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第1章 出会い
把握すべきこと #5
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使わない文字は古代語と呼ばれると言われたのでクロトは気になってどれが古代語なのか聞くと澤だった。
翔は魔法で使うし、黒や大は店で使うことが多いらしい。
澤も使ってくれると嬉しいというと使えないわけじゃないけど使う人は少ないと教えられた。
『初めての試験は時間がかかるが?良いのか?』
「連絡出来るようになったから1日伸ばしてもらうことは可能だけど、そもそも俺たち依頼で来てるからな…満足度が下がるのは良くない」
『あたしはもう書けてるよ!』
『俺も書けた!』
ルシノが他に試験を受けるやつが居ないか確認すると1人成人して暫く経つという男がいた。
『お前、名は?俺はギルドマスターのルシノ』
『アキリム』
『お!同期か?おれクロト!よろしくな』
『あたしニーナ。よろしくね』
「俺はリミル。こっちが相棒のクライで、俺は2人の保護者だ」
『僕より若いのに大変だな。皆よろしく』
自己紹介が終わったところでルシノが試験の説明を始める。
全員で受け付け裏にある、冒険者が唯一自由に入れる扉に入ると何も無いがらんとした部屋だった。
全員が入るとルシノが《転移》を唱える。
すると淡く黄色みを帯びた白い光で魔法陣が浮かびか上がり、瞬く間に闘技場エントランスにいた。
3人は驚き、感嘆の声を漏らしている。
リミルは冒険者になってからイレアで何度も行っているしクライもそれについて行くので慣れたものだ。
闘技場と呼ばれるこの場所には訓練所、鍛錬所、試験場、休憩室、フィールドなど様々な施設がある。
試験で使うのは主に試験場とフィールドだが登録のとき、つまり初めての時は訓練所も使用する。
『まずは魔力量の検査からだ』
試験場に向かい、中に入ると1人、魔法陣の中に立って淡い光に包まれている人がいた。
すぐに光は消えその人はため息をついた。
『ふぅ、こんなもんか』
こちらに気づいたようで『試験か!ごめんね』そう言って置いていた荷物を拾って近づいてきた。
『ジャックまたか。調子はどうだ?』
『うーん、まだまだかなぁ…個人差って言ってもだよなー。俺才能無いのかも』
それを聞いただけでリミルは察した。
魔力を量る魔法陣の前ではよくある話だ。
試験を受ける前の3人はイマイチ呑み込めていないがクライはジャックと呼ばれた人をガン見していた。
「なに?クライ知り合い?」
<いや…何でもない>
リミルはクライが気にしている理由が分からなかった。
嫌な感じもしない。
『見てて良いかな?』
『当事者の3人に聞け』
こちらをみてもう一度問われた。
リミルは目が合ったが当事者の3人が返事をしたので口を噤む。
『僕は正直遠慮して欲しい』
『俺はよくわからんからニーナと同じ意見ってことで』
『あたしも正直魔力量知られるのは嫌かも…』
ニーナの言葉でクロトは見られる意味を理解したようだった。
『そうだよね…不快な思いさせてごめん。君もごめん。君は既に冒険者だよね』
3人に謝ったあと、リミルの方に向き直し見た目で判断してしまったことをそうとは言わずに詫びた。
全員が許したところでクロトが何故見たいのか聞いた。
ジャックはクロトの容姿に驚きつつも話した。
魔力量に不安があり、同世代の魔力量を知りたかったらしい。
『そっか…俺のは見せたとしても参考にならないと思う。外から来たし…』
『ここにいる奴らのは誰のも参考にならないだろうな』
ルシノがそう言うのでアキリムにも何かあるのだろうとリミルは考えていた。
鑑定はしない。
相手を疑うことと同義であり、失礼な行為だからだ。
アキリムに怪しい所もないのでやらないのが吉。
『そうなの?なんで俺魔力弱えんだよ~。鍛えてるはずなのになー』
するとクライがたんっと一足で近づき前足を背中に乗せようとして失敗し、リミルを呼んだ。
<こいつの核を探ってみてくれ>
「探っても?」
『え?えと…』
<原因が分かるかもしれないぞ?>
『え!じゃあやってくれ!』
訳が分からないままにジャックの核を探るために魔力を送る。
すると魔力の流れを邪魔するものがあった。
魔力だ。
「これは厄介だな…」
『何かわかったのか?』
リミルは気づいたクライと知識のありそうなルシノの3人でまずは話すのが良いだろうと考えクライに目で合図を送りルシノの方へ近寄ると特殊技能《密談》を使った。
「あいつの核にあいつの魔力で魔封じがしてあった。小さい頃に何かあったのか魔力暴走があったのか無意識に制御してるのか魔力反射を受けたのか…考えられる理由が多くて。それにもし魔力暴走を防ぐためとかだとゆっくり解いていかないといけない。失敗するとまた暴走するから…」
<やっぱりな…>
『解くのは理由を本人に聞いてからだな』
そういうとルシノはジャックを呼んだ。
個人的な話になるので《密談》を解除してクライとその場を離れる。
「もしできるならクライが解除してあげるのが一番いいよな?慣れてるし」
<さっき背中に触れるのに失敗したからな…あいつまだレベルが低いみたいで俺の前足すら受け止められないんじゃ解除どころじゃないだろ?>
「さっきの動きは反応出来なくて当たり前だろ?俺とルシノしか見えてなかったよ」
そう話しているうちにルシノが聞き終えたらしくリミル達が呼ばれた。
理由はどうやら小さい頃の魔力暴走だったらしい。
リミルとクライは顔を見合わせ、クライがしゃーないなと言う顔をするので了承を取れたということでルシノ達に提案した。
翔は魔法で使うし、黒や大は店で使うことが多いらしい。
澤も使ってくれると嬉しいというと使えないわけじゃないけど使う人は少ないと教えられた。
『初めての試験は時間がかかるが?良いのか?』
「連絡出来るようになったから1日伸ばしてもらうことは可能だけど、そもそも俺たち依頼で来てるからな…満足度が下がるのは良くない」
『あたしはもう書けてるよ!』
『俺も書けた!』
ルシノが他に試験を受けるやつが居ないか確認すると1人成人して暫く経つという男がいた。
『お前、名は?俺はギルドマスターのルシノ』
『アキリム』
『お!同期か?おれクロト!よろしくな』
『あたしニーナ。よろしくね』
「俺はリミル。こっちが相棒のクライで、俺は2人の保護者だ」
『僕より若いのに大変だな。皆よろしく』
自己紹介が終わったところでルシノが試験の説明を始める。
全員で受け付け裏にある、冒険者が唯一自由に入れる扉に入ると何も無いがらんとした部屋だった。
全員が入るとルシノが《転移》を唱える。
すると淡く黄色みを帯びた白い光で魔法陣が浮かびか上がり、瞬く間に闘技場エントランスにいた。
3人は驚き、感嘆の声を漏らしている。
リミルは冒険者になってからイレアで何度も行っているしクライもそれについて行くので慣れたものだ。
闘技場と呼ばれるこの場所には訓練所、鍛錬所、試験場、休憩室、フィールドなど様々な施設がある。
試験で使うのは主に試験場とフィールドだが登録のとき、つまり初めての時は訓練所も使用する。
『まずは魔力量の検査からだ』
試験場に向かい、中に入ると1人、魔法陣の中に立って淡い光に包まれている人がいた。
すぐに光は消えその人はため息をついた。
『ふぅ、こんなもんか』
こちらに気づいたようで『試験か!ごめんね』そう言って置いていた荷物を拾って近づいてきた。
『ジャックまたか。調子はどうだ?』
『うーん、まだまだかなぁ…個人差って言ってもだよなー。俺才能無いのかも』
それを聞いただけでリミルは察した。
魔力を量る魔法陣の前ではよくある話だ。
試験を受ける前の3人はイマイチ呑み込めていないがクライはジャックと呼ばれた人をガン見していた。
「なに?クライ知り合い?」
<いや…何でもない>
リミルはクライが気にしている理由が分からなかった。
嫌な感じもしない。
『見てて良いかな?』
『当事者の3人に聞け』
こちらをみてもう一度問われた。
リミルは目が合ったが当事者の3人が返事をしたので口を噤む。
『僕は正直遠慮して欲しい』
『俺はよくわからんからニーナと同じ意見ってことで』
『あたしも正直魔力量知られるのは嫌かも…』
ニーナの言葉でクロトは見られる意味を理解したようだった。
『そうだよね…不快な思いさせてごめん。君もごめん。君は既に冒険者だよね』
3人に謝ったあと、リミルの方に向き直し見た目で判断してしまったことをそうとは言わずに詫びた。
全員が許したところでクロトが何故見たいのか聞いた。
ジャックはクロトの容姿に驚きつつも話した。
魔力量に不安があり、同世代の魔力量を知りたかったらしい。
『そっか…俺のは見せたとしても参考にならないと思う。外から来たし…』
『ここにいる奴らのは誰のも参考にならないだろうな』
ルシノがそう言うのでアキリムにも何かあるのだろうとリミルは考えていた。
鑑定はしない。
相手を疑うことと同義であり、失礼な行為だからだ。
アキリムに怪しい所もないのでやらないのが吉。
『そうなの?なんで俺魔力弱えんだよ~。鍛えてるはずなのになー』
するとクライがたんっと一足で近づき前足を背中に乗せようとして失敗し、リミルを呼んだ。
<こいつの核を探ってみてくれ>
「探っても?」
『え?えと…』
<原因が分かるかもしれないぞ?>
『え!じゃあやってくれ!』
訳が分からないままにジャックの核を探るために魔力を送る。
すると魔力の流れを邪魔するものがあった。
魔力だ。
「これは厄介だな…」
『何かわかったのか?』
リミルは気づいたクライと知識のありそうなルシノの3人でまずは話すのが良いだろうと考えクライに目で合図を送りルシノの方へ近寄ると特殊技能《密談》を使った。
「あいつの核にあいつの魔力で魔封じがしてあった。小さい頃に何かあったのか魔力暴走があったのか無意識に制御してるのか魔力反射を受けたのか…考えられる理由が多くて。それにもし魔力暴走を防ぐためとかだとゆっくり解いていかないといけない。失敗するとまた暴走するから…」
<やっぱりな…>
『解くのは理由を本人に聞いてからだな』
そういうとルシノはジャックを呼んだ。
個人的な話になるので《密談》を解除してクライとその場を離れる。
「もしできるならクライが解除してあげるのが一番いいよな?慣れてるし」
<さっき背中に触れるのに失敗したからな…あいつまだレベルが低いみたいで俺の前足すら受け止められないんじゃ解除どころじゃないだろ?>
「さっきの動きは反応出来なくて当たり前だろ?俺とルシノしか見えてなかったよ」
そう話しているうちにルシノが聞き終えたらしくリミル達が呼ばれた。
理由はどうやら小さい頃の魔力暴走だったらしい。
リミルとクライは顔を見合わせ、クライがしゃーないなと言う顔をするので了承を取れたということでルシノ達に提案した。
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