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ジャン=ジャック・ルソー
勝利!そして失ったもの
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ルソーは怒り狂ってナイフを握りしめ、叔父を刺した。
何度も何度も刺した。
叔父の腹は血だらけになって、苦しそうに顔を歪めた。
愛する叔父であったが、弱いものを力で虐めるやつはこうなればいい。
そう思ったところで目が覚めた。
気を失っていたのだ。
根負けした叔父の折檻は終わっていた。
最後までついにルソーは罪を認めなかった。
ルソーは勝利した。
不屈の精神は読書で知った偉人のようだと自画自賛した。
それと共に、大人達に不信感を持った。
この日を境に、ルソーの楽しい少年時代は幕を閉じた。
もはや、ルソーはランベルシェ兄妹を信頼しなくなり、愛着もなくなり、教育者として見ることは出来なくなった。
ルソーは悪いことをするのを以前ほど恥じなくなった。
叱られるのを恐れ、隠し立てして、嘘をついた。
ルソーの行いは純真さを失っていた。
遊戯でさえも醜く歪んでしまったように感じた。
それから数ヶ月後、手に負えなくなったランベルシェ兄妹はルソーと従兄弟をベルナールにジュネーヴへと引き取らせた。
大鷲はこの事を、マッチョ伯爵に報告した。
「それで、結局、櫛を折ったのは本当にルソーじゃなかったのか」
「はい。それは間違いありません」
「それでは一体誰が櫛を折ったというのだ」
「女中です」
「なぜ、女中がそんな事を」
「恐らく子供達の面倒を見るのが煩わしかったのでしょう。ルソー達を追い出すためです」
「そうか。ルソーはまんまと女中の策略にはめられたというわけか。酷く殴られて可愛そうだったな」
「それにしても見上げた根性です。私は感心しました」
「そうだな。しかし、大人達はなぜ、ルソーのことを全く信じなかったのだろう」
「それはやはり、子供だからと言って軽く見ていたと思います」
「本当に人間は教育が下手な生き物だな。子供や若い者の言うことにもっと耳を傾ければいいものを」
「本当にそうです。教育者がしっかりしていないと、簡単に不当な権力や、ハラスメントや洗脳が横行します」
「まだまだ未熟な生き物だな」
マッチョ伯爵は苦い顔をした。
何度も何度も刺した。
叔父の腹は血だらけになって、苦しそうに顔を歪めた。
愛する叔父であったが、弱いものを力で虐めるやつはこうなればいい。
そう思ったところで目が覚めた。
気を失っていたのだ。
根負けした叔父の折檻は終わっていた。
最後までついにルソーは罪を認めなかった。
ルソーは勝利した。
不屈の精神は読書で知った偉人のようだと自画自賛した。
それと共に、大人達に不信感を持った。
この日を境に、ルソーの楽しい少年時代は幕を閉じた。
もはや、ルソーはランベルシェ兄妹を信頼しなくなり、愛着もなくなり、教育者として見ることは出来なくなった。
ルソーは悪いことをするのを以前ほど恥じなくなった。
叱られるのを恐れ、隠し立てして、嘘をついた。
ルソーの行いは純真さを失っていた。
遊戯でさえも醜く歪んでしまったように感じた。
それから数ヶ月後、手に負えなくなったランベルシェ兄妹はルソーと従兄弟をベルナールにジュネーヴへと引き取らせた。
大鷲はこの事を、マッチョ伯爵に報告した。
「それで、結局、櫛を折ったのは本当にルソーじゃなかったのか」
「はい。それは間違いありません」
「それでは一体誰が櫛を折ったというのだ」
「女中です」
「なぜ、女中がそんな事を」
「恐らく子供達の面倒を見るのが煩わしかったのでしょう。ルソー達を追い出すためです」
「そうか。ルソーはまんまと女中の策略にはめられたというわけか。酷く殴られて可愛そうだったな」
「それにしても見上げた根性です。私は感心しました」
「そうだな。しかし、大人達はなぜ、ルソーのことを全く信じなかったのだろう」
「それはやはり、子供だからと言って軽く見ていたと思います」
「本当に人間は教育が下手な生き物だな。子供や若い者の言うことにもっと耳を傾ければいいものを」
「本当にそうです。教育者がしっかりしていないと、簡単に不当な権力や、ハラスメントや洗脳が横行します」
「まだまだ未熟な生き物だな」
マッチョ伯爵は苦い顔をした。
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