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2章

お祭りの準備 商工会

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 ほのぼのと子供達がボールで遊んでいるのを見ていると後ろから声をかけられた。

「お、ヒデさんもいるじゃないか丁度よかった」

その声に振り替えると大工の親方が若いのを、何人か連れて門に向かって歩いてきていた。
「あ、親方久し振りですね。色々動いてくれたみたいでありがとうございます」

「ん?何のことだ?俺はヒデさんの言う通りガレキやら半壊してる家を取り壊しただけだぜ?」
親方がとぼけた顔をしてニヤニヤしながら答える。

「ハハ、環境が変われば街が変わるって話はしましたけど、取り壊しまでは頼んでないですよ」
「そうだっけか?まあ、今は建築の注文で大忙しだからな。感謝してるぜ。そんな事より院の中に出店を建てるって聞いたんだけどよ、数とか規模とか聞いておきたいんだが」

親方が仕事をする顔になって聞いてくる。
「へ?いやいや、屋台って言ってもそんな上等なもんじゃなくていいんですけど」

 小規模な小学校のPTAバザーくらいの物を考えていたし、ボーリングとか的あてとか簡単なものしか考えてなかった。

「ん?でもヒデさんの所のヒューイさんから見取り図もらった中にここも入ってたぞ?」
そう言いながら後ろの男の子から見取り図を受け取り、俺に見せてくれる。
その図にの中には院の庭に数軒の屋台らしきものと”詳細はヒデさんに聞いて下さい”と書かれていた。

「親方、ここの色が塗ってある屋台は他のと違うの?」
「そこはもう入るのが決まっている所だ」
言われてよく見てみると店名と何を売るのかが書いてある。パン屋さんと飲み物屋さんみたいだ。む、普通の店も入って来るのか、じゃあ少しちゃんとした感じの屋台を考えるかな。

「うーん、じゃあこことここの二つを‥‥‥‥‥‥そんな感じに出来る?」
「まあ、出来るかどうかって聞かれたら出来るが、何に使うんだこれ?」
「フフフ、これはボーリングじゃなくて、棒倒しのレーンです。ここをボールを転がしてもらって奥の棒を倒してもらう遊具ですね」

「ふーん」

いまいちよく伝わらなかったのか、反応が今一だと思った時、後ろにいた若い衆の子(二十歳いかないくらいかなー?)が目をキラキラさせながら話しに入って来た。

「凄いです。子供の頃遊んだ物をそれ専用の遊具として作るなんて。子供の時は平らな場所なんて遊び場には無かったですからね。それを‥‥‥」

 みんなの注目を集めている事に気が付いたのか急に声が小さくなっていった。
「ス、スイマセンつい興奮しちゃって‥‥‥」
顔を真っ赤にして小さくなっていく。

 俺の案を褒めてくれたのは間違いないし声をかけようとした時、親方が先に声をかけてきた。

「よし、イヴァーこの仕事はお前に任そう。出来るな?」
「ええ?お、俺がですか?無理、無理ですよ。だいち設計図もないじゃないですかー」

「そりゃあ当たり前だ。今初めて作るんだからな。設計図からお前が引くんだよ。お前なら出来るだろ?」
イヴァー君は目を瞑って何かを考えている様子から、決意を決めて親方に答えた。

「やります。いや、やらせてください。絶対に親方が納得いくものを作り上げて見せます」
「うむ、よく言った。お前なら出来ると思って行ったんだ。期待しているぞ」

 そんな様子をボケっと聞いていたらイヴァー君が話しかけてきた。

「ヒデさんそんな訳で僕が担当しますのでもう少し細かい話が聞きたいです」

 この後親方と院長先生も含めて屋台の話と救護室のなどの話をしてから工場に向かった。


 工場に向かう途中に工場の方から、こっちに向かって歩いてくるヒューイさんを見つけたので声をかけた。
「ヒューイさんどこか行くの?」
「ん?ヒデさんか。これから商会があるんだよ‥‥‥丁度いいや一緒に来てくれよ。町の名前決めや、えーと、スタンプカードとかいう奴の説明とか聞かれると思うからさ」

「あれ?その話って今日だっけ?もっと後だったような気がするんだけど?」
「ああ、今日集まるのは他の件だけどその話も絶対に出そうだからさ、説明するなら早い方がいいだろ」

「まあ、そうだね。一緒に行くよ」
今日あった事やポールさんの所でやったボールの実験など色々と歩きながら話しをしながら歩いて行った。

「ボールって実物はあるの?」
ヒューイさんが眉にしわを寄せながら聞いてくる。

「え、えーと、みんな院に置いてきちゃった。でもスライム風船の方は持ってるよ」
 袋の中からスライム風船を出そうと探りながら話す。

「いや、ここで出さなくていいから。どこで誰が見てるかわからないんだから」
「あー、なるほど。でも膨らましてない状態を見ても何だかわからないよ」

「それでもだよ。新商品なんだから気を付けてくれよ」
気にしすぎだと思うけど‥‥‥まあ、ここは言う事を聞いておこう。

そんな話をしていると会合をする場所に着いた。
何でも商工会の運営に使う為に作ったとか。場所はヒール通りの一本中に入った裏の道にある。

ヒューイさんが先に入って行く。
中は事務所の様になっていて申し訳程度の受付が横にあった。事務所の中には三人の男の人が働いていた。

「こんにちは。皆さんもう集まってる?」
ヒューイさんが声をかける。

「ヒューイさんこんにちは。はい、今日来る予定の方達は大体集まってますよ」
一番若そうな人が答える。

「わかった、ありがとう。ヒデさん行こう。あんまり待たせちゃうと悪いから」
「わかった」
 答えながらヒューイさんの後ろについて行く。

 ドアを開けて中に入ると広い空間に長い机が真ん中にあって、周りに向かい合って座っている。会議室の感じってこの世界でも一緒なんだ。変な事に感心していたらヒューイさんに声をかけられた。
「ヒデさんそんな所に立ち止まって無いでこっちきて」

そう声をかけられた途端中にいた人全てが俺に注目した。

え?何々?少し身を引きながら驚いているヒューイさんにまた呼ばれた。
「ヒデさんこっち来てくれないと始められないよ」
「あ、うん。わかった今行く」

 みんなの方を見ない様に急ぎ足でヒューイさんの横に腰かける。

 その間ヒソヒソ声でみんな話している。
「あの人がヒデさんなのかい?」
「あれ?どっかで見た事あるかも」
「思ったより若いなー」
「本当にあんな若いのに領主や街の顔役とパイプを持ってるのか?」
「あらあら。可愛いじゃない?」

 なんでそんな有名人になってるんだ?
 席に着いてからヒューイさんの方に顔を向けると、悪戯が成功した子供みたいにニヤニヤしながらこっちを見ていた。

その顔をここのとこよく見るな‥‥‥

「遅くなってスイマセンでした。ヒデさんに来てもらうのに少し遅れちゃいまして」
シレっとウソ言ってる。たまたま会っただけなのに。

 ヒューイさんは、そんな感じで話し始めて今日話す予定の事を消化していく。話の途中何回か質問を受けていたが淀みなく答えていく。

 そんな感じで会議が進んでいった。
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