祝福の居場所

もつる

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 ローハたちが驚いていると、ディクティニスは立ち上がろうとしている足元のゾンビ兵の頭を撃つ。
 そして三人に言った。

「おおよそのことはプレイトくんから聞いている。ゆえにここへ来た」
「助かりました。ありがとうございます」
「するべきことをしたまでだ」ディクティニスは微笑む。「さあ、あとは私と、我が直属部隊に任せてくれ」

 彼が言うと、アノットが返した。

「いえ、退けはしません」
「アノット……」
「私はランダウルに用があります。そのためにいろいろと策を用意してきました」

 彼女は敵の拠点に目を向ける。

「あなたがたとは別行動で、ヤツらのところへ行きます」
「ボクも……ジェラたちを助けたい。この手で――」
「しかし――」

 ディクティニスが言う前に、ローハは言った。

「彼のハッキング技術はかなり高い。ダシタリズム造船所のシステムをダウンさせられれば、みなさんも楽になるはず」
「フム……」

 ディクティニスは腕を組み、すこし黙ってから、直属部隊のメンバーらと相槌を打った。

「わかった。そこまで言うなら止めるのは無粋であろう」
「痛み入ります」
「我々はきみらのサポートとプレイトくんの保護、そして……」

 ディクティニスは停泊中のバードラを見る。

「あの艦の鹵獲を担当しよう」
「お願いします」
「さあ、行くぞ」

 三人とディクティニス隊は敵の拠点へ向けて前進した。

  ◇

 司令室では、ランダウルと四天王が画面越しにディクティニス隊とローハらの動向を監視していた。
 それを見ながらミィパが言う。

「あちらさん、ずいぶんと本気みたいね」
「ぬう、やりおる」とブライレム。「あのゾンビ兵をいとも簡単に片付けるとは」

 その横でヒュシャンが言った。

「0型と1型……それにあのストロベリーブロンドの少女……兄妹を奪還しに来たのでしょうが……」
「んん? あの子供は男だと言っていたぞ。……まあそれはよい。兄妹はどうしておる?」
「今は部屋で大人しくしてもらっています」

 するとフレーシが言った。

「ヤツら三手に分かれたぞ。1型と少年は一緒だが……0型は単独行動する気か」

 彼はランダウルに向き直る。

「どうします? ランダウルさま」
「……ヒュシャン、兄妹を奪われるな。迎撃に行け」

 ランダウルが言うと、ヒュシャンは動く。

「ミィパ、部隊を率いてディクティニスどもを返り討ちにしろ」
「その言葉をお待ちしておりました」

 恭しく頭を下げてから、ミィパも司令室を出てゆく。

「ブライレム、ここに残って艦のモニターを続けろ」
「了解です」
「……フレーシ、私と来い」

 ランダウルは立ち上がり剣を手に取る。

「奴らを処刑してやる」

  ◇

 ローハたちとディクティニス隊は、ダシタリズム造船所内に進入して、その光景に息を呑んでいた。
 壁面は肉のような、それでいて樹皮のような有機的形状をしており、それが時折脈打っている。そしてその肉壁が築く広大な空間には四方八方に無数の橋が架かり、さまざまな機械と支柱が、あたかも都市を形成するかのように林立していた。
 それを見回して、ディクティニスが言う。

「……言い伝えとばかり思っていたが……まさか実在したとは……」
「ご存知で?」
「全てではない。だが、最盛期の古代文明ではこういう生体組織で構成された建造物を開発していたという記録がいくつかある。どれも信憑性に欠けるものだが……」
「でも、どうしてそんなことを……」
「代謝機能を持つ生体組織でできていれば保守点検に人の手を割く必要もない。そう考えたのだろう」

 彼は内壁に掌を添える。

「この辺りは自然に砂漠ができる気候ではない……。こいつは長年、己が生きながらえるために土地の養分を独占していたということか」
「……だからか」言ったのはアリテームだった。「こいつがボクの村を砂漠に……」

 アリテームは拳を固く握り、はるか上方を睨んだ。

「けれどまだ復元は完全じゃないみたいね」

 アノットが言う。彼女は遠方の橋を指差した。

「ほら、あそこ。まだ途中よ。あっちは古すぎて閉鎖されてるし、崩落してるのも……」
「思ったより歩き回らなくて済みそうだ」とローハ。
「だが手分けして動こう。我々は予定通りに。きみらはランダウルと兄妹をたのむ」
「はい」

 ローハが答えるとディクティニスは部隊と共に向こう側へ行く。
 アノットもローハ、アリテームも別々の道へ進んだ。


 ローハとアリテームは警戒しつつ前進する。総金属製の通路を叩く二人分の靴音が肉壁にこだましていた。

「手分けしてとは言っても……」アリテームが呟いた。「どこから捜せばいいのやら――」
「目星をつけるとすれば、居住区……人間のにおいが集まっているところだろう」
「わかるの?」
「全神経を鼻に集中すればな。マーシャとジェラのにおいがあればアタリだ」
「マーシャと……ジェラの……ジェラ……」

 アリテームの顔がにわかに赤くなった。

「……ねえ、ローハさん……ひょっとしてボクの体から……」
「……そうだな……ジェラのにおいがする」

 アリテームは何も答えなかった。が、ローハは充分すぎるほど察していた。

「愛しているんだな……彼を」
「……だから、絶対に助けたいんだ」
「……わたしも、あの子たちには多大な借りがある」

 二人はにおいと真新しい通路を手がかりに突き進む。途中、ゾンビ兵が何度か襲ってきたが難なく返り討ちにした。
 ローハの鼻は確実に人のにおいを感知し、首尾よく居住区に近づいてゆく。
 途中、ローハは別のにおいを嗅ぎとった。

「このにおい……コンピュータか……?」
「ここのシステムにアクセスできそう?」
「ああ。すこし距離があるが、それでこのシリコン臭……たぶん主要な電算室だ」
「好都合だね。先にハックしちゃおう」
「そうだな。そのほうが――」

 最後まで言わないうちに、ローハは殺気を感じた。

「伏せろ!」

 アリテームに覆いかぶさるのと同時に、銃声が連続した。
 弾が壁面に穴を開け、血液じみた液体を散らせる。
 銃撃の方を見ると、機関銃を手にしたヒュシャンが立っていた。
 アリテームは反対側の手すりまで退いてから撃ち返す。

「くそっ! 邪魔するな!」

 しかしヒュシャンには当たらなかった。
 一方でヒュシャンは無遠慮に連射してくる。
 ローハとアリテームは横殴りの弾の雨から逃げつつ、反撃を試みた。

「相手はライトマシンガン、こっちはボルトアクションライフル……制圧力では圧倒的に負けてる」
「じゃあどうすれば――」

 アリテームの言葉に、ローハは行動で答えた。
 ローハは目についた扉を引き剥がし、盾代わりにする。
 ヒュシャンはそれを見てか、銃撃をやめる。
 ローハは扉を投げた。
 扉は向こう側の通路にぶつかり、床を凹ませながらバウンドすると壁に突き刺さった。次の瞬間にはまた銃撃が始まった。
 二人は逃げる。そう何度も同じ手は使えない。
 電算室からも居住区からも離れてゆき、目の前に倒したゾンビ兵が見えた。
 ローハはゾンビ兵の突撃銃を拾い、ヒュシャンと撃ち合う。
 まもなくヒュシャンは弾切れを起こした。
 ヒュシャンの持つ型の機関銃は再装填に時間がかかるのを、ローハは知っていた。この隙にアリテームもライフルを撃つ。
 だがヒュシャンもまた身を隠し、こちらの弾は当たらない。
 突撃銃の弾が全て尽きた。

「くそ! せめてグレネードランチャーでもついてれば――!」

 ローハが言うと、アリテームは指を鳴らした。

「そうだ!」

 彼はグリモアを開き呪文を書く。
 再びヒュシャンが機関銃を撃ってきた。
 ローハは隠れながら訊く。

「何か思いついたか!?」
「うまくいけばね!」

 呪文を書き終えた。紙面に魔法陣が現れ、彼はそれを覗きながら言う。

「ボクの指す方向を撃って!」
「わかった」

 ローハはアリテームからライフルを受け取り、ヒュシャンとは別方向の支柱を撃った。
 弾は柱に当たって跳ね返り、相手の足元に当たる。

「跳弾か! いいぞ!」

 ローハは支柱目がけて更に撃つ。
 今度はヒュシャンの肩口に当たった。
 さらに三発目、四発目を放ち、五発目で金属のはじける音が響いた。
 同時に、ヒュシャンからの銃撃が止む。
 ローハは再装填しながら顔を出す。
 跳弾は銃の機関部に入り込みその構造を破壊したらしい。
 ヒュシャンがこちらを睨む。ローハは彼女に銃口を向けた。

「マーシャとジェラを返せ」
「お断りします」

 ヒュシャンは鉄塊と化した機関銃を投げ飛ばす。
 二人はそれを躱したが、その隙にヒュシャンは逃げてしまった。
 アリテームは姿を消したヒュシャンに毒づく。

「くそ! 今度会ったらひっぱたいてやる!」

 一方でローハは投げられた機関銃に残った弾を見た。

「だがコイツは使えるぞ」
「同じ弾を?」
「ああ。持っていこう」

 ローハは薬室内の一発と、ちぎれて残った弾帯の数発をベルトリンクから外す。

「お次は電算室だ」

  ◇

 アリテームたちは電算室に到着すると、ラップトップPCを有線接続した。
 ラップトップの画面に情報が映し出され、彼はハックを試みる。

「よおし、いいぞ」彼は言った。「中身まで大昔の、読めないコードのままだったらどうしようかと思った」
「その時はわたしがここを破壊してやるさ。物理的にね」

 出入り口で見張りをするローハが言った。

「用が済んだら自壊するコードを仕込むから、ローハさんが手を煩わせることないよ」
「きみがいるとほんとに心強い。頼むよ、ウィザード」

 アリテームはシステムの奥深くまで侵入してゆく。途中、ここの見取り図を見つけたのでそれを呪文に変換してからグリモアに複写した。

「よし……これでいい」

 ラップトップを閉じ、スクロールを開く。
 それを見てローハが訊く。

「成功か?」
「一通りはね。呪文とコードを翻訳する仕組みを入れたから、あとは得意なほうでやるよ」

 言いながらアリテームは筆を走らせ、呪文を書いてゆく。

「……ガルノン流警魔破りの技がここで活かせるなんてね」
「スラウギーでもその名を」ローハが言った。「きみの兄上か?」
「いとこのね。ボクに魔法を教えてくれた恩師なんだ。でも村が砂漠に飲まれて……死んじゃったんだ……」

 アリテームは呪文を発動させる。

「――これで落とし前をつけさせてもらうよ」

  ◇

 マーシャは扉や壁を叩いてみたり、どこかに隙間が無いかじっくりと観察したりと、床や天井を片っ端から調べて部屋を脱出しようと画策していた。
 なんとか抜け出して、同じように閉じ込められているであろうジェラと合流したかった。
 ベッドや机、椅子も探るが、どれも板と中空の鉄棒を組み合わせた、簡素に過ぎるもので分解したとしても使い道が思いつかない。
 その時、急に照明が落ちる。
 驚きはしたが、同時に好機を感じた。ひょっとしたら扉の施錠が解けているかも――。
 マーシャは扉に駆け寄りノブをひねる。
 が、扉はびくともしなかった。

「くそー! 開けろー!」

 扉に蹴りを入れる。
 また照明が点き、彼女の脱出意欲も尽きかけてきた。
 ため息をつき、ベッドに腰を下ろしてどうしようか考えを巡らせる。実験室送りも時間の問題だ。
 聞き慣れた二人の声がしたのはそんな時であった。

「ここか?」
「見取り図が正しければ。ジェラは一つ飛ばして左の部屋にいる」
「わかった」

 続いてドアノブが外側からはじけ、扉が軋みながら開いた。

「ローハさん! アリちゃん!」

 彼女は思わずローハに飛びかかって抱きつく。

「マーシャ、無事か?」
「あたしは大丈夫。お兄ちゃんを助けに行こう」
「ああ。もちろんだ」

 マーシャはローハから剣を受け取った。
 三人はジェラがいるはずの部屋の前に行き、先程のようにローハの怪力で扉を壊す。
 扉の向こうでは、ジェラが驚いた顔をしていた。

「お兄ちゃん――」

 マーシャが声をかけようとする前に、アリテームが彼を抱きしめた。

「よかった……! ジェラ……!」
「……ありがとう。ぼくは大丈夫だよ」

 ジェラはアリテームを抱きしめ返す。
 その様を見て、マーシャとローハは静かに微笑みあった。
 四人はアリテームが手に入れた内部見取り図を見ながら進む。

「――で、ディクティニスさんたちは今バードラを奪いに行ってる。アノットさんはランダウルと闘うつもりみたいだけど……」
「一人で!? それって危険じゃない?!」
「間違いなく四天王もいるだろうね」
「……どうする?」
「ムッシュ・ディクティニスたちは大丈夫だろう」

 ローハが言った。

「わたしたちはアノットの助太刀に行こう」
「だね。せめてアノットさんが一対一で闘える状況を作らなきゃ」
「最低でもディクティニスさんたちが来るまでの時間稼ぎはできるだろうし」
「決まりだね」

 四人はアリテームのグリモアで造船所内の監視映像からアノットを捜す。
 マーシャの目がアノットの姿を捉えるのに時間はかからなかった。

  ◇

 アノットはゾンビ兵を斬り捨て、刀の血をはらう。
 これで視界に入った敵は全員倒した。が、彼女の感覚の間合いには未だ敵意が渦巻いていた。
 怪物兵器やゾンビ兵らが発するものとは異なる。本能的なものではなく、理性的な敵意である。それも強烈無比な。
 彼女は数秒の沈黙を挟んでから言った。

「いるのはわかっているのよ。出てきたらどうかしら?」

 言葉の代わりに、拍手が響く。
 そして、ランダウルとフレーシが姿を現した。

「見事だ。試作型でこれほどとはな」
「――ようやく会えたわね」

 アノットはランダウルに切っ先を向ける。

「二人っきりになりたいのだけれど?」
「きさま――」
「よい、フレーシ」
「しかしランダウルさま……」

 ランダウルは一歩前に出る。

「アノット、きさまに最もふさわしい場所がある。ついてこい」

 彼は背を向けた。
 アノットが足を動かそうとすると、フレーシが制止する。

「不意を突こうなどとは思うな」
「……見上げた忠誠心ね。でもじきにそれは揺らぐことになるわ」
「フン、ばかぬかせ」

 フレーシが背後をとる。うかつな行動はとれないが、彼女にはそんな気は微塵もなかった。
 歩を進めるにつれ、肉壁の割合が少なくなってゆく。しまいには外に出て、外周の遺跡に入っていった。遺跡とはいうものの、通路は舗装され、場所によっては真新しい手すりがついている。崩壊しかかった箇所も補強してあったり、落下物が通行者を襲わないよう撤去してあった。外面だけの偽装のようだ。
 ランダウルは前に見えた両開きの扉を開く。奥には広大な空間と、上方まで囲った金網リング、そして観客席があった。

「ここは?」
「ミィパの要望で設けた場所だ。ヤツは好戦的で、それに嗜虐的な女でな……」

 ランダウルは言いながら金網リングの入り口を解錠した。

「さあ、入れ」

 アノットはランダウルに促されるまま、金網の中に入ろうとする。
 が、その直前、彼女はランダウルに含み針を吹きかけた。
 針は彼の首元に刺さる。

「キサマ!」

 フレーシはアノットの首根っこを掴み引き倒した。
 彼はそのまま攻撃を仕掛けようとしたが、ランダウルが止める。

「かまわぬ。予定通りにしろ」
「しかし……」

 ランダウルは首の針を抜き、鼻に近づけた。

「……毒は塗っていないようだな」
「ええ。それに毒でヴァンダルが死ぬとも思っていないわ」
「ただのハッタリか……」フレーシが睨む。「さっさと入れ」

 アノットは改めてリングの中に入る。
 ランダウルも中に入り、フレーシは外から鍵を閉めた。

「ご武運を、ランダウルさま」
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