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早馬で片道3日
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「なぁクリス?お前が学園を卒業するまで俺らが結婚できなかったのは何かあるんだろうか」
ふいにヨハンが聞きます。
確かにヨハンもジルドも年が離れていますから婚約者もいるしプロポーズまで暴露されましたが行うはずだったのですよね。
11歳の今から亡くなったという18歳。この先7年もこの状態はちょっと考えられません。
「それは、第一王子です」
「王子が?どうして」
「婚約者に選ばれるのが今年なんですけど、王子妃教育が始まってすぐには見える場所は打たれないんだけど…」
「なるほど。騎士団の看護隊に配属になったわたくしたちならそれを見る事ができますものね」
「そうね。王子妃教育とはいえ虐待が常習化されてるとなれば大問題よ」
「でもクリスティナと一緒に風呂など入らないだろう?」
「入らなくても女同士。まして結婚となればエヴェリーナ様は伯爵家にお輿入れされます。同居です」
「そう、何かにつけてみる機会が増えるって事よ」
「本当の理由はわたくしにも判らなかったんだけど…学園生の時に王子が言ったの」
「何を言われたの?」
「お兄様たちが結婚できないのはわたくしがいるからだって…」
「なにそれ!なんなの腹立つわね!」
「本当よ!なんてクソガキなのかしら」
「多分…夜会なんかでも王子と踊らない限り誰とも踊れないし…ずっと立って待ってるわたくしが面白かったんだと思うの。王子の周りにいる女の子たちに色々言われても王子は笑ってるだけだったし…」
「うわぁ…ゴミだわ‥産廃だわ…」
「腐ったようなヤツだな…絶対にクリスティナを渡すものか!」
「ちょっと思うんだけど、王子は加虐趣味があるのかしら」
「サディストって事?」
「うん。それも歪んでる。話を聞く限りだしまだお茶会は先だけど…精神的に追い詰めて愉しむタイプかな」
「そう言えば‥‥言葉は汚い言葉とか多かったけど王子からの暴力はなかった」
「でしょうね。多分自分は手を下さないの。でも誰かに叩かれたりしてるのを見て喜ぶってヤツね」
「なんてやつだ。同じ男とは思えんっ」
「何かが引き金になったはずなの。何だろう…」
「ねぇ…お茶会で転んだって時、王子は何をしてたの?」
「多分…並んでるご令嬢と話をしてたと思うんだけど」
「なんとなくね、ケガをしたって言ってたでしょう?それじゃないかと思うの」
ケイティは最近担当したという同僚の話から推測をしました。
「なんでも、なんとも思ってないと言うか単に見かけただけ…だったと言うのよ」
「出会いが?まぁ…出会いは人それぞれだけど」
「で、転んだ時の痛そうな顔がずっと頭から離れなくて、少し経った頃また見かけて運命だと思ったそうなの」
「うわっ…めっちゃ迷惑な話ね」
「で、それからは給仕しているレストランなんかに通いつめたり、失敗して裏口でお説教されているのを見て嬉しかったって言うのよ」
「もう破綻してるじゃない!」
「で、思いつめてしまって、挙句…拉致よ。攫ったの」
「え?誘拐したの?」
「でも、見ていた人がいて、直ぐに警護団にレスキューされたけど被害者が閉じ込められてたのは床下収納庫よ」
細かいところは違っても、共通している部分が多いようですね。
「それでね。良かったらわたくしの領地に静養に来ない?」
「ケイティ。それでは君の家に迷惑じゃないか」
「何を言ってるの。わたくしの領地ならどんな早馬を飛ばしても片道3日はかかるわ。もう出立したという事にすれば、早馬が戻ってもクリスは戻ってこられないわ。出席しなくて済むでしょう?」
「そうね、わたくしも今の状況ならそれが良いと思うわ」
「ジル。お父様にはわたくしが話をするわ。わたくしも一緒なら何も言わないと思うし」
「それでは‥‥迷惑ばかりになってしまうよ」
「何を言ってるの!話の通りになるならこの先少なくとも7年は結婚できないのよ?クリスだって……何かするなら今動かないとだめでしょう!」
「だ、だけど再来週は入学式があるんだぞ」
「ならお茶会の日に領地を出立すればいいわ」
早速ケイティの家の領地に出向くよう動き出すクリスティナ達。
夕方に迎えに来るといってケイティは急ぎ家に戻ります。
「あの‥‥エヴェリーナお義姉様‥‥ごめんなさい」
「何を言ってるの。確かにヨハンの計画は残念だけどこの先7、8年も待たされることを考えたら何ともないわ。わたくし、1日、いえ、1秒でも早くお嫁に行きたいの。だから気にしない事。いいわね」
「はい」
あぁ~ん可愛いっとギューギュー抱きしめられるクリスティナ。
大きなスイカのようなお胸に挟まれて苦しかったけれど、優しさで胸がいっぱいになりました。
ふいにヨハンが聞きます。
確かにヨハンもジルドも年が離れていますから婚約者もいるしプロポーズまで暴露されましたが行うはずだったのですよね。
11歳の今から亡くなったという18歳。この先7年もこの状態はちょっと考えられません。
「それは、第一王子です」
「王子が?どうして」
「婚約者に選ばれるのが今年なんですけど、王子妃教育が始まってすぐには見える場所は打たれないんだけど…」
「なるほど。騎士団の看護隊に配属になったわたくしたちならそれを見る事ができますものね」
「そうね。王子妃教育とはいえ虐待が常習化されてるとなれば大問題よ」
「でもクリスティナと一緒に風呂など入らないだろう?」
「入らなくても女同士。まして結婚となればエヴェリーナ様は伯爵家にお輿入れされます。同居です」
「そう、何かにつけてみる機会が増えるって事よ」
「本当の理由はわたくしにも判らなかったんだけど…学園生の時に王子が言ったの」
「何を言われたの?」
「お兄様たちが結婚できないのはわたくしがいるからだって…」
「なにそれ!なんなの腹立つわね!」
「本当よ!なんてクソガキなのかしら」
「多分…夜会なんかでも王子と踊らない限り誰とも踊れないし…ずっと立って待ってるわたくしが面白かったんだと思うの。王子の周りにいる女の子たちに色々言われても王子は笑ってるだけだったし…」
「うわぁ…ゴミだわ‥産廃だわ…」
「腐ったようなヤツだな…絶対にクリスティナを渡すものか!」
「ちょっと思うんだけど、王子は加虐趣味があるのかしら」
「サディストって事?」
「うん。それも歪んでる。話を聞く限りだしまだお茶会は先だけど…精神的に追い詰めて愉しむタイプかな」
「そう言えば‥‥言葉は汚い言葉とか多かったけど王子からの暴力はなかった」
「でしょうね。多分自分は手を下さないの。でも誰かに叩かれたりしてるのを見て喜ぶってヤツね」
「なんてやつだ。同じ男とは思えんっ」
「何かが引き金になったはずなの。何だろう…」
「ねぇ…お茶会で転んだって時、王子は何をしてたの?」
「多分…並んでるご令嬢と話をしてたと思うんだけど」
「なんとなくね、ケガをしたって言ってたでしょう?それじゃないかと思うの」
ケイティは最近担当したという同僚の話から推測をしました。
「なんでも、なんとも思ってないと言うか単に見かけただけ…だったと言うのよ」
「出会いが?まぁ…出会いは人それぞれだけど」
「で、転んだ時の痛そうな顔がずっと頭から離れなくて、少し経った頃また見かけて運命だと思ったそうなの」
「うわっ…めっちゃ迷惑な話ね」
「で、それからは給仕しているレストランなんかに通いつめたり、失敗して裏口でお説教されているのを見て嬉しかったって言うのよ」
「もう破綻してるじゃない!」
「で、思いつめてしまって、挙句…拉致よ。攫ったの」
「え?誘拐したの?」
「でも、見ていた人がいて、直ぐに警護団にレスキューされたけど被害者が閉じ込められてたのは床下収納庫よ」
細かいところは違っても、共通している部分が多いようですね。
「それでね。良かったらわたくしの領地に静養に来ない?」
「ケイティ。それでは君の家に迷惑じゃないか」
「何を言ってるの。わたくしの領地ならどんな早馬を飛ばしても片道3日はかかるわ。もう出立したという事にすれば、早馬が戻ってもクリスは戻ってこられないわ。出席しなくて済むでしょう?」
「そうね、わたくしも今の状況ならそれが良いと思うわ」
「ジル。お父様にはわたくしが話をするわ。わたくしも一緒なら何も言わないと思うし」
「それでは‥‥迷惑ばかりになってしまうよ」
「何を言ってるの!話の通りになるならこの先少なくとも7年は結婚できないのよ?クリスだって……何かするなら今動かないとだめでしょう!」
「だ、だけど再来週は入学式があるんだぞ」
「ならお茶会の日に領地を出立すればいいわ」
早速ケイティの家の領地に出向くよう動き出すクリスティナ達。
夕方に迎えに来るといってケイティは急ぎ家に戻ります。
「あの‥‥エヴェリーナお義姉様‥‥ごめんなさい」
「何を言ってるの。確かにヨハンの計画は残念だけどこの先7、8年も待たされることを考えたら何ともないわ。わたくし、1日、いえ、1秒でも早くお嫁に行きたいの。だから気にしない事。いいわね」
「はい」
あぁ~ん可愛いっとギューギュー抱きしめられるクリスティナ。
大きなスイカのようなお胸に挟まれて苦しかったけれど、優しさで胸がいっぱいになりました。
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