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突然、不快な気配がする。それは、ヒスイさんも同様らしく、自分と同じ方向に視線を向けた。
「ーヒスイさん。」
「ダメだ。」
自分が言おうとしていることが分かっているように否定される。でも、俺の目を見ると困ったように自身の頭に手を入れて溜息を吐く。
「ダメだ。俺が助けるから、何もするな。」
ヒスイさんは湖の浅い箇所によって濡れた足をそのまま陸地に向ける。自分を置いていこうとする彼の後を追って手を握り締める。
「俺も行く!」
隣を歩く彼は眉間に皺を寄せ、困ったように視線を外した。そして、考えをあぐねるように視線を彷徨わせると、最後は諦めたようにルカに視線を戻した。
「…ルカは見ているだけだからな。」
「うん!」
「急ぐぞ。」
ヒスイさんは俺の背中と膝裏に両手を回すと横向きに抱え上げた。急なことで、目の前にあった首に両手を回すとホッと一息をついた。
ヒスイさんは自分を抱き上げると、そのまま走り出した。俺は気配によって相手の怪我の具合が分かるが、ヒスイさんは血の匂いから判断しているようだった。今回は重傷を患っているようで、急いで怪我人の元に向かった。
目的とする場所に到着すると、ヒスイさんは俺を地面に下ろしてすぐさま倒れている3人の側に駆け寄った。俺も少し遅れて近付いて、彼らの様子を伺った。
茶色の兎人は切り傷が多く、隣の黒い兎人とは噛まれた跡がある。そして、白い兎人に関しては暴行された跡が多かった。
ヒスイさんは戸惑うことなく、自身の腕に爪を立て傷付けた。そして、相手の頭を後ろから支えると、切り傷を付けた箇所を怪我人の口に当てる。微かに喉が動くと、彼の血を飲んだことを知らせる。そして、飲んだ者の身体が淡い赤い光に包まれ、消える頃には彼に残っていた暴行の後は消えた。ヒスイさんはその者をゆっくりと寝かせると、残りの2人も同じ手口で治療した。
ヒスイさんが治療をする姿を見るのは初めてではない。これまでも何回も見たことがある。自分を傷付けることを何とも思っていない様子を見て、傷付くのはいつも俺の方だった。
「ヒスイさん、ありがとう。」
「いや。」
助けることは当然のことで、感謝されることは何もないという表情で返される。それで、また自分の心は痛む。
俺はヒスイさんの手首を掴んで傷口に片手をかざそうとした。でも、彼は拒むように勢いよく腕を振り払った。そして、ハッとしたように目を見開かせると申し訳なさそうに謝ってくるのだ。
「…すまない。でも、俺は治さなくていい。」
「治さないと。ヒスイさんも怪我してるんだから。」
「いや、いい。」
自分の力を使わせないようにしてくれているのは分かっていた。ここに住む者達から、俺が関心を向けられないようにいつもヒスイさんが治癒を行ってくれている。そして、善人には手を出さず、悪人は追い出してくれていることも知っていた。
でも、この力を使わなければ自分がここにいる存在意義がなくなってしまう。いっそのこと、加護によって守られていることを伝えた方が良いのではないかと思い浮かんだ瞬間、突然身体が押される。
「え?」
そのまま尻餅をつくと、先程自分がいた所には地面を引っ掻いたような跡が残っている。驚いて視線を上げると、ヒスイさんの腕からは新たな血が流れていた。
「ヒスイさんっ!」
「大丈夫だ。ただ、少し掠っただけだ。」
ヒスイさんはエメラルドグリーンの瞳を細めながら、現れた1人の黒豹獣人をじっと睨んでいる。
「ハハッ!さすがだな!気配だけではなく、水に浸かって匂いも打ち消したのに。」
豹人は嬉しそうに舌なめずりをする。
「俺が目的だったということか…。それだけ、殺気を放っておいて気付かないわけがないだろう。」
ヒスイさんが目の前に立つと、後ろに下がるように言われる。俺は彼の言う通りに後退りをして距離を取ろうとした。でも、背後から音がすると茂みから豹人が3名ほど姿を現して襲い掛かってくる。
驚いて身体が固まってしまう。尖らせた爪がこちらに振りかぶってくると思った瞬間、身体は引かれて温もりに包まれる。ヒスイさんの腕の中だと思った瞬間、頭上から苦悶の声が上がる。
反射的に視線を上げるとヒスイさんの背後には、手に付いた血を舐める豹人がいた。自分に襲い掛かってきた者はヒスイさんの蹴りによって吹っ飛ばされたが、始めに襲ってきた豹人がヒスイさんの背中を傷付けたようだ。
「っ、ごめんなさい!」
ヒスイさんから身体を離して、治療をしようとすると再び抱き締められる。
「大丈夫だから。」
ー俺のせいだ。俺が加護を受けていることを知らないから庇って……
蹴り飛ばされた者達が戻ってくると、彼らは再び攻撃しようと構え出す。先程よりも長くなった鋭利な爪が目に入る。
「…ヒスイさん、ごめんなさい。」
「は?」
彼の驚く声と共に同時にこちらに向かって来る豹人達。俺は「シールド」と短い言葉を口にした。その途端、周囲には薄い水色の膜のようなものが囲い込み、彼らの攻撃を跳ね返した。甲高い悲鳴を彼らはあげて、地面に身体を打ち付ける。
「ルカ…?」
「嘘、付いてごめんなさい…。俺、この通り防御壁が使えるし、自分自身にも傷が付けられないように加護が掛かってる。だから、怪我をしないんだ。」
ヒスイさんは驚いた様子を見せた後、傷付いたように顔を歪める。そして、自分から距離を置くように離れる。胸が痛むが、心配して傍にいてくれた人を騙したのだから当然の行いだと言い聞かせる。
「そう、なんだ…。攻撃魔法は使えるの?」
首を横に振ると彼は視線を外す。
「…しゃがんでて。」
言われた通りにすると、ヒスイさんは剣を両手で握り直す。そして、怒り狂った豹人達が再び攻撃し防御壁に触れた瞬間、剣を一直線に振りかざした。それと同時に防御壁は壊れ、周りからは血が飛び散る。
地面に倒れ込んだ豹人達はピクリとも動かなくなり、死んだことを物語らせる。可哀想だとは思わなかった。ヒスイさんを傷付けたのだから。でも、この人達よりも自分の方が彼のことを傷付けたのは分かっていた。
どうしたらいいのか分からなくて突っ立ていると、急にヒスイさんが片足を地面につけて苦しそうな息をあげる。彼の肩に触れようとした瞬間、凄い勢いで払われる。
手のひらにはピリッと痛みが走り、少し血が流れる。ヒスイさんはその血を見ると、また顔を歪める。
「ごめんなさいっ…」
「いや、傷付けてすまない…。あいつの爪に毒が塗られていたようだ。」
毒…。その言葉を聞いただけで、心臓がドクンと一際高鳴る。身体が丈夫であるヒスイさんが、これほど苦痛な表情を浮かべるなら、かなり強いものなのだろう。
でも、先程の様子からヒスイさんが治療をさせてくれるとは思えなかった。
俺は再び謝ると、彼の首に手刀をくらわせて気絶させた。そして、彼の身体を支えてゆっくりと寝かせると、背中に手をかざし全身に治癒魔法をかけた。
解毒も行えるか心配だったが、彼の呼吸が安らかなものに変わるとホッと一息を付いた。でも、さすがにすぐに意識は取り戻せなさそうで眠ったままだった。それに安心したが、どこか残念に思っている自分もいた。
俺は兎人を移動させた後に、ヒスイさんの身体も引きずって近くの茂みに隠した。近くに気配は感じられないが、一応人目につかないところに移動させたのだ。
最後にヒスイさんの髪を撫でようとしたが、触れる前に手を下ろした。自分が触ることで汚れてしまうと感じたのだ。
「ごめんなさい…」
聞こえないことは分かっていたが、その言葉を残してこの場を後にした。
「ーヒスイさん。」
「ダメだ。」
自分が言おうとしていることが分かっているように否定される。でも、俺の目を見ると困ったように自身の頭に手を入れて溜息を吐く。
「ダメだ。俺が助けるから、何もするな。」
ヒスイさんは湖の浅い箇所によって濡れた足をそのまま陸地に向ける。自分を置いていこうとする彼の後を追って手を握り締める。
「俺も行く!」
隣を歩く彼は眉間に皺を寄せ、困ったように視線を外した。そして、考えをあぐねるように視線を彷徨わせると、最後は諦めたようにルカに視線を戻した。
「…ルカは見ているだけだからな。」
「うん!」
「急ぐぞ。」
ヒスイさんは俺の背中と膝裏に両手を回すと横向きに抱え上げた。急なことで、目の前にあった首に両手を回すとホッと一息をついた。
ヒスイさんは自分を抱き上げると、そのまま走り出した。俺は気配によって相手の怪我の具合が分かるが、ヒスイさんは血の匂いから判断しているようだった。今回は重傷を患っているようで、急いで怪我人の元に向かった。
目的とする場所に到着すると、ヒスイさんは俺を地面に下ろしてすぐさま倒れている3人の側に駆け寄った。俺も少し遅れて近付いて、彼らの様子を伺った。
茶色の兎人は切り傷が多く、隣の黒い兎人とは噛まれた跡がある。そして、白い兎人に関しては暴行された跡が多かった。
ヒスイさんは戸惑うことなく、自身の腕に爪を立て傷付けた。そして、相手の頭を後ろから支えると、切り傷を付けた箇所を怪我人の口に当てる。微かに喉が動くと、彼の血を飲んだことを知らせる。そして、飲んだ者の身体が淡い赤い光に包まれ、消える頃には彼に残っていた暴行の後は消えた。ヒスイさんはその者をゆっくりと寝かせると、残りの2人も同じ手口で治療した。
ヒスイさんが治療をする姿を見るのは初めてではない。これまでも何回も見たことがある。自分を傷付けることを何とも思っていない様子を見て、傷付くのはいつも俺の方だった。
「ヒスイさん、ありがとう。」
「いや。」
助けることは当然のことで、感謝されることは何もないという表情で返される。それで、また自分の心は痛む。
俺はヒスイさんの手首を掴んで傷口に片手をかざそうとした。でも、彼は拒むように勢いよく腕を振り払った。そして、ハッとしたように目を見開かせると申し訳なさそうに謝ってくるのだ。
「…すまない。でも、俺は治さなくていい。」
「治さないと。ヒスイさんも怪我してるんだから。」
「いや、いい。」
自分の力を使わせないようにしてくれているのは分かっていた。ここに住む者達から、俺が関心を向けられないようにいつもヒスイさんが治癒を行ってくれている。そして、善人には手を出さず、悪人は追い出してくれていることも知っていた。
でも、この力を使わなければ自分がここにいる存在意義がなくなってしまう。いっそのこと、加護によって守られていることを伝えた方が良いのではないかと思い浮かんだ瞬間、突然身体が押される。
「え?」
そのまま尻餅をつくと、先程自分がいた所には地面を引っ掻いたような跡が残っている。驚いて視線を上げると、ヒスイさんの腕からは新たな血が流れていた。
「ヒスイさんっ!」
「大丈夫だ。ただ、少し掠っただけだ。」
ヒスイさんはエメラルドグリーンの瞳を細めながら、現れた1人の黒豹獣人をじっと睨んでいる。
「ハハッ!さすがだな!気配だけではなく、水に浸かって匂いも打ち消したのに。」
豹人は嬉しそうに舌なめずりをする。
「俺が目的だったということか…。それだけ、殺気を放っておいて気付かないわけがないだろう。」
ヒスイさんが目の前に立つと、後ろに下がるように言われる。俺は彼の言う通りに後退りをして距離を取ろうとした。でも、背後から音がすると茂みから豹人が3名ほど姿を現して襲い掛かってくる。
驚いて身体が固まってしまう。尖らせた爪がこちらに振りかぶってくると思った瞬間、身体は引かれて温もりに包まれる。ヒスイさんの腕の中だと思った瞬間、頭上から苦悶の声が上がる。
反射的に視線を上げるとヒスイさんの背後には、手に付いた血を舐める豹人がいた。自分に襲い掛かってきた者はヒスイさんの蹴りによって吹っ飛ばされたが、始めに襲ってきた豹人がヒスイさんの背中を傷付けたようだ。
「っ、ごめんなさい!」
ヒスイさんから身体を離して、治療をしようとすると再び抱き締められる。
「大丈夫だから。」
ー俺のせいだ。俺が加護を受けていることを知らないから庇って……
蹴り飛ばされた者達が戻ってくると、彼らは再び攻撃しようと構え出す。先程よりも長くなった鋭利な爪が目に入る。
「…ヒスイさん、ごめんなさい。」
「は?」
彼の驚く声と共に同時にこちらに向かって来る豹人達。俺は「シールド」と短い言葉を口にした。その途端、周囲には薄い水色の膜のようなものが囲い込み、彼らの攻撃を跳ね返した。甲高い悲鳴を彼らはあげて、地面に身体を打ち付ける。
「ルカ…?」
「嘘、付いてごめんなさい…。俺、この通り防御壁が使えるし、自分自身にも傷が付けられないように加護が掛かってる。だから、怪我をしないんだ。」
ヒスイさんは驚いた様子を見せた後、傷付いたように顔を歪める。そして、自分から距離を置くように離れる。胸が痛むが、心配して傍にいてくれた人を騙したのだから当然の行いだと言い聞かせる。
「そう、なんだ…。攻撃魔法は使えるの?」
首を横に振ると彼は視線を外す。
「…しゃがんでて。」
言われた通りにすると、ヒスイさんは剣を両手で握り直す。そして、怒り狂った豹人達が再び攻撃し防御壁に触れた瞬間、剣を一直線に振りかざした。それと同時に防御壁は壊れ、周りからは血が飛び散る。
地面に倒れ込んだ豹人達はピクリとも動かなくなり、死んだことを物語らせる。可哀想だとは思わなかった。ヒスイさんを傷付けたのだから。でも、この人達よりも自分の方が彼のことを傷付けたのは分かっていた。
どうしたらいいのか分からなくて突っ立ていると、急にヒスイさんが片足を地面につけて苦しそうな息をあげる。彼の肩に触れようとした瞬間、凄い勢いで払われる。
手のひらにはピリッと痛みが走り、少し血が流れる。ヒスイさんはその血を見ると、また顔を歪める。
「ごめんなさいっ…」
「いや、傷付けてすまない…。あいつの爪に毒が塗られていたようだ。」
毒…。その言葉を聞いただけで、心臓がドクンと一際高鳴る。身体が丈夫であるヒスイさんが、これほど苦痛な表情を浮かべるなら、かなり強いものなのだろう。
でも、先程の様子からヒスイさんが治療をさせてくれるとは思えなかった。
俺は再び謝ると、彼の首に手刀をくらわせて気絶させた。そして、彼の身体を支えてゆっくりと寝かせると、背中に手をかざし全身に治癒魔法をかけた。
解毒も行えるか心配だったが、彼の呼吸が安らかなものに変わるとホッと一息を付いた。でも、さすがにすぐに意識は取り戻せなさそうで眠ったままだった。それに安心したが、どこか残念に思っている自分もいた。
俺は兎人を移動させた後に、ヒスイさんの身体も引きずって近くの茂みに隠した。近くに気配は感じられないが、一応人目につかないところに移動させたのだ。
最後にヒスイさんの髪を撫でようとしたが、触れる前に手を下ろした。自分が触ることで汚れてしまうと感じたのだ。
「ごめんなさい…」
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