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第64話皇太子を救え!!

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アユムが強制的に皇太子を救うことになって1か月が経過しようとしていた。
遠心分離機の製作するにあたって、作動させた装置自体が吹き飛んだり燃えたりするトラブルがあったが遠心分離機をはじめ血液製剤を精製するのに必要な物品は無事に完成し、とうとう病原菌などを不活性化した、この世界で初めての加熱製剤が完成しようとしていた。

(サル型・ネズミ型の魔物はクリア...魔物を使った動物実験の経過も数値が安定化しつつある・・・そろそろアーレ皇太子への投薬してもいい頃合いか...)

万全を期して明日の皇太子アーレの血液製剤の使用は少量づつから始めてみよう。
ただ邪魔が入るかもしれないが・・・

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(くそ!クソがぁー!!あの生意気な小僧め!皇帝から信任を得たかのように振る舞いやがって!だが・・・フフフ...イキっていられるのも今の内だ!)

アユムに偉そうにしていた魔導技術部門の主任研究員の肩書を持つ男は手には毒物の入った小瓶が握られていた。もちろん目的は皇太子の血液製剤に毒を混ぜてアユムの人生を終わらせる事だ

自分より遥かに若い若造が自分をアゴで使うなど許される事ではない!

彼のプライドはズタズタだった!ある日、突然いきなり来た何の知識もない若造に顎で使われたのだ!自分は、こんな事の為に研究者になったのではない!なぜ少ない予算しか与えられないのに皇太子の為にあんなガキに使われなければいけないのだ!!

(皇太子に悪気はないが、あの若造もろとも死んでもらう!)

男は下卑た笑みを浮かべながら毒の入った小瓶を手に冷凍保存用の容器に近づくと
中身を取り出すために容器を開けた!!

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深夜・・・その日ユガンの新都市であるリヴァニアの片隅でドーンという小さな爆発音が響いた!宮廷の一角にある皇太子の血液製剤が保管されているハズの機密区画にある研究施設だったが幸いにも、その数刻前に皇后が極秘で保管場所を移す命令を出していたお陰で血液製剤は無事だった...

公開される事のない極秘資料には顔面が激しく損傷した所員ひとりの遺体が発見されたと噂されているが真実は今後も明かされる事はないだろう...

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(やっぱりか...何かやってくるだろうと思って狙うなら血液製剤だよな・・・とは思っていたが、まさか本当にやろうとして引っかかるとは...)

呆れ顔をしながらアユムは宮廷の広大な庭を歩いていく...

(それにしても、俺が憎いからって皇太子の命まで狙うとは...)

自分が人の恨みを買うのも気持ちの良いモノではないが・・・相手の失脚を狙ったとはいえ無関係の皇太子の命を狙ったのだ・・・言語道断だろう...
サレンドラ皇后には血液製剤の安置場所を変えるのに協力して貰ったので事の顛末を伝えなけらばいけないが恐らく激怒するだろう...

俺に火の粉が、あまり飛んでこない事を祈るしかないのがツラい所だ...

アユムはゾッとしながらも重い足取りでサレンドラ皇后への説明を考えながら宮殿内へと戻っていった...
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