祝福の居場所

もつる

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「アノットさん!」

 駆けつけたマーシャたちの目に入ったのは、金網リングに入ったアノットとランダウルだった。
 四人とフレーシは互いに身構える。しかしランダウルがいさめる。

「よせ、手を出す必要はない」
「彼の言う通りよ、四人とも。これは私の闘い……手出しは無用」
「闘い? それは違うな」ランダウルは剣を抜く。「きさまの公開処刑だよ」

 先制攻撃を仕掛けたのはランダウルだった。

  ◇

 アノットにランダウルの剣閃が降りかかる。
 彼女はそれをガードし、横にすり抜けながら反撃した。
 寸でのところでランダウルは避け、また斬りつける。
 二人の刃がぶつかり、鍔迫り合いに移る。
 押されたのはアノットのほうだった。
 が、彼女は金網が背に触れたところで膝蹴りを放つ。
 ランダウルの姿勢が崩れ、アノットは袈裟斬りを繰り出した。
 その斬撃を、ランダウルは斬り上げではじき、正面蹴りをアノットに当てる。
 アノットは吹き飛ばされるも、すぐ体勢を立て直した。
 そこにランダウルの追撃が来る。
 鋭い刺突。アノットは紙一重で串刺しを避けたものの、完全には躱しきれなかった。
 脇腹に一筋の傷ができて、血が飛散した。
 回避の勢いを乗せ、アノットはランダウルの背に斬撃を放つ。
 それをランダウルは防ぎ、懐から銃を抜く。
 ランダウルの銃撃がアノットを襲った。
 八発の銃弾は彼女の肉体を穿つことこそなかったが、衝撃に表情が歪む。
 空になった銃を投げ捨て、ランダウルは笑った。
 アノットは雄叫びを伴って攻め込む。
 ランダウルは彼女の放つ斬撃をことごとく受け止め、ボディブローを返した。
 更に回し蹴りで頬を打ち、腿を斬りつけた。
 一気にアノットの構えが崩れ、ランダウルの攻勢となる。
 腕を、脚を、胴を斬り、渾身の左ストレートが額を割った。
 彼女は仰向けに倒れ、刀を手放す。
 マーシャが叫んだ。

「アノットさん!」
「……大丈夫……まだ生きてるわ……」
「でも……!」
「粘るな」ランダウルは刀を拾い上げる。「だがその命が尽きるのももうすぐだ」

 彼は床に刀を突き刺し、それを背にした。

「さあ、私から愛刀を取り戻せるかな?」

 アノットは拳を振りかざし、ランダウルに殴りかかった。
 しかしランダウルはたやすく躱し、裏拳を返す。
 彼女は仰け反ったが、攻撃の手を緩めなかった。
 すぐ蹴りを放ち、貫手を突き出し、組み付いて頭突きを喰らわせる。
 ランダウルもこれは効いたようだが、すぐ反撃してくる。
 アッパーカットで顎を殴り飛ばし、アノットの背を床に叩きつけた。
 彼女は息を荒くして、どうにか立ち上がろうともがく。
 それを見てランダウルはため息をついた。

「わかっているんだろう? アノット……私とおまえでは、身体能力のスペックがまるで違うのだ。私は完成形のヴァンダル2型……だがおまえは試作の0型……試作品が正規品に勝てるはずもなかろう」
「……そうね……。けれどミスター、試作品もチューンナップすれば見違えるわよ?」

 彼女は言いながら、一本の筒状器具を取り出す。器具には<TYPE‐1>と書いてあった。

「そのインジェクター……濃縮ダムドガスか」
「あのコたちにかまけて研究室をお留守にするなんて、ヒュシャンもカワイイとこあるわね」
「フン、いいだろう。やってみろ」
「ダメだよ!」マーシャが金網に指をかけた。「そんなことしたらアノットさんが……!」
「大丈夫よ。マーシャ」

 アノットは振り向いて続ける。

「理性を失っても目的までは見失わない。やるべきこととそうでないことの区別は瀬戸際でつけられるわ。そうでしょう? ローハ」

 ローハは何も言わなかった。返す言葉が見つからないのは容易に察せた。
 アノットは立ち上がり、インジェクターの針を出す。

「上手くいったら安らかに眠らせて」

 彼女は自らの首筋に針を突き刺した。

  ◇

 マーシャの両手に力がこもる。
 アノットの体内に<邪気>が進入していくのを目の当たりにして、彼女は口の中が乾いていくのを感じた。
 アノットはインジェクターを抜き取ると同時に、悶え出した。前かがみになって両腕で体を抱え、低く呻く。
 二重の心臓音が高鳴って、マーシャたちの耳にまで届いた。
 鼓動が激しく、速くなる。アノットは背中を反らして高々と咆哮した。
 トレンチコートを破り捨て、膨張した筋肉を顕にする。
 その顔は憤怒と憎悪で歪み、ランダウルを睨みつけた。
 ランダウルは先程までの笑みを消すと、剣を構える。
 アノットは突進して拳を放った。
 ランダウルはぎりぎりで躱し、背に刃を振る。
 が、アノットは突き立った刀を抜いて斬撃をはじいた。
 衝撃でランダウルはぐらつき、アノットは追撃する。
 組み付いて腹に拳を何度も浴びせた。
 ランダウルはアノットの後ろ髪を引っ張って彼女を剥がし、後ろに跳ぶ。
 間合いが開いたのは一瞬だった。
 アノットはすぐ距離を詰めて、刀を振るう。
 ランダウルは斬撃を転がって避け、咄嗟の反撃を繰り出した。
 二人は何度か離脱と接近、斬り結びを繰り返す。
 ランダウルの顔からはまるで余裕の色が感じられなくなっていた。
 アノットは刀を大きく横に薙ぐ。
 それをランダウルが剣で防ごうとした。
 刃が衝突した次の瞬間、ランダウルの剣は真っ二つに折れる。
 彼は驚愕の表情を浮かべ、そこにアノットが迫った。
 彼女は強引にランダウルの顔を押し上げ、喉笛に噛み付く。
 空間全体にランダウルの叫び声が響き渡った。

「ランダウルさま!」フレーシが金網を叩く。

 しかし、ランダウルの首筋からは血ではなく、どす黒い塊がにじみ出てきた。
 アノットはその塊に喰らいついたまま、一気にランダウルから離れる。
 ランダウルは仰向けに倒れて動かなくなり、アノットは彼から出た黒い塊を吐き捨てた。

  ◇

 マーシャたちは、その光景に血の気が引く。

「……なにあれ……!?」

 アノットは刀を逆手に持ち、塊を突き刺そうとした。
 その時、塊から触手のようなものが伸びて彼女を押し飛ばす。
 塊は不気味に蠢き、その場で膨れ上がってゆく。それはやがて二本の脚を形成し、四本の腕を形作り、六つの目を持つ禍々しい顔を成した。
 今までに見たこともない姿だったが、それはまさしく怪物と呼ぶにふさわしい姿である。

「……あの針……」怪物が喋った。「私をランダウルから引き剥がすためのものだったということか」
「どういうことだ!? あんたはいったい――」
「うろたえるなフレーシ。おまえは長年私と共にいた……。私はヤツの肉体を借りていただけに過ぎん」

 アノットが雄叫びを上げて突っ込んできた。
 だが怪物は彼女を軽い動作で蹴飛ばし、事も無げに続ける。

「海底都市を追われた私は地上でさまざまな技術を身に着けた。そのひとつに、霊魂をこの世に留めておく術があったということだ」
「では、あんたは……あんたの本当の名は……!?」
「もう気づいているのではないのか?」

 怪物は笑った。

「私はゼネズだ」


 マーシャたちは驚きを隠せなかった。フレーシも同じ心理であるのは表情が物語っている。

「そんな……ディクティニスさんは死んだって……」
「さっき言ったことを聞いていなかったのか?」

 ゼネズはマーシャに向き直る。

「とはいえ、私自身もあの愚劣極まる魔法が成功するとは思っていなかったがね」
「……あなたは憎しみを以て、地上の人たちを実験台にしたと聞いた……」
「憎しみか……確かにそうだな。だが元はといえばきさまらの祖先が我が物顔で地上にのさばっていたせいだ」
「そんな! どうしてそんなふうに――」

 マーシャが言おうとすると、アノットがまた起き上がってゼネズへと突っ込む。
 ゼネズは鋭い鉤爪の生えた腕で刀をはじき、ヒト型の腕で彼女の首を掴んだ。
 ぎしりとアノットの首が軋む。
 アノットは必死に抗うが、ゼネズはびくともしない。

「フン、馬鹿め。ランダウルに勝てても私に勝てると思うな」

 アノットは目を見開き、呻く。こめかみに血管が浮き出て、ゼネズから逃れようともがいた。
 それを見てマーシャは叫ぶ。

「やめて! もう勝負はついたでしょう!?」
「ああ勝負はついたさ。だがさっきも言ったろう? これは公開処刑だ。よく見ておけ」

 マーシャとジェラは金網を斬り開こうと試みるも、金網は忌まわしいほど丈夫で、歪ませるのが関の山だった。
 アリテームも銃撃でアノットを助けようとするが、ゼネズの皮膚は小銃弾さえ通さなかった。
 ローハも金網を引き裂こうとしているが、やはりびくともしない。

「手遅れだ」

 ゼネズの言葉と共にアノットの首から骨の折れる音がした。
 彼女は潰れた声を出して、だらりと四肢を垂れ下げる。
 マーシャは彼女の名を叫び、慟哭する。ジェラもアリテームも、ローハも絶句していた。
 フレーシですら、青ざめた顔と共に唖然としている。
 ゼネズは笑い声を上げ、アノットの死体を投げ捨てた。

「どうだ。これが私に楯突いた愚か者のたどる末路だ。こいつには散々苦労させられた。たった一人でここまでやったのは評価してやるが、所詮は……」
「……許さない……」

 マーシャは歯を食いしばり、剣を強く握りしめていた。
 彼女の全身に、憤怒の力が湧き上がる。
 剣を薙いで金網を斬り裂き、ゼネズに突進した。
 怒号と共に斬撃を放つ。
 しかしゼネズの爪が防御した瞬間、マーシャの剣が砕け散る。
 破片の向こうでゼネズの眼光がマーシャを刺す。
 ゼネズは彼女を殴り倒し、仲間のほうへ蹴り飛ばした。
 その身をジェラが受け止めるが、衝撃でアリテームとローハごと仰向けに倒れる。
 すると、場の全体がわずかに揺れた。

「バックアップシステムに切り替わったか」

 ゼネズは金網リングから出てフレーシに言う。

「行くぞ。ヤツらにもう価値はない」
「え? しかし……」
「生体戦艦を稼働させる。来い」
「は、はい……」

 ゼネズとフレーシはその場から立ち去る。分厚い鉄扉が閉ざされ、強固な錠が下りた。
 痛みの中で、マーシャは敵の背を見るしかできなかった。


 マーシャたちは、ようやく立ち上がって、アノットの亡骸のそばまで行く。
 力なく上を向いたままの彼女の死に顔は血に汚れ、虚ろな表情をしていた。

「アノットさん……」

 マーシャの涙が落ちる。
 ジェラはアノットの瞼を閉ざし、顔の汚れを拭いた。
 アリテームは彼女が着ていたコートを拾い上げて、遺体に被せる。
 ローハは膝をついて言った。

「……あんたがいなければ、わたしは今こうしていない……。アノット……あなたの無念はわたしたちが晴らす」

 すると、衣擦れの音とおぼつかない足音がする。
 振り向くと、意識を取り戻したランダウルが立っていた。
 その眼差しは憂いと、優しさを帯びた輝きをたたえている。もはや黒衣の暴君の面影はどこにもない。
 ランダウルは重い足取りでこちらに来て、歯ぎしりした。

「……ほんとうに……すまない……」
「伯父さん……」

 ランダウルは膝をつき、うなだれる。彼の手はアノットに伸びて、けれど途中で留まった。震えるその手は、やがて強く握りしめられる。
 そんな時だった。
 また空間全体が揺れる。今度は徐々に大きくなり、地鳴りのような低い音が轟く。
 ランダウルが言った。

「生体戦艦を動かす気だ」
「ゼネズもその名を」ローハが言う。「いったい何なんだ?」
「ヤツらの本命だ。脱出しなければ……ここからならバードラが近い」
「バードラならムッシュ・ディクティニスたちが鹵獲しているはず」
「ならば話が早い。ここはじき崩れる」

 ランダウルとジェラたちが出口へ向き直る。だがマーシャは、かれらにすこし遅れを取った。
 皆の心配そうな視線を、彼女は背中に感じる。
 マーシャは涙を拭いて立ち上がった。

「わかってる……」

 彼女はアノットの亡骸に目を落とし、それから刀を拾う。

「……アノットさん……。こんなところに置き去りにしてごめんね……」

 そして五人は走り出す。
 ランダウルの案内で、着実にバードラへと近づいてゆく。地鳴りめいた音はずっと響いていたが、マーシャたちは首尾よく最後の橋まで来た。

「あれを渡ればバードラだ!」

 しかし、橋を渡っている途中で生体戦艦からの震えが激しくなり五人を襲う。
 瓦礫が降り注ぎ、橋が真っ二つに割れた。
 マーシャ、ジェラ、アリテームとローハ、ランダウルが分断されてしまう。
 ランダウルが叫んだ。

「ジェラ! マーシャ!」
「あたしたちは別の道から行く! 二人は先にバードラへ!」
「……待っているぞ!」

 ランダウルとローハは戦艦へと走っていった。
 残ったマーシャたちは迂回路を探そうとする。
 だが、その時ゾンビ兵隊が斧で不意打ちを仕掛けてきた。

  ◇

 ローハとランダウルは外に出る。二人のすぐ目の前には、飛空戦艦バードラの姿があった。
 二人は艦に駆け寄る。
 ディクティニス隊の兵士が、ランダウルの姿を見るや否や銃を構えた。
 咄嗟にローハが止める。

「待ってくれ! 今は味方だ!」
「なんだって?!」
「詳しくはあとで! 発進準備を、準備だけだ! まだあの子たちが……」
「――わかった」

 兵士は無線機でディクティニスに連絡を取る。
 ローハとランダウルは艦の出入り口でマーシャたちを待った。
 バードラの斥力発生機が回転を始める。まだ離脱はしない。

「たのむ早く来てくれ……!」

 振動はますます大きくなり、ダシタリズム造船所の外周にある建物群が崩壊を始める。
 バードラも揺さぶられ、ローハたちはにわかにバランスを崩した。
 瓦礫が飛び散り、そのいくつかはバードラの船体にぶつかる。
 兵士が叫んだ。

「これ以上は危険だ!」
「もうすこし……もうすこしだけ……!」

 しかしマーシャたちが来る気配はまるでない。
 艦の架台に亀裂が走り、みるみるうちに大きくなってゆく。
 バードラが動き始めた。艦橋側で、もう待てないと判断したのだろう。
 橋の落下と、係留索が外されるのを見てローハもランダウルも、諦めざるを得なかった。
 扉が閉ざされ、艦は離れてゆく。
 ローハとランダウルがメインブリッジに移動したころ、大量の土砂と瓦礫が砂埃のごとく舞い散って、信じられないほど巨大な空中戦艦が浮上してきた。バードラがちっぽけな砲艇に見えるほどのサイズだ。
 それは大地に暗黒の影を落とし、天空に舞い上がった。
 横倒しになった樹木、あるいはキノコにも似た有機的曲線を持つおぞましい船体は空の青に霞み、人の手によって造られたものであるという事実さえ疑わせる。
 周囲にある全てを震撼させて響く動力音は、バードラの分厚い装甲板越しでも乗員たちの耳をつんざいた。
 生体戦艦である。
 ローハとランダウルも、艦長席のディクティニスも唖然としていた。

「なんということだ……」ディクティニスが呟く。「忌まわしい伝説が顕現してしまった」

 バードラは生体戦艦から遠ざかり、体勢の立て直しを図った。
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