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変わる日常
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しおりを挟む「流石にハンデだ。俺は利き腕使わないから、本気でかかってこいよ」
ヤタマルはぐい、と背伸びをして手に持った武器を左手に持ち直した。
準備運動を兼ねて飛び跳ねると、シャラシャラと首の制御装置が音を立てる。
琥珀色の石の連なったチェーンネックレスは、この場に置いて意味のない輝きを見せていた。
《継承者》ヤタマル・ハイツウェイ。
そのストーリー名は、《厚顔無恥の末路》
対《悪意》、対《継承者》戦において最強のその能力は、相手の能力の影響の一切を、受け付けない。
一般隊員のみのこの空間においては全く本領を発揮しない能力であるが、対価は否応なくその効力を発動する。
対価、他人からの一切の感情を受け付けない。
キジトの威嚇でさえも素通りするという能力の対価に、ヤタマルは他人からの感情を受け付けないという業を背負っていた。
「どうした。俺を指揮するなんてお前らにとっては名誉なことだろ?」
ヤタマルの言葉に、目の前の少年の目が泳ぐ。
何を思っているのか、ヤタマルは想像でしかそれを察することはできない。
しかし、その想像でさえ、ヤタマルは無意味なものとして処理をする。
他人の抱く感情の機微を知るなど、ヤタマルにとってはどうでもいいことだった。
他人の感情など理解できずとも、日常を過ごすことは可能だ。
故にヤタマルは、自分のやりたいようにやるだけである。
それが他人からどう思われようと関係ない。
その感情を、ヤタマルは理解できないからだ。
「イスミ、やるだろ?」
ヤタマルはイスミに意地の悪い笑みを向けた。
しばらく思案したイスミが、一つため息を吐く。
「僕は、構いません」
イスミのその無感情な返答は、ヤタマルにこれ以上ない歓喜を齎した。
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