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『編み物男子部』?ができるまで。
38 いない……そして狙われる 2
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「……!」
余りにも突然で吃驚して逃げようとしたが、腕は掴ませたままだしもう片方は俺を囲むように壁にあるし……。
鍵が掛かってるので誰も入ってくることはない。
逃げ場がない!
目の前の男にとって頬にキスをするのは何ともないように次の言葉を放つ。
「言うことさえ聞けば、ナニモシナイヨ。でも、一度でも持ってくるのを忘れたら……わかってるよね?」
何が「わかってるよね?」というんだろう?
そのことから逃げたいために頷く。狡い選択だ。
何もされたくないし、さっさとこの場から立ち去りたい!
本来なら絶対頷きたくない、でも自分一人では不利だ。
俺だってある程度の力はある。
負けるかどうかは別にしても。
ここは神崎川が青春を夢見る場として選んだ居場所だ。
神崎川が困るようなことにはなりたくないし、波風立てたくない。
だから、妥協するしか……。
「……はい」
内唇を噛んで悔しさを逃がすように我慢する。
これなら我慢してることは目の前の男には気づかれない。
「もちろん、僕の元に来て笑顔で渡すんだよ。僕は従順な子が好きなんだ、わかった?」
「好きになられても、困るのですが……」
きっぱり拒否する。
どうして俺なんかを『従順な子が好き』に入るんだか。
俺は誰に対しても従順になんかなったりはしない。
俺の意思は俺だけのもの。
誰にだってあげたりは出来ない、不可侵領域……だ。
「本当にキミってわかってないよね?この場所で逃げられると思ってるの?拒否権はないんだよ?」
掴まれた腕が痛い。キャプテンだけあって腕力も相当なものだ。
「何もしないって言ってるのに……」
そう言って、
ハァアア……と、目の前から大きなため息が聞こえてきた。
「神崎川にいつも渡してるヤツ、出して」
強制的な言葉。優しい顔をしながら言っているのに、有無を言わせずの言葉だ。
「そ、それは……」
神崎川のために用意したもの。渡したくなんかない!
「嫌です」
はっきり断る。ちゃんと目を見て。
自分の意思は揺るぎないことを示すように。
「せっかく作ったものが無駄になるんだよ?いつも僕たちが毎日一枚ずつもらってるのに?キミが知らないだけで、僕たちはそれを楽しみにしてるのに?」
顔を覗き込まれながら悲しげに言われる。でも、あれはきっと演技だ。
そう思わせる何かを感じる。
それでもそう言われると、断るのはいけないような気がしてくる。
でもそれは神崎川のために心を込めて作ったものであって、目の前の男に作ったモノじゃない。
明日からこの男に作るとしても、心を奪われる気がするのだ。
心を込めて作ったものを他の人に自分から差し出すっていう行為は。
そんな俺の気持ちなんか……目の前の男は絶対わからないだろうな……。
「それでも、嫌なものは嫌です!」
「そっかぁ……じゃあ、仕方ないよね?」
掴まれた腕を引き寄せられ、身体が前につんのめる。
待っていたかのように壁にあった手が俺の腰を抱き寄せ、首の方に頭が来るのが見えた時にはチクッとした痛みをそこに感じた。
え?
いったい何されたの?
そのあと、そこをねちっと濡れたザラザラとしたものを感じて思わず変な声が出る。
「っああぁ……!」
「そんなことだけで感じちゃったの?ふーん……やっぱりキミは素質あるんだね?」
な、何?今の……。
ゾワゾワして、気持ち悪い!
もしかして……首筋舐められた?
素質って?なんなの?
逃げたい!こんなとこ、いたくない……。
神崎川……どうして何も言わずに?
何処にいるの?
助けて……怖い!
いやだいやだ……!
じょうちゃん!
いない神崎川に助けを求めたって無駄だと理解していても、心は叫ばずにはいられなかった。
ブルブルブルブル……
その場で俺は首を振って拒絶を表す。
身体から力が抜け、ずるずると身体が落ちていきその男の腕の中にすっぽり包み込まれてしまう。
嫌なのに……。嫌なのに……!
それを見て満足そうに口許を綺麗な弧を描き言い放った。
「今日は帰してあげるよ。所有跡も着けたからね。明日からハチミツ漬けレモンよろしく!」
俺を解放して去っていく。
所有跡……。
その言葉が心の中で木霊する。
やっとすべての手が俺から離れていったことに気がついた。
何がしたかったんだろう?この目の前にいる男は……。
訳がわからない!
苛立ちとわからないモノに恐怖を感じる。
あの男は……キケンだ……。
突然、その男は振り返る。
思わず後ずさる。逃げ場がないってわかっていても。
「あ、そういえば、神崎川は今日は部活に出てないよ。今日と明日部活を休むと言って慌てて帰っていったからね。実はこの事を言う為に此処に連れ込んだんだよ」
部室のドアの鍵を開けて、その男は捨て台詞のように言い放った。
ギィイイイ、バタン。
ドアが閉まる。
無情な音が響いた。
余りにも突然で吃驚して逃げようとしたが、腕は掴ませたままだしもう片方は俺を囲むように壁にあるし……。
鍵が掛かってるので誰も入ってくることはない。
逃げ場がない!
目の前の男にとって頬にキスをするのは何ともないように次の言葉を放つ。
「言うことさえ聞けば、ナニモシナイヨ。でも、一度でも持ってくるのを忘れたら……わかってるよね?」
何が「わかってるよね?」というんだろう?
そのことから逃げたいために頷く。狡い選択だ。
何もされたくないし、さっさとこの場から立ち去りたい!
本来なら絶対頷きたくない、でも自分一人では不利だ。
俺だってある程度の力はある。
負けるかどうかは別にしても。
ここは神崎川が青春を夢見る場として選んだ居場所だ。
神崎川が困るようなことにはなりたくないし、波風立てたくない。
だから、妥協するしか……。
「……はい」
内唇を噛んで悔しさを逃がすように我慢する。
これなら我慢してることは目の前の男には気づかれない。
「もちろん、僕の元に来て笑顔で渡すんだよ。僕は従順な子が好きなんだ、わかった?」
「好きになられても、困るのですが……」
きっぱり拒否する。
どうして俺なんかを『従順な子が好き』に入るんだか。
俺は誰に対しても従順になんかなったりはしない。
俺の意思は俺だけのもの。
誰にだってあげたりは出来ない、不可侵領域……だ。
「本当にキミってわかってないよね?この場所で逃げられると思ってるの?拒否権はないんだよ?」
掴まれた腕が痛い。キャプテンだけあって腕力も相当なものだ。
「何もしないって言ってるのに……」
そう言って、
ハァアア……と、目の前から大きなため息が聞こえてきた。
「神崎川にいつも渡してるヤツ、出して」
強制的な言葉。優しい顔をしながら言っているのに、有無を言わせずの言葉だ。
「そ、それは……」
神崎川のために用意したもの。渡したくなんかない!
「嫌です」
はっきり断る。ちゃんと目を見て。
自分の意思は揺るぎないことを示すように。
「せっかく作ったものが無駄になるんだよ?いつも僕たちが毎日一枚ずつもらってるのに?キミが知らないだけで、僕たちはそれを楽しみにしてるのに?」
顔を覗き込まれながら悲しげに言われる。でも、あれはきっと演技だ。
そう思わせる何かを感じる。
それでもそう言われると、断るのはいけないような気がしてくる。
でもそれは神崎川のために心を込めて作ったものであって、目の前の男に作ったモノじゃない。
明日からこの男に作るとしても、心を奪われる気がするのだ。
心を込めて作ったものを他の人に自分から差し出すっていう行為は。
そんな俺の気持ちなんか……目の前の男は絶対わからないだろうな……。
「それでも、嫌なものは嫌です!」
「そっかぁ……じゃあ、仕方ないよね?」
掴まれた腕を引き寄せられ、身体が前につんのめる。
待っていたかのように壁にあった手が俺の腰を抱き寄せ、首の方に頭が来るのが見えた時にはチクッとした痛みをそこに感じた。
え?
いったい何されたの?
そのあと、そこをねちっと濡れたザラザラとしたものを感じて思わず変な声が出る。
「っああぁ……!」
「そんなことだけで感じちゃったの?ふーん……やっぱりキミは素質あるんだね?」
な、何?今の……。
ゾワゾワして、気持ち悪い!
もしかして……首筋舐められた?
素質って?なんなの?
逃げたい!こんなとこ、いたくない……。
神崎川……どうして何も言わずに?
何処にいるの?
助けて……怖い!
いやだいやだ……!
じょうちゃん!
いない神崎川に助けを求めたって無駄だと理解していても、心は叫ばずにはいられなかった。
ブルブルブルブル……
その場で俺は首を振って拒絶を表す。
身体から力が抜け、ずるずると身体が落ちていきその男の腕の中にすっぽり包み込まれてしまう。
嫌なのに……。嫌なのに……!
それを見て満足そうに口許を綺麗な弧を描き言い放った。
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何がしたかったんだろう?この目の前にいる男は……。
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突然、その男は振り返る。
思わず後ずさる。逃げ場がないってわかっていても。
「あ、そういえば、神崎川は今日は部活に出てないよ。今日と明日部活を休むと言って慌てて帰っていったからね。実はこの事を言う為に此処に連れ込んだんだよ」
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