夜空に瞬く星に向かって

松由 実行

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第六章 泥沼のプリンセス

2. 政権交代

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■ 6.2.1
 
 
 今、俺の部屋にはミリ、アデール、ブラソンと、そして最後に部屋に入った俺の四人が部屋の中にいる。
 最後に部屋の入った俺は、後ろ手でドアを閉めた。
 
「ルナ、コーヒーを四人分頼む。あと、何か適当に軽く摘まめるものも頼む。」
 
「諒解です。」
 
 来客と、地球政府のエージェントと、当船の副船長がそれぞれソファに腰を落ち着かせるのを待って、座る椅子が無くなった俺は、デスク押し込んであった事務用の椅子を引きずり出してきて、背もたれを前にしてもたれ掛かるように座った。
 
「さて。自己紹介はもう不要と思う。早速だが、依頼内容を聞かせて貰えないか。」
 
 依頼内容を聞くだけは聞く様にと、アデールが口を突っ込んできた時点でろくでもない依頼内容になりそうだ、という想像は付いている。
 アデールが口を出すと言うことは、地球政府に何らかの目論見があると云う事であり、地球政府の企みなど、地球人類全体のためと言えば聞こえは良いが、目標達成のためであればその過程で発生する少々の犠牲は厭わない、という苛烈なものであっても連中は平気で要求してくる。
 用心のためにブラソンにも同室してもらい、この部屋にはレジーナの乗員全員がアクセス出来る様にしてはいるが、俺がやらなければならないことは、例えアデールが何を要求しようとも、どの様な美味そうな餌を用意しようとも、ミリが持って来た話がヤバそうならスッパリと断る、という決断をすることだ。
 
「難しい話ではないわ。人を一人運んで欲しいの。」
 
 まるでそれで必要充分な情報を渡したとでも言う様にミリが口をつぐむ。
 半ば嫌みでわざと反応までの間を作ってから答えた。
 
「お前、今のたった一言で仕事を受けるバカがこの宇宙に居ると思ってるのか?」
 
「私としては、受けてくれて一向に構わないのだけれど?」
 
「こんなバカに付き合ってられるか。引き返すぞ。」
 
「もう少し詳細を説明してくれないか。私もあなたの依頼内容には興味がある。」
 
 珍しく、と言って良いだろう。アデールが取りなす。
 いや、取りなしではなく、口にした言葉通りにただ興味があるだけなのかも知れないが。
 
「私の国が今、大変なことになっているのは多分みんな知っているでしょう。クーデターは完全に成功し、『新民主政権』を名乗る現政権は隣国フィコンレイドとの宥和政策を全面的に打ち出しているわ。一方、皇王を君主としていた旧政権の主だった者は全て捕らえられるか、逮捕時に抵抗したという名目で殺されたの。皇王も謀殺されたわ。
「『新民主政権』は、明らかにフィコンレイドの仕込んだ疑似バイオチップ(FMBC: Fikkonraido's Mocking BioChip)を持っている者達で構成されているの。全員が隣国との友好を熱烈に支持歓迎していて、それに異を唱える者は政府役職からどんどん排斥されていっている。」
 
 あれから何度もクーデターが発生し、その度に鎮圧されてきた。
 そのクーデターが何故発生しているのか、何を目的にしているのか、最後にはどこに行き着くのかを知っている政府や軍は、なんとしてでもその成功を阻止しようとした事だろう。
 しかし何度か繰り返された失敗の後、とうとうクーデター勢力は圧倒的支持を得ていた皇王とその閣僚を中心とする現政権を打ち倒す事に成功する。
 クーデターを阻止する側の軍や政府の内部にも、クーデターを支持する者達が大量に存在したのだ。
 圧政を敷き、隣国と無用な争いを続けた王政を廃し、国民が主体の民主的政府を立ち上げる、とその新政府は高らかに宣言した。
 
 この銀河には、様々な形態の国家がある。
 地球は相変わらず議会制民主主義を採用していた。しかし一方で、いわゆる軍事独裁政府や、絶対君主制を敷く国、直接合議制を敷く国もある。
 ハフォンは皇王の権限が非常に強い立憲君主制に近い形態を取っていた。
 因みに、国として正式に認められてはいないが、機械達は直接合議制を採用していると言える。
 
 俺の個人的な考えだが、絶対君主制であろうが、独裁者であろうが、国と国民に対して正しい道を示し、国民が幸せに暮らしていけるのであれば、それならそれで良いと思っている。
 いわゆる政治的活動家達は、議会民主制を至上のものとして声高らかに主張するが、そういう奴らが欲に塗れて私利私欲に走った時、共和制国家は簡単に迷走状態に陥る。
 これは金や利権の問題だけでは無く、政治家がその地位にしがみつき、選挙に勝つためだけを目的として、本人の政治哲学無く大衆に迎合するだけの政治活動を行った場合も同様の結果となる。国民は幸せを感じつつも国はボロボロになるという意味では、こちらの方が状況としてより悪いかも知れない。
 そもそもその手の政治的活動家達が議会制を至上のものとするのは、ただ単に自分たちが権力を得るチャンスがあるのが議会制だからだ、と俺は思っている。
 
 絶対的な権力を持った君主や独裁者によって、永く一貫した方向性で国家が運営される事には大きな利点がある。
 もちろん、個人的資質に頼り切るこの手の形態は、無能な跡継ぎへの代替わりや、元首の乱心によって突然国家が崩壊する危険も含んでいる。
 しかし、とにかく議会制民主主義が絶対であるかの様な政治活動家達の主張には賛同しかねる部分がある、というのが俺の考えだ。
 
 そういう意味では、ハフォンの王政は国民からの評価も高く、安定しており、良い君主制の見本の様な国家であったと言えた。
 しかしその政府は倒され、王は謀殺され、そして国民からの熱狂的な支持の元に新たな民主議会制の政府が立ち上がった。
 字面だけ見れば、国民が民主化を要求しそれを実現化したということで喜ばしいことなのだろう。打ち倒された王政が何ら問題のある政府ではなかった、という点は除いて。
 しかしその実、この民主化政府は敵対する隣国によって仕掛けられた破壊煽動工作によって生み出され、コントロールされている極めて歪な政府であった。
 もっとも、このクーデターを成功させ民主化政府を打ち立てたことは、その心棒者、即ちフィコンレイドから仕掛けられた疑似バイオチップであるFMBCを埋め込まれた者達にとって、極めて喜ばしいこと且つ幸せなことであるという意味において、国民の要求を正しく反映した政府交代劇であったのかも知れない。
 
「軍はまだ存在するわ。でも、上から下まで大混乱している。チップを埋め込まれた者達は新政府を支持してフィコンレイドとの融和と共闘を主張し、チップを持たない者達は旧政府の正当性とクーデターの違法性を指摘してフィコンレイドとの即時全面対決を主張している。
「軍としての本来の命令指揮系統に、新政府派、旧政府派の派閥が入り乱れて指揮系統が大混乱に陥っているの。」
 
 本来、軍の指揮系統というものは、派閥や人間関係によって多少の効率の悪化を招いたとしても、大混乱したり機能を喪失したりするものでは無い。
 しかし今回のハフォンのケースに限っては、FMBCにコントロールされ、非常に強く洗脳された状態の新政府派の人間が混乱を引き起こしているのだろうと想像できる。
 もしかしたら、フィコンレイドからその様な大混乱を発生させる様に指示を受けているのかも知れない。
 
「それでも我々情報軍は機能しているわ。そしてそんな中で分かったことが一つあるの。
「正規の銀河標準仕様準拠バイオチップを持っている場合、FMBCは機能しないわ。情報軍は殆どの者が正規のバイオチップを持っている。だからまだ機能していられる。」
 
 ミリは少し疲れた様な顔をして話を切った。その顔には、先ほど酒場で娼婦のロールプレイをしていた時に見せた艶然とした笑みなど影もなかった。
 
「正規チップを持っていれば、FMBCが機能しないのは確実なのか? FMBCは別ネットワークを構築する。表面的な検査では不活性かどうかは判断出来ないぞ。」
 
 ブラソンが短い沈黙を破って質問を発した。
 
「技術的に完全に裏付けが取れた訳ではないけれど、まず確かな話よ。あなたが情報軍サーバに置いていった裏ネットワークの情報は確認して、対処したわ。ただ、政権交代からこっち、FMBCは正規ネットワークにアクセス出来る様になっているの。気付いていたと思うけれど、連中は政府だけでなく社会のあちこちの要所要所に自分たちの同士が配置される様に巧妙に工作していた。今になってそれが全て有効な手となって生きてきている。ネットワーク設定の変更もその一つよ。」
 
 確かにあの時も、艦隊司令や、艦体中枢艦の艦長、基地司令などにクーデター派の人間が配置されていた。それが軍内部に止まらず、社会の色々な所で同様の工作が行われていたと云うことだろう。
 
「技術の詳しい話は知らないわ。ただ、正規チップがあった場合、同じ脳内にFMBCを形成しようとしても上手くいかないか、例え形成できたとしても機能不全を起こす、もしくは正規チップが支配的立場になってFMBCは正常に動作できない、といった現象が発生するらしいの。
「つまり、正規チップを持った人間はこちら側の人間、ということよ。」
 
 旧政府寄りであろう正規チップ保持者の特定は簡単だ。チップIDを特定すれば良い。
 ただ最大の問題は、例の宗教上の理由とやらで、ハフォンには正規チップを持った人間が極端に少ない、ということだった。
 とは言え、正規チップを持っていなければ即新政府側の人間、という訳でも無いらしい。
 FMBCはあくまで例の栄養剤を通じてばらまかれたものであり、全てのハフォン人がその栄養剤を服用していた訳では無いからだ。
 
「ここからが本題。あなた達には、とあるやんごとなき方の身柄を安全且つ迅速に運んで欲しい。勿論、途中でハフォン新政府と新政府側ハフォン軍からの猛烈な妨害が予想できる。そもそもその身柄を確保する事自体が困難を伴う可能性が高いわ。それでもお願いしたい。他に頼れる所がないの。」
 
 誰かを運べという話は最初に聞いている。今の追加情報では、条件が悪化したという話だけであって、依頼の詳細はまだ何ら知らされていない。
 
「そもそも、誰を運ぶのかまだ聞いていないが?」
 
 当然の質問をぶつけた。運ぶ対象が分からないのでは話にならない。
 いきなりクーデターと政権交代の話を切り出してきたのだ。旧政府関係の要人だと言うことくらいは分かるが。
 
「仕事を受けてくれるなら教えるわ。部外者に教える訳にはいかない。」
 
 仕事を受けるなら、秘密を教える。しかしその秘密自体が、仕事を受けるかどうかの重要な判断材料になる。
 彼女たちが依頼してくる仕事は、そういう話ばかりだと思わず苦笑いした。
 その超重要人物がどこにいるか、どこに運ぶのか、程度は教えてもらわなければ返答のしようもない。
 
「せめてどこからどこに運ぶのか、くらいは教えてくれないか。何も判断材料無しでは何も返事は出来ないぞ。」
 
 ミリは俺の目を見て一瞬黙った後に続けた。
 
「フィコンレイド領ヴィーイーから球状十二星団。」
 
 全員の視線がミリに集まった。
 その名前はそれだけのインパクトがあった。
 フィコンレイド領の方ではない。目的地の方だ。
 
 その星団は、銀河系の既知領域の中でも特に特別な場所だった。
 極めて閉鎖的な場所で有り、とんでもなく大がかりな仕掛けを用いて、招かれざる来訪者の進入を拒んでいる場所だった。
 そして、その場所の名前を誰もが知っているが、しかし誰も訪れたことの無い場所だった。
 
 その太陽系の中心部には、ソル太陽の約1.2倍程度の恒星が十二個存在する。
 それぞれの太陽は、正確に正十二面体の面の中心に位置し、互いに公転することでその相対的位置関係を保っている。
 その十二個もの恒星が近距離を保って回っている様は、まるで神が作り出したサッカーボールの様だと言う者もあり、また別の者は巨大なフラーレンだと形容し、まるで生きている恒星がお互いを護るために集まっている様だ、と感想を述べる者もいる。
 
 十二個まとめてソル太陽の約十五倍もの引力圏は、直径二十光年もの範囲において有効な重力傾斜を形成し、恒星圏外でのジャンプアウトを現実的に不可能なものとしている。
 実際には、恒星圏外にジャンプアウトする事自体は可能だ。しかしジャンプアウト後に、恒星系中心部まで約十光年の距離を五十年近くもかけて移動するのは、余りに非現実的なことだった。
 ではその恒星系は、来訪者に対して完全に扉を閉ざしているのかというとそうでは無く、唯一一点、十二個ある恒星の回転中心に存在する直径数十km程度しかない極小のラグランジュポイントのみが、有効なジャンプ可能空間として利用できる。
 勿論こんな馬鹿馬鹿しく巨大な仕掛けを作ったのは、その小さなジャンプポイント以外から来訪者が星系内に進入できない様にするためだ。
 つまり、十二個ある恒星に囲まれたこの空間には、中心部を向いた多種多様な防衛兵器が大量に設置されており、許可無く星系内に進入した者を誰何の返答次第では一瞬で蒸発させるだけの仕掛けが構築してあるのだった。
 
 このような極めて閉鎖的な星系に住む種族の通称を「神官族」と言った。
 彼らは、この銀河ではもう忘れられて久しい神を崇め、神に仕えることを生業として生きていた。
 神に仕え、それを子々孫々伝えていくために彼らは星系から外に出ることはない。生き様がまるで異なるので、彼らは星系外の世界に用も無ければ興味も無い。
 慎ましやかに暮らしているので、星系外から何かを取り寄せる必要も無いため、商人がそこを訪れることもない。
 ただごく少数、ハフォンの様に彼らと同じく宗教を持つ国とは国交を保っているため、希に外交使節を乗せた小規模な船団が、あらかじめ許可を取った上でその極めて特殊なラグランジュポイントを通り抜ける。
 それ以外の来訪者は、完全なオーバーキルとなる量の兵器に脅されて諦めて帰っていくか、無理に突破しようとして宇宙の塵となり、球状に連なる恒星のどれか一つの引力に捕まって燃やし尽くされるかのどちらかの選択肢を選ぶこととなる。
 そして、物珍しさ以外に何も無いこの星系に、わざわざ危険を冒してまで進入を試みる物好きはおらず、かくして誰もが知っているが誰も行ったことの無い場所が出来上がったのだ。
 
「王族か。」
 
「その問いには答えられないわ。」
 
 ミリは返答を拒否したが、当然そうだろう。
 政治家や官僚など、死んだところで幾らでも取り替えることが出来る。
 唯一王族のみが、唯一無二にして取り替えの全くきかない存在だ。
 そして、ミリが口にした出発地も目的地も、乗客がそういう超重要人物であることを想像させるだけの、いかにも物騒な場所だった。
 
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