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1部 ヤギと奇跡の器
第26話 兄弟水入らず(ルイス視点)※
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魔人の風呂は巨大だ。一度だけ旅行で大浴場というものに行ったことがあるが、我が家の風呂と何が違うのかわからないほどだった。
ジルの筋肉で盛り上がる背中を布で擦る。
「ああ、ルイス。とても気持ちがいい。もうすこし真ん中も洗ってくれるか?」
「ここですか?」
石鹸で布を泡立てて、筋肉が窪む背骨の辺りをゴシゴシと洗う。その横で自分の体を洗うルークが笑った。
「ルイスはジルの気持ちのいいところを全部知っているな」
「ルイスはルークのだって知っているさ。ルイス、ありがとう。兄様の方はいいから、ルークの方も洗ってあげなさい」
「はぁい!」
兄の背中の方に駆け寄ろうとした時、左足が滑って体が大きく傾く。目を瞑り衝撃に備えたら、体全体が宙に浮いた。薄目を開けたらジルが困ったような顔で僕を見つめる。
「ごめんなさい……」
「ルーク、だめだ。ルイスを」
ジルは言葉足らずなことを言うが、ルークは全て理解したようで僕を後ろから抱えた。ルークは僕を抱えたまま風呂用の木の椅子に座り、自分を洗っていた泡のついた布で僕の胸を洗い始めた。
「兄様が洗ってやる」
唇にひとつキスを落としたら、ジルは大きな口で僕の陰茎を飲み込んだ。
「兄様! まだ洗ってません!」
「ルイスは綺麗っだってジルはそう言ってるよ。ルイスがかわいくて仕方がないんだ。ほらこっちは兄様が洗ってあげる」
布をかなぐり捨てたルークは僕の胸の先端を指の腹ですり潰していく。ジルの口の中で僕自身が暴れ出す。体の大きなジルが身をかがめて、僕の小さなそれを咥えている姿が心を焦がす。
「ん……ふっ……ジル……」
「ああ、ルイス。今日は許してあげるから、ジルにお願いしてごらん……」
「あっ……ジル、今日は……先に……ジルが欲しいです……」
「よく言えました。じゃあ痛くないように、兄様が解してあげるからね……」
僕の体中をルークの手が這い回り、肌という肌が泡だらけになる頃になっても、ジルは僕の陰茎を離したりしなかった。僕の窄まりにルークの手が伸びてくる。泡のついた指で僕のそこをクルクルと洗ったら、ジルを呼んだ。
「続きは風呂の中でするぞ」
ジルの舌が名残惜しそうに僕自身の先端を舐めあげる。その感触に身を縮めたら、ジルは立ち上がり、僕を抱え上げた。ルークは僕とジルにお湯をかけてくれて、泡が流れる床をジルがズンズンと進んでいく。
「ジル……大好き……」
僕を最初に抱いたのは、ジルだった。でも最初に恋人にするようなキスをしたのはルークだった。
幼い頃からルークとジルは僕を巡って喧嘩ばかりしていた。その理由を僕自身が理解できる年になった頃、2人は昔のような取っ組み合いの喧嘩をしなくなっていた。ルークの背丈をジルが追い抜いたからだ。
ジルの背中を撫でる。魔人とはいえ、鍛えなければ得ることなどできない屈強な体だった。
ルークはジルが遠慮していることを知っていたような気がする。だから、ルークが初めて僕にキスをしてくれた時、わざとジルに見えるようにしたのだ。
あの日、あの時のジルの顔が今でも忘れられない。悲痛な表情を見せた後、顔を背けて立ち去ろうとした、その時。ルークが言ったのだ。
「ルイス、ジルにもお願いしてごらん」
ルークは僕以上にジルを理解していた。ジルはルークを出し抜いて自分の気持ちを押し付けることもしなければ、ルークから僕を奪おうなんて考えもしなかっただろう。
「ジルにキスをしてもらいたいです」
思い出に浸っていたら、ついあの日と同じ言葉が口から滑り落ちてしまった。
「何度でもするさ」
ジルは僕ごと湯に浸かりながら、何度も何度もキスをしてくれる。
ジルは、ルークを喧嘩で負かすことができるようになってから、喧嘩をすることをやめた。ルークが僕を奪おうとしたら顔を背けて立ち去ろうとする。ジルはそういう強く、優しい人なのだ。
そして、ルークはジルの優しさを愛し、3人の未来を提示してくれた、聡明で優しい人なのだ。
ジルの筋肉で盛り上がる背中を布で擦る。
「ああ、ルイス。とても気持ちがいい。もうすこし真ん中も洗ってくれるか?」
「ここですか?」
石鹸で布を泡立てて、筋肉が窪む背骨の辺りをゴシゴシと洗う。その横で自分の体を洗うルークが笑った。
「ルイスはジルの気持ちのいいところを全部知っているな」
「ルイスはルークのだって知っているさ。ルイス、ありがとう。兄様の方はいいから、ルークの方も洗ってあげなさい」
「はぁい!」
兄の背中の方に駆け寄ろうとした時、左足が滑って体が大きく傾く。目を瞑り衝撃に備えたら、体全体が宙に浮いた。薄目を開けたらジルが困ったような顔で僕を見つめる。
「ごめんなさい……」
「ルーク、だめだ。ルイスを」
ジルは言葉足らずなことを言うが、ルークは全て理解したようで僕を後ろから抱えた。ルークは僕を抱えたまま風呂用の木の椅子に座り、自分を洗っていた泡のついた布で僕の胸を洗い始めた。
「兄様が洗ってやる」
唇にひとつキスを落としたら、ジルは大きな口で僕の陰茎を飲み込んだ。
「兄様! まだ洗ってません!」
「ルイスは綺麗っだってジルはそう言ってるよ。ルイスがかわいくて仕方がないんだ。ほらこっちは兄様が洗ってあげる」
布をかなぐり捨てたルークは僕の胸の先端を指の腹ですり潰していく。ジルの口の中で僕自身が暴れ出す。体の大きなジルが身をかがめて、僕の小さなそれを咥えている姿が心を焦がす。
「ん……ふっ……ジル……」
「ああ、ルイス。今日は許してあげるから、ジルにお願いしてごらん……」
「あっ……ジル、今日は……先に……ジルが欲しいです……」
「よく言えました。じゃあ痛くないように、兄様が解してあげるからね……」
僕の体中をルークの手が這い回り、肌という肌が泡だらけになる頃になっても、ジルは僕の陰茎を離したりしなかった。僕の窄まりにルークの手が伸びてくる。泡のついた指で僕のそこをクルクルと洗ったら、ジルを呼んだ。
「続きは風呂の中でするぞ」
ジルの舌が名残惜しそうに僕自身の先端を舐めあげる。その感触に身を縮めたら、ジルは立ち上がり、僕を抱え上げた。ルークは僕とジルにお湯をかけてくれて、泡が流れる床をジルがズンズンと進んでいく。
「ジル……大好き……」
僕を最初に抱いたのは、ジルだった。でも最初に恋人にするようなキスをしたのはルークだった。
幼い頃からルークとジルは僕を巡って喧嘩ばかりしていた。その理由を僕自身が理解できる年になった頃、2人は昔のような取っ組み合いの喧嘩をしなくなっていた。ルークの背丈をジルが追い抜いたからだ。
ジルの背中を撫でる。魔人とはいえ、鍛えなければ得ることなどできない屈強な体だった。
ルークはジルが遠慮していることを知っていたような気がする。だから、ルークが初めて僕にキスをしてくれた時、わざとジルに見えるようにしたのだ。
あの日、あの時のジルの顔が今でも忘れられない。悲痛な表情を見せた後、顔を背けて立ち去ろうとした、その時。ルークが言ったのだ。
「ルイス、ジルにもお願いしてごらん」
ルークは僕以上にジルを理解していた。ジルはルークを出し抜いて自分の気持ちを押し付けることもしなければ、ルークから僕を奪おうなんて考えもしなかっただろう。
「ジルにキスをしてもらいたいです」
思い出に浸っていたら、ついあの日と同じ言葉が口から滑り落ちてしまった。
「何度でもするさ」
ジルは僕ごと湯に浸かりながら、何度も何度もキスをしてくれる。
ジルは、ルークを喧嘩で負かすことができるようになってから、喧嘩をすることをやめた。ルークが僕を奪おうとしたら顔を背けて立ち去ろうとする。ジルはそういう強く、優しい人なのだ。
そして、ルークはジルの優しさを愛し、3人の未来を提示してくれた、聡明で優しい人なのだ。
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