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第二章 赤の瞳と金の瞳
第80話 竜と聖女と瘴気が出る場所
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一人は背中からブレイドと同じ竜の翼がはえている男の人。もう一人は赤い瞳の聖女だった。元婚約者が連れてきていた彼女よりずっと色の濃い瞳……。
二人は姉弟なのだろうか。同じ銀色の髪で、顔立ちもどことなく似ていた。
「こんにちは。わたくしの名前はミリア。こちらはクロウと申します」
女はミリアと名乗った。ミリアは丁寧にお辞儀をしたあと、上をちらりと見る。
「天井はごめんなさい。クロウったら、急ぎすぎて……」
そう言ってクロウの頭も下げさせる。何だかちゃんとした人達みたいでホッとした。でも、いったいなんの用だろう。さっき見た竜の翼が間違いでなければ、彼女達もまた竜だとでも言うのだろうか。赤い瞳の聖女の竜? 他の国にはそんな人がいるの?
「何の用だ?」
ブレイドが私をルニアに渡しながら前に出る。
「ここの代表……でよろしいでしょうか?」
「あぁ……」
「そうですか! ここの国は確か無くなったはずなので心配していたのですがまだお話しできる方がいらっしゃるなんて、とても助かります」
にこやかに笑う細くて美しいミリア。正直、理想のような体型だ。適度にぷっくりしていて引っ込むところは引っ込む。
ルニアは健康的な鍛えられた美で、ミリアは儚く可憐な美しさ。
「わたくし達はこの場所の近くで消えた瘴気の噴き出しについて調べておりました。赤い瞳の聖女はご存知ですよね?」
ブレイドは何も答えない。ミリアは微笑みながら続ける。
「このあたりにわたくし達の知らない赤い瞳の聖女がいるという噂を耳にしまして、その方を探しております。――このクロウは瘴気の出る場所がわかって、この近くで確かに瘴気が出たはずなのに消えた場所があったもので……。もしかしてその聖女がいらっしゃり浄化をされたのかな……と」
この人達は聖女を探してる? このあたりにって、私以外にいるのかな?
「そちらの方とたぶん髪の色が同じなのですが」
めちゃくちゃ私を見てる。え、この髪色で赤い瞳で聖女って、私!? でもこの人達は私を見ても何も…………、ってあぁ! そうだった。今、私の瞳の色、金色になってるんだ。
えっと、この人達、聖女を見つけてどうするつもりなんだろう。
「聖女なんておらん。おったとしてもお前らその聖女に何の用やねん」
何も言わないブレイドに痺れを切らしたのかスピアーがミリアに問うた。
ミリアはぱちくりとまばたきをしたあと、スピアーに視線を移した。
「ずいぶんと東方の喋り方ですね。久しぶりに聞きました。そうですね……、わたくし達の仲間になっていただきたいと思っていますが。そうですか、いらっしゃらない……」
ミリアはクロウとむかいあい、悲しそうな顔をしていた。けれど、次の瞬間その顔は笑みへと変わった。
「ならば、瘴気を消した本人に出てきていただきましょう」
ミリアは手を重ね合わせ可愛らしく小首を傾げる。出てきてって言われたって、なんだか嫌な感じしかしない彼女達についていく気なんてこれっぽっちも起こらない。
聖女は私の居場所を奪った。前回はそれほど恨んでなんかないけれど、これからはそうは言ってられない。だって、私はブレイドと一緒にいたいのだから。もし仲間になって、ここから違う場所に来てくださいなんて言われたら困るもの。
この目の色が元に戻る前にどうかこの人達が帰ってくれますように。そう願ってみたけれど、状況は悪い方に転がった。
「……なんでや」
スピアーが焦っていた。小声でブレイドに何か話しかけている。言葉は聞こえなかったけれど彼の口の動きがよく目にする形に動いた。瘴気と――。
こんなタイミングで瘴気が出たの? スピアー、今日は出るまでわからなかったのかな。
考えてたって仕方がない。バレないようにバラバラになって瘴気に向かったらどうだろう。ダメだ。クロウがわかるって言ってた……。
「あぁ、あぁ、素晴らしいですわ!! もしかしてあなた方も瘴気が出た事に気がついているのですね」
ミリアの可憐な笑顔はもっと明るく花を咲かせた。
二人は姉弟なのだろうか。同じ銀色の髪で、顔立ちもどことなく似ていた。
「こんにちは。わたくしの名前はミリア。こちらはクロウと申します」
女はミリアと名乗った。ミリアは丁寧にお辞儀をしたあと、上をちらりと見る。
「天井はごめんなさい。クロウったら、急ぎすぎて……」
そう言ってクロウの頭も下げさせる。何だかちゃんとした人達みたいでホッとした。でも、いったいなんの用だろう。さっき見た竜の翼が間違いでなければ、彼女達もまた竜だとでも言うのだろうか。赤い瞳の聖女の竜? 他の国にはそんな人がいるの?
「何の用だ?」
ブレイドが私をルニアに渡しながら前に出る。
「ここの代表……でよろしいでしょうか?」
「あぁ……」
「そうですか! ここの国は確か無くなったはずなので心配していたのですがまだお話しできる方がいらっしゃるなんて、とても助かります」
にこやかに笑う細くて美しいミリア。正直、理想のような体型だ。適度にぷっくりしていて引っ込むところは引っ込む。
ルニアは健康的な鍛えられた美で、ミリアは儚く可憐な美しさ。
「わたくし達はこの場所の近くで消えた瘴気の噴き出しについて調べておりました。赤い瞳の聖女はご存知ですよね?」
ブレイドは何も答えない。ミリアは微笑みながら続ける。
「このあたりにわたくし達の知らない赤い瞳の聖女がいるという噂を耳にしまして、その方を探しております。――このクロウは瘴気の出る場所がわかって、この近くで確かに瘴気が出たはずなのに消えた場所があったもので……。もしかしてその聖女がいらっしゃり浄化をされたのかな……と」
この人達は聖女を探してる? このあたりにって、私以外にいるのかな?
「そちらの方とたぶん髪の色が同じなのですが」
めちゃくちゃ私を見てる。え、この髪色で赤い瞳で聖女って、私!? でもこの人達は私を見ても何も…………、ってあぁ! そうだった。今、私の瞳の色、金色になってるんだ。
えっと、この人達、聖女を見つけてどうするつもりなんだろう。
「聖女なんておらん。おったとしてもお前らその聖女に何の用やねん」
何も言わないブレイドに痺れを切らしたのかスピアーがミリアに問うた。
ミリアはぱちくりとまばたきをしたあと、スピアーに視線を移した。
「ずいぶんと東方の喋り方ですね。久しぶりに聞きました。そうですね……、わたくし達の仲間になっていただきたいと思っていますが。そうですか、いらっしゃらない……」
ミリアはクロウとむかいあい、悲しそうな顔をしていた。けれど、次の瞬間その顔は笑みへと変わった。
「ならば、瘴気を消した本人に出てきていただきましょう」
ミリアは手を重ね合わせ可愛らしく小首を傾げる。出てきてって言われたって、なんだか嫌な感じしかしない彼女達についていく気なんてこれっぽっちも起こらない。
聖女は私の居場所を奪った。前回はそれほど恨んでなんかないけれど、これからはそうは言ってられない。だって、私はブレイドと一緒にいたいのだから。もし仲間になって、ここから違う場所に来てくださいなんて言われたら困るもの。
この目の色が元に戻る前にどうかこの人達が帰ってくれますように。そう願ってみたけれど、状況は悪い方に転がった。
「……なんでや」
スピアーが焦っていた。小声でブレイドに何か話しかけている。言葉は聞こえなかったけれど彼の口の動きがよく目にする形に動いた。瘴気と――。
こんなタイミングで瘴気が出たの? スピアー、今日は出るまでわからなかったのかな。
考えてたって仕方がない。バレないようにバラバラになって瘴気に向かったらどうだろう。ダメだ。クロウがわかるって言ってた……。
「あぁ、あぁ、素晴らしいですわ!! もしかしてあなた方も瘴気が出た事に気がついているのですね」
ミリアの可憐な笑顔はもっと明るく花を咲かせた。
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