神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太

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51、食材と収納

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 先に滝に向かったナナたちと別れ、俺はお社の厨房へと向かう。
 まだ早朝にも関わらず、そこにはもう料理人たちの姿が見える。

 これだけの立派なお社だからな、朝食を作るにしても大仕事なのだろう。
 料理人の一人が俺の姿に気が付いて気さくに声をかけてくる。

「ユウキ殿! いやぁ昨日の釜めしとうな重は最高でしたな! それに、ユウキ殿の見事な包丁捌きには我らも感服しましたよ」

「はは、ありがとうございます!」

 そんな話をしていると他の料理人たちも集まってくる。

「おはようございます! ユウキ殿」

「どうされたのですかな? こんなに朝早く」

「おはようございます! ええ、実はカレンさんたちと一緒に滝の傍でご飯を食べることにしたんですけど、その為の食材が欲しくて」

 俺の言葉に、彼らは顔を見合わせると頷いた。

「滝の傍でとはまた面白いことをお考えですな!」

「カレン様がお望みでしたら、我らに依存はありませんぞ。ここにある食材であれば好きなだけお持ちください!」

 快く承諾してくれた白狼族の料理人たちに俺はお礼を伝える。

「助かります、ありがとうございます!」

 彼らに案内されて俺は厨房にある食材を眺めていく。
 そこには、あのつやつやとした神秘米や様々な野菜や山菜、そして色んな種類のキノコが置いてある。

「へえ、今日もマルルナタケがあるんですね。珍しいって聞いたのに」

「ええ、この辺りの猟師が穴場を知ってましてね。やっぱりこいつは香りも味も最高ですから」

 確かにマルルナタケの香りも味も最高だよな。
 ドリルホーンのステーキの時にソースにからめて食べたらとても美味しかった。

 もちろん、熟成をかけたドリルホーンの肉が最高の味だったのが大きいけどさ。

 ステーキからあふれ出す肉汁とソースそしてマルルナタケが混然一体になって、最高のステーキになった。
 俺はそんなことを考えながら料理人たちに尋ねる。

「野菜やキノコはこれで十分だな。それからメインは肉料理を考えてるんですけど、肉は何かありますか?」

「ええ、それなら鶏とドリルホーンの肉があちらに」

「ドリルホーンは今朝マルルナタケを持ってきた猟師が仕留めたもので、先程解体したばかりです。スカーフェイスとはまるで比較にはなりませんが、中々の大物でしたよ」

 へえ、この世界にも鶏はいるんだな。
 それにドリルホーンか。
 そういえば、俺の時もスカーフェイスはマルルナタケの匂いに誘われるようにやってきたもんな。
 猟師がその両方を持ってくるのもおかしくない。

 俺は食材を見渡しながらじっくりと必要なものを選んだ。
 そして、必要な食材を運ぶために、シーカーのマスタースキルの収納を使う。

「これを試してみたかったんだよな! 収納!」

 俺がそう声を上げると、半透明の収納BOXが俺の傍に現れる。
 周りの料理人たちは驚いたように声を上げた。

「ユウキ殿!」

「これは一体?」

「はは、ちょっとした魔法みたいなものです。すみません食材以外にも包丁と炭を使わせてもらっていいですか?」

「そ、それはもちろん構いませんが。ユウキ殿といると驚いてばかりですな!」

 収納は便利なスキルで、食材だけではなく、包丁や炭まで綺麗におさまっていく。
 それぞれ収めると、その半透明のケースは姿を消していく。
 念のためにまた収納と唱えてみると、先程おさめたものが入った収納BOXが現れた。
 こうやって取り出すようだ。

「こいつは便利だな」

 これなら、外で食材を見つけた時も便利に運べる。
 それに冒険者や鍛冶職人として、必要な素材を見つけた時もこれで簡単に運べそうだ。

「ありがとうございました!」

 俺は、料理人たちにあらためてお礼を言うと厨房を出て、ナナたちの後を追いかける。
 じっくり食材を選んでいたから少し遅くなったな。
 でも、ナナたちも今頃滝で身を清めていることだろう。

 俺は昨日のことを思い出してちょっと赤面する。
 今度あんなことがあったら、さっきみたいに二人にビンタされそうだ。
 ほんと気が強いからな二人とも。

 俺はそんなことを考えながら滝への石段を下りていく。
 ほんとに気持ちのいい朝だ。

 滝のから流れる川の水は相変わらず澄み渡っている。
 流石は白狼族の聖域だな。
 滝からも程よく離れていて、景色も凄くいい。
 朝食を食べるには一番いい場所だ。

「よし、ここら辺がよさそうだ」

 ナナたちに声をかける前に、準備をしておいたほうがいいもんな。
 俺はそんなことを考えながら、食の求道者のマスタースキルを使った。

「簡易厨房!」

 そう唱えると、俺がこれから作りたい料理に合わせた調理設備が現れる。
 その中には少し前の世界で見慣れたものもあった。

「ふふ、やっぱり外で食べるならキャンプ気分も味わいたいもんな!」

 俺は神秘米を研いで、朝食の準備を始める。
 そして、ドリルホーンの肉や鶏肉、そして野菜の下ごしらえもしていった。
 暫くすると、ナナたちがやってくる。

「裕樹! ここにいたのね」

「滝のすぐ傍で待ってたのに全然こないんだもの」

「はは、悪い悪い、つい夢中になっちゃってさ」

 朝の光の中でまだ少し濡れた髪がきらめく二人はまるで森の精霊のようだ。
 俺を見つけて手を振って駆けてくる。
 元の世界でこんな二人が俺に手を振って駆け寄ってきたら、友達に囲まれて誰なのか問い詰められそうだ。

「まあ、あいつらのせいで俺の周りには友達なんていなくなっちまったけどさ」

 光一たちに目をつけられたせいで、学校ではすっかり俺は一人になってたからな。
 みんなあいつらにビビッて俺を避けるようになったからさ。

 俺はナナとレイラを見てほっと息をつく。
 やっぱり仲間がいるっていいものだ。
 二人は不思議そうに俺を見つめる。

「どうしたの? 裕樹」

「私たちの顔になにかついてる?」

「はは、なんでもないさ」

 魔王の復活が仮にあったとしても、あんな奴らが世界を救う勇者になれるとは思えないんだけどな。
 それに、あの国王も最悪だったし。

「今頃、何してるんだあいつら……」

 俺は思わず肩をすくめた。
 こんな気持ちのいい朝だ、あんな連中のことなんか考えるのはやめておこう。
 そんな中、カレンさんもククルの手を引いてやってきた。

「ほほ、中々ユウキが来ぬので二人が心配してな。探しに行くと言うて聞かぬのじゃ」

 ここから、滝は良く見えるけど少し離れてるからな。
 俺がもう下に降りてきてることに気が付かなかったのだろう。

「はう~お兄ちゃんがいないと、ククルもお姉ちゃんも寂しいのです!」

 その言葉にナナとレイラは顔を見合わせて、少しツンとして言った。

「べ、別に寂しいってわけじゃないわよ! 直ぐに来るってわかってるんだもの」

「そ、そうよ。ククルったらもう」

「ほほ、素直じゃないの二人とも。今朝はまるで夫婦のようにユウキと同じ布団で寝ていたではないか。随分と身を寄せておったようじゃが、本当に何もなかったのかえ?」

 それを聞いて二人は真っ赤になる。

「「カレンさん!!」」

「ほほほ、ほんに可愛いこと」

 カレンさんはそう言いながら、俺が下ごしらえしているドリルホーンの肉や野菜を見て言った。

「ほう、随分と色々あるのう! それに変わった器具じゃのこれは」

 俺が簡易厨房で作り出した調理器具の一つを見て、カレンさんは興味津々の様子だ。

「こんなに景色がいいところでみんなで食べるなら、これが楽しいかなって思って。さあ、そろそろはじめようかな!」

「ユウキ、今度は何を食べさせてくれるの? もう私我慢できない!!」

 そう言って大きなワンコのように尻尾を振るレイラを見て苦笑しながら、俺は本格的に料理を作り始めることにした。
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