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248、リイムとミイム
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『うそ! あんた精霊使いなの? なら最初からそう言いなさいよ』
『いや、精霊使いではないんだけどさ。言葉は分かるんだよな』
エイジの返事を聞いて、青い光を帯びた小さな少女は首を傾げた。
『何それ? 言ってることよく分かんない』
『そう言われてもさ。とにかく俺たちは、君たちの住み家を通してもらいたいだけなんだ』
奇妙は言葉で話し続けるエイジに、リアナが問いかける。
「エイジ、本当にその子と話をしてるの?」
「ああ、今ここを通してもらえるか聞いてるんだ」
それを聞いてエリクは呆れたように言う。
「まったく、君には驚かされっぱなしですね。ですが、それが本当なら助かりますよ」
ライアンは腕を組むと、何かを悟ったように頷く。
「エイジは単純そうだもんな。それで気が合うんじゃねえのか? 精霊もお気軽な奴が多いって聞くからよ」
「ふにゃ。それなら、ライアンに精霊の声が聞こえないのがおかしいにゃ。お気軽さでは精霊顔負けにゃろ?」
「へへ、そうか? 俺も話せるかもな」
そう言って、エイジの肩に座る少女に話しかけるライアン。
「よう、ここを通してくれよ。いいだろ?」
『何こいつ、馴れ馴れしい。言ってること分からないし』
感情の一部は読めるようだが、当然ライアンの言っていることは分からない様子だ。
『えい!』
妖精のような可憐な姿で、ライアンの顎を蹴り上げる少女。
「ぐべ!」
思いのほか衝撃があった様子で、ライアンは顎を抑えている。
(おい、ライアン……)
邪魔にしかなっていない仲間を見て、ふぅと溜め息をつくエイジ。
小さな精霊の少女はエイジを見上げて言う。
『私はリイム。あんたの名前は?』
『俺はエイジって言うんだ。よろしくなリイム』
そう言って指を差し出すエイジ。
握手のつもりだったが、リイムは首を傾げた。
それでも、何となくどうしたらいいのか感じたのだろう。
差し出された指に、小さな両手をすっと差し出す。
『人間って変わってるのね。こんなことしたがるなんて』
『精霊はこんな時、どうするんだ? 初めて会って友達になりたい時にさ』
それを聞いてリイムは少し強い光を帯びる。
『エイジ、私と友だちになりたいの?』
『ああ、可笑しいかな?』
(凄いよな。エリスやリアナの魔法を見た時も驚いたけど、精霊が目の前にいるなんてさ)
『い、いいわ。仕方ないから友だちになってあげる』
その時、赤い光がそっとエイジの肩に下りてくる。
リイムとは少し違た感じの少女。
三頭身でぽっちゃりとした人形のような姿。
大きさはリイムと同じで20cm程だ。
『リイム友達になったですか? ミイムもなるです!』
そう言って、エイジを見つめるミイムという少女。
喋り方や外見がリイムよりも幼く感じる。
返事がないのを見てしょんぼりとする、ミイム。
『ミイムとは友達にならないですか?』
エイジはそれを聞いて笑う。
『はは、ごめんな。いきなり下りてきたからびっくりしてさ。よろしくな、ミイム!』
『友達になるですか? ミイムと友達になるんですか?』
差し出された指に手を伸ばして、嬉しそうにはしゃぐミイム。
青い光と赤い光が、エイジの両肩にとまって幻想的に揺らめいている。
オリビアはその光景を見て思わずエリスに尋ねた。
「綺麗ね。ねえ、エイジって一体何者なの? 貴方知ってるんでしょ? 一番親しそうだし」
「い、一番親しいって……見てのとおりよ、お人好しの馬鹿なの」
オリビアにそう言いながら、とても優しい目でエイジを見つめるエリス。
美しい女騎士は暫くエイジを眺めながらふぅと溜め息をつく。
エイジの肩の上でミイムが飛び跳ねると。
『友達になったです! ミイム、お母様にエイジを紹介するです』
『お母様?』
エイジがそう尋ねた時には、赤と青の光はエイジたちを導くように彼らの住む場所の入り口に飛んでいく。
エリクはそれを見て微笑んだ。
「どうやら、中に入れてもらえそうですね。エイジ」
『いや、精霊使いではないんだけどさ。言葉は分かるんだよな』
エイジの返事を聞いて、青い光を帯びた小さな少女は首を傾げた。
『何それ? 言ってることよく分かんない』
『そう言われてもさ。とにかく俺たちは、君たちの住み家を通してもらいたいだけなんだ』
奇妙は言葉で話し続けるエイジに、リアナが問いかける。
「エイジ、本当にその子と話をしてるの?」
「ああ、今ここを通してもらえるか聞いてるんだ」
それを聞いてエリクは呆れたように言う。
「まったく、君には驚かされっぱなしですね。ですが、それが本当なら助かりますよ」
ライアンは腕を組むと、何かを悟ったように頷く。
「エイジは単純そうだもんな。それで気が合うんじゃねえのか? 精霊もお気軽な奴が多いって聞くからよ」
「ふにゃ。それなら、ライアンに精霊の声が聞こえないのがおかしいにゃ。お気軽さでは精霊顔負けにゃろ?」
「へへ、そうか? 俺も話せるかもな」
そう言って、エイジの肩に座る少女に話しかけるライアン。
「よう、ここを通してくれよ。いいだろ?」
『何こいつ、馴れ馴れしい。言ってること分からないし』
感情の一部は読めるようだが、当然ライアンの言っていることは分からない様子だ。
『えい!』
妖精のような可憐な姿で、ライアンの顎を蹴り上げる少女。
「ぐべ!」
思いのほか衝撃があった様子で、ライアンは顎を抑えている。
(おい、ライアン……)
邪魔にしかなっていない仲間を見て、ふぅと溜め息をつくエイジ。
小さな精霊の少女はエイジを見上げて言う。
『私はリイム。あんたの名前は?』
『俺はエイジって言うんだ。よろしくなリイム』
そう言って指を差し出すエイジ。
握手のつもりだったが、リイムは首を傾げた。
それでも、何となくどうしたらいいのか感じたのだろう。
差し出された指に、小さな両手をすっと差し出す。
『人間って変わってるのね。こんなことしたがるなんて』
『精霊はこんな時、どうするんだ? 初めて会って友達になりたい時にさ』
それを聞いてリイムは少し強い光を帯びる。
『エイジ、私と友だちになりたいの?』
『ああ、可笑しいかな?』
(凄いよな。エリスやリアナの魔法を見た時も驚いたけど、精霊が目の前にいるなんてさ)
『い、いいわ。仕方ないから友だちになってあげる』
その時、赤い光がそっとエイジの肩に下りてくる。
リイムとは少し違た感じの少女。
三頭身でぽっちゃりとした人形のような姿。
大きさはリイムと同じで20cm程だ。
『リイム友達になったですか? ミイムもなるです!』
そう言って、エイジを見つめるミイムという少女。
喋り方や外見がリイムよりも幼く感じる。
返事がないのを見てしょんぼりとする、ミイム。
『ミイムとは友達にならないですか?』
エイジはそれを聞いて笑う。
『はは、ごめんな。いきなり下りてきたからびっくりしてさ。よろしくな、ミイム!』
『友達になるですか? ミイムと友達になるんですか?』
差し出された指に手を伸ばして、嬉しそうにはしゃぐミイム。
青い光と赤い光が、エイジの両肩にとまって幻想的に揺らめいている。
オリビアはその光景を見て思わずエリスに尋ねた。
「綺麗ね。ねえ、エイジって一体何者なの? 貴方知ってるんでしょ? 一番親しそうだし」
「い、一番親しいって……見てのとおりよ、お人好しの馬鹿なの」
オリビアにそう言いながら、とても優しい目でエイジを見つめるエリス。
美しい女騎士は暫くエイジを眺めながらふぅと溜め息をつく。
エイジの肩の上でミイムが飛び跳ねると。
『友達になったです! ミイム、お母様にエイジを紹介するです』
『お母様?』
エイジがそう尋ねた時には、赤と青の光はエイジたちを導くように彼らの住む場所の入り口に飛んでいく。
エリクはそれを見て微笑んだ。
「どうやら、中に入れてもらえそうですね。エイジ」
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