シカノスケ

ZERO

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戦国時代の冬

毒殺成功

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酒宴から一週間が経ったある日、隠岐為清は小次郎が盛った毒の影響で体調を崩した。


為清自身は最初酒の飲み過ぎで体調を崩したと思っていたが、体調は徐々に悪化し、今では起き上がる事も出来ない。



恐らく酒の飲みすぎで不治の病にかかったのだろう、為清は死を悟り弟の隠岐清家を呼んだ。




呼ばれた清家は兄の顔を見て涙を流す。

「兄上…。」

清家は為清に何かを言おうとした。

だが、上手く言葉が出ない。

それほど悲しんでいるのだ。




そんな清家を見て、為清は言う。

「わしが死んでもお前ならなんとかなる。恐らく尼子は毛利に負ける。だからいつでも毛利に寝返れる様にわしが工作してきた。」


それを聞いて清家は頷くしか出来なかった。






それから2日後、隠岐為清は亡くなった。




すぐに葬儀を行い、山中鹿之助、立原久綱らの推薦により家督相続もスムーズに進んだ。


お家の絶対的権力者を亡くすと大抵は家督騒動等で家中に不穏な空気が漂うのだがその気配はない。





家督を相続してしばらく経ったある日に隠岐清家は家臣を集めて言う。



「みんな、兄上から毛利に味方しろと言われたと思うが私は尼子に忠義を尽くそうと思う。」


清家は優男ではあるが言うときはハッキリと言う。


「兄上がお家の為に思って毛利に内通していたみたいだが私は尼子に忠義を尽くし、尼子と共に死にたい。みんなもそうだろ?」

清家が家臣に問うと、家臣達はみんな「その通りです」と言った。



家臣達は皆、裏切り者の汚名を被ってまで生きようとは思わないのだ。

それは清家も同じである。



為清が当主だった頃はみんな仕方なく為清に従っていた。


為清は良い領主ではあったが家臣に暴力を振るうなどして家臣を力で支配していたのだ。


だが、今は為清は死んだ。

これで家臣達は暴力を振るわれる等無いのだ。




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