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1部 ヤギと奇跡の器
第25話 ルイスのいる午後(ルイス視点)
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僕は久しぶりに昼に帰ってきた屋敷の前でこれから起こることがなんとなくわかっていた。玄関ポーチに足を踏み入れるや否や、巨大な扉が大きな音を立てて開け放たれる。
「ルイス! 待ちわびたぞ!」
ジルの大声が響く。僕がジルに向かって走って行ったら、抱え上げられそのまま息ができないほど何度もキスをされた。
「こっちの兄様も待ちわびたよ」
ジルの肩越しにルークを見つけて手を伸ばす。ジルは少し屈んでくれたので、僕は近づいてきたルークにキスをした。
「今日の午後ルイスが帰ってくると聞いて、兄様たちはこの屋敷の使用人全員に暇を出したぞ」
「父上も母上も旅行中だからな」
大きな声でジルが笑う。でも何かを思い出したかのように急に笑いを止めた。
「ルイス、ノアは大丈夫そうか?」
その心配そうな声に僕はなぜだか昔のジルの面影を重ねてしまう。
「アシュレイが来たらすごく嬉しそうで、昨日のノアは比べ物にならないくらい元気でした。兄様たちが昨日帰りにアシュレイに話してくれたからです」
本当は今日の昼に抜け出して、僕がアシュレイに話をしようと思っていた。でも兄様たちが帰りにバーンスタイン邸に赴き、今日の朝アシュレイが訪れるよう伝えてくれたのだ。
ジルは、僕と顔を合わせようとしなかった。僕の頭を撫で続け暫くしたらポツポツとバーンスタイン家のことを話し始めた。
「昨日アシュレイの父君も見舞ったのだが……俺とルークがいる間には目を覚さなかった。最近は夜の何時間かしか意識がないそうだ……」
「そんなに……」
「アシュレイも……支えが必要なのだ。ノアがその支えになってくれたなら……嬉しいのだが……」
ジルの最後の方の声はほとんど呻き声だった。僕は黙ってしまう。元はといえば僕の配慮の無さで招いたことだった。
ノアの孤独を知りながら、考えなしに兄様たちの愛を受け入れてしまった。その浅はかさで、ノアやアシュレイ、そして兄様たちにも迷惑をかけてしまった。
ノアの孤独を知っているのは僕1人だったのに……。
「ルイス。自分を責めてはならないよ。ジルも、過ぎてしまったことを嘆いても仕方がない。人はなるようにしかならない。アシュレイもノアも」
ルークがジルごと僕を抱く。
「昼間に家で3人水入らずなんだから、兄様たちとお風呂に入ろう? 兄様がルイスを洗ってあげる」
「にいさま……」
「ルイスもジルを洗ってあげなさい」
この言葉で、ルークの場違いな提案の真意を知った。今、この兄弟の中で一番助けが必要なのはジルだった。思えば昨日も後ろで終始不安そうに押し黙っていた。
「ジル、一緒にお風呂に入りたい」
「そうか、そうか。ルイスが洗ってくれるのか?」
ジルに首筋に顔を埋めて頷くと、彼はまるで獣のように体をブルブル震わす。
「兄様も僕を洗ってくれますか?」
「ああ、なんてかわいい声を出すんだ。兄様は途中で我慢できなくなってしまうかもしれないよ」
「奥まで洗ってください」
ジルの大きな手が腰を撫で、そのまま尻に滑り落ちる。少し吐息を漏らしたら、ジルが嬉しそうに笑う声が僕の胸に響いた。
「ルイス! 待ちわびたぞ!」
ジルの大声が響く。僕がジルに向かって走って行ったら、抱え上げられそのまま息ができないほど何度もキスをされた。
「こっちの兄様も待ちわびたよ」
ジルの肩越しにルークを見つけて手を伸ばす。ジルは少し屈んでくれたので、僕は近づいてきたルークにキスをした。
「今日の午後ルイスが帰ってくると聞いて、兄様たちはこの屋敷の使用人全員に暇を出したぞ」
「父上も母上も旅行中だからな」
大きな声でジルが笑う。でも何かを思い出したかのように急に笑いを止めた。
「ルイス、ノアは大丈夫そうか?」
その心配そうな声に僕はなぜだか昔のジルの面影を重ねてしまう。
「アシュレイが来たらすごく嬉しそうで、昨日のノアは比べ物にならないくらい元気でした。兄様たちが昨日帰りにアシュレイに話してくれたからです」
本当は今日の昼に抜け出して、僕がアシュレイに話をしようと思っていた。でも兄様たちが帰りにバーンスタイン邸に赴き、今日の朝アシュレイが訪れるよう伝えてくれたのだ。
ジルは、僕と顔を合わせようとしなかった。僕の頭を撫で続け暫くしたらポツポツとバーンスタイン家のことを話し始めた。
「昨日アシュレイの父君も見舞ったのだが……俺とルークがいる間には目を覚さなかった。最近は夜の何時間かしか意識がないそうだ……」
「そんなに……」
「アシュレイも……支えが必要なのだ。ノアがその支えになってくれたなら……嬉しいのだが……」
ジルの最後の方の声はほとんど呻き声だった。僕は黙ってしまう。元はといえば僕の配慮の無さで招いたことだった。
ノアの孤独を知りながら、考えなしに兄様たちの愛を受け入れてしまった。その浅はかさで、ノアやアシュレイ、そして兄様たちにも迷惑をかけてしまった。
ノアの孤独を知っているのは僕1人だったのに……。
「ルイス。自分を責めてはならないよ。ジルも、過ぎてしまったことを嘆いても仕方がない。人はなるようにしかならない。アシュレイもノアも」
ルークがジルごと僕を抱く。
「昼間に家で3人水入らずなんだから、兄様たちとお風呂に入ろう? 兄様がルイスを洗ってあげる」
「にいさま……」
「ルイスもジルを洗ってあげなさい」
この言葉で、ルークの場違いな提案の真意を知った。今、この兄弟の中で一番助けが必要なのはジルだった。思えば昨日も後ろで終始不安そうに押し黙っていた。
「ジル、一緒にお風呂に入りたい」
「そうか、そうか。ルイスが洗ってくれるのか?」
ジルに首筋に顔を埋めて頷くと、彼はまるで獣のように体をブルブル震わす。
「兄様も僕を洗ってくれますか?」
「ああ、なんてかわいい声を出すんだ。兄様は途中で我慢できなくなってしまうかもしれないよ」
「奥まで洗ってください」
ジルの大きな手が腰を撫で、そのまま尻に滑り落ちる。少し吐息を漏らしたら、ジルが嬉しそうに笑う声が僕の胸に響いた。
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