メグルユメ

パラサイト豚ねぎそば

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3.魔法の森

9.焼けつく砂丘

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 さっきまで涼しかったのにもかかわらず、現在は暑くなっていた。あまりの落差に気分が悪くなっていた。コストイラは唾ごと吐き気を飲み込む。エンドローゼはすでに目が虚ろになっていた。



 アシドが汗を拭う。



「エンドローゼのやつ、もうやばくね?大丈夫かよって、大丈夫ではねェよな」



「暑いし、足が砂にとられて体力は削られるし、ずっと砂の光景で精神が削れるし、砂場はきついな」



 アシドが持っていた、まだ使っていないタオルをエンドローゼに被せる。



 上からサラサラと砂が流れてくる。砂丘の上部分の砂が重力に負けたのだろう。自然な流れで上を見ると、何かがいた。逆光でよく見えず、目を凝らすとそれは殻を纏ったゴーレムだった。そう、いつかの時に苦い思いをさせられたマイトゴーレムだ。アストロはその時いなかったのであまりピンと来ていない。



「このクソ暑い時にクソ熱いやつを相手しなきゃいけねェのか」



 コストイラがぼやくのと同じタイミングで、マイトゴーレムは両手に炎を纏う。落ちてくるマイトゴーレムに対して、アシドは蒼いオーラを纏い、攻撃を上手に往なす。そして、槍を振るい、マイトゴーレムの足を払い盛大にこけさせる。



 砂が舞い上がる。



「うぇっぷ」



 アレンは口の中に入った砂を唾ごと吐き出す。エンドローゼは目に入ったようで必死に目を掻いている。アストロは布で顔を守っていた。



『ゴォ』



 流れ動き安定しない砂の上でマイトゴーレムは立ち上がろうとするが失敗してしまう。その姿にアシドが近づく。



「前回に比べて今回は簡単だったな」



 アシドは流れるように槍を振るいゴーレムの核を潰す。ゴーレムは砂と同化するように崩れていった。















 暫く歩くと砂丘は終わりを告げ、谷が見えてきた。アレン達は地図を見るために立ち止まっていた。



「あの谷の向こうが教えていただいたナカウみたいですね」



 アレンは手にしていた地図から顔を離し、辺りの景色と見比べて指をさす。



「で、あとどれくらいで着きそうなの?」



 アストロは明確な数値を求めて尋ねる。



「そうですね。まだ半分も進んでないですね」



「…………は?」



 アストロは予想外の言葉に硬直する。これまでそれなりに歩いてきたはずなのに半分も来ていないと分かり、マジかと心の中で毒づく。全員がそうした。



 ガサ。



 気の緩みなど許さないと言わんばかりに次の戦闘が始まる。



 6本の脚をガサガサと動かし、2本の鋏をガチガチと鳴らし、尾の針をブンブンと振る。誰がどう見てもサソリの魔物がいた。



 このスカーレットやくもの存在が魔物とは何かという議論に拍車がかかった。普通のサソリや蜘蛛と比べ、ただ大きいだけの見た目。アルミラージのように角が生えているわけではなく、オルトロスのように頭が2つの分かれているわけでもない。



 では、魔物とは何か?



 一般的な見解は魔力を使い、魔術を扱える、人間に害をなす存在がそうだとされている。















 スカーレットはグッと6本の脚に力を込める。



「来るぞ」



 スカーレットは高く跳び上がり、その巨大な鋏は陽光を反射している。そして、着地点にいるコストイラを目掛けて鋏をクロス状に振るう。コストイラは辛うじて防いだがその刀は跳ね上げられる。無防備になった顔面にスカーレットは巨大な尾の針が飛んでくる。アシドはスカーレットの針を横から打ち、軌道を逸らす。針は振り上げられた腕の横を通り、着ていた服に穴を開けられる。コストイラは服が裂けるのも気にせず、刀を振り下ろす。



 刀は外殻を砕き、その下に眠る肉の部分も斬っていく。砕かれた破片がくるくると舞い、落ちてくる。



「よし。谷を抜けようぜ」
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