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第二章 赤の瞳と金の瞳
第81話 金色の瞳冷たい手
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「あら、動かないのですか?」
ミリアの細い手指が己の顔や体を撫でていく。待ち切れないと言わんばかりに表情が恍惚としていく。
「はやく動いた方がいいと思いますが……」
そう、瘴気は待ってなどくれない。わかっているけれど、動いていいのかどうかがわからない。
「ここの人は素直で優しいですよね」
突然ミリアが困った顔になる。
「わたくしがここで少し待っていて欲しいとお願いするだけでそこに立ち続けていただけるなんて――」
その言葉でブレイドが動いた。もしかして、瘴気の近くに誰かを立たせている!? 場所がわかるなら、真上にだって誘導出来る――。
ブレイドは私の手をとり抱きかかえると一瞬で外に飛び出した。
天井がなくなり外との気温差はなくなったと思っていたが、横からの風で寒く感じる。何より上着を着ていない。
「指輪出せる?」
体を震わせているとブレイドに聞かれ私はネックレスにして服の中にしまっていた指輪をひっぱり出した。
「温熱の魔法を……弱めにいれておけばいいかな?」
「そんな便利な魔法が!?」
「使ってみて」
ぎゅっと握って竜魔石を発動させると先ほどまで感じていた寒さがなくなり、暖かな外套を羽織ったみたいになった。
「大丈夫そう?」
「うん。大丈夫、これなら寒くない」
近付いてきたのか瘴気の気配がしてきた。
「中まで一緒に行きたいけど……」
「中に人がいるかもなんでしょ? 私も行かないと……。あの人達がくるまえに浄化をしてしまえば大丈夫だよ」
「……うん」
そのまま瘴気の中へと突入する。
「ボクが食べておく。エマはまわりに人がいないか探してくれ。遠くには行かないで」
「わかった!」
噴き出し口付近に人はいなかった。ミリアの口ぶりから人に戻った人だろう。そんなに人数はいない。見ればわかるはずだ。
「誰か、いませんか? いたら返事をしてください!」
瘴気の色がだんだん薄くなってくる。ブレイドが食べ終わるまであとどれくらいだろう。
「誰か……」
突然、手を取られ後ろへと引っ張られた。冷たい氷のような手と体に驚く。
「あなたは……」
金色の瞳はブレイドと同じだけど違った。手を引いて自分の体に抱き寄せたのはクロウだった。
「やっと見つけた」
クロウはそう言うと、私の頬に手を添え上に顔を向かせた。
彼と目が合う。全然違うのに、ブレイドに見えるその瞳から目が離せなくなってしまう。
「会いたかった。アメリア――」
「――私はアメリアじゃない!! ブレイドの婚約者なんだから、触らないで!!」
私が叫ぶと指輪が光り、眩しさからか怯んだクロウが手を離した。その隙に私も後ろへと下がる。
「エマ!!」
今度は暖かい腕の中におさまる。腕や顔にまだ鱗が見えたけどブレイドだった。
「ごめん、遅くなった」
「……ううん」
だいぶ頑張って食べ終わってくれたのだろう。瘴気はすべて消えていた。
「大丈夫……。だい……」
体が冷たくて震える。手を取られたところとクロウが触れていた場所がぐっしょりと濡れていた。
クロウを見ると、腕や顔が溶けていた。
「ひっ……」
「……アメ……ア。ど……して」
ブレイドが手を前に出すと炎がクロウに向かっていった。炎はクロウにたどり着くと彼を包み込む。
「ブレイドっ!?」
「あれは、氷の魔法だ」
「え?」
「氷で出来た像を動かしていただけだろう」
炎が消えると地面に水たまりが出来ていた。
魔法で動いていた? だけど、本当にそこにたみたいだった。
ぐっしょりと濡れていた服はブレイドの魔法で、乾かしてもらいホッとひと息ついた。
「……そうだ、ここにいるかもしれない人、探さなきゃ!」
「……あぁ」
誰かわからないけれど、ミリアによって立たされていた人を探す続きに戻ったけれど、見つける事は出来なかった。
ミリアの細い手指が己の顔や体を撫でていく。待ち切れないと言わんばかりに表情が恍惚としていく。
「はやく動いた方がいいと思いますが……」
そう、瘴気は待ってなどくれない。わかっているけれど、動いていいのかどうかがわからない。
「ここの人は素直で優しいですよね」
突然ミリアが困った顔になる。
「わたくしがここで少し待っていて欲しいとお願いするだけでそこに立ち続けていただけるなんて――」
その言葉でブレイドが動いた。もしかして、瘴気の近くに誰かを立たせている!? 場所がわかるなら、真上にだって誘導出来る――。
ブレイドは私の手をとり抱きかかえると一瞬で外に飛び出した。
天井がなくなり外との気温差はなくなったと思っていたが、横からの風で寒く感じる。何より上着を着ていない。
「指輪出せる?」
体を震わせているとブレイドに聞かれ私はネックレスにして服の中にしまっていた指輪をひっぱり出した。
「温熱の魔法を……弱めにいれておけばいいかな?」
「そんな便利な魔法が!?」
「使ってみて」
ぎゅっと握って竜魔石を発動させると先ほどまで感じていた寒さがなくなり、暖かな外套を羽織ったみたいになった。
「大丈夫そう?」
「うん。大丈夫、これなら寒くない」
近付いてきたのか瘴気の気配がしてきた。
「中まで一緒に行きたいけど……」
「中に人がいるかもなんでしょ? 私も行かないと……。あの人達がくるまえに浄化をしてしまえば大丈夫だよ」
「……うん」
そのまま瘴気の中へと突入する。
「ボクが食べておく。エマはまわりに人がいないか探してくれ。遠くには行かないで」
「わかった!」
噴き出し口付近に人はいなかった。ミリアの口ぶりから人に戻った人だろう。そんなに人数はいない。見ればわかるはずだ。
「誰か、いませんか? いたら返事をしてください!」
瘴気の色がだんだん薄くなってくる。ブレイドが食べ終わるまであとどれくらいだろう。
「誰か……」
突然、手を取られ後ろへと引っ張られた。冷たい氷のような手と体に驚く。
「あなたは……」
金色の瞳はブレイドと同じだけど違った。手を引いて自分の体に抱き寄せたのはクロウだった。
「やっと見つけた」
クロウはそう言うと、私の頬に手を添え上に顔を向かせた。
彼と目が合う。全然違うのに、ブレイドに見えるその瞳から目が離せなくなってしまう。
「会いたかった。アメリア――」
「――私はアメリアじゃない!! ブレイドの婚約者なんだから、触らないで!!」
私が叫ぶと指輪が光り、眩しさからか怯んだクロウが手を離した。その隙に私も後ろへと下がる。
「エマ!!」
今度は暖かい腕の中におさまる。腕や顔にまだ鱗が見えたけどブレイドだった。
「ごめん、遅くなった」
「……ううん」
だいぶ頑張って食べ終わってくれたのだろう。瘴気はすべて消えていた。
「大丈夫……。だい……」
体が冷たくて震える。手を取られたところとクロウが触れていた場所がぐっしょりと濡れていた。
クロウを見ると、腕や顔が溶けていた。
「ひっ……」
「……アメ……ア。ど……して」
ブレイドが手を前に出すと炎がクロウに向かっていった。炎はクロウにたどり着くと彼を包み込む。
「ブレイドっ!?」
「あれは、氷の魔法だ」
「え?」
「氷で出来た像を動かしていただけだろう」
炎が消えると地面に水たまりが出来ていた。
魔法で動いていた? だけど、本当にそこにたみたいだった。
ぐっしょりと濡れていた服はブレイドの魔法で、乾かしてもらいホッとひと息ついた。
「……そうだ、ここにいるかもしれない人、探さなきゃ!」
「……あぁ」
誰かわからないけれど、ミリアによって立たされていた人を探す続きに戻ったけれど、見つける事は出来なかった。
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