不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター

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69.なんなんっすかね?

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「――もう! 最近ボスおかしいっすよね!? ベタベタしてきすぎっすよ! そう思わないっすかフレイ君!!」


 浴場で泥を流し、脱衣所で着替え終えたところでフレイ君にそう問いかけた。


「おかしいと言うよりなんだかおっさんっぽいですよね」


「おっさん?」


 それは老けたということか? ボスはまだピチピチの十九歳、もうすぐ二十歳になって歳を重ねることになるとはいえ特に老けたようには思わない。


「別に見た目の話じゃないですよ?」


「?」


 じゃあどう言う意味? と首を傾げた。最近のボスはすぐに距離を詰めてきたり、急に抱きついてきたり、耳元で囁いてきたり、見つめてきたりと忙しい。


「…………」


 ……いや最後の見つめてくるのはたまにあったっすね。


 最後だけじゃない。他のも前からちょくちょくとあった。あったがなんか最近のは違うのだ。最近のはこう……なんだか妖しい感じがするのだ。色気が混じったような喋り方をしたり、触って来た時に変な触り方をしたり……なんかゾクゾクするような恥ずかしいことばかりしてくるようになってしまった。


「…………」


 ……あれ? なんかこれもたまにあったような気がするっすね。


 だが、その頻度が確実に多くなった。嫌だと言っているのにしつこい。しまいには「慣れろ」と言って決して自分の行動を改めようとはしない。


「……俺が意識しすぎなんっすかね?」


 溜息を吐いた。告白されて、振って、それで終わりだといつも通りに振る舞っているつもりが、無意識にボスを意識してしまっているからこそいつもと変わらないボスを変だと、ボスの一挙一動を過剰に反応してしまっているのだろうか?


「絶対違いますよ。ボスさん前よりツキさんにくっつくの酷くなってますもん」


「……やっぱりっすか?」


 フレイ君もそう思うっすか……。


 なら勘違いとかではないのか。


「はぁぁ……ほんとうになんなんっすかね……」


 なんで急にああなっちゃったんっすかね……。


「ほんっと鬱陶しいですもんね。僕の目の前でしょっちゅうとさ」


「え?」


 なんてっす? 


「今度イーラさんとモー達に言っときます」


 呆気に取られる俺にフレイ君はニッコリと笑う。


「……そうっすね」


 流石フレイ君っす。言えばボスが言うことを聞くであろう人物達の名前が出てきたっす。


 よく見ているなぁと感心しつつ、お昼ご飯にしようと脱衣所から外に出れば、まさかのボスに待ち伏せされていた。


「よし捕まえた」


「ぎゃっ!?」


「今から飯だろ? 一緒に行くぞ~」


「え!?!???」


 宙に浮いた体に理解が追いつかないままボスに横抱きに抱えられた状態で運ばれる。


「お、下ろしてっす!」


「え? 落とせって?」


「ひっ!?」


 ボスが俺を持つ手を緩めた。落ちそうになる体に俺は慌ててボスにしがみついた。


「そのままくっついとけよ」


「……」


 これはマジで落とされるっす。お尻痛くなるの嫌っすよ……。


 シクシクと泣きながら上機嫌なボスに食堂まで運ばれる。くそぅ……、捕まってしまった……無念……。



 ボソ

「……チッ……なんか腹立つなラックの顔。なんでこんなムカつくんだろ」


「ん? フレイ君何か言ったっすか?」


「え? 何も?」


「文句があんなら直接言えよ? フレイ」


「…………」



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