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何故知ってる?
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「クリス。ちょっと聞きたい事があるんだ」
ジルドの声にヨハンも姿勢を正しています。
エヴェリーナとケイティはきょとんとしていますね。
もう11年兄弟妹をしていれば、声の調子から真面目な話で茶化してはいけないとクリスティナも悟っています。
「なんでしょう。お兄様」
「もしかすると辛い事なのかも知れないが、絶対に守るから全て話して欲しいんだ」
何時になく、瞳からレーザービームが出てきてそれだけで射殺されそうな感じです。
「な、何かしら。兄さま」
「お前、王家と何かあったのか?いや、何をされた?」
「えっと…あの…その…」
信じてもらえるかな…夢だって笑われるかも…本の読みすぎって叱られるかな…
時間が巻き戻っているなんて自分だってまだ全部を受け入れたわけじゃないクリスティナは悩みます。
「ジル?クリスが困っているわ」
「いや、このまま茶会にこの状態で行かせる方が良くないと思うんだ」
茶会…その言葉にまた指先が震えてきます。
ですが、その震えを騎士団の看護隊に所属しているエヴェリーナとケイティが気が付くのです。
「クリス!息を止めて!」
「えっ??‥ヒュっ」
「ゆっくり吐いて‥‥」
「ふぅぅぅぅぅ~」
「上手よ。大丈夫。何があっても私たちがいるわ」
エヴェリーナは何もわからなくても瞬時に体が拒否の反応を示したクリスティナに優しい声をかける。
ケイティも包み込むようにクリスティナの手を包むとにっこりと微笑む。
(信じてもらえなくても…言ってみよう!)
「夢と思われても仕方ないんだけど‥‥わたくし、時間が巻き戻っているの」
<<えっ???>>
「前世でもお兄様もお義姉さまも同じなんだけど、今度のお茶会でわたくしケガをするの。そして王子様がお見舞いに来て…婚約者にされて、結婚するんだけど殺されるの」
「こっ、こっ、こっ殺される?王子に??」
「ううん。王子というか夫になった第一王子の‥‥」
「愛人ってこと?」
こくりと頷くクリスティナ。
閨事などまだ書物でも読んだ事のない年齢のクリスティナの話に一同が震えています。
そして学園時代や、王子宮に入っての陰湿極まる虐めについても兄2人は握った手から血が出そう。
可笑しいのではなく、皆が怒りで震えているのです。
「辛かったわね‥‥」
「ぐすっ…本当によく頑張ったわ…」
ヨハンはじっとクリスティナを見つめます。
「信じていない訳じゃない。だが、時間が戻ったと何故思ったんだ?もしかすると嫌な夢で終わったかも知れないだろう?」
「うん。最初は…ヨハン兄さまとエヴェリーナお義姉様の婚約式の翌日だった。その日は兄さまと父さまは夕方まで寝てお母様に叱られるのを知ってた」
「他には?」
「9歳の時に、王宮公園の池の噴水に荷馬車が飛び込んだ事とか、モルト叔父様が犬に噛まれて足を…切断になったりだとか…知ってた」
うーん‥‥っと頭を抱える兄2人。
「そうか…ちなみに他には何かわかるか?この先とか。」
ちらりとエヴェリーナの顔を見るクリスティナ。
「その…今日ヨハン兄さまとエヴェリーナお義姉様のデートなんだけど…」
「えっ?俺?デート??今日の??」
超大慌てのヨハン。なぜそんなに焦る?と不思議がるエヴェリーナ。
すぅぅっと息を大きく吸うとクリスティナは話します。
「まず、予約してたのはプラネタリウムで、その後は この愛に って観劇を見て、フルーレってレストランで予約してるからご飯を食べて、帰らなきゃっていうお義姉さまに、おじ様には了解貰ってるからってポセイドンのロイヤルスイートで‥‥こんな大きな石のついたエメラルドの指輪を出してプロポーズするの!!」
「ちょ!ちょっと待て!なんで知ってる?と、言うか指輪はまだ誰にも見せてないぞ」
今日、何もなければ起こっていただろう展開について行けず失神するエヴェリーナ。
倒れる椅子を咄嗟に支えるケイティ。
言い切った感のクリスティナ。
開いた口がふさがらないジルド。
「だって、王家のお茶会でケガをしたあと、エヴェリーナお義姉様が泊まり込みで看病してくれた時に聞いたもの!」
「まぁ…ヨハン様ってロマンチストなのねぇ」っとチラリジルドを見るケイティ。
「大丈夫よ!ジルドお兄様は、この後騎士団の副長を賜って、その勲章をケイティお義姉様に捧げるって女神フォローレア像の前で真っ白な隊服でプロポーズするんだもの!」
<<えぇぇ???>>
「でも、それで周りの拍手喝采を浴びちゃって、真っ赤になったケイティお義姉さまにジルドお兄様はバチーンって叩かれるんだけど、ギューッて抱きしめちゃうんだもの」
「ジっ…ジル‥‥あなたそんな…人前なのに…」
「いや、まだ何もしてない!」
「あ、それもそうね‥‥うふっでも楽しみが出来ちゃった」
「ちなみにジルド兄さまはもう指輪を買ってる。デスクの引き出しの2番目で、このくらいの石で・・」
「わー!!言うな!言うなあぁぁぁ!何故知ってる?昨夜届いたばかりで誰にも…」
ヨハンもジルドもケイティも‥‥そして意識が戻ればきっとエヴェリーナも。
クリスティナの時間が撒き戻ったという話を信じないという選択肢はないと思うのでした。
ジルドの声にヨハンも姿勢を正しています。
エヴェリーナとケイティはきょとんとしていますね。
もう11年兄弟妹をしていれば、声の調子から真面目な話で茶化してはいけないとクリスティナも悟っています。
「なんでしょう。お兄様」
「もしかすると辛い事なのかも知れないが、絶対に守るから全て話して欲しいんだ」
何時になく、瞳からレーザービームが出てきてそれだけで射殺されそうな感じです。
「な、何かしら。兄さま」
「お前、王家と何かあったのか?いや、何をされた?」
「えっと…あの…その…」
信じてもらえるかな…夢だって笑われるかも…本の読みすぎって叱られるかな…
時間が巻き戻っているなんて自分だってまだ全部を受け入れたわけじゃないクリスティナは悩みます。
「ジル?クリスが困っているわ」
「いや、このまま茶会にこの状態で行かせる方が良くないと思うんだ」
茶会…その言葉にまた指先が震えてきます。
ですが、その震えを騎士団の看護隊に所属しているエヴェリーナとケイティが気が付くのです。
「クリス!息を止めて!」
「えっ??‥ヒュっ」
「ゆっくり吐いて‥‥」
「ふぅぅぅぅぅ~」
「上手よ。大丈夫。何があっても私たちがいるわ」
エヴェリーナは何もわからなくても瞬時に体が拒否の反応を示したクリスティナに優しい声をかける。
ケイティも包み込むようにクリスティナの手を包むとにっこりと微笑む。
(信じてもらえなくても…言ってみよう!)
「夢と思われても仕方ないんだけど‥‥わたくし、時間が巻き戻っているの」
<<えっ???>>
「前世でもお兄様もお義姉さまも同じなんだけど、今度のお茶会でわたくしケガをするの。そして王子様がお見舞いに来て…婚約者にされて、結婚するんだけど殺されるの」
「こっ、こっ、こっ殺される?王子に??」
「ううん。王子というか夫になった第一王子の‥‥」
「愛人ってこと?」
こくりと頷くクリスティナ。
閨事などまだ書物でも読んだ事のない年齢のクリスティナの話に一同が震えています。
そして学園時代や、王子宮に入っての陰湿極まる虐めについても兄2人は握った手から血が出そう。
可笑しいのではなく、皆が怒りで震えているのです。
「辛かったわね‥‥」
「ぐすっ…本当によく頑張ったわ…」
ヨハンはじっとクリスティナを見つめます。
「信じていない訳じゃない。だが、時間が戻ったと何故思ったんだ?もしかすると嫌な夢で終わったかも知れないだろう?」
「うん。最初は…ヨハン兄さまとエヴェリーナお義姉様の婚約式の翌日だった。その日は兄さまと父さまは夕方まで寝てお母様に叱られるのを知ってた」
「他には?」
「9歳の時に、王宮公園の池の噴水に荷馬車が飛び込んだ事とか、モルト叔父様が犬に噛まれて足を…切断になったりだとか…知ってた」
うーん‥‥っと頭を抱える兄2人。
「そうか…ちなみに他には何かわかるか?この先とか。」
ちらりとエヴェリーナの顔を見るクリスティナ。
「その…今日ヨハン兄さまとエヴェリーナお義姉様のデートなんだけど…」
「えっ?俺?デート??今日の??」
超大慌てのヨハン。なぜそんなに焦る?と不思議がるエヴェリーナ。
すぅぅっと息を大きく吸うとクリスティナは話します。
「まず、予約してたのはプラネタリウムで、その後は この愛に って観劇を見て、フルーレってレストランで予約してるからご飯を食べて、帰らなきゃっていうお義姉さまに、おじ様には了解貰ってるからってポセイドンのロイヤルスイートで‥‥こんな大きな石のついたエメラルドの指輪を出してプロポーズするの!!」
「ちょ!ちょっと待て!なんで知ってる?と、言うか指輪はまだ誰にも見せてないぞ」
今日、何もなければ起こっていただろう展開について行けず失神するエヴェリーナ。
倒れる椅子を咄嗟に支えるケイティ。
言い切った感のクリスティナ。
開いた口がふさがらないジルド。
「だって、王家のお茶会でケガをしたあと、エヴェリーナお義姉様が泊まり込みで看病してくれた時に聞いたもの!」
「まぁ…ヨハン様ってロマンチストなのねぇ」っとチラリジルドを見るケイティ。
「大丈夫よ!ジルドお兄様は、この後騎士団の副長を賜って、その勲章をケイティお義姉様に捧げるって女神フォローレア像の前で真っ白な隊服でプロポーズするんだもの!」
<<えぇぇ???>>
「でも、それで周りの拍手喝采を浴びちゃって、真っ赤になったケイティお義姉さまにジルドお兄様はバチーンって叩かれるんだけど、ギューッて抱きしめちゃうんだもの」
「ジっ…ジル‥‥あなたそんな…人前なのに…」
「いや、まだ何もしてない!」
「あ、それもそうね‥‥うふっでも楽しみが出来ちゃった」
「ちなみにジルド兄さまはもう指輪を買ってる。デスクの引き出しの2番目で、このくらいの石で・・」
「わー!!言うな!言うなあぁぁぁ!何故知ってる?昨夜届いたばかりで誰にも…」
ヨハンもジルドもケイティも‥‥そして意識が戻ればきっとエヴェリーナも。
クリスティナの時間が撒き戻ったという話を信じないという選択肢はないと思うのでした。
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