寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

05【引っ越しついでに演習編02】メインは引っ越し

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【前パラディン大佐隊・第十一班第一号待機室】

ロノウェ
「エリゴール、携帯鳴ってんぞ」

レラージュ
「この着メロは……パラディン大佐ですね」

エリゴール
「わかるからこそ出たくねえ」

ヴァッサゴ
「いや、わかるからこそ、すぐに出なきゃまずいだろ」

エリゴール
「どうせまたろくなこと言わねえ……」

 エリゴール、億劫そうに立ち上がると、眉間に皺を寄せたまま、待機室を出ていく。

レラージュ
「十二班長と同じく、必ず外に出て話しますね」

ザボエス
「人前で話さないのはマナーだろ」

レラージュ
「手ぶらで長時間居座っている人がマナーを語らないでください」

ザボエス
「手ぶらなのがいけねえのか。じゃあ、今度から徳用チョコ持ってくるわ」

レラージュ
「一時間あたり一袋が最低ラインです」

ザボエス
「最低ラインと来たか。……あれって箱買いできるのか?」

ヴァッサゴ
「どんだけ居座るつもりだよ……」

ロノウェ
「お、戻ってきた」

 やはり眉間に皺を寄せたまま、待機室に戻ってきたエリゴール。
 椅子には座らず、ロノウェを見下ろす。

エリゴール
「一応上司」

ロノウェ
「何だよ、部下」

エリゴール
「俺らの所属、もう元ウェーバー大佐隊になったそうだ」

ロノウェ
「え……いくら何でも早すぎんだろ……」

ザボエス
「絶対、また殿下が関与してるな」

ヴァッサゴ
「ああ。絶対、間違いない」

エリゴール
「だから明後日あさって、引っ越し兼ねて元ウェーバー大佐隊と演習したいそうだ」

ロノウェ
「は?」

レラージュ
「……演習名目で〈オートクレール〉を移動させたいということですか?」

エリゴール
「さすがおまえは察しがいいな。大佐と気が合いそうだ。ただ、移動するのは〈オートクレール〉だけじゃねえ。俺らが使ってる護衛艦、二十隻もだ」

ロノウェ
「ええ? 砲撃に戻るんなら、軍艦ふねも砲撃艦に戻すだろ?」

エリゴール
「俺らは大佐の護衛のために転属したんだ。それなら軍艦ふねは当然護衛艦だろ」

ザボエス
「それは大佐じゃなくて、おまえのこだわりなんだな」

ヴァッサゴ
「どっちにしろ従うしかないが、大佐並みに迷惑なこだわりだ」

レラージュ
「しかし、演習って、どんな演習をするつもりなんですか?」

エリゴール
「……それを今から決めに行く」

レラージュ
「は?」

エリゴール
「俺と相談したいそうだ。これから大佐の執務室に行ってくる。明日の午後にはおまえら四人も元ウェーバー大佐隊の作戦説明室に行くことになるから予定は空けとけ。その他は荷造りと清掃と軍艦ふねの整備」

ザボエス
「毎度のことながら、突っこみどころが多すぎる」

エリゴール
「俺だって、何で俺に相談するんだと言ってやりてえが、大佐一人に任せたら、元ウェーバー大佐隊に無茶振りするかもしれねえだろ?」

ヴァッサゴ
「スケジュール的にすでに無茶振りだと思うが、さらに無茶振りになるかもしれないな、確かに」

ロノウェ
「俺らはもう慣れたが……元ウェーバー大佐隊が大佐に幻滅しなけりゃいいな……」

エリゴール
「じゃあ、行ってくる。俺は直帰するから、おまえらは待ってなくていいぞ」

 エリゴール、腕時計を一瞥すると、足早に待機室を出ていく。

ロノウェ
「あいつが大佐からの電話嫌がる理由がよくわかった……」

ヴァッサゴ
「大佐のせいで、あの着メロの曲も嫌いになったそうだ」

レラージュ
「俺もちょっと嫌いになりました」

ザボエス
「しかし、演習ってなあ。エリゴールがいちばん無茶振りされてんな」

レラージュ
「でも、元四班長ならどうにかするでしょう。とりあえず、今日はもう帰ってもいいのでは? ……電話番!」

電話番(班員)
「はい! 全待機室に転属完了と元四班長の命令を伝達します!」

ザボエス
「本当に、よく調教されてるな」

ヴァッサゴ
(おまえが言うなと言ってやりたいが、エリゴール以上に言えない……)

ロノウェ
「気づいたら、こんなんなってた」

ザボエス
「たぶん、おまえがいちばん調教されてるな。……んじゃあ、俺らも帰るか。演習内容、今日中に知りたかったんだがな。エリゴールが戻らないんならしょうがない」

レラージュ
「きっと、今夜くらい自宅でゆっくり眠りたいと思ったんじゃないですか?」

ザボエス
「あー……俺らは寝場所も変えなきゃならねえんだよなあ。面倒くせえなあ」

レラージュ
「確かに、十二班長がゆっくり寝られる部屋はあまりないでしょうね。サイズ的に」

ザボエス
「おまえはもうロノウェの分も確保済みか」

レラージュ
「今日の午前中には済ませましたよ。暇だったので」

ザボエス
「ロノウェが馬鹿になるはずだ」

レラージュ
「俺が配属される前は馬鹿じゃなかったんですか?」

ザボエス
「今よりはちょっとだけ馬鹿じゃなかった。なあ、ヴァッサゴ?」

ヴァッサゴ
「こういうときだけ俺に振るなよ。……たぶん、今よりはちょっとだけましだった」

ロノウェ
「おまえら、俺を馬鹿にするときだけ仲いいな」

ヴァッサゴ
「そこをわかっているところは賢いと俺は思ってる」
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