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連載
319、力を合わせて
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「分からないの、エイジを助けたいって思ったら自然に。きっとあれが私の新しい力なんだわ」
「エリスの新しい力……」
アストラルトランス、エリスのユニークスキルの力だろう。
光の女神のようなあの姿は、人というよりは精霊に近い存在に思えた。
エイジとエレメンタルフュージョンをしていたリイムとミイムが姿を現し、床に倒れるファルティーシアに縋りついて涙を流す。
『お母様! しっかりして!』
『エイジ! お母様が!』
エイジたちも、すぐにファルティーシアのもとに走り寄るとひざまづく。
拘束をとかれたのだろう、タイタンも膝をつき苦渋に満ちた顔をしている。
『ぐぬぅう! ファルティーシア様、このタイタン一生の不覚!!』
エリスは静かにファルティーシアに近づくと、その手をそっと握る。
エイジはそれを見て、エリスに尋ねた。
「エリス?」
「一度の多くの力を失って、消滅しかかってる。私には分かるの」
エリスは再び目を閉じると、瞑想状態に入っていく。
輝きを失いかけているその光を救うために。
エリスの肉体はそのままに、その背後に現れた白い光のエリス。
彼女は静かに口を開いた。
『リイム、ミイム、そしてここにいる全ての精霊たち。私に力を貸して!』
それは言葉というよりは思念だ。。
まるでテレパシーのように、精霊たちに伝わっていく。
『分かったわ、エリス!』
『エリスお姉ちゃん、ミイムの力も使ってです!』
『ファルティーシア様のためとあらば、このタイタンの力をいや命を使ってくれ!』
光となったエリスの周りに集まる精霊たち。
エリスに触れる精霊たちの力が、少しづつ彼女を通じてファルティーシアに流れ込んでいくのが分かる。
神々しいほどのエリスの姿に、エイジは見とれた。
少し時が経った後、ファルティーシアのまぶたが微かに動く。
リイムとミイム、そして精霊たちが歓喜の声を上げた。
『今、お母様の目が!』
『お母様!!』
『ファルティーシア様!!』
ファルティーシアは呆然と辺りを見渡す。
『……私は、これは一体』
彼女の手を握るエリスを見つめるファルティーシア。
そしてゆっくりと立ち上がる。
『お母様! エリスがお母様を助けてくれたの!』
『みゅゆうう! お母様、お母様ぁ!』
ファルティーシアの胸に飛び込んで、甘えるミイム。
高位精霊はエリスを見つめる。
『エリス、貴方が私を?』
『ええ、間に合ったのね。無事で良かった』
エリスの思念は、ファルティーシアにもハッキリと伝わっていく。
(この子は一体……とても強い力を感じる。始祖たちからの伝承で聞いた、かつての高位精霊たちのように)
その瞬間、光と化したエリスの姿は消えその肉体がガクリとよろめいた。
「エリス!」
エリスの体をしっかりと支えるエイジ。
額にうっすらと汗をかいているエリス。
心配そうに自分を眺める少年に、微笑みかけた。
「大丈夫、少し疲れただけ」
アストラルトランス状態を維持するための高い集中力。
それを継続することに疲れたのだろう。
「無茶をするから……」
エイジの言葉に、エリスは少しだけ口を尖らせた。
「エイジには言われたくないわ。いつも無茶をして私を心配させるくせに」
そう言って悪戯っぽく笑うエリス。
それが、自分たちの為だということは分かっている。
だからそれ以上は言わずに、エイジの胸にそっと顔を埋めた。
エイジの腕の中に抱かれているエリスの周りに、精霊たちが集まって来る。
口々に感謝の気持ちを伝える精霊たち。
「不思議ね。精霊たちの話していることが分かるわ」
言葉ではなくその思念が伝わっているのだろう。
エリスの体は、まだ微かに淡い光を放っている。
タイタンが二人の前に膝をついた。
『エリス様、エイジ殿、そして皆様方、今までの無礼どうかお許しください! この御恩はタイタン生涯忘れませぬ!!』
涙を流す無骨な大地の精霊の姿に、一行は顔見合わせると微笑んだ。
ファルティーシアはエイジに言った。
『エイジ、事情を聞かせてください。リカルドは一体どうしてあんな真似を?』
エイジは今分かっていることを、ファルティーシアに打ち明けた。
そして、最後にメグと一緒に見た光景を伝える。
『俺、確かに見たんです。白王と呼ばれる精霊の王と二つの遺物のことを』
─────
いつもお読み頂きましてありがとうございます!
昨日、新連載も50話目を迎えました、下のリンクからご覧になって頂けますのでよろしければお読みくださいね。
エイジたちの冒険と一緒に、カズヤたちの物語も楽しんで頂けましたらとても嬉しいです!
「エリスの新しい力……」
アストラルトランス、エリスのユニークスキルの力だろう。
光の女神のようなあの姿は、人というよりは精霊に近い存在に思えた。
エイジとエレメンタルフュージョンをしていたリイムとミイムが姿を現し、床に倒れるファルティーシアに縋りついて涙を流す。
『お母様! しっかりして!』
『エイジ! お母様が!』
エイジたちも、すぐにファルティーシアのもとに走り寄るとひざまづく。
拘束をとかれたのだろう、タイタンも膝をつき苦渋に満ちた顔をしている。
『ぐぬぅう! ファルティーシア様、このタイタン一生の不覚!!』
エリスは静かにファルティーシアに近づくと、その手をそっと握る。
エイジはそれを見て、エリスに尋ねた。
「エリス?」
「一度の多くの力を失って、消滅しかかってる。私には分かるの」
エリスは再び目を閉じると、瞑想状態に入っていく。
輝きを失いかけているその光を救うために。
エリスの肉体はそのままに、その背後に現れた白い光のエリス。
彼女は静かに口を開いた。
『リイム、ミイム、そしてここにいる全ての精霊たち。私に力を貸して!』
それは言葉というよりは思念だ。。
まるでテレパシーのように、精霊たちに伝わっていく。
『分かったわ、エリス!』
『エリスお姉ちゃん、ミイムの力も使ってです!』
『ファルティーシア様のためとあらば、このタイタンの力をいや命を使ってくれ!』
光となったエリスの周りに集まる精霊たち。
エリスに触れる精霊たちの力が、少しづつ彼女を通じてファルティーシアに流れ込んでいくのが分かる。
神々しいほどのエリスの姿に、エイジは見とれた。
少し時が経った後、ファルティーシアのまぶたが微かに動く。
リイムとミイム、そして精霊たちが歓喜の声を上げた。
『今、お母様の目が!』
『お母様!!』
『ファルティーシア様!!』
ファルティーシアは呆然と辺りを見渡す。
『……私は、これは一体』
彼女の手を握るエリスを見つめるファルティーシア。
そしてゆっくりと立ち上がる。
『お母様! エリスがお母様を助けてくれたの!』
『みゅゆうう! お母様、お母様ぁ!』
ファルティーシアの胸に飛び込んで、甘えるミイム。
高位精霊はエリスを見つめる。
『エリス、貴方が私を?』
『ええ、間に合ったのね。無事で良かった』
エリスの思念は、ファルティーシアにもハッキリと伝わっていく。
(この子は一体……とても強い力を感じる。始祖たちからの伝承で聞いた、かつての高位精霊たちのように)
その瞬間、光と化したエリスの姿は消えその肉体がガクリとよろめいた。
「エリス!」
エリスの体をしっかりと支えるエイジ。
額にうっすらと汗をかいているエリス。
心配そうに自分を眺める少年に、微笑みかけた。
「大丈夫、少し疲れただけ」
アストラルトランス状態を維持するための高い集中力。
それを継続することに疲れたのだろう。
「無茶をするから……」
エイジの言葉に、エリスは少しだけ口を尖らせた。
「エイジには言われたくないわ。いつも無茶をして私を心配させるくせに」
そう言って悪戯っぽく笑うエリス。
それが、自分たちの為だということは分かっている。
だからそれ以上は言わずに、エイジの胸にそっと顔を埋めた。
エイジの腕の中に抱かれているエリスの周りに、精霊たちが集まって来る。
口々に感謝の気持ちを伝える精霊たち。
「不思議ね。精霊たちの話していることが分かるわ」
言葉ではなくその思念が伝わっているのだろう。
エリスの体は、まだ微かに淡い光を放っている。
タイタンが二人の前に膝をついた。
『エリス様、エイジ殿、そして皆様方、今までの無礼どうかお許しください! この御恩はタイタン生涯忘れませぬ!!』
涙を流す無骨な大地の精霊の姿に、一行は顔見合わせると微笑んだ。
ファルティーシアはエイジに言った。
『エイジ、事情を聞かせてください。リカルドは一体どうしてあんな真似を?』
エイジは今分かっていることを、ファルティーシアに打ち明けた。
そして、最後にメグと一緒に見た光景を伝える。
『俺、確かに見たんです。白王と呼ばれる精霊の王と二つの遺物のことを』
─────
いつもお読み頂きましてありがとうございます!
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