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6 蜂谷クリニック院長 蜂谷康三《はちやこうぞう》の話
21.蜂谷クリニック院長 蜂谷康三《はちやこうぞう》の話 ④
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「娘が会いにきました。顔を見せてください。二見淳子の娘です」
突然、そんな声が聞こえて、びっくりしてね。
診察室から待合室に出ていくと、そこには若い娘がいた。
クセッ毛の髪を茶色に染めて、今風におしゃれをしてはいるが、それは確かに華子だった。
ずいぶんと太っていて、顔が全体的に、どこかアンバランスな印象を受けるが、間違いなく華子だったのだ。
「華子。どうしたんだ、急に」
芸のない返事だったが、それしか思いつかなくてね。
なにしろ唐突なことだったからな。けれども、内心は少し嬉しかったんだ。
どうしているか気になっていた娘が、急に訪ねてきてくれたんだからね。
実はあれから何度か、淳子のアパートの近くまで、行ったことがあったんだ。
けれども、淳子にも華子にも会えなくてね。
あまりしつこくしては、ストーカーみたいだとも思い、自分から淳子の部屋に行くことはなかったがね。
「華子。とにかく話は仕事が終わってからにしよう」
診察室には患者さんが待っていた。
なにはともあれ、仕事が終わってからだ。
ぼくはそう言ったんだが、
「いますぐに話がしたいの。お父さん」
静かに、だが切羽詰まったような声で華子は言った。
困ったな。さてどう説得したものかと思ったが、そのとき篠原さんが現れてね。
「華子さん。先生は、決してお相手しないというわけじゃないのですよ。いまは業務中だから、診察時間が終わってからお話ししましょう、ということなんです。お分かりですよね?」
「誰ですか、あなた」
「私はこのクリニックの職員で、篠原といいます」
ぼくの目から見ても、篠原さんの態度はずいぶん酷かった。
まるで野良犬でも追い払うかのような言い草だ。
華子が、ぼくの不義の子であり、妻から嫌われていることを知っているからだろうか。
これでは、華子が面白くないのも無理はない。
「あなたには関係ないでしょう。そんな怖い声をしないで」
華子は怯えた声で、だが篠原さんに対して怒っているように言った。
「そういうわけには参りません。あなたのように興奮されているひとを放っておくわけにはいかないのです。そもそも蜂谷先生の娘さんということですが、今日はどういったご用件ですか」
「お父さんと話がしたいんです。わたしはお父さんとこれまで、何年も会っていないんだから。たまには会ってくれても……」
華子は消え入りそうな声でそう言った。
ぼくは、華子が可哀想でね。いきなり来たとはいえ、そこまで邪険に追い返さなくてもいいんだ。
篠原さんは、ぼくにとって腹心の部下だが、それだけに、自分ひとりでなんでも先回りして決めていく癖があってね。おまけに、人に対する好悪の感情が激しい。自分が嫌いだと思った相手とは、ろくに口も利かなかったり、徹底的に無視して、いじめぬくようなところがある。
仕事ぶりは真面目だし、優しいところもあるのだけれどね。
妻といい淳子といい篠原さんといい、僕のまわりにいる女性は、どうもひとくせ、ふたくせあるな。
……すまない。話がそれたね。
「とにかく一度、外へ出てください。いま、蜂谷クリニックは診療中なんです」
篠原さんはそう言って、つまみ出すように華子を追い出してしまった。
ここでぼくは、華子の味方をするべきだったかもしれない。
けれども、とにかくそういうことになってしまった。
こうなったら仕方がない。
篠原さんが、適当にうまくやってくれるだろう。
診療時間が終われば、華子とゆっくり会えばいい。
妻は最近、毎晩のように友達と飲み歩いている。
育児が終わって、タガが外れたような遊びっぷりだ。
もしかしたら、男でもいるかもしれないと思ったが、もうどうでもよかった。
華子とはこのクリニックの中でじっくり話ができる。
そう思っていたんだ。けれども、やがて戻ってきた篠原さんは言ったんだ。
「華子さん、帰られましたよ。もう当分、ここには来ないそうです」
「なんだと?」
そのとき診療室には、ぼくと篠原さんしかいなかったからね。
言葉遣いも、つい荒っぽいものになってしまった。
「なにを勝手なことをしているんだ。みどり、君は……華子を追い返したな?」
「いいえ、華子さんご自身の意思です。用があったら電話をしてくると言って、いなくなりましたから、本当に先生のお話があれば、電話をかけてくるでしょう」
するわけないだろう。
十年以上も、電話一本かけてこなかった娘が。
ぼくはため息をついた。
もうお察しのことと思うが、ぼくと篠原さんは、いやみどりは、何年も前から関係を結んでいてね。
みどりは独身の上、気が利くし、妻を追い払って自分がその座に座ろうとか、そういう野心がない女だったから良かった。事務員だったから、クリニックのことも万事相談できたからね。
けれどもこのときは、みどりの中に、女を見た。
ぼくにとって昔の女である淳子と、その娘である華子が、いまさら出しゃばってきて、自分たちの世界に介入されるのはたまらん、といったところだろう。
ぼくの妻については、もうどうしようもないが、淳子と華子の親子は、みどりからするとこの世に存在するだけで鬱陶しいようだった。いまは疎遠といっても、それほど遠くに住んでいるわけではない。なにかを口実に、蜂谷クリニックに登場してくるかもしれない。そう思っていたようだ。だからみどりは、華子を追い返したんだ。
「もういい。しばらくひとりにしてくれ」
ぼくはそう言って、みどりを診察室から追い出した。
華子がこのクリニックにやってくるのは二度目だ。
だが二度とも追い返されるとは……。
あの子が本当に気の毒だった。
ところがね。
やがて診療時間が終わり、午後七時になったころかな。
トントン。
診療室のドアが開いた。
きっと、みどりだろう。クリニック内の戸締まりを終えて、退勤の挨拶にやってきたんだ。
「どうぞ」
そう言って入室を促すと、入ってきたのは。
なんと華子だったんだ。
「お父さん」
「華子、どうしたんだ。どこから入ってきた。表には篠原さんがいなかったか?」
「裏口が、開いていたから。……昔、来たときに、裏口があったのを思い出して、それで」
華子は七歳のときのことを覚えていた。
裏口から入ってすぐの事務室で、ジュースを飲んだことを鮮明に記憶していたのだ。
「お願い、お父さん。助けて」
華子は弱々しい声で、僕にすがりついてきた。
「人生が、どうにもならないの。お母さんはお酒ばかりで、養育費もたぶん、使い込んでしまっていて。わたしも、わたしも、子供のころからいじめられてばかりで、高校も卒業できなくて、仕事も続かないの。もう、どうしたらいいのか分からない。お父さんに頼るのは筋違いだと、思う、けれど。もう他に、頼るところがないの」
震える声で。
少しずつ、少しずつ。
不器用な娘が、絞り出すように、言葉を紡いでいるのが分かった。
華子はこれまでの人生を、丁寧に話してくれたよ。
淳子の下でずいぶんと苦労をしたようだが、ぼく個人的としては一番気の毒なところは、人間関係を理由に光京女子学園を中退したことだったね。
あそこは公立とはいえ名門だ。
しがみついておけば、将来もなにか開けるところがあっただろうに。
ぼくは若いころ、少しだが家庭教師のアルバイトをしたことがあってね。久美ちゃんという中学生の子を教えたんだが、その子は光京に合格できず、泣いて悔しがっていたものだよ。そういう子もいるのにねえ。華子は、ぼくに似て頭は良いようだが、淳子に似て人間関係で難儀する性格だったようだな。
「お父さん、わたし、どうしたらいい?」
すべてを話し終えてから、華子は上目遣いに尋ねてきた。
「華子。すまなかった。これまで、なにもしてやれなくて」
やろうと思えば、なにかができたはずなんだ。
もっと華子のことを、気にかけてやるべきだったんだ。
けれども自分の立場を失うのが恐ろしくて、ぼくはなにもできなかったんだ。
「華子、話は分かった。いまのお父さんになにができるか、考えてみるよ。仕事を探すか、学校に通いなおすか、進路を考えたほうがいい」
「はい」
「とりあえず、淳子になにかを期待するのは、もうよしなさい。ぼくが言うことじゃないが、あのひとは、頼りになるひとじゃない」
「分かっています」
この断言は力強かった。
淳子はよほど、ダメな母親だったのだろう。
「よし。それじゃ、ぼくの名刺と、当座の資金としてこれをあげよう」
ぼくはそう言って、机の中にあった名刺。
それと現金三十万円を、華子に渡した。
華子はびっくりして、
「こんなのダメですよ、お父さん」
と言って、現金だけを突き返してきたんだが、ぼくはもう一度、華子にそれを押しつけた。
「お金は要るだろう。また改めて支援するが、とにかくそれで、美味しいものでも食べなさい」
「お父さん、昔と同じ言葉を言ってる」
「そうか?」
ぼくは思わず笑顔になった。
このときまですっかり忘れていたんだが。
ぼくは七歳のときの華子にも、そう言って現金をプレゼントしたのだ。言われて思い出したがね。
華子も、目尻を下げた。
初めて見る笑顔だった。
二十二歳まで娘の笑顔を見たことがないとは、なんて父親だろう。
ぼくは本当に酷い男だ。
そう思った。
そのときだった。
「なにをやっているの!? 華子さん、あなた、どうしてここにいるの!」
みどりが診察室に入ってきたのだ。
突然、そんな声が聞こえて、びっくりしてね。
診察室から待合室に出ていくと、そこには若い娘がいた。
クセッ毛の髪を茶色に染めて、今風におしゃれをしてはいるが、それは確かに華子だった。
ずいぶんと太っていて、顔が全体的に、どこかアンバランスな印象を受けるが、間違いなく華子だったのだ。
「華子。どうしたんだ、急に」
芸のない返事だったが、それしか思いつかなくてね。
なにしろ唐突なことだったからな。けれども、内心は少し嬉しかったんだ。
どうしているか気になっていた娘が、急に訪ねてきてくれたんだからね。
実はあれから何度か、淳子のアパートの近くまで、行ったことがあったんだ。
けれども、淳子にも華子にも会えなくてね。
あまりしつこくしては、ストーカーみたいだとも思い、自分から淳子の部屋に行くことはなかったがね。
「華子。とにかく話は仕事が終わってからにしよう」
診察室には患者さんが待っていた。
なにはともあれ、仕事が終わってからだ。
ぼくはそう言ったんだが、
「いますぐに話がしたいの。お父さん」
静かに、だが切羽詰まったような声で華子は言った。
困ったな。さてどう説得したものかと思ったが、そのとき篠原さんが現れてね。
「華子さん。先生は、決してお相手しないというわけじゃないのですよ。いまは業務中だから、診察時間が終わってからお話ししましょう、ということなんです。お分かりですよね?」
「誰ですか、あなた」
「私はこのクリニックの職員で、篠原といいます」
ぼくの目から見ても、篠原さんの態度はずいぶん酷かった。
まるで野良犬でも追い払うかのような言い草だ。
華子が、ぼくの不義の子であり、妻から嫌われていることを知っているからだろうか。
これでは、華子が面白くないのも無理はない。
「あなたには関係ないでしょう。そんな怖い声をしないで」
華子は怯えた声で、だが篠原さんに対して怒っているように言った。
「そういうわけには参りません。あなたのように興奮されているひとを放っておくわけにはいかないのです。そもそも蜂谷先生の娘さんということですが、今日はどういったご用件ですか」
「お父さんと話がしたいんです。わたしはお父さんとこれまで、何年も会っていないんだから。たまには会ってくれても……」
華子は消え入りそうな声でそう言った。
ぼくは、華子が可哀想でね。いきなり来たとはいえ、そこまで邪険に追い返さなくてもいいんだ。
篠原さんは、ぼくにとって腹心の部下だが、それだけに、自分ひとりでなんでも先回りして決めていく癖があってね。おまけに、人に対する好悪の感情が激しい。自分が嫌いだと思った相手とは、ろくに口も利かなかったり、徹底的に無視して、いじめぬくようなところがある。
仕事ぶりは真面目だし、優しいところもあるのだけれどね。
妻といい淳子といい篠原さんといい、僕のまわりにいる女性は、どうもひとくせ、ふたくせあるな。
……すまない。話がそれたね。
「とにかく一度、外へ出てください。いま、蜂谷クリニックは診療中なんです」
篠原さんはそう言って、つまみ出すように華子を追い出してしまった。
ここでぼくは、華子の味方をするべきだったかもしれない。
けれども、とにかくそういうことになってしまった。
こうなったら仕方がない。
篠原さんが、適当にうまくやってくれるだろう。
診療時間が終われば、華子とゆっくり会えばいい。
妻は最近、毎晩のように友達と飲み歩いている。
育児が終わって、タガが外れたような遊びっぷりだ。
もしかしたら、男でもいるかもしれないと思ったが、もうどうでもよかった。
華子とはこのクリニックの中でじっくり話ができる。
そう思っていたんだ。けれども、やがて戻ってきた篠原さんは言ったんだ。
「華子さん、帰られましたよ。もう当分、ここには来ないそうです」
「なんだと?」
そのとき診療室には、ぼくと篠原さんしかいなかったからね。
言葉遣いも、つい荒っぽいものになってしまった。
「なにを勝手なことをしているんだ。みどり、君は……華子を追い返したな?」
「いいえ、華子さんご自身の意思です。用があったら電話をしてくると言って、いなくなりましたから、本当に先生のお話があれば、電話をかけてくるでしょう」
するわけないだろう。
十年以上も、電話一本かけてこなかった娘が。
ぼくはため息をついた。
もうお察しのことと思うが、ぼくと篠原さんは、いやみどりは、何年も前から関係を結んでいてね。
みどりは独身の上、気が利くし、妻を追い払って自分がその座に座ろうとか、そういう野心がない女だったから良かった。事務員だったから、クリニックのことも万事相談できたからね。
けれどもこのときは、みどりの中に、女を見た。
ぼくにとって昔の女である淳子と、その娘である華子が、いまさら出しゃばってきて、自分たちの世界に介入されるのはたまらん、といったところだろう。
ぼくの妻については、もうどうしようもないが、淳子と華子の親子は、みどりからするとこの世に存在するだけで鬱陶しいようだった。いまは疎遠といっても、それほど遠くに住んでいるわけではない。なにかを口実に、蜂谷クリニックに登場してくるかもしれない。そう思っていたようだ。だからみどりは、華子を追い返したんだ。
「もういい。しばらくひとりにしてくれ」
ぼくはそう言って、みどりを診察室から追い出した。
華子がこのクリニックにやってくるのは二度目だ。
だが二度とも追い返されるとは……。
あの子が本当に気の毒だった。
ところがね。
やがて診療時間が終わり、午後七時になったころかな。
トントン。
診療室のドアが開いた。
きっと、みどりだろう。クリニック内の戸締まりを終えて、退勤の挨拶にやってきたんだ。
「どうぞ」
そう言って入室を促すと、入ってきたのは。
なんと華子だったんだ。
「お父さん」
「華子、どうしたんだ。どこから入ってきた。表には篠原さんがいなかったか?」
「裏口が、開いていたから。……昔、来たときに、裏口があったのを思い出して、それで」
華子は七歳のときのことを覚えていた。
裏口から入ってすぐの事務室で、ジュースを飲んだことを鮮明に記憶していたのだ。
「お願い、お父さん。助けて」
華子は弱々しい声で、僕にすがりついてきた。
「人生が、どうにもならないの。お母さんはお酒ばかりで、養育費もたぶん、使い込んでしまっていて。わたしも、わたしも、子供のころからいじめられてばかりで、高校も卒業できなくて、仕事も続かないの。もう、どうしたらいいのか分からない。お父さんに頼るのは筋違いだと、思う、けれど。もう他に、頼るところがないの」
震える声で。
少しずつ、少しずつ。
不器用な娘が、絞り出すように、言葉を紡いでいるのが分かった。
華子はこれまでの人生を、丁寧に話してくれたよ。
淳子の下でずいぶんと苦労をしたようだが、ぼく個人的としては一番気の毒なところは、人間関係を理由に光京女子学園を中退したことだったね。
あそこは公立とはいえ名門だ。
しがみついておけば、将来もなにか開けるところがあっただろうに。
ぼくは若いころ、少しだが家庭教師のアルバイトをしたことがあってね。久美ちゃんという中学生の子を教えたんだが、その子は光京に合格できず、泣いて悔しがっていたものだよ。そういう子もいるのにねえ。華子は、ぼくに似て頭は良いようだが、淳子に似て人間関係で難儀する性格だったようだな。
「お父さん、わたし、どうしたらいい?」
すべてを話し終えてから、華子は上目遣いに尋ねてきた。
「華子。すまなかった。これまで、なにもしてやれなくて」
やろうと思えば、なにかができたはずなんだ。
もっと華子のことを、気にかけてやるべきだったんだ。
けれども自分の立場を失うのが恐ろしくて、ぼくはなにもできなかったんだ。
「華子、話は分かった。いまのお父さんになにができるか、考えてみるよ。仕事を探すか、学校に通いなおすか、進路を考えたほうがいい」
「はい」
「とりあえず、淳子になにかを期待するのは、もうよしなさい。ぼくが言うことじゃないが、あのひとは、頼りになるひとじゃない」
「分かっています」
この断言は力強かった。
淳子はよほど、ダメな母親だったのだろう。
「よし。それじゃ、ぼくの名刺と、当座の資金としてこれをあげよう」
ぼくはそう言って、机の中にあった名刺。
それと現金三十万円を、華子に渡した。
華子はびっくりして、
「こんなのダメですよ、お父さん」
と言って、現金だけを突き返してきたんだが、ぼくはもう一度、華子にそれを押しつけた。
「お金は要るだろう。また改めて支援するが、とにかくそれで、美味しいものでも食べなさい」
「お父さん、昔と同じ言葉を言ってる」
「そうか?」
ぼくは思わず笑顔になった。
このときまですっかり忘れていたんだが。
ぼくは七歳のときの華子にも、そう言って現金をプレゼントしたのだ。言われて思い出したがね。
華子も、目尻を下げた。
初めて見る笑顔だった。
二十二歳まで娘の笑顔を見たことがないとは、なんて父親だろう。
ぼくは本当に酷い男だ。
そう思った。
そのときだった。
「なにをやっているの!? 華子さん、あなた、どうしてここにいるの!」
みどりが診察室に入ってきたのだ。
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