
BL
村一番の腕っぷしを持つ龍平は、龍神退治に向かいました。 本編は2話。後は本編のおまけと季節のお話です。

病んでる僕は、

蒼紫
BL
『特に理由もなく、 この世界が嫌になった。 愛されたい でも、縛られたくない 寂しいのも めんどくさいのも 全部嫌なんだ。』 特に取り柄もなく、短気で、我儘で、それでいて臆病で繊細。 そんな少年が王道学園に転校してきた5月7日。 彼が転校してきて何もかもが、少しずつ変わっていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 最初のみ三人称 その後は基本一人称です。 お知らせをお読みください。 エブリスタでも投稿してましたがこちらをメインで活動しようと思います。 (エブリスタには改訂前のものしか載せてません)

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて── ※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。 ※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。 ※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。

処理中です...