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変わる日常
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しおりを挟むヤタマルの言葉が理解できなかったのか、少年はきょとんとして目を丸くしていた。
イスミの顔であれば平凡でも可愛いとさえ思うのに、この少年がしても腹立たしさが増すだけだ。
ヤタマルは仁王立ちして少年を指差した。
「このチームが負けたのは司令塔のお前の責任だろ」
「な……っ俺の何がいけなかったんですか!」
納得のいかない様子で少年が食ってかかるも、ヤタマルはなおも言葉を続けた。
「お前が司令塔なのが悪いに越したことねーだろ。んなこともわかんねーのか」
「や、ヤタマルさん、あの……」
イスミが耐えかねた様子で間に入るも、ヤタマルは止まらなかった。
「お前の、イスミの使い方が悪い」
周囲がざわめいた。
またあいつか……と言った声がそこかしこにから聞こえる。
ヤタマルからすれば、またも何もあったものではない。
目の前で見たことがヤタマルの全てで、ヤタマルからすればこの少年こそが悪だった。
少年の目が憎々しげにイスミに向けられている。
イスミはその視線をただ正面から受けていた。
周囲の人間はさらに不躾な視線でイスミを睨める。
「気に入らねえな」
それがヤタマルを更に苛つかせることとなった。
自分が認めたイスミが下に見られるのも腹立たしいが、それ以上にそれを当然と受けるイスミが気に食わない。
ヤタマルやキジトは、この組織における厄介者である。
実力があるからと認められてはいるが、その実取り扱い要注意の危険人物であった。
ヤタマルはキジトが嫌いではない。
刺々しい態度で勘違いされやすいが、キジトは意外と付き合いやすい人間だ。
他人から向けられる感情を受け付けない自分の遠慮のない行動は、キジトを苛つかせるだけだろうに、キジトはヤタマルの接近を受け入れてくれる。
いつも煙たがられていた二人と、何の気兼ねなく接することが出来るイスミを、ヤタマルは好意的に思っていた。
イスミの本心はわからないが、その度量と態度に、二人が救われているのは確かだった。
そのイスミが。
ヤタマルはそれが耐えられなかった。
だから。
「じゃあ、お前が俺のこと指揮していいから、他のメンツをコイツに指揮させてみろよ」
自分の行動がイスミの平穏を奪うことであっても、ヤタマルは自分の意思に従うまでだった。
目を丸くして自分を見つめるイスミが、その時何を思っていたかなど、ヤタマルには知る術もないのだから。
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