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第四草
27・力と代償
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「そうだ! 別の大きな怪物が二体いませんでしたか? 私、近寄らせないように風の精霊術でここを守ろうと――」
「いたよ。でもそいつらはもう落とした」
「そうですか。なら、あそこにいるのが最後なんですね」
チャミちゃんはそう言って、また人へと変化した。
「……あのね、なの。思い出したい事があるなら、あまり変化を使わない方がいいなの」
フェリが突然現れて、告げた。
「でも、助けに行かないと」
チャミちゃんは、精霊術で空に飛び出す。一人なら飛ぶことも出来るのか。オレも行きたいがうさぎの姿では、彼女のように飛べないだろう。
「のんきにしてる場合じゃないなの」
フェリが怒っている。何を怒っているんだ。
「ユーリは記憶のプロテクトをかけてるから多少ましなのかもだけど、チャミミは色々忘れてしまうなの」
「どういうことだ!?」
記憶のプロテクト? 三人の記憶があるのはそのせいなのか?
「そのままの意味なの。変化の力は使えば使うほど記憶の混濁、消失を招くなの。変化したものに飲み込まれていくなの。ヨキもそう」
「なっ」
「ヨキ、どんどん戻れなくなっていってるなの」
「それをはやく言えっ!!」
先ほど感じた違和感。ヨキの性格が変わっている感じ。
オレは思いっきり叫んだ。
「ヨキ!! いい案がある!! 戻ってこい!!」
こちらにきてもらわないと何も出来ないからな。
すぐにヨキはこちらへと向かってくれる。チャミちゃんも同時にこちらにくる。
ふふふ、草パワーの見せ所だな!
昨日食べた海藻を思い出せ!!
まわりは柔らかく食べやすかったが中心に通る一本の茎はオレの歯をも通さぬ強さとしなやかさをあわせ持っていた。そこを食すには、縦は丁寧に裂き横は細胞レベルで切断出来る場所を見極めなければならないめんどくささがある。
「海草縛術!!!」
捕獲魔術に海藻パワーの重ねがけ!!
これなら少しは時間が稼げるはずだ。
ぐるぐるまきになった怪物をヨキが咥えて持ってくる。
近くで見ると怪物の目からずっと涙が流れていた。
「ユーリ、いい案って何?」
ヨキが聞いてくる。
「う、その……」
今のはあくまで時間稼ぎだ。戻すことは考えてなかった。
今まで見たことある怪物達と違うのは、彼女はある程度人の姿をまだ保っている。
「殺シ……もう……イ……ゃ」
そして、口から言葉を発している。
もしかして、戻すことが出来るかもしれない?
「あの、ユーリ……」
チャミちゃんもこの言葉を聞いていたから躊躇ってしまったのかもしれない。
「チャミちゃん、ごめ――」
こうなったらもう戻らない。殺してあげる事がこの人達の為なのだとじーちゃんが言っていた。
オレはその言葉しか知らないのだ。残念ながら。
謝る言葉を口にしていた時、大きく地面が揺れた。
地面? 違う、ここは空だった。
「いたよ。でもそいつらはもう落とした」
「そうですか。なら、あそこにいるのが最後なんですね」
チャミちゃんはそう言って、また人へと変化した。
「……あのね、なの。思い出したい事があるなら、あまり変化を使わない方がいいなの」
フェリが突然現れて、告げた。
「でも、助けに行かないと」
チャミちゃんは、精霊術で空に飛び出す。一人なら飛ぶことも出来るのか。オレも行きたいがうさぎの姿では、彼女のように飛べないだろう。
「のんきにしてる場合じゃないなの」
フェリが怒っている。何を怒っているんだ。
「ユーリは記憶のプロテクトをかけてるから多少ましなのかもだけど、チャミミは色々忘れてしまうなの」
「どういうことだ!?」
記憶のプロテクト? 三人の記憶があるのはそのせいなのか?
「そのままの意味なの。変化の力は使えば使うほど記憶の混濁、消失を招くなの。変化したものに飲み込まれていくなの。ヨキもそう」
「なっ」
「ヨキ、どんどん戻れなくなっていってるなの」
「それをはやく言えっ!!」
先ほど感じた違和感。ヨキの性格が変わっている感じ。
オレは思いっきり叫んだ。
「ヨキ!! いい案がある!! 戻ってこい!!」
こちらにきてもらわないと何も出来ないからな。
すぐにヨキはこちらへと向かってくれる。チャミちゃんも同時にこちらにくる。
ふふふ、草パワーの見せ所だな!
昨日食べた海藻を思い出せ!!
まわりは柔らかく食べやすかったが中心に通る一本の茎はオレの歯をも通さぬ強さとしなやかさをあわせ持っていた。そこを食すには、縦は丁寧に裂き横は細胞レベルで切断出来る場所を見極めなければならないめんどくささがある。
「海草縛術!!!」
捕獲魔術に海藻パワーの重ねがけ!!
これなら少しは時間が稼げるはずだ。
ぐるぐるまきになった怪物をヨキが咥えて持ってくる。
近くで見ると怪物の目からずっと涙が流れていた。
「ユーリ、いい案って何?」
ヨキが聞いてくる。
「う、その……」
今のはあくまで時間稼ぎだ。戻すことは考えてなかった。
今まで見たことある怪物達と違うのは、彼女はある程度人の姿をまだ保っている。
「殺シ……もう……イ……ゃ」
そして、口から言葉を発している。
もしかして、戻すことが出来るかもしれない?
「あの、ユーリ……」
チャミちゃんもこの言葉を聞いていたから躊躇ってしまったのかもしれない。
「チャミちゃん、ごめ――」
こうなったらもう戻らない。殺してあげる事がこの人達の為なのだとじーちゃんが言っていた。
オレはその言葉しか知らないのだ。残念ながら。
謝る言葉を口にしていた時、大きく地面が揺れた。
地面? 違う、ここは空だった。
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