不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

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15.モージーズーっす!  

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「――ったく、お前らよくあの空気の中で飯なんて食えたな」


「お前らのせいで俺ら全然飯食えなかったじゃねぇか」


「そのせいで食うのが遅いって料理長のおっさんにも怒鳴られただろうが!」


「えー」


 朝食も食べ終わり、さぁ組織紹介とアジト案内へと思い、三階に上がったところでモージーズー達三人に捕まり、有無も言わさずその場で正座をさせられた。ぶつぶつと謂れのない文句を垂れてくる三人に頬を膨らませる。


「別に俺達何もしてないっすよ? ねぇフレイ君」


「……はい」


 同じように隣に正座をさせられているフレイ君に同意を求めるも、少々元気がないご様子。もしかしてさっきのボスの冷たい様子にショックを受けているのだろうか。これはあとでボスへの説教案件だ。


「はぁぁあ……」


「何もわかってないって言うのが」


「一番ダメなんだよ」


「???」


「「「はぁぁあ……」」」


 ムッ


 溜息ばっか、しかも人の顔見ながら吐いてくるのはなんかムカつくっす! 言っとくっすけどさっきから溜息を吐きながらもフレイ君をチラチラ見てデレっと顔緩めてるの知ってるんっすからね!


「……」


「……なんだツキその目は」


「なんでその子を隠すんだ?」


「ツキ?」


 ジト目で三人を見ながら、フレイ君を後ろに隠すようズルズルと座ったままフレイ君の前へと移動した。


「うるさいっす。フレイ君を変な目で見るのは許さないっすよ?」


「なっ!///」


「べ、別に変な目でなんて見てねぇよ!///」


「なんてこと言うんだお前!///」


「……」


 ……そうやって顔赤くして狼狽えるところが怪しいんっすよ。


 必死に誤解だと叫ぶ三人を引き続き睨んでいると……


「……あのすみません。ツキさんこの人達は誰なんですか? 紹介してもらってもいいですか?」


「? あ、そうっすね!」


 そういえばさっき食堂で話したのは俺だけだったと、まだ紹介もしていなかったと思い出した。モージーズーもそのことに気がついたのか、罰が悪そうに苦笑し頬を掻いた。


「おおう……そういえば自己紹介してなかったな」


「ツキから話聞きすぎて、てっきりもうした気でいたわ……」


「悪りぃな正座させちまって……」


 三人はそう言うと急いで佇まいを正し、自己紹介を始める。


「俺の名前はモーだ。この顎髭で覚えてくれ。んでこっちの鼻髭野郎がジーで無精髭野郎はズーだ。よろしくな」


「「よろしく!」」


「??? モーさん? ジーさん? ズーさん?」


「そうっす! 三人合わせてモジモジーズっす!」


「「「ちげぇ!!」」」


「ハゲーズ?」


「「「しばくぞ!!!」」」


 ゴンッ×3

「痛いっす!!」


 三人それぞれから拳骨をもらいその場に蹲る。


 もうしばいてるじゃないっすか!


「えと、あのご兄弟ですか?」


「「「違う」」」


 戸惑いながら言ったフレイ君の言葉にすかさず三人は頭を振った。フレイ君の言いたいこと、俺はわかる。モー、ジー、ズー達この三人、髭の場所以外スキンヘッドの頭も見た目もよく似ており、喋り方も好きなものも趣味までほとんど一緒だ。名前までなんとなく似ているし、なのに兄弟ではないと言う神秘。なんで血が繋がっていないのにここまで似ているのかは仲間達との間の不思議話の一つになっているほどだ。気が合うからかこの三人はいつも一緒にいるし、もうほとんどセットとしてみんなから扱われている。


「そ、そうなんですね」


「そうっす、だから呼び方もモージーズーって続けて呼んでもいいっすよ? 大抵三人いる時はそんな呼び方っすから!」


「「「うんうん」」」


 これには文句ないようで三人とも腕を組んで頷いている。モージーズーとモジモジーズ。そんなに変わりはないと思うのになぜモジモジーズはダメなのか。


「わ、わかりました。――僕はフレイと言います。よろしくお願いします」


「「「ああ、よろしく///」


 ふわっとした笑顔を見せるフレイ君に三人はデレデレ状態だ。


「じゃ! 自己紹介も済んだっすしもういいっすよね。俺今からフレイ君に俺達の説明とアジトの案内をしに行くんっす。邪魔しないで下さいっす!」


「ああん? まだボスの不憫さを伝えきれてねぇのに……」


「「ボス憐れ」」


「もう! 何がっすか!」


 ボスが憐れってどこがっすか!? 可哀想なのはフレイ君っすよ! 初対面からボスに威圧されまくって怯えてるんっすから!


「まぁまぁ落ち着けツキ。俺達はボスの憐れさを伝えに来たのとは別に実はフレイちゃんに渡すもんがあったんだよ」


「そうそう、フレイちゃん安全のためにな」


「あ、フレイちゃんって呼んでもいい?」


「ちゃ、ちゃん?」


「安全?」


 なんのっすか?


 俺の視線がジーの手の中にある袋に向かった。渡す物とはそれのことか? よくわかっていない俺に仕方がないなという目をモー達が向けてくる。


「馬鹿だなぁお前。お前といたらか弱いフレイちゃんが怪我しちまうだろ」


「こんなかわい子ちゃんの柔肌を傷つけるわけにはいかねぇからな」


「はいこれな」


 ジーがフレイ君に渡した袋の中身は団内でたまーにつけている人を見かける、銀色のシンプルな腕輪だった。子どもとかは絶対付けてるものだ。


 フレイ君はその腕輪を不思議そうに眺めた。


「これは……」


「それはボスオリジナルの対ツキ用防具だ」


「俺っすか!?」


 驚けば、モージーズー達はうんうんと頷き順番に話し出す。


「この腕輪には簡単な防御の魔法が付与されていてな。これさえつけてれば木刀とかガラスが飛んできてもまぁまぁ防いでくれるぞ。まぁまぁ」


「ツキといるだけでいろんなもんが飛んでくるからな!」


「ボスがフレイちゃんにいるか? っつって渋ってたけど一応もらってきてやったぞ」


「えぇ!? それそんな効果があったんっすか?」


 そんなこと初めて聞いたっすよ? あと、やっぱりボス鬼畜っす!!


「ちなみにそれをつけずに歩いてる連中はツキの珍事対応上級者達だ」


「何かあったら頼ってくれ」


「じゃ!」


「あ、ちょっと待つっす! 俺そんなの初めて聞いたっすよ? 上級者ってなんっすか!」


「「「ギャハハハハハ!!!」」」


「いや、なんで笑うんっすか!?」










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