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3章
お留守番 その4 -ゲンー
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ギルマスから診療所に泊ってもよいと許可を貰った。
えっと、先ずは孤児院にこの事を伝えないといけないな。
そう考えてみんなの顔を見るとハルナが話しかけてきた。
「ああ、孤児院に報告なら私が行ってくるよ。私とミラちゃんのお泊りセット持ってくるついでだし」
「ああ、頼む。てか、ミラはわかるけど、ハルナも泊るのに準備が必要なのか?」
俺のその一言にハルナが不機嫌そうな顔になって言い返してきた。
「なによそれ?私だってミラちゃんと同じ女の子なんですからね」
へ?な、何怒ってるんだ?ハルナは冒険者だしどこでも野宿とか出来ないといけないし、それに前のゴブリン討伐に隣村まで行った時ヒデ兄やみんなと野宿したのに?
その事を言おうと口を開いた時トランが間に入って来た。
「まあまあ、待って。早く言いに行かないとアン先生が僕らの分の夕飯も作っちゃうよ?それと僕の外套も持ってきてくれると嬉しいな。あ、ヒデ兄風にマントって言わないとね」
トランの最後の方のおどけた言い方にハルナの不機嫌そうな顔が少し緩む。
「もう、わかったわよ。ゲンのも持ってくる?マント」
「お、おう、たのむ」
俺の答えを聞くとミラと少し話してからギルドの出口に向かって行った。
それを見ている時トランが話しかけてくる。
「ゲン、あの言い方はマズいって」
「い、いや、俺は‥‥‥」
俺がさっき思っていたことを口にしようとした時トランが俺の言葉を遮って話してくる。
「いや、わかってるよ。ハルナは冒険者だからって言おうとしたんだろ?」
「そうだ、それに前にも野宿した事あったろ?ヒデ兄と」
「はあ、ハルナも女の子なんだから、せめてミラと一緒の時は女の子って事を意識してやれよ。そんなんじゃヒデ兄みたいに鈍感な男になっちゃうぞ?」
トランが言った事を考えてみる。
確かに、ハルナは装備品やアイテムにもかわいらしさみたいなモノを気にしていたような気がする。
本当は冒険者が嫌なのか?‥‥‥いや、そんな事は無いと思う。
何故と言われると困るが、嫌々やっているようには思えないのだ。狩りをしている時や獲物を探している時、クエストが終わってから街に戻る時などの達成感で満たして喜んでいる顔は俺達と同じ顔をしているのだから。
‥‥‥まあ、いいや。わかんなくてもヒデ兄と同じなら良いか。
俺が頷いてからトランの顔を見るとトランが顔をガクッとさげる。
「ゲン、今ヒデ兄と同じならいいやとか思ったでしょう?」
「え?何で分かるんだよ?」
「まったく、ヒデ兄もゲンもわかりやすいんだよ。なあ、ミラ」
トランはいつの間にか隣に来ていたミラに話しかける。
「フフ、そうだねー。でも、ゲンとヒデ兄師匠は似たところあるよね」
「ああ、確かにそうかもね」
ん?俺がヒデ兄と似てる?あれ?なんだろ何か嬉しいな。
二人が何か話しているが耳には入ってこなかった。
「ヒデ兄に似てる」なんかその言葉で凄く喜んでいる自分に気付いた。
俺は父親の顔も母親の顔もまるで覚えてはいない。気が付いた時にはあの孤児院にいた。
そしてトランやハルナ、ミラに会い。ヒデ兄に会った。初めて会った時はなんか頼りのない大人だと思ったのだが、俺達の言葉をキチンと聞いてくれて真剣に考えてくれていた。
そしていつの間にか街まで変えてしまって孤児院に出来る仕事まで作ってくれて、院長先生、アン先生そして弟達や妹達も救ってくれた人だ。
年齢的には違うだろうがこんな人が父親なら俺は誇らしい気持ちになるだろう。
その時俺の頭にマントがかぶさって来た。
「なにニヤニヤしてるのよ?ほら、あんたの外套じゃなくてマント持って来たわよ」
いつの間にかハルナが帰って来ていたようだ。どんだけ考えこんでいたんだ俺?
「あ、ありがとう。それとさっきは‥‥‥」
「別にいいわよ。いつもの事なんだから」
「ん?そうなのか?」
「はあ、そういう所って本当にヒデ兄にそっくりね。将来貴方の事を好きになる女の子が可哀想になって来たわ」
ん?最後の方は声が小さくて何言っていたかわからなかったけど、またヒデ兄に似てるって言われた。フフ
この後酒場で夕食を食べてから、いつもは居ない俺達の姿を見て話しかけてくる他の冒険者の人と少し話したりしてから診療所に戻る。
ヒデ兄がクエストの手伝いに行った事を告げると、みんな凄い不安そうな顔をしてからママさんや事情に詳しそうな人に話しかけてヒデ兄の心配をしている。
なんかその事が自分の事の様に嬉しくなった。
ドアを閉めても酒場から喧騒が聞こえてくる。
こじいんだと弟妹達をベッドに入れて早く寝ろーなんて言っている時間だ。それに今日は昼間の訓練はいつもよりきつかった。
周りを見るとミラとハルナがいつの間にかパジャマ姿になっている。
ああ、これを取りに行ったのか。
そしてお互いで洗浄の魔法をかけあって笑っていた。
その時、いつの間にか後ろにいたトランに洗浄の魔法をかけられる。不覚を取ってしまったが、くすぐったいのを堪えてトランにもかける。トランは読んでいたらしくこれをかわす。
が、俺もそれくらいは読んでいた。トランが着地する辺りに洗浄魔法を仕掛けるとかわし切れずに魔法にかかるが、それに耐えて着地しながら俺に向かってさらに洗浄魔法をかけてきた。
そんな感じでトランとふざけあっていたらミラとハルナに凄く怒られた。
部屋中泡だらけになっている。
まあ、この泡すぐ消えるんだからいいじゃないか。とか思ったがこれは口にしないよ、ヒデ兄いわくこういう時は逆らってはイケナイらしい。
ハルナとミラがヒデ兄のベッドで寝て、俺とトランは診療台のベッドで寝る事に決まった。
まあ、俺は何処でも寝れるからね。マントも持ってきてもらったから寒くないし。
あれだけうるさいと思っていた酒場の喧噪も、なぜか気にならなくなっていつの間にか寝てしまっていた。
えっと、先ずは孤児院にこの事を伝えないといけないな。
そう考えてみんなの顔を見るとハルナが話しかけてきた。
「ああ、孤児院に報告なら私が行ってくるよ。私とミラちゃんのお泊りセット持ってくるついでだし」
「ああ、頼む。てか、ミラはわかるけど、ハルナも泊るのに準備が必要なのか?」
俺のその一言にハルナが不機嫌そうな顔になって言い返してきた。
「なによそれ?私だってミラちゃんと同じ女の子なんですからね」
へ?な、何怒ってるんだ?ハルナは冒険者だしどこでも野宿とか出来ないといけないし、それに前のゴブリン討伐に隣村まで行った時ヒデ兄やみんなと野宿したのに?
その事を言おうと口を開いた時トランが間に入って来た。
「まあまあ、待って。早く言いに行かないとアン先生が僕らの分の夕飯も作っちゃうよ?それと僕の外套も持ってきてくれると嬉しいな。あ、ヒデ兄風にマントって言わないとね」
トランの最後の方のおどけた言い方にハルナの不機嫌そうな顔が少し緩む。
「もう、わかったわよ。ゲンのも持ってくる?マント」
「お、おう、たのむ」
俺の答えを聞くとミラと少し話してからギルドの出口に向かって行った。
それを見ている時トランが話しかけてくる。
「ゲン、あの言い方はマズいって」
「い、いや、俺は‥‥‥」
俺がさっき思っていたことを口にしようとした時トランが俺の言葉を遮って話してくる。
「いや、わかってるよ。ハルナは冒険者だからって言おうとしたんだろ?」
「そうだ、それに前にも野宿した事あったろ?ヒデ兄と」
「はあ、ハルナも女の子なんだから、せめてミラと一緒の時は女の子って事を意識してやれよ。そんなんじゃヒデ兄みたいに鈍感な男になっちゃうぞ?」
トランが言った事を考えてみる。
確かに、ハルナは装備品やアイテムにもかわいらしさみたいなモノを気にしていたような気がする。
本当は冒険者が嫌なのか?‥‥‥いや、そんな事は無いと思う。
何故と言われると困るが、嫌々やっているようには思えないのだ。狩りをしている時や獲物を探している時、クエストが終わってから街に戻る時などの達成感で満たして喜んでいる顔は俺達と同じ顔をしているのだから。
‥‥‥まあ、いいや。わかんなくてもヒデ兄と同じなら良いか。
俺が頷いてからトランの顔を見るとトランが顔をガクッとさげる。
「ゲン、今ヒデ兄と同じならいいやとか思ったでしょう?」
「え?何で分かるんだよ?」
「まったく、ヒデ兄もゲンもわかりやすいんだよ。なあ、ミラ」
トランはいつの間にか隣に来ていたミラに話しかける。
「フフ、そうだねー。でも、ゲンとヒデ兄師匠は似たところあるよね」
「ああ、確かにそうかもね」
ん?俺がヒデ兄と似てる?あれ?なんだろ何か嬉しいな。
二人が何か話しているが耳には入ってこなかった。
「ヒデ兄に似てる」なんかその言葉で凄く喜んでいる自分に気付いた。
俺は父親の顔も母親の顔もまるで覚えてはいない。気が付いた時にはあの孤児院にいた。
そしてトランやハルナ、ミラに会い。ヒデ兄に会った。初めて会った時はなんか頼りのない大人だと思ったのだが、俺達の言葉をキチンと聞いてくれて真剣に考えてくれていた。
そしていつの間にか街まで変えてしまって孤児院に出来る仕事まで作ってくれて、院長先生、アン先生そして弟達や妹達も救ってくれた人だ。
年齢的には違うだろうがこんな人が父親なら俺は誇らしい気持ちになるだろう。
その時俺の頭にマントがかぶさって来た。
「なにニヤニヤしてるのよ?ほら、あんたの外套じゃなくてマント持って来たわよ」
いつの間にかハルナが帰って来ていたようだ。どんだけ考えこんでいたんだ俺?
「あ、ありがとう。それとさっきは‥‥‥」
「別にいいわよ。いつもの事なんだから」
「ん?そうなのか?」
「はあ、そういう所って本当にヒデ兄にそっくりね。将来貴方の事を好きになる女の子が可哀想になって来たわ」
ん?最後の方は声が小さくて何言っていたかわからなかったけど、またヒデ兄に似てるって言われた。フフ
この後酒場で夕食を食べてから、いつもは居ない俺達の姿を見て話しかけてくる他の冒険者の人と少し話したりしてから診療所に戻る。
ヒデ兄がクエストの手伝いに行った事を告げると、みんな凄い不安そうな顔をしてからママさんや事情に詳しそうな人に話しかけてヒデ兄の心配をしている。
なんかその事が自分の事の様に嬉しくなった。
ドアを閉めても酒場から喧騒が聞こえてくる。
こじいんだと弟妹達をベッドに入れて早く寝ろーなんて言っている時間だ。それに今日は昼間の訓練はいつもよりきつかった。
周りを見るとミラとハルナがいつの間にかパジャマ姿になっている。
ああ、これを取りに行ったのか。
そしてお互いで洗浄の魔法をかけあって笑っていた。
その時、いつの間にか後ろにいたトランに洗浄の魔法をかけられる。不覚を取ってしまったが、くすぐったいのを堪えてトランにもかける。トランは読んでいたらしくこれをかわす。
が、俺もそれくらいは読んでいた。トランが着地する辺りに洗浄魔法を仕掛けるとかわし切れずに魔法にかかるが、それに耐えて着地しながら俺に向かってさらに洗浄魔法をかけてきた。
そんな感じでトランとふざけあっていたらミラとハルナに凄く怒られた。
部屋中泡だらけになっている。
まあ、この泡すぐ消えるんだからいいじゃないか。とか思ったがこれは口にしないよ、ヒデ兄いわくこういう時は逆らってはイケナイらしい。
ハルナとミラがヒデ兄のベッドで寝て、俺とトランは診療台のベッドで寝る事に決まった。
まあ、俺は何処でも寝れるからね。マントも持ってきてもらったから寒くないし。
あれだけうるさいと思っていた酒場の喧噪も、なぜか気にならなくなっていつの間にか寝てしまっていた。
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