61 / 96
第1章 出会い
把握すべきこと #4
しおりを挟む
いつでも来ていい。
そういうルシノの言葉にリミルは嬉しくなった。
「じゃあホームポイントを…」
そう言ってからリミルは考え込んだ。
森の中心にある現在のホームポイントが使い勝手が良いため、ここでホームポイントをルシノの家に切り替えると1度イレアに戻った時に転移ポイントとして登録し直すことになる。
ならばルシノの家を転移ポイントとして記憶するほうが楽なのでは、と。
ただ、何となくルシノの家をホームポイントにしたいという気持ちが勝ったため面倒を承知でホームポイントの登録をし直した。
ルシノ家本邸の玄関に。
その後3人は客用家屋へ移動し2人を呼ぶとルシノが料理を作り、美味しい料理を食べながら話す。
話題は自然とリミルの新しい職業と新たな魔法《チャット》について。
『魔力は使うがそれほど消費しないし魔力が高いやつには便利だな。受け取るだけなら消費もない。通信の魔道具の普及率が低いから助かる』
通信の魔道具は親和性の高い魔石同士を使って作る物でその数は非常に少なく希少だ。
だからこそ管理者もしくはギルドマスター、実力のある冒険者チームのリーダーにしか渡されない。
それが《チャット》が出回ることで魔力さえあれば連絡を送ることができるようになり緊急時などにも役立つはずだ。
リミルは誰でも使えるようにと生活魔法に分類して作成した。
これは《清潔》や《温風》などの生活に使う、職業関係なく誰しもが使える魔法だ。
ダメージを与えることが出来ない、等の制約がある。
これは誰かが決めたのではなくこの世界の理で制約を侵すことは不可能である。
寝る前、リミル達の部屋に来たルシノが会合と呼ばれるギルドマスター及び管理者の話し合いが行われることについて話した。
恐らくギルドから《チャット》については広められることになるだろうが職業については伏せることになるだろうから念の為言わないようにと。
リミルは元々話すのが得意ではないためキッカケになったクロトとたまたまそこにいたニーナ、信頼しているギルレイとルシノ、ほとんどいつも一緒にいるクライ以外には話していない。
ルシノも懸念しているのはニーナとクロトだ。
『2人が心配だな』
<最悪、俺の特殊技能を使うから大丈夫だ>
クライは自分のステータスについて話すのを嫌う。
そのため特殊技能名だけ言った。
ルシノもそれを聞いて探るでもなく納得して『もしもの時は頼む』と言って、そのまま話しているうちに3人で寝てしまった。
翌朝
早速2人に口止めするが二人とも不安そうだった。
『もし聞かれてるの気付かずにその話をしたらって思うと怖いかも』
『俺は隠し事が苦手なタイプで…』
『そうか…クライ、頼む』
不思議そうに首を傾げている2人を見ながら、クライはどれを使うか考えたあと2人に向かって特殊技能を使う。
<《操作:催眠》リミルの所有職業、呪文探求者について、及び《チャット》の制作経緯などについて思い出せない。また、それらのことについて詳しく聞いてくる者がいた場合は、この場にいる、リミルかルシノ、もしくはクライに報告する。理解したか?>
『思い出せない。報告する。承知』
『分からない。知らない。言うね』
<よし、確認した。普通にしろ>
2人は先程までと同じように首を傾げている。
リミルが確認のために質問する。
「なあ、《チャット》について何か知ってるか?」
『俺の世界ではよく使ってた通信方法だけどこの世界にもあんの?』
『えー、あたし知らない!どんなの?』
2人が普通に会話し始めたのでルシノは驚くがクライに目線で賞賛を送る。
「そっか、ありがと。ちょっと俺トイレ言ってくる」
『はーい』
『いってらー』
そう言ってリミルは席を立つが隠蔽系の特殊技能を使いながら様子を伺う。
その間もずっと2人は今日やる試験について話していたが実際にリミルが離れるとそれを察知したかのようにクライとルシノに小声で報告する。
『『リミルに《チャット》について聞かれたー。プラチナの髪に赤と薄紅色のオッドアイの人』』
それを言うと直ぐに元の話に戻った。
暫くしてリミルが戻って来てそれぞれが同じ手順で質問して離れてを繰り返したが結果は全て一緒で本人に聞かれないように3人の誰かには報告した。
名前と外見的特徴、何について聞かれたのか、を簡潔に且つ周りに怪しまれないように会話の間の一瞬で伝える。
普段の2人ならありえないが違和感なく会話が続いている。
『クライよくやった。これで懸念事項はないし、怪しい奴がいたら知ることができる』
2人のステータスに乗らない催眠状態以外は通常どおりに過ごした。
この催眠はルシノたちギルドマスターが使える鑑定士の鑑定を受けるとバレる。
が、今は問題ない。
2人の試験のために朝食を食べてすぐギルドに来ていた。
午後にはイレアに帰るため午前のうちに試験を受けるためだ。
ギルドに着くと早速受け付けに行き申請用紙に記入していくがクロトは躊躇していた。
『俺この世界の字、知らない…』
「言葉と一緒で訳されるんじゃないか?」
ルシノが白紙の紙を出してくれたのでクロトはそこに名前を書いてみる。
それは確かに訳されたが皆微妙な顔をしているので不安になった。
『ダメ?』
「古代語と現代語が綯い交ぜだ。それにこれは本名だったか?こちらの名前で書き直してみろ」
『あ、つい癖で…』
クロトは黒澤大翔と書いていたのでクロトと書いてみると皆に頷かれた。
ついでにひらがなでも書いてみるとこちらも大丈夫だった。
漢字だと古代語が混じるらしい。
そういうルシノの言葉にリミルは嬉しくなった。
「じゃあホームポイントを…」
そう言ってからリミルは考え込んだ。
森の中心にある現在のホームポイントが使い勝手が良いため、ここでホームポイントをルシノの家に切り替えると1度イレアに戻った時に転移ポイントとして登録し直すことになる。
ならばルシノの家を転移ポイントとして記憶するほうが楽なのでは、と。
ただ、何となくルシノの家をホームポイントにしたいという気持ちが勝ったため面倒を承知でホームポイントの登録をし直した。
ルシノ家本邸の玄関に。
その後3人は客用家屋へ移動し2人を呼ぶとルシノが料理を作り、美味しい料理を食べながら話す。
話題は自然とリミルの新しい職業と新たな魔法《チャット》について。
『魔力は使うがそれほど消費しないし魔力が高いやつには便利だな。受け取るだけなら消費もない。通信の魔道具の普及率が低いから助かる』
通信の魔道具は親和性の高い魔石同士を使って作る物でその数は非常に少なく希少だ。
だからこそ管理者もしくはギルドマスター、実力のある冒険者チームのリーダーにしか渡されない。
それが《チャット》が出回ることで魔力さえあれば連絡を送ることができるようになり緊急時などにも役立つはずだ。
リミルは誰でも使えるようにと生活魔法に分類して作成した。
これは《清潔》や《温風》などの生活に使う、職業関係なく誰しもが使える魔法だ。
ダメージを与えることが出来ない、等の制約がある。
これは誰かが決めたのではなくこの世界の理で制約を侵すことは不可能である。
寝る前、リミル達の部屋に来たルシノが会合と呼ばれるギルドマスター及び管理者の話し合いが行われることについて話した。
恐らくギルドから《チャット》については広められることになるだろうが職業については伏せることになるだろうから念の為言わないようにと。
リミルは元々話すのが得意ではないためキッカケになったクロトとたまたまそこにいたニーナ、信頼しているギルレイとルシノ、ほとんどいつも一緒にいるクライ以外には話していない。
ルシノも懸念しているのはニーナとクロトだ。
『2人が心配だな』
<最悪、俺の特殊技能を使うから大丈夫だ>
クライは自分のステータスについて話すのを嫌う。
そのため特殊技能名だけ言った。
ルシノもそれを聞いて探るでもなく納得して『もしもの時は頼む』と言って、そのまま話しているうちに3人で寝てしまった。
翌朝
早速2人に口止めするが二人とも不安そうだった。
『もし聞かれてるの気付かずにその話をしたらって思うと怖いかも』
『俺は隠し事が苦手なタイプで…』
『そうか…クライ、頼む』
不思議そうに首を傾げている2人を見ながら、クライはどれを使うか考えたあと2人に向かって特殊技能を使う。
<《操作:催眠》リミルの所有職業、呪文探求者について、及び《チャット》の制作経緯などについて思い出せない。また、それらのことについて詳しく聞いてくる者がいた場合は、この場にいる、リミルかルシノ、もしくはクライに報告する。理解したか?>
『思い出せない。報告する。承知』
『分からない。知らない。言うね』
<よし、確認した。普通にしろ>
2人は先程までと同じように首を傾げている。
リミルが確認のために質問する。
「なあ、《チャット》について何か知ってるか?」
『俺の世界ではよく使ってた通信方法だけどこの世界にもあんの?』
『えー、あたし知らない!どんなの?』
2人が普通に会話し始めたのでルシノは驚くがクライに目線で賞賛を送る。
「そっか、ありがと。ちょっと俺トイレ言ってくる」
『はーい』
『いってらー』
そう言ってリミルは席を立つが隠蔽系の特殊技能を使いながら様子を伺う。
その間もずっと2人は今日やる試験について話していたが実際にリミルが離れるとそれを察知したかのようにクライとルシノに小声で報告する。
『『リミルに《チャット》について聞かれたー。プラチナの髪に赤と薄紅色のオッドアイの人』』
それを言うと直ぐに元の話に戻った。
暫くしてリミルが戻って来てそれぞれが同じ手順で質問して離れてを繰り返したが結果は全て一緒で本人に聞かれないように3人の誰かには報告した。
名前と外見的特徴、何について聞かれたのか、を簡潔に且つ周りに怪しまれないように会話の間の一瞬で伝える。
普段の2人ならありえないが違和感なく会話が続いている。
『クライよくやった。これで懸念事項はないし、怪しい奴がいたら知ることができる』
2人のステータスに乗らない催眠状態以外は通常どおりに過ごした。
この催眠はルシノたちギルドマスターが使える鑑定士の鑑定を受けるとバレる。
が、今は問題ない。
2人の試験のために朝食を食べてすぐギルドに来ていた。
午後にはイレアに帰るため午前のうちに試験を受けるためだ。
ギルドに着くと早速受け付けに行き申請用紙に記入していくがクロトは躊躇していた。
『俺この世界の字、知らない…』
「言葉と一緒で訳されるんじゃないか?」
ルシノが白紙の紙を出してくれたのでクロトはそこに名前を書いてみる。
それは確かに訳されたが皆微妙な顔をしているので不安になった。
『ダメ?』
「古代語と現代語が綯い交ぜだ。それにこれは本名だったか?こちらの名前で書き直してみろ」
『あ、つい癖で…』
クロトは黒澤大翔と書いていたのでクロトと書いてみると皆に頷かれた。
ついでにひらがなでも書いてみるとこちらも大丈夫だった。
漢字だと古代語が混じるらしい。
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる